「遅れてすいませんっ」
俺はそう言いながら、なんとか辿り着いた場所のドアを開く。
ドアを開くと共に、警戒していた二人と、シェリー、あとなぜかいたシドがこちらを見ていた。
その際に、シドを除く全員が。
「「「いや、どういう状況!!」」」
そう、俺がイータを背負っている状況に対して、突っ込みの声を出してしまった。
一応、見た目としては子供の俺が、大人のイータを背負っている状況だから可笑しいと感じるのは仕方ないだろう。
「その、ツカサ君、その子は一体」
「・・・あぁ、なんだ、学園を歩いていたら、見つけた。さすがに外にいる奴らに見つかったら、ヤバいと思ったから」
「いや、それは、確かにそうだけど」
それを聞いたマルコはどこか納得しない表情をしていた。
だが、そうしていると、イータは、そのままシェリーが見ていたアーティファクトを触る。
「えっえっと」
「・・・アーティファクトの構造は、なるほど二つを組み合わせて出来る。それを考えれば、こういう理論が出来るはず」
「えっ、あぁ、本当です!だとしたら、この魔力の波動は」
そうして、シェリーが、そのまま調べ始める。
「これは『強欲の瞳』というアーティファクトです。おそらく現在魔力を阻害している原因がこれです」
何やらピンポン玉サイズの球体の禍々しいデッサンを見せられる。
「『強欲の瞳』は周囲の魔力を吸収しそれを溜め込みます。そのため強欲の瞳が発動するとその周辺は魔力の錬成が困難になるっと」
「だが、奴らは普通に魔力を使っていたが、その説明はどうなるんだ?」
「あらかじめ『強欲の瞳』に魔力の波長を覚えさせたのでしょう。登録した魔力は吸収しないことを確認済みです。他にも極めて微細な魔力や、強い勢いを持った魔力などは吸収し辛いですが、そもそもそんな魔力は我々には扱えません」
「これだけでも厄介なアーティファクト。けど、強欲の瞳は溜め込んだ魔力を利用することもできるのです。おそらく、本来の目的は魔力の利用にあったと思われますが、長期間の魔力保存が困難だったために欠陥アーティファクトだと考察しました」
「長期間が無理だとすると、短期間なら大丈夫なわけだ」
「だから、大講堂には多くの魔剣士が捉えたのか。仮にそこで吸収している魔力を解放したとすれば……学園が吹き飛びます」
「この強欲の瞳は以前私が研究し解明したものです。その危険性を考えて、学界では発表せずに国で保管してもらうことにしたんですが……どうしてこんなことに」
そう、悩んでいたシェリー。
その言葉と共に、俺は。
「・・・確認したい事が、グレンさん」
「・・・なんだ」
俺は、シェリーとイータが話に夢中になっている間に、グレンさんをこちらに呼ぶ。
その雰囲気に、何かを察したように、少しだけ離れる。
「ここまでの話を聞いて、疑問だったが、そもそも、あのアーティファクトの事を調査しているのを知っているのは、紅の騎士団とシェリー以外にはいるか?」
「一人だけいる。だが、その結論だとしたら」
俺の言葉と共に、既に答えが出たように驚く。
だが。
「状況証拠ですが、そもそも、強欲の瞳が使われており、それが何の目的で使われているのか。これらを見る限りだと、可能性としては一番高い」
「・・・だが、それをする理由は」
「さぁ、けど、既に前例がある以上は、その可能性がある。そして、おそらくは」
そうして、俺はイータに近づく。
「んっ、どうしたの?」
「イータ、頼みがある。しばらく、ここにいてくれないか。シェリーを部屋から出さないように」
「・・・やるの?」
「あぁ」
俺がそう言うとイータは。
「今度、実験に付き合ってよ」
「あぁ、勿論だ」
その言葉と共に、俺はすぐに立ち上がる。
「まさか、一人で」
「まぁ、強欲の瞳をなんとかするよ。」
シェリーが、気づく前に。