この世界、ミラーワールドは、普通ならば無人の世界。
他の世界で活動する際には、この何もない世界においては、移動手段としてはかなり優秀であり、隠密活動には向いている。
最も、それは。
「他にミラーワールドに入れる奴らがいない場合だがな」
その言葉と共に、周囲を見渡す。
周囲の森の中。
木々の中で、俺を、獲物として伺うように取り囲む奴らがいる。
ギガゼールを始めとしたレイヨウ型モンスターが、こちらを見つめている。
そして、奴らを操るのは。
「さすがにディケイドでも、数の暴力には敵わないよねぇ」
「仮面ライダーインペラー」
仮面ライダーインペラー。
龍騎の世界の仮面ライダーの一人であり、その特徴は、自身もまたレイヨウ型モンスターと同じく高い跳躍力を持ち、レイヨウ型モンスターを従えさせた集団殺法。
「それじゃ、行きなよ!」
その言葉を合図に、レイヨウ型モンスターが、攻撃を仕掛けてくる。
夜の暗闇に紛れ込みながら、一斉に飛び掛かってくるモンスター達。
しかし俺は冷静だ。
ベルトに触れてカードを引き抜く。
そしてそれを、バックルへと装填する。
『ATTACKRIDE SWORDBENT』
鳴り響く音声と共に、俺の片手にドラグセイバー。
もう片方にはライドブッカーをソードモードにして、二刀流での迎撃態勢に入る。
まず最初に飛び込んできたのは、レイヨウ型の群れ。
一匹目を切り伏せると、続けて二匹目が襲い掛かる。
しかしそれも難なく切り払うと、三匹目の突撃をかわし、すれ違いざまに蹴り飛ばす。
続いてやってきた四匹目は、瞬時にライドブッカーをガンモードにして、そのレイヨウ型モンスターを撃ち抜く。
だが、一匹を倒せば、軽い攻撃が当たる。
「チッ……」
舌打ちしながらも、ライドブッカーで受け流し、すぐに構え直す。
今度は五匹の同時襲撃だ。
一瞬だけ怯んだ隙を突かれ、そのうちの一匹が爪を立てて襲い掛かる。
「クソっ……」
咄嵯にドラグセイバーを振り回し、どうにか受け止める。
だが、やはり重い一撃。
しかもそれが連続で襲い掛かり、捌き切れない。
そのまま押し切られてしまう。
だが
「はぁ!」「っ」
暗闇の中から、レイヨウ型モンスター以外の影。
鋭い爪が、襲い掛かる。
その攻撃に対して、俺は受け止めながらも、睨んだ。
「仮面ライダータイガっ」「ふっ」
襲い掛かってきたのはレイヨウ型モンスターではなく、仮面ライダータイガ。
インペラーと同じく、龍騎の世界の仮面ライダー。
その特徴は、奇襲戦法で標的を仕留める。
「この組み合わせ、嫌になる」
思わずぼやいた。
インペラーは俺の攻撃を防ぎ、タイガはその素早い動きで翻弄してくる。
インペラーの方はともかくとして、タイガの方は完全に手玉に取られている。
それでも何とか凌ぎ切ることはできているのだが……。
「ほら! どうしたの!?」
インペラーが挑発するように声を上げる。それを受けて苛立ったのか、タイガが攻撃を仕掛けてくる。
素早く、そして的確な連続攻撃。
だが、それにも耐えられる程度にはなっている。
「ちぃっ……!」
タイガが、舌打ちをした。
「ディケイド、話に聞いていたけど、これでも仕留められないとはね」
「けど、ディケイドが使える手は少ないと思うよぉ」
そう、タイガとインペラーの二人が会話を行う。
実際、この場において、俺が取れる戦法は限られている。
ミラーワールドの中に滞在するには、この龍騎の姿しか出来ない。
龍騎は、基本的な性能は、他のライダーと比べても高く、多彩な装備もある。
だが、この戦闘において、それらを生かす為の時間があまりにも少なすぎる。
「別の仮面ライダーに変身は今は出来ない以上、どうすれば」
「ほら! さっきまでの威勢の良さはどこに行ったんだよ!」
タイガの声が聞こえると同時に、蹴り飛ばされた。
体勢を立て直そうと足に力を入れるが、上手くいかない。
そのまま地面を転げ回りながら、どうにか立ち上がる。
「ぐっ……」
痛みを堪えつつ、構え直す。
「さて、これで」
そう、タイガが言おうとした瞬間だった。
「全く、やっと見つけ出す事が出来たと思ったらこれだ」
「っ」
聞こえて来た声。
それは、俺が想像する限り、最悪な奴だ。
「なっ」「お前は」
その存在は、タイガもインペラーも驚きを隠せなかった。
そいつは、シアン色の仮面ライダー。
その名は。
「ディエンド」