翌日。レック、ハッサン、リッカ、ルイーダの4人は各自でトレーニングをしていた。
その結果、彼らは経験値を獲得し、さらにレックはホイミを覚えた。
「よし!当初よりも遅くなったけれど、これで僕は回復役になれる。MPは少ないけれど、薬草ばかりに頼らなくて良くなるから、少し遠出も出来るようになるぞ!」
彼は自分の果たす役割が増えたことを喜んでいた。
一方、ハッサンは武器を持ちながらだと無駄な動きが目立つことや、行動順がほとんどの場合で最後になっていることが悩みの種になっていた。
「困ったぜ…。こんなはずではなかったんだがな…。それならいっそ武器にあまり頼らずに活動してみようか。」
そう思い立った彼はしばらく武闘家に転身し、強力な武器や防具がそろったらまた戦士に戻ることにした。
「アリアハンにいる間はブロンズナイフのままにしておきましょう。ここではがねのムチを使って事故りたくはないし、まして相手の命を奪いたくはないから。」
「私はまたメラしか使いこなせないけれど、ある程度ヒャドの威力も上がってきたし、何としても戦力にならなければ…。」
ルイーダとリッカも各自で試行錯誤をしていた。
4人は準備が整うと再度徒歩でレーベに向かっていった。
村が見えてきた頃、コソ泥らしき男が現れ、先頭にいたハッサンの銅の剣を奪い取ってしまった。
「あっ、お前!俺の武器を!」(←装備はしていないけれどね。)
「欲しけりゃ取り返してみな!その前に返り討ちになるけれどな!」
「なら、やってやろうじゃねえか!」
ハッサンは挑発にまんまと乗る形で1対1での戦闘態勢に入った。
(素手で戦って大丈夫かしらね。)
(いざとなったら助太刀するつもりだけれど。)
ルイーダとレックの心配をよそに、ハッサンは「ウォーッ!アターーッ!」と叫びながらパンチ(せいけん突き?)を浴びせた。
「えっ?まるで『燃えよハッサン』みたいね。」
リッカをはじめ、3人は彼のこれまでとは違う戦い方に驚いていた。
「ふっ!やるじゃねえか!だが、奪った武器で返り討ちにしてやるぜ!」
コソ泥はダメージを受けながらも反撃とばかりに奪った銅の剣で攻撃した。
しかし、ハッサンはそれにひるむことなく、「アチョーーッ!」という声とともにキック(飛びひざげり?)を繰り出した。
その気迫に押されたコソ泥はさらに体当たり(捨て身?)を浴びてとうとうその場にのびてしまった。
「見たか!俺の実力を!武器無しだからって甘く見るんじゃねえぜ!」
「ま、まいった。これは返す。だから見逃してくれ。」
彼が倒れたまま銅の剣を差し出すと、ハッサンはそれを受け取った。
そしてレックはホイミを唱えてHPを回復させ、ルイーダはコソ泥が置いていった皮の帽子を拾い上げた後、4人は村の中に入っていった。
ハッサンは歩きながら、これから状況を見ながら戦士と武闘家を掛け持ちすることを宣言した。
リッカ「それは凄いわね。うまく両立出来るといいわね。」
「ああ。絶対に両立してやるぜ。」
ルイーダ「それに武闘家ならお金を節約出来るわね。」
「あのな、そっちかよ!」
レック「でも、いずれお金をためて、いい武器を買ってあげるからね。」
「ああ。それもいいが、きっと武闘家としても戦力になってやるぜ。」
ハッサンはムキムキの腕を見せながら、これから一層体を鍛えていくことを宣言した。
そうしていると、彼らはミレーユがこの日の馬車の役目を終えた馬のリューラの世話をしている姿を見つけた。
「おーい!ミレーユ!」
レックが声をかけると彼女もそれに気が付き、こちらを向いた。
「あら、みなさん、こんにちは。今日はどのような用ですか?」
「君を仲間に加えたいと思っているんだ。」
レックは新しい大陸に行くための一員になってほしいことを告げた。
「分かったわ。ぜひ加えてくれる?」
ハッサン「本当にいいのか?」
「もちろんよ。この時を待っていたから。」
リッカ「じゃあ、私達と協力しながら頑張りましょう。」
「ええ。みなさん、よろしくね。」
ミレーユはリューラの世話を村人にお願いした後、正式についてきてくれることになった。
ルイーダ「それじゃ、装備を整えないといけないわね。」
「じゃあ、俺が持っている銅の剣を使うか?」
「えっ?ハッサン、いいの?」
「ああ。俺はしばらく武闘家として素手で戦うつもりだからな。」
「そう。それは助かるわ。じゃあ、遠慮なく使わせてもらうわね。」
ミレーユは感謝をしながら武器を受け取ってくれた。
「ついでに皮の腰巻きも使うか?」
「そ、それは遠慮するわ。カッコ悪さが半端なさそうだから…。」
彼女はさすがにそれを断ってしまい、結果的にコソ泥のドロップである皮の帽子に加えて皮の鎧とおなべのフタ(←これもカッコ良さが…)を装備した。
そして実験室に入っていき、自分で作った薬草9個と毒消し草6個を持って戻ってきた。
「おおっ!これはありがたいぜ。」
「私でも回復役が担当出来るわね。」
「必要な時に使わせていただきます。」
ハッサン、ルイーダ、リッカは各自で均等にアイテムを受け取った。
その後、レーベの村を後にした5人は南に向かって進んでいき、渡し船に乗って対岸にあるナジミの塔に向かっていった。
内部に入っていくと、ちょうど階段からバーバラが姿を現した。
「あっ、みんな。来てくれたのね!」
それまで寂しそうな表情だった彼女は喜びを爆発させて駆け寄ってきたが、勢い余ってレックに体当たりをしてしまった。
「うわっ!ちょ、ちょっと!」
「あっ、ごめんね。でも会えてよかった!会いたかったよおっ!」
バーバラは彼の手をしっかりと握った。
一方のレックは赤くなりながらその顔をじっと見つめていた。
気持ちが落ち着いた後、レック達はこれからここでさらにレベルアップするつもりであることを打ち明けた。
「そうなんだ。じゃあ、ちょうどいいわ。今から一緒に上の階に行く?」
レック「上の階って、何かあるの?」
「うんっ!今、レックのおじいちゃんが見張りを兼ねて最上階にいるの。そして何か役に立つアイテムを渡したがっているみたいよ。」
「じいちゃんが?何を?」
「それはあたしもまだ知らないままだけれど、新天地に行くなら絶対に必要になるはずだって。」
「分かった。じゃあ、今から最上階を目指して、みんな、行こう。」
「オーーッ!ガッテンだぜ!」
ハッサンの威勢のいい声に続いて、女性陣4人も気合を入れた。
ロベルトのもとに向かっていく途中では、さそりばちやじんめんちょうをはじめとするモンスターが現れた。
「またあんた達なの?壊れるわねえ。」
バーバラは懲りない連中を見てうんざりしていた。
彼らを退治する際、レック達は次のように行動をしていた。
・レック:銅の剣での通常攻撃で活躍しながら、時にはホイミで回復役にまわることもあった。
・ハッサン:武闘家になったことで、攻撃力の低下を素早さアップで補いながら前衛として活躍。
・リッカ:事実上使える手段がメラと不完全なヒャドしかないため、主に移動中の薬草役を担当。
・ルイーダ:素早い動きで大抵ターンの最初に攻撃してこちらに有利な状況を作り出していた。
・ミレーユ:彼女も素早いため、ターンの最初にホイミで回復をしながら通常攻撃をした。
・バーバラ:ロベルトのおかげでギラを使えるようになったため、現時点で唯一グループ攻撃が出来た。
「私、何だかみんなの足を引っ張っているし、大丈夫かしら。」
リッカはHPが低い上にレベルが最も低いため、その表情は厳しかった。
「大丈夫よ。今が全てではないからね。」
「きっと立派な大魔法使いになれるわよ。」
ミレーユとルイーダをはじめ、みんなは彼女を決して責めたりはせず、あたたかく見守っていた。
やがて6人は最上階に到着し、現地で見張り役をしていたロベルトのところにやって来た。
「あっ、じいちゃん、こんにちは。」
「おお、レックじゃないか。今日はみんなで来たのか。」
「はい。最初はバーバラに会いに来ましたが、彼女からじいちゃんが最上階にいるって聞きましたから。」
「そうか。よくここまで来たのう。ではご褒美として、これを授けることにしよう。」
ロベルトは満面の笑みを浮かべながらポケットに手に入れ、アイテムを取り出した。
「これは何ですか?」
「盗賊のカギじゃよ。これを使えばカギのかかった扉を開けることが出来る。さあ、受け取りなさい。」
「ありがとうございます。では、遠慮なく使わせていただきます。」
レックはお辞儀をしながら両手でカギを受け取った。
するとバーバラが前に出てきて、彼の横に立った。
「それじゃ、ロベルトさん。あたしギラの威力が上がってきたから、そろそろ新しい呪文を教えてくれる?」
「おお、そうか。分かった。では、今度はルーラとリレミトを教えることにしよう。」
「わーい!やったあっ!」
バーバラはその場で飛び上がって喜んだ。
するとそのやりとりを見ていたリッカが彼女の横に出てきた。
「あの、おじいさん。私にも呪文を教えていただけますでしょうか?」
「ほう。君も魔法使いかね?」
「はい。でも私はまだ攻撃呪文がメラとダメージが20程度のヒャドしかないんです。だからグループ攻撃が出来るバーバラさんの姿がまぶしかったんです。」
リッカは自分があまり活躍出来ずにいた悔しさを打ち明けた。
「分かった。では、まずヒャドをマスターしてもらい、次にギラを教えることにしよう。」
「本当ですか?ぜひお願いします!」
彼女は頭を深く下げながら感謝をした。
次にロベルトはミレーユも攻撃呪文で貢献出来るようにという理由でバギを、さらに毒消し草にいちいち頼らなくて良くなるようにキアリーを教えてくれることになった。
それを受けて、彼はここからしばらくの間、呪文の先生になることにした。
その間、レックとハッサンは腕立て伏せや打ち合いの稽古などを行い、ルイーダは忍び足などの特技を再び身に付けるための特訓を行った。
その後。修行を終えた6人はロベルトと別れ、塔を降りていくことになった。
「じいちゃん、お世話になりました。見張りの仕事、がんばって下さい。」
「任せておきなさい。お前も仲間達と協力して頑張るんじゃぞ。」
「はいっ!」
レックは元気に返事をすると祖父に背を向けて、階段に向かって歩き出した。
1つ下の階にやって来るとルイーダはエンカウントを避けるために早速忍び足を使った。
「それは便利な特技ね。おかげでスイスイ歩けるわ。」
「正直、無駄な戦闘は避けたかったからな。助かるぜ。」
ミレーユとハッサンはその特技の効果に感謝しきりだった。
「確かに今のところはそうだけれど、完ぺきではありません。いずれ戦闘になる時がやって来るでしょうから、気は抜かないでください。」
「そうね。分かったわ。」
「ああ、了解だぜ。」
6人はなるべく足音を立てないように気をつけながら歩き続けた。
しかし、彼らは途中で魔法使いの姿をした4人に勝負を挑まれてしまい、先制で一斉にメラ攻撃を浴びてしまった。
「これは厄介ね。たとえメラだけだとしても、集団で使われたらちりも積もればになるから。」
「じゃあ、あたしが相手をすることにするわ!」
リッカが焦りの表情を浮かべている一方で、バーバラはみんなの前に躍り出ると、いきなり陽気に歌を歌い出した。
「ちょっ!ちょっとバーバラ!こんな時に何を!」
「でも、これはチャンスね。一発かましてやりましょう。」
レックが驚く中で、ルイーダは即興であるアイデアを思いつき、4人に伝えた。
バーバラが歌っている間、魔法使い達は歌に合わせてノリノリの状態だった。
すると背後から5人が抜き足差し足で一歩ずつ近づいてきたため、それはまるで「し○らーーっ!後ろーーっ!!」と言いたくなる光景だった。
決着がついた後、魔法使い達は小さなメダルを2つとブーメラン、さらに聖水を差し出してきた。
「わあっ、ありがとう!じゃああたし、お礼として新たな呪文を教えてあげるわね!」
バーバラはそれらを受け取ると、4人にギラを教えることにした。
こうしてすっかりノーサイド状態になった一同はみんなで歌を披露することになったため、バーバラは先陣を切って1曲を歌い切った。
その次は魔法使い達が4人で踊りながら歌うはずだったが、ハッサンが割り込みで歌い出してしまい、さらにあまりにもオンチな声だったため、現場はドン・モグーラ状態になってしまった。
その中で魔法使いAはレックに話しかけてみたが、結果は「返事が無い。立ったまま気絶しているようだ。」だった。
今回、バーバラが歌った曲の歌詞は次の通りです。(原曲はヘ○ター’87の1面のBGMです。)
タイトル:You’re my hero
今 飛びだしていこう 見せてよ Your Power
さあ 武器で 呪文で 勝利をつかもう
目の前に強敵がいても
立ち向かおう
恐れることなく
勝てない敵などないから
さあ 行こう Here we go
ふたりなら出来る
君がくれた言葉を いつも覚えているよ
どんな壁もふたりで 乗り越えていけるよ
You’re my hero
今 飛びだしていこう 新たな未来へ
さあ この特技で 扉を開けよう
目の前に暗闇が来ても
立ち向かおう
恐れることなく
明けない夜などないから
さあ 行こう Here we go
ふたりなら出来る
君のその背中を いつも見つめているよ
どんな壁があっても 乗り越えていこうよ
You’re my hero