「あぁ、結局、あのまま消えたまんまだよなぁ、ツカサ」
留置場的な所に入れられて取り調べを受け、解放されたのは5日後の夕方。
シドは、騎士団に囚われた後、そのまま寮への部屋に帰った後にぼそりと呟いた。
彼自身の、本来の実力ならば囚われていたとしても、すぐに脱獄する事は出来た。
ましてや、逃げる事など簡単である。
だが、シド自身が望む、陰の実力者になる為に、モブを徹底的に演じる為に、あえて捕まっていた。
その最中で主人公候補として目をつけていたツカサは、結局そのまま音信不通だった。
(まぁ、あぁ言う何もかもが謎の主人公っていうのもいるから、別に良いけど、陰の実力者を食う勢いの主人公は少しは控えて欲しいかもなぁ)
そんな呑気な考えをしながら、寮の部屋に入ると。
「久し振り、アルファ」
その部屋には既に待っていたアルファに、シドは特に驚く事なく挨拶しながら、そのまま部屋に入る。
「久し振り、それで、食べるかしら?」
そうして、シドに渡されたのは、サンドイッチだった。
特に気にする事なく、シドはそのサンドイッチを受け取ると
「ありがと。そう言えば、ベータは?」
「ベータから連絡がきたのよ。厄介なことになっているわね」
ベッドに腰かけ足を組むアルファ。
その横で、シドもまたサンドイッチを食べる。
「厄介な事ねぇ」
「えぇ、あなたが何を考えているのか分からないけど、教団、それにハンドレッドも動き出したわ」
「そうか」
(ハンドレッドは、僕が関与していないオリジナルの敵組織。というよりもアルファ以外にも加わったメンバーとその元保護者が一緒に考えた組織だと思っている。どうやら平行世界を支配を企んでいるらしい。なかなかに使い勝手の良い設定だし、何よりも、設定は凝っている感じがするので、僕は嫌いではない)
そう、ハンドレッドの事を考えながらもアルファからの言葉を聞きながらも相討ちをしている。
「何よりも厄介なのは、デルタが今回のハンドレッドの1件をかなり固執しているの。これまでもそうだけど、今回はそれ以上ね」
「あぁ」
(デルタかぁ、あの子、多分だけど相当に親が大好きだったんだろうなぁ。この世界だったら、名前に関して、僕も疑問に思わなかったし、ディケイドという名前は、嫌いではない)
「ディケイドか」
「あなたは、直接会っていなかったわよね、私達も、あの時、暗がりであまり見えなかったのだけど」
そう、ディケイドの事情を説明する最中で、シドは笑みを浮かべる。
(僕としては、そのディケイドというのはもしかしたらライバルキャラではないかと予想もしている。
やはり、物語の王道である主人公も必要だけど、それに立ち塞がる巨大なライバルというのは、陰の実力者としては必要だからね)
「そう、既に来訪しているだろう」
「っ、まさかデルタはそれを察知してっ」
何やら、アルファが立ち上がったようだけど。
「私達の方でも調べてみるわ、迎えも、来るわ」
「うん、分かった」
そうしながら、シドはそのまま寝転がった。
それと共に。
(そう言えば、あれって、どこにしまったっけ?)