しばらく、時間が経った。
ウィクトーリアは、本来の調査を行う為に遺跡へと向かった。
俺は、それを見届けながら、ゼータを見つめる。
「・・・起きているか?」
そう、俺はゼータに問いかける。
気絶している相手に対して、本来行うべきではないだろう。
けれども、大体は察してしまっている。
「・・・もう少しだけ」
そうしながら、ゼータもまた俺に顔を見せないようにしていた。
それに対して、俺は月を見つめながら、頷く。
そして。
「これは、寝言だけど」
「・・・」
「ツカサの事、アナザーライドウォッチを渡された男から聞いた。鳴滝っていう男から」
「鳴滝、なるほど、だいたい分かった」
鳴滝という名前を聞けば、俺は全てを察する事が出来た。
鳴滝。
未だに、その詳しい素生を知る事は出来ず、オーロラカーテンを自在に操り、別の世界のライダーを呼ぶ事が出来る謎の人物。
ただ一つ、分かっているのは、ディケイドを倒す事。
それだけしか分からなかった。
けれど、その為に、どんな手も使った。
「鳴滝の目的は、ただディケイドを倒す為。だけど、ツカサは本来ならばディケイドにならない存在。だから止める方法として、アナザーガッチャードの力を受け取った」
「・・・けれど、俺のライドウォッチを使おうとしたんだろ?」
「当たり前だろ?あんな怪しい男の言う事、真に受ける訳ないだろ」
それに対して、俺は苦笑いをしてしまう。
「さすがは、俺の娘だ」
その言葉に対して、ゼータは不満そうな声を出した。
「ねぇ、ツカサ」
「なんだ?」
「ずっとツカサに言いたかった事が一つあるんだ」
「なんだ?」
「私達は、一度もツカサの事、お父さんだって思った事ないよ」
「・・・うぇ」
俺は思わず声を出して、驚いてしまう。
「当たり前だよ、ツカサと旅をしていた時、私達と変わらない子供。それを見て、普通は親だと思わないよ」
「いや、それは、まぁ、そうだけど」
その、あまりにも常識的な言葉に対して、俺は目を見開いた。
「第一、私は私の為に死んでくれたお父さんしかいないし。デルタは、親父だと思っているけど、別に好きでもなんでもない。イータなんてそもそも、親に興味を持っているかどうか」
「いや、待て待て、まだ、弟が」
「・・・その弟には、記憶を無くした後に会わせるつもりだった。だから、言うよ」
それと共に、ゼータは俺を見つめる。
「私達は皆、ツカサの事が好きだよ。家族としても、男としても」
「・・・えぇ、いや、それはなんというか」
いきなりの言葉に対して、俺は、おそらくは人生で一番の驚き。
そう思っても、仕方ないだろう。