戦兎と別れ、俺は元の場所へと戻ってきた。
村の状況は、俺が戻る前と、あまり変わらない状況であるので、少し安心した。
「どうやら、無事だったようだな」
「・・・はい」
それと共に、月旦の目は、どこか怪しかった。
その目は、俺にとっては見覚えはあった。
そんな話をしていると、ガキ共がこちらに近づいてきた。
「ディケイド!さっきのは一体!」
「まぁ、力の一端という感じだ。あんまり使いたくない力だけど、巻き込まない為には仕方ないからな」
「使いたくない力?」
「というよりも、使いにくい力だな?まだ、コントロールも上手く出来ていないからな」
オーロラカーテンという力は、ディケイドの力を得た時から、俺の中にあった力だ。
その力を使えば、世界の移動は簡単に行う事が出来る。
ただ、それは移動だけであり、目的地にしている場所に行けるかは別問題だ。
戦兎達のように、1度行った世界の証であるカードがなければ、元の世界に帰る事は難しい。
だからこそ、今回、元の世界に戻れたのは、奇跡的だ。
「・・・とにかく、ここから移動の準備をすぐにした方が良い。それこそ、何時、奴らが来るか分からない」
「・・・そうだな、だが」
そう、俺が呟いた時、背後からの気配。
それに対して、俺は既にライドブッカーで、迫る攻撃を防いだ。
「月旦っ何を!」
それを族長が驚きの声を出していた。
おそらくは、俺が離れていた間に、考えていたんだろう。
「貴様の持つその力を寄こせ!」
「寄こせねぇ、なんでそんな考えを抱いたのか?」
「決まっている、お前のその力を使えれば、誰にも屈する事の出来ない強さが手に入るからだ」
月旦は、そのまま刀をこちらに向けて、振っていく。
その目は、既に強さにしか見ていない。
「本当に、馬鹿野郎が」
それに対して、俺はその攻撃に対して、手に持ったライドブッカーを、そのまま地面に捨てる。
驚きを隠せない月旦だが、俺はそんな奴に対して、回し蹴りを放つ。
「ぐっ!」
獣らしく、その反応は凄まじく、すぐに反撃を行う。
だが、俺は、既に拳を叩き込んでいく。
月旦は、それらの攻撃に追いつく事は出来なかった。
やがて、月旦は、そのまま地面に倒れる。
「強さを求めるのは勝手だがな、この力を手に入れた先にあるのは、強さなど下らないと思える光景だ」
強さなんかでどうにかなる事など、あまりにも少なすぎる。
これまで、多くの世界を、旅した。
けれど、救えなかった命があまりにも多すぎた。
中でも、俺は、仲間となった仮面ライダーを目の前で助ける事が出来なかった。
本郷猛、千翼、南光太郎、火野映司。
彼らを、助ける事が出来なかった。
破壊者と呼ばれる程の力を持ちながら。
「・・・どうやら、俺がいたら、強さを求めて襲うようだな」
「そんな事はっ」
「とにかく、悪かったな、邪魔をして」
結局、俺は、何も出来なかった。
ガキ共は、まだ連れて行く。
こいつらが、俺を呼び出す為に利用される可能性は、今の月旦ならあり得る。
だからせめて。
「行くぞ」
「えっあぁ」
未だに蹲る月旦を置いて、俺達は、また旅をする。
ガキ共を置いて行っても大丈夫な場所に。
俺が、この世界から旅立っても大丈夫だと思える場所に。