悪魔と呼ばれ慣れて   作:ボルメテウスさん

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イータの愛

アレクサンドリア。

一般では「幻の都」と称されている都で、シャドウガーデンの本拠地。

ミドガル王国東部の聖地リンドブルムよりさらに東部の、深霧に覆われた樹海「深淵の森」の中に位置するその場所にいる場所において、イータはとある情報に関して、頭を回していた。

 

「・・・ディケイドが、この世界に戻ってきている、か」

 

それは、彼女をかつて助け出した恩人の名。

その恩人に対して、イータが未だに思い続けているのは、様々な感情があった。

恩人であるのと同時に、これまでイータの知らなかった知識を与えてくれる。

何よりも、彼女の好奇心を決して否定しなかったただ1人の人物。

彼から、与えられた知識はどれも興味深くはあった。

だからこそ。

 

「いなくなった時から、ずっと楽しみにしていた。また戻ってくるのを」

 

イータは、その身が捕らえられていた間も、意識は僅かにあった。

だからこそ、ハンドレッドの構成員の話を、聞いていた。

その頃のイータは肉塊に近く、話しても理解されないから。

そう愚痴代わりに。

 

「ディケイドは、世界を旅して、他のライダー達の力を得る事が出来る。つまりはディケイドから得られる情報は、他のハンドレッドよりも多くある。さらには、ディケイド自身にもおそらくはライダー達に変身した際の副作用が出ている」

 

そうして、ハンドレッドから得た情報。

そして、現在、揃っている情報を元に、イータは頷く。

彼女は、そのまま立ち上がると共に、既に準備を行っていた。

普段のイータを知る者ならば、決して行わない。

アレクサンドリアから出ての調査。

 

「だから、すぐに調査しなければ」

「そうか、そう言って貰えると助かるよ。僕としても、君がお宝の情報を教えてくれたら助かるからね」

 

そうして、イータの近くにいた青年は軽く笑みを浮かべる。

シャドウガーデンの構成員は、シャドウを除いて、女性だけで構成されている。

故に、その青年が、この場にいる事はあまりにも異質。

 

「アーティファクト、本来ならばアルファ様に渡さなきゃいけないけど、まぁディケイドを先に見つける事が出来るんだったら、別に」

 

そう、青年の言葉を余所に、イータは言葉を続ける。

それは、裏切りだと言われても可笑しくない言葉ではあった。

だが、彼女は、別にシャドウガーデンを裏切るつもりはない。

元々、イータにとって、シャドウガーデンはただの研究場所を提供してくれる場所である。

 

「そうか、それでディケイドを見つけたら、どうするつもりだい?」

「勿論、解剖をしたい。だって、ディケイドは、多くの仮面ライダー達に変身した影響が出ている。それは本当でしょ」

「まぁね、彼は仮面ライダーでありながら、アナザーライダーと呼ばれる怪人と似ている。故に彼には、不死身の生命体であるアンデットに人類の進化体であるオルフェノクなどの影響も出ている」

「それは、楽しみ」

 

笑みを浮かべたイータの表情に対して、青年は少し引いていた。

 

「これまで沢山の人間を見てきたけど、君程狂っている研究者はそういないよ。けど、本当に良いのかい?そんな事をして、ディケイドに嫌われるかもしれないのに?」

「・・・何を言っているの?」

 

青年の言葉に、イータは心底不思議そうに首を傾げる。

 

「ディケイドは、私の好奇心を肯定してくれた。私の研究に対して、肯定してくれた。だから、それをしないのはディケイドへの裏切りになる。何よりも、死なせない自信は私にはある。何よりも」

「何よりも?」

「私はディケイドの事を愛しているから。だから、解剖して、もっと知りたい。好きな人間を知り尽くしたいのは、女性としては当たり前でしょ」

「・・・意味はまるで違うと思うけどね、まぁ良いよ」

 

そうして、青年は、その手を翳す。

 

「僕も、この力はそう使えないからね。とりあえずはついて来たまえ」

「・・・まぁ、それもかなり欲しいのが本音だけど」

 

イータは、その視線の先には、青年の持つ銃。

 

「悪いけど、これは僕の物だからね」

「・・・残念、ディエンドの力も興味深かった。けど、ディケイドと違って、身体に影響が出ないから解剖の意味がない」

「解剖対象にならなくて、それは、それで安心だけどね」

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