シャンパーニの塔に向かう途中でキラービーのマヒ攻撃にやられたテリー、チャモロ、ホイミン、さまようよろいのサイモンは一旦ロマリアに引き返し、治療を行うことにした。
そしてすっかり元気になり、薬草や毒消し草、満月草、キメラの翼を買った一行はカザーブを経由して塔に乗り込んでいった。
現地ではまず、さまようよろいやホイミスライムをはじめとする相手と出くわしたが、そこはサイモンやホイミンがうまく説得をしてくれたおかげで戦闘を回避することが出来た。
「ありがとよ。これで無駄な戦いをしなくて済むぜ。」
カザーブを出発して以降、テリーは前線で戦いながらもHPやMPを温存したいと思っていたため、彼らに感謝をしていた。
一方、チャモロはいかんせん戦闘に不慣れで無駄行動が目立つため、移動中のホイミタンクが主な役割になっていた。
(今は確かにあまり役に立てていませんが、レベル20になれば大きなターニングポイントを迎えられるはずですから、何とか我慢していきましょう。)
彼はつのる悔しさを懸命にこらえていた。
テリー達が宝箱からお金やアイテムを回収しながら上の階にやって来ると、今度はどくいもむしが出現するようになった。
彼らはHPや攻撃力が少々高い上に毒攻撃をしてくるため、度々誰かが毒におかされてしまった。
幸い毒消し草があったために即座に治療をしたが、あっという間に使い切ってしまい、以降はホイミンのキアリー頼みの状態になった。
(うーーん。この時点ではMPを回復させる手段がありませんし、大丈夫でしょうか…。)
貴重な回復役を担っている彼は、何とか戦闘を回避したい気持ちでいっぱいだった。
すると宝箱から魔法の聖水を手に入れたため、彼は思わぬ収穫に大喜びだった。
しかしそれから間もなく、一行はおばけキノコ3匹に遭遇した。
「フンッ!何匹で来ようと俺がやっつけてやるぜ!」
テリーは意気込みながら全体攻撃を浴びせたが、反撃とばかりに甘い息を受けたため、たちまち眠ってしまった。
「ちょっと!眠っては困ります!」
焦ったサイモンは即座に彼を攻撃してたたき起こそうとしたが、隙ありとばかりに彼も甘い息を受けて眠ってしまった。
しかもこんな時にチャモロはつまずいて転んでしまい、さらにホイミンも眠ってしまったため、パーティーがめちゃくちゃな状態になってしまった。
すると2ターン目にチャモロがタンマとばかりに両手を前に突き出し、話し合いを求めることにした。
「あなた達はどうして私達を襲うのですか?」
「カンダタ様からの命令です。」
「彼からお金をもらえると言われたので。」
「これも生活のためです。」
おばけキノコ達はお金に困っていたため、カンダタ子分が出したアルバイトの募集に応募したことを打ち明け、証拠としてその紙を見せた。
「それで、お金はもらえましたか?」
「いえ、まだです。」
彼らは以前、アイラという名の人物や、おてんば姫を名乗る武闘家の少女と彼女のボディーガードを名乗る僧侶の少年がやって来た時に彼らを撃退し、お金やアイテムを手に入れてカンダタのもとに向かった。
しかし「なんだ、たったそれだけか。それじゃ報酬はやれん。もう一度行け!」と言われてしまい、手に入れたものを取られて追い返されたことを打ち明けた。
「それはもしかして8・3・8・1・10(※以降、アレと表記します。)かもしれませんね。足を洗った方がいいと思いますよ。」
「本当ですか?」
「アレだなんて…。」
「まさか、そんな。」
チャモロから予想だにしないことを聞いたおばけキノコ達は途端に動揺し、戦闘を放棄してしまった。
するとテリー達も目を覚ましたため、彼らは腹を割って話し合いをすることにした。
その結果、改心したおばけキノコの中の1匹は自分の名前をマッシュと名乗り、アレの真相を確かめるためにテリー達と一緒に行動してくれることになった。
「それじゃノッコ、トリュフ。僕は行ってくる。」
「気を付けてね。私、待っているから。」
「必ず問題を解決してくれ。頼んだぞ。」
「分かった。無事に帰ってくるから、心配しないでくれ。」
マッシュは名残惜しそうに言うと、勇気を奮い立たせて仲間に加わってくれた。
その後、彼らは何度かモンスターや鎧を身にまとった人間に出会ったが、テリーの全体攻撃や特技、チャモロの一発芸、ホイミン、マッシュ、サイモンの説得もあって戦闘は極力回避をしていった。
結果的に彼らはスイスイ進んでいき、HPやMPの消耗を防ぐことが出来た。
彼らは最上階への階段をのぼると、いよいよカンダタのところにやって来た。
「ほう。今度はお前達か。よくここまで来れたな。ほめてやるぜ!だが、俺と勝負する前に1対1で勝負をしてもらうぞ!」
カンダタは子分と1人ずつ戦い、テリー達が3勝すれば残ったメンバーで自分と勝負。負け越したらお金やアイテム没収という条件を付けてきた。
「本当は俺が全員をやっつけてやりたいが、仕方ねえ。まずは俺が相手をするぜ。」
テリーは真っ先に名乗りをあげ、子分Aと勝負に挑んだ。
そして彼はやいば砕きやとおぼえを駆使してダメージを重ね、危なげなく勝負を決めた。
「フンッ!その程度の実力か。俺はまだまだ余裕だから、次の相手も俺がやってやるぜ!」
「いや、あんたはここで交代だ。これはルールだ!それに従わなければ負けと見なすぞ!!」
カンダタは怒鳴るような声で威嚇した。
「クッ!それなら仕方ねえ。お前ら、頼んだぞ。」
納得のいかないテリーは顔をしかめながらも、いさぎよく後を任せることにした。
しかし、この後に出てきたチャモロはあっさりと負けてしまった。
次に出てきたマッシュは甘い息で眠らせたが攻撃を加えるたびに子分Cが目を覚ましてしまったため、思ったほど特技が効果を発揮しなかった。
そのため、彼は途中から肉弾戦に切り換えて戦い、相手のHPを後少しまで削ったが、結局先にダウンしてしまった。
「こうなったらMPを惜しんでいる場合ではありません。何とかしなければ。」
1勝2敗で後がなくなり、覚悟を決めたホイミンはラリホーで子分Dを眠らせた後、バギで攻撃した。
幸い呪文なら目を覚まさなかったため、彼は次のターンでも同じ攻撃をした。
するとここで子分が起き上がったため、ホイミンはさらにラリホーとバギを組み合わせながら攻撃して勝利を収め、MPをかなり減らしながらも2勝2敗のタイに持ち込んだ。
子分との最終戦ではサイモンが登場し、彼らはまるで映画での殺陣(たて)のような壮絶な打ち合いを演じた。
結果、両者はほぼ同時にHPを削り切られながらも、先にダウンしたのが子分Eだったため、かろうじてサイモンの勝利となった。
「ほう。こいつらに勝ち越すとはなかなかやるではないか。では、俺と勝負だ。コテンパンにやるぜ!」
カンダタはマッチョな体を見せびらかすと手をバキバキと鳴らし、武器を装備した。
「面白い!俺がお前をコテンパンにしてやるぜ!」
テリーは全く怖気づくこともなく、やる気満々だった。
「僕はひとまず魔法の聖水でMPを回復させます。」
ホイミンは聖水をグビッと飲み干して気合を入れた。
カンダタとの2対1での戦いはテリーが攻撃専門で行動し、ホイミンはベホイミで回復役をしながら攻撃にも参加した。
「ほう。俺の攻撃を受けてもまだ向かってくるとは。お前、気に入ったぞ。どうだ、俺の仲間にならんか?世界の半分をくれてやるぞ。」
「フンッ!俺はそんな誘いには乗らん!てめえを倒す!そして金の冠を取り返す!それだけだ!」
テリーは特技も駆使しながらダメージを与え続けた。
しかし、カンダタは回復こそしないものの、予想以上にタフだったため、ここでもやはり持久戦になってしまった。
そうしているうちにホイミンのMPはとうとう尽きてしまった。
「テリーさん、すみません。」
「仕方ねえ。こうなったら捨て身で向かうまでだ。」
「分かりました。」
テリーの助言を受けて、ホイミンは気持ちを切り替え、玉砕覚悟で向かっていった。
その甲斐あって彼は見事会心の一撃を叩き込み、さらにテリーのとおぼえも見事に決まったため、ついにカンダタのHPを削り切った。
勝負が終わった後、カンダタはストックしておいた薬草を取り出してきて、全員のHPを回復させてくれた。
「いやあ、参った。あんた達強いな。金の冠を返すから、許してくれよ!な!な!」
彼はそれまでの好戦的な態度とは打って変わり、途端に口調も丁寧なものになった。
テリーとチャモロがどうするか話し合いをしていると、そこにマッシュが出てきて自分に持ち掛けてきたことについて問いかけた。
「あの時のお金を支払ってください。」
「あの時って何だ?記憶にないんだが…。」
ギクッとしたカンダタは思わず返答に困ってしまった。
「とぼけないでください!アイラさんに加えて、女武闘家さんと男僧侶さんの件です!それは本当にアレだったんですか!?」
「そ、そんなつもりは…。」
マッシュはそのしどろもどろの態度を見て、ついに真相を理解した。
「そんな、ひどい…。僕達をいいように利用しておいて…。」
彼の表情はどんどん怒りに満ちていき、思わず食って掛かろうとした。
しかしサイモンとホイミンになだめられたため、幸いにも未遂に終わった。
「すまねえ。これまでのことは謝る。報酬はしっかり払うから、許してくれよ!な!な!」
カンダタは先程と似た態度をもう一度見せながら謝った。
「両手をついて謝ったって許してあげませんっ!」
「そんなこと言わずに、許してくれよ!な!な!」
「こたえーはっ!…NOーーーーッ!」
「そんなこと言わずに、許してくれよ!な!な!」
「ダメでーーす。ダメダメ。」
「そんなこと言わずに、許してくれよ!な!な!」
「×~ダメ~。」
「そんなこと言わずに…。」
カンダタはひたすら許しを乞い続けたが、マッシュは引き下がらなかったため、会話は堂々巡りになってしまった。
「いい加減、許してあげましょう。」
「相手も反省しているようですし。」
いてもたってもいられなくなったホイミンとサイモンは、彼を懸命に説得した。
その結果、とうとうマッシュもカンダタを許すことにした。
「ありがてえ。あんたことは忘れないぜ。俺達はもうアレに手を染めたりはしないから、安心してくれ!」
カンダタはマッシュにお金を差し出した。
そして子分達に指示を出して、テリー達に金の冠を渡した。
「それじゃ、俺達はこれで失礼するぜ。じゃあ、あばよ!いい夢見ろよ!」
彼は捨て台詞のようなことを言うと、子分とともに塔を脱出していった。
「マッシュ、戻ってきてくれたのね!良かった!心配したのよ!」
「それにアレの件も無事に解決してくれたんだね!」
ノッコとトリュフはたくさんのお金を手に入れた以上に、彼の無事を喜んでくれた。
「ああ。これで一件落着だ。そしてこれからアレはいけないことだと自覚して、甘い言葉に乗らないように気をつけような。」
「分かったわ。」
「同感だ。」
おばけキノコ達は今回のことを今後の教訓としていかすことを誓った。
そして自分達はこの塔で静かに暮らすことをテリー達に告げた。
「分かった。短い間だったが、元気でな。」
「どうか幸せに暮らしてくださいね。」
テリーとチャモロは名残惜しい表情をしながらも、彼らの意見に従うことにした。
そして道中の宝箱で手に入れたお金の半分を置いていくことにした。
マッシュ達と別れた後、テリー達は塔の外に出てキメラの翼を使用し、ロマリア城にやってきて宿屋に直行した。
テリー「ご苦労だったな。みんな疲れているだろうし、しばらく各自で自由行動をすることにしよう。」
チャモロ「そうですね。私はこれまで戦ってばかりでしたから、気分転換をしたいです。」
サイモン「私はまだ頑張れます。ですから、バトルロードに参加しようと思います。」
ホイミン「僕もそうさせていただきます。少しでも皆さんに貢献したいですから。」
彼らは話し合いを済ませた後でチェックインをし、寝室へと向かっていった。
翌日。ロマリアの城ではチャモロが金の冠を返却したご褒美として王様の姿になり、国を治める立場を体験出来ることになった。
「新しい王様の誕生じゃ!チャモロ王、バンザイ!」
「新しい王様に敬礼!」
「わーい!王様だ!新しい王様だ!」
「まあ!私のような旅の者にまでお声を!感激ですわ!王様。」
彼は住民に話しかけるたびに尊敬の言葉を浴びせられた。
(いやー、いい気分ですね。苦しゅうありません。しかし、このままでは外に出られませんし、旅にも出られません。とりあえず一通り王様としての心得を学んだら、また元の職業に戻りたいですね。)
彼は貴重な経験を堪能しながら城の中を歩き続けていた。
一方、テリーは格闘場の観客席に座り、そこで開催されるバトルロードを観戦することにした。
しばらくすると会場にはアモスが司会役として登場し、「みなさん、お待たせしました!それでは今からモンスター同士が対戦するバトルロードのHランクを始めます!」と叫んだ。
すると観客が歓声をあげながら盛り上がり、その中でサイモンとホイミンがおばけありくいのホボドンと組んで登場した。
そして1回戦のおおがらすとスライムを撃破した後、2回戦、3回戦も突破した。
「みなさん、お見事でした!では、賞品と賞金を受け取ってください!」
アモスは一列に並んだサイモン、ホイミン、ホボドンにそれぞれ上薬草、魔法の聖水、青銅の盾を贈呈し、さらに賞金800ゴールドの入った袋を手渡した。
それらを受け取ると、彼らは大喜びしながら会場を後にしていった。
すると今度はシルビアに加えて、ベロニカとセーニャがそれぞれ笛と竪琴を持って登場した。
アモス「今度は彼女達による歌と演奏です。」
ベロニカ「それでは今から演奏しまーすっ!」
セーニャ「みなさん、ぜひ聞いてください。」
シルビア「大空は、あなた達のものでーす!」
3人が叫ぶと、シルビアが歌う準備をして合図をした。
会場に流れた曲は不死鳥に乗って空を飛ぶシーンをイメージしたもので、テリーをはじめ、観客達、さらにはアモスやホイミン達はその神曲にうっとりとしながら聞き入っていた。
曲が終わると会場では割れんばかりの拍手と大きな歓声が沸き起こった。
「みなさーん!アタシの歌声、良かったでしょう!」
「あたし達の演奏を聞いてくれてありがとーっ!」
「私達の曲を聞いて幸せな気持ちになれたのなら光栄です。」
シルビア、ベロニカ、セーニャは満面の笑みを浮かべながら観客に手を振り、会場を後にしていった。
「それでは、準備が整いましたので、今から武術大会を開催します。みなさん、お待たせしました!まずはアリーナ姫の入場です!」
アモスの紹介に続いて会場からは大きな歓声が起こった。
そして「おてんば姫の行進」の曲が流れる中で、アリーナが姿を現した。
彼女は手を振りながら笑顔を振りまいた後、戦闘モードの表情になった。
アモス「それでは、次は挑戦者の入場です!みなさん、ご起立を願います!」
彼が叫ぶとテリーを除く観客達は総立ちになり、「来るぞ来るぞ。」とばかりにわくわくした表情をしていた。
(何だ何だ?何が始まるんだ?)
テリーが辺りを見渡しているといよいよ登場曲がかかった。
すると観客達は歓声を上げた後で一斉にジャンプを始めた。
「出ましたーーーっ!みなさんおなじみ、マルティナジャンプですっ!!」
「オオオオッ!オオオオオオオ…、マ・ル・ティ・ナ!」
「オオオオッ!オオオオオオオ…、マ・ル・ティ・ナ!」
会場には大勢の人の声が響き渡り、アリーナにとっては一気に完全アウェーの状態になった。
「なるほど。見た感じ、女武闘家同士の勝負か。彼女達がどれ程の実力の持ち主なのか、ちょっと拝見させてもらおう。」
観客が着席して会場が静かになると、テリーは突き刺すような視線で試合の行方を見守ることにした。
今回ベロニカとセーニャが演奏し、シルビアが歌った曲の歌詞は次の通りです。
タイトル:Heavenly Flight
We have our wings to fly away
Here we go
We can go everywhere beyond the blue sky
Believing in the Promised Land
Now is the time to fly away
Here we go
Even if someone says it’s a dream of dreams
Let’s make our dream come true
On the way of our journey
Anger, sadness, pain, hate, anxiety
Negative ones possess us
There’d be even hopeless days
Even if so
Nothing to fear
We can do it when we believe
We are always together
We have our wings to fly away
Here we go
We can do anything as long as you’re here
Believing in our hopeful days
Now is the time to fly away
Here we go
I am never alone, lonely or sad
Together till the end of our lives
Even when someone says it’s a dream of dreams
Let’s make our dream come true