チャモロに連れられてアリアハンにやってきたアリーナ、クリフト、ベロニカ、セーニャ、シルビア、マルティナは、いざないの洞くつの出口で兵士達から検疫と手荷物の検査を受けた。
そして無事に通過すると、チャモロはキメラの翼を使ってアリアハンへと向かっていった。
町に入っていくと、彼らはまずレックの実家に案内され、母親のマドリガルに会った。
「みなさん、こんにちは。遠方からはるばる来てくれて、本当にありがとうございます。」
彼女は全く初対面の人達にも関わらず、満面の笑みで団体さんを迎えてくれた。
そして自分が勇者オルテガの妻であり、今でも彼の帰りを待ち続けていることを打ち明けた。
「そうなのね。あたしとしてもどこかで無事でいてほしいんだけれど…。」
「でも、私もお姉さまも、未だに全く情報が得られていませんし…。」
ベロニカとセーニャをはじめ、一行はオルテガが火山の火口に落ちて帰らぬ人になったと聞いていたこともあって、つい事実(?)を言いそうになってしまった。
しかし、そんなことをつい口にしようものなら、マドリガルがその場で悲しみだすのは明白だったため、危ういところで踏みとどまった。
そして、代わりにノアニールに行って村人達の世話になったことや、サイモンという男性とタッグを組んで活動していたこと、さらにはポポタという少年がモンスターに襲われた時に勇敢に立ち向かっていったことなどを話した。
「そうですか。夫は色んなところで活動し、世のため人のために尽くしていたんですね。」
「はい、そうです。彼のエピソードは色々な人達から語り継がれています。」
「オルテガさん、アタシ達にとっては本っ当にあこがれの存在なのよ~。」
マルティナやシルビアをはじめ、彼らはマドリガルに優しい言葉をかけて彼女を励ました。
家の外で待機していたチャモロは、一行が出てくると今度は彼らをお店に案内して、ルイーダに面会した。
「いらっしゃい…、って、あら、見覚えのある人が何人かいるわね。」
「誰かと思ったらルイーダちゃんじゃないの~。おひさしぶ~り~ね~。」
「そうね。新天地に行くとは言っていたけれど、ここで働いていたのね。」
シルビアとマルティナは彼女の顔を見るなり、足早に駆け寄っていった。
さらにベロニカとセーニャも面識があったため、それぞれ「久しぶり!ここで働いていたのね!」、「またお会い出来てうれしいです。」と言って再会を喜んだ。
すると厨房にいたターニアがやってきて、自己紹介をした。
「みなさん、初めまして。この度はアリアハンに来てくださって、誠にありがとうございます。お食事でよろしかったでしょうか?」
「そうよ。私はこれを食べてみたいから、ぜひお願いね。」
「私も姫と同じものを食べたいと思います。」
すでに空腹だったアリーナとクリフトはメニュー表を見ると、迷うことなく即座に注文をした。
すると他の人達もしばらく考えた後、個々で食べたいものを選んだ。
「かしこまりました。では、今から腕によりをかけて作ります。」
「私も今から厨房に行きます。少々お待ちくださいね。」
ターニアとルイーダは注文を受け付けると、早速厨房へと向かっていった。
一行は食事をとった後、今度は城に向かっていき、王様に謁見した。
「皆の者。よくアリアハンに来てくれた。わしはとてもうれしいぞ。どうか、この大陸での観光を楽しんでほしい。さらに、この地にはモンスターこそいるが、バラモスの影響を受けているわけではないし、話せば分かってくれるはずだ。だから、むやみに争ったりはせず、仲良くしてほしい。」
彼はこの地での心構えなどを色々話してくれた。
それを受けて、アリーナ達はモンスターに出会う度に戦ってばかりだったこれまでの常識を改め、この地での考え方に順応していくことを約束した。
城を後にすると、一行は次にリッカの宿屋にやってきた。
「あらー、みなさん。こんにちは!」
彼女は予約なしの突然の訪問だったにも関わらず、笑顔で応対をした。
そして今から宿泊料金などを伝えた後、チェックインするかを聞いてみた。
しかし辺りはまだ明るく、一行は色々なところを見て回りたい気持ちだったため、夕食後に戻ってくることを希望した。
「分かったわ。じゃあ、私はみなさんが快適に泊まれるように準備をしておきますので、それまで観光を楽しんできてください。」
「はーい!目一杯楽しんできまーす!」
「ぜひ楽しい思い出を作ってきます。」
「私も色々学んでいきたいと思います。」
ベロニカ、セーニャ、マルティナはわくわくしながら返事をした。
そしてみんなは宿屋を後にすると、町を後にしてレーベに向かっていった。
宿に一泊した後、今後のアリアハン観光はマドリガルが担当することになったため、チャモロはレック達に合流するためにロマリアに行くことになった。
そして彼はキメラの翼でいざないの洞くつに飛んでいくと、そこを通り抜けていき、ロマリアに到着した。
ちょうどその頃、レック、ハッサン、ミレーユ、バーバラ、テリー、ホイミンはカザーブを経由してアッサラームに向かうところだったため、早速仲間に加えてもらった。
一行がカザーブに到着するとチャモロは武器屋に行きたいと言い出したため、全員でその場所にやってきた。
「私、このチェーンクロスが前から欲しかったんです!以前の職業では我慢していましたが、これからは大活躍して、今までの分を絶対に取り返したいんです!」
彼はジャンジャン覚えつつある呪文に加えて通常攻撃でも活躍したいと意気込んでいたが、ちょうどみんなが装備を整えたばかりで所持金が少なかったため、とげのムチを売ってもまだ資金が足りなかった。
「どうしましょう…。ぜっかく名誉挽回のチャンスなのに…。」
「じゃあ、あたしが持っているこのまどうしの杖を売ることにするわ。」
「えっ!?バーバラさん、いいんですか?素手になってしまいますよ!」
「大丈夫よ。あたしには強力な呪文があるから。」
彼女はチャモロの心配をものともせずに、その場で武器を売り払ってしまった。
「これでチェーンクロスが買えるようになったわ。チャモロ、頑張ってね。」
「バーバラさん…、私のためにそこまで…。本当にありがとうございます。この恩は忘れません。」
チャモロはその武器を手に入れると早速素振りをして使いこなせるようにした。
その後。現地で1泊してからレック達がアッサラームに向かおうとすると、村人から道中にいるモンスターを退治してほしいという依頼を受けた。
それを受けて、村を後にして山道に差し掛かると、チャモロは口笛を吹いて相手を呼び出し、戦闘を繰り返しながら進むことになった。
この時点において、レック達の武器や主要な行動パターンは次のとおりだった。
・レック … 武器:やいばのブーメラン、行動:ほとんど全体攻撃の繰り返し。そのため、MPは移動中のホイミタンク用になった。
・ハッサン … 武器:鉄の槍、行動:必中拳を覚えて戦士になり、今度はしっぷう突きを覚えた結果、ほとんど確定でターンの最後に行動しながらも、最初の行動も可能になった。
・ミレーユ、ホイミン … 武器:鉄の槍、行動:攻撃面では火力不足が目立ってきたが、ベホイミやラリホー、マホトーンなどで回復や補助役にまわった。
・バーバラ … 武器:無し、行動:MPが続く限りベギラマやメラミを使い、MPが少なくなるとマホトラで補充。
・チャモロ … 武器:チェーンクロス、行動:主にグループ攻撃をしながら時々回復役もこなした。
・テリー … 武器:はがねの剣とブーメラン、行動:通常攻撃に加えてとおぼえ、やいば砕き、仲間呼び(※)などの特技を駆使した。
(※:ゲームではまもの呼びですが、ここでは控えの3人が一斉に通常攻撃で参加という形にしたため、このようにしました。)
現在、彼らのレベルは転職したチャモロを除いて十分にあるため、戦闘自体は決して苦戦するほどではなかった。
しかし、この場所はモンスターの巣くつになっているため、少し進むだけで戦闘になってしまった。
その結果、アッサラームを目の前にして引き返すことになったため、この日はバーバラのルーラで一旦カザーブに戻り、一泊することにした。
宿屋を後にすると彼らは再度武器屋に行き、バーバラのためにまどうしの杖を買い直した。
さらに道具屋で魔法の聖水を手に入れた上で、彼らは再度出発していった。
戦闘は相変わらず頻繁に行われたが、コツをつかんだことやレベルアップしたこともあり、前日よりも楽に勝てるようになった。
その結果、彼らは疲れ切った状態になりながらもついにアッサラームに到着した。
時を同じくして、アリアハンではうp主の分身であるキュウジが海外旅行というような形でやってきて、一人旅をしていた。
「ここはWi-Fiがないからインターネットが使えないし、持っているスマートフォンは時計とカメラという形でしか使えないけれど、違う日常を経験出来るし、人々も親切だから悪くないな。これで、僕の推しの人に会って会話が出来たらもう言うことないんだけれど…。」
彼は夕方まで観光を楽しんだ後、宿屋にやってきた。
扉を開けて中に入っていくと、そこにはドラクエのナンバリングシリーズに登場した大勢の人達がおり、さらに正面のカウンターには宿を経営しているリッカがいた。
(えっ?これって、本当にリッカの宿屋なのか!?)
キュウジは以前、画面越しにそのシーンを見たことがあったが、まさかそれを実際に見られるとは思っていなかったため、ビックリだった。
(※なお、この時点で6のキャラ達はアッサラーム付近を旅しているため、主人公は代わりにカミュ、ハッサンはマルティナ、バーバラはベロニカ、ミレーユはセーニャ、チャモロはシルビアが代替出演しています。)
「いらっしゃーいっ!アリアハン名物、リッカの宿にようこそ!お一人様ですか?」
「あっ、はい。一人です。」
「では、部屋はシングルでいいですか?」
「はい。シングルでお願いします…。」
キュウジはしどろもどろになりながらもしっかりと質問に答え、無事にチェックインをした。
「では、あなたの部屋はこちらになります。ごゆっくりお過ごしください。」
「分かりました。ありがとうございます。」
キュウジはリッカからカギを渡してもらうと、部屋に入る前にドラクエキャラ達と会話をすることにした。
そして、夜になると彼はルイーダの店に入っていき、夕飯を腹いっぱい食べた後で再び宿に戻ってきて、ゆっくりと休むことにした。
翌日。宿を後にした彼は再びアリアハン観光に出かけ、昼頃にまた町に戻ってきた。
彼がルイーダの店に入っていくと、そこにはターニアに加えて赤毛の少女の後ろ姿があった。
(えっ?あの髪の色にあの服は…!?もしかして、戻ってきていたの?聞いた話では、確かレック達と一緒にアッサラームに行ったはずなんだけれど…。)
彼が驚いていると、その少女は泣きたい気持ちを懸命にこらえているようだった。
「うえーーん。あたしこれからどうすればいいの?」
「今はとにかく私の部屋に行って休みましょう。」
「うん…。」
ターニアはバーバラを慰めた後、2人で奥へと歩いていった。
その光景はキュウジにとっても信じがたいものだったため、彼はどうしてこうなったのかをルイーダに聞いてみることにした。
彼女の話では、レック達がアッサラームにたどり着いた後、まずお店にやってきた。
すると店主は『おお、あなた方、私のトモダチ!』と言いながら親し気に話しかけてきたため、それに乗る形でハッサンとチャモロは最初に提示された値段でアイテムを購入した。
しかし、それによってこれまでせっかく稼いだお金がスッカラカンになってしまい、さらに大幅なぼったくりであることが判明したため、2人はショックのあまりにエクトプラズム状態でダウンしてしまった。
そして現地にいた医師の判断で入院してしまい、事実上の離脱になってしまった。
これだけでも大変なことだったが、次なる悪夢はその日の夜にやってきた。
「それでね、レックは民家の外にいた女の人に『あーら、素敵なお兄さん、ねえ、8・2・8・2しましょっ。いいでしょ?』って誘われたの。するとレックはあろうことか彼女についていってしまったの。その光景はバーバラにとって本当にショックだったようで、その場でルーラを唱えてアッサラームを飛び出していってしまったの。」
「……。」
キュウジはそのイベントの実態を知っていたため、ルイーダに真実を話そうとした。
しかし次の瞬間、(こっ、これはもしかしたら、僕の推しの女の子と2人きりになれる大チャンス…!?)と考えたため、思わず踏みとどまり、しかも次第に顔が赤くなっていった。
「どうしたの?何かあったの?」
「い、いえ。な、何でもないです…。あっ、あの…。」
「何ですか?」
「つっ、つまり…、バーバラは…、今…、パーティーから離れて…、一人ぼっちの状態になっているんですよね…。」
「そうよ。それがどうしたの?」
「と、ということは…。」
キュウジは心の中で思い描いていたことが現実になろうとしていたため、心臓がバクバクと高鳴っていた。
当然ルイーダはその気持ちに気付かないはずもなく、ニヤッと微笑んだ。
「じゃあ、私が今からバーバラを呼んでくるわね。」
「えっ?ええっ!?あの…、いいんですか!?」
「もちろんよ。一緒にこの世界を旅するのもいいし、君が元々住んでいた世界に連れていってもいいわよ。」
「……!!」
ニヤニヤする彼女からイジられ、キュウジはもはや顔から火が出そうな状態だった。
「それじゃ、私は今から奥の部屋に行くわ。君はそこで待っていて。」
ルイーダはそう伝えると椅子から立ち上がり、バーバラとターニアが歩いていった方向へと進んでいった。
そして部屋の扉を開けると「バーバラさーん、キュウジさんという男性がお呼びよー。」と声をかけた。
(バーバラ。ここで君がこれを受け入れてくれれば、僕は本当に…、本当に彼女と2人きりで行動出来るんだ。僕が思い描いていた夢がかなうんだ。だから、お願いします!OKを出してください!)
キュウジが両手を合わせて祈るポーズをしていると、いよいよお目当ての少女が姿を現し、2人が対面した。
果たして彼女の返事はいかに…!
(終わり)
最後まで読んでいただき、誠にありがとうございます。
この作品は元々リッカがアリアハンで宿屋を開業するものの、レック達が実家ばかりを利用するためにちっとも来てくれず、困った彼女はナジミの塔にやってくるというアイデアから生まれました。
当初はロマリア到着までにしようかと思っていましたが、その後、アッサラームまで書くことにしました。
この後の続きに関しては、内容がリンクしており、レック達がピラミッドにやってきた時のエピソードをえがいた読み切り作品「定期的にカムバック」で楽しんでいただければと思います。
その作品は自分で書いた詞の内容から生まれたもので、今回、その詞をここで発表します。
タイトル:定期的にカムバック
ピラミッド入ったら 終わったわ
ミイラと 穴で 進めない
なめプで自信 無くなって
定期 定期 定期的に カムバック
宝 見つけたいなって 思いました
カギさえ 見つかれば 進めるのに
呪文 使いたいなって 思いました
やれやれと 外出たら
じごくのハサミと キャットフライ
中 見た瞬間 終わったわ
人食い箱で 進めない
攻撃 強過ぎて やられたり
定期 定期 定期的に カムバック
ドア 見た瞬間 終わったわ
盗賊のカギでも 進めない
ボタン 押してみて 落とされて
定期 定期 定期的に カムバック
ツメ 見た瞬間 終わったわ
エンカの 嵐で 進めない
薬草 尽きて やられそう
もうヤダ 町に カムバック
ピラミッド 怖い Never Come Back