勇者一行と宿王リッカ   作:地球の星

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6. アルミラージが倒せない

 ナジミの塔から戻ってきた時、辺りはすでに暗くなっていたため、レック達6人は各自に分かれてゆっくりと休むことにした。

 その後、彼らはパーティーとしての活動を休止し、各自の役割に専念することになった。

 ハッサンは父親とともに大工に復帰し、城の補修工事に関わることにした。

 ミレーユは薬草やキメラの翼、聖水を作るかたわら、実験室にこもってものづくりをしていた。

 レックは手が空いていたバーバラを誘い、盗賊のカギを使って扉を開けたり、茂みなどを調べたりしながらアイテム探しをした。

 その結果、小さなメダルや薬草をはじめとするアイテムを手に入れたため、2人はメダルの景品としてとげのムチと皮のドレスを手に入れた。

「じゃあ、これらは君に渡すことにするよ。」

「えっ、いいの?レックはまだブーメランを使い慣れていないから、そのムチの方が役に立ちそうだけれど。」

「でもムチはバーバラの方が合っていると思うし、この武器があれば攻撃力が一気に上がるから、君に使ってほしいんだ。」

 レックはきっとブーメランを使いこなせるようになることを約束した。

「ありがとう。じゃああたし、ギラだけじゃなくて通常攻撃でも活躍してみせるわね。」

 バーバラは顔を赤らめながらそれらを受け取った。

 時を同じくして、アリアハンの兵士達はナジミの塔で合宿生活を送りながら、ロベルトと入れ替わりで見張りをすることになった。

 その情報をつかんだルイーダとリッカは再び現地に向かっていき、地下1階でそれぞれ炊き出しや宿の提供をすることにした。

 

 兵士達の合宿が終了すると、今度はレック、ハッサン、ミレーユ、バーバラが入れ替わるような形で塔にやってきた。

「あっ、みなさん、こんにちは。」

「今日はどのような用件で?」

リッカとルイーダが問いかけるとレック達はこれからここで合宿をすることを告げた。

「もし面倒でなければ、あなた達には引き続きここにいてほしいんだけれど…。」

「もちろん、お金は払います。これまで各自で稼いできましたから。」

「分かりました。では、私は引き続きここで宿屋の経営を続けます。」

「私は本土に戻ってお店の仕事に戻るつもりだったから、ごめんなさいね。」

 リッカはミレーユとレックのお願いを引き受けてくれた一方、ルイーダは頭を下げて断ってしまい、対岸へと向かっていった。

 

 その後、レック達は各自でトレーニングをした後、夕方に地下1階にやって来た。

「あっ、みなさん、こんばんは。この度は私が経営する宿屋にようこそ。」

 リッカはクタクタに疲れた4人を温かく迎えてくれた。

 そしてルイーダが届けてくれた食材を使って作り上げた夕飯をごちそうしてくれた。

「どうもありがとーっ!本当においしそうだわ。」

「そうだな。いいにおいがするしよ。」

 バーバラとハッサンはすぐに椅子に座り、スプーンを手に取った。

「じゃあ、早速いただくことにするわ。」

「お代はここに置いておくね。」

 ミレーユとレックも少し遅れて食事にありついた。

 そしてリッカは4人が笑顔で食事をする様子を温かく見守った。

 食事の後、シャワーを浴びてスッキリした彼らは、リッカが作ったすごろくゲームで盛り上がった後、きれいに整備されたベッドに横になった。

 その姿を見届けた後、リッカは防犯のために盗賊のカギで扉を閉めた後、自らもベッドに横になった。

 

 翌日の朝。4人が目を覚ました時、調理場ではすでにリッカがおり、朝食の準備をしていた。

レック「やあ、おはよう。」

「みなさん、おはようございます。夕べはお楽しみでしたね。」

「えっ!?ちょっ、ちょっと!」

「あのな!本気で言ってんのか!」

「そんなこと言ってはダメ!」

 レック、ハッサン、ミレーユは思わぬ発言に動揺してしまった。

「みなさん、どうしたんですか?」

 一方のリッカは動揺する様子もなく、事前にルイーダがこう言えばみんなが喜ぶと教えてくれたことを打ち明けた。

「な、何だ。びっくりしたなー、もう。」

「あのちゃんねー、何てこと教えるんだ。」

「………。」

 レック、ハッサン、ミレーユが顔を赤らめている一方、バーバラは何か興味津々の表情をしていたため、リッカはそれが気になった。

「バーバラさん、どうしたんですか?」

「お楽しみってなあに?8・2・8・2と関係あるの?あたしにも作れるの?」

「だあああっ!!」

 彼女のおとぼけ発言を聞いて3人が一斉にずっこけた一方、リッカはその場できょとんとするばかりだった。

 

 朝食を済ませた4人は再び地上に上がっていき、トレーニングを再開した。

 途中からは宿屋の仕事を済ませたリッカも加わり、彼らは再び昼過ぎまでここで過ごした後、ルイーダが兵士を連れてやってきたため、入れ替わりで対岸へと向かっていった。

 

 その頃、ロベルトとマドリガルはレック達がいざないの洞くつを通ってロマリアに行くことについて兵士や市民と話していた。

 その中には喜んで賛成してくれる人もいる一方、外から不審者が侵入してくることを恐れて反対する人もいた。

 しかし、この地をこれから発展させていくためにはどうしてもインバウンド需要が必要であることは誰もが実感していた。

 その結果、兵士達はゲルダやヤンガス達が置いていった鉄製の武器や防具を使いこなせるように特訓し、町の人達も避難訓練をすることにした。

 そしてロベルトとマドリガルは外国からやって来た人達をもてなして、アリアハンとレーベの繁栄のために貢献することを約束した。

 

 その夜、実家に戻ってきたレックは、母親から早速その情報を伝えられた。

「母さん。本当にみんなから後押しをしてもらえたんだね。」

「ええ。時間はかかったけれど、ようやく説得出来たわ。だからあなた達は何も心配せずにいざないの洞くつに行ってらっしゃい。」

「ありがとうございます!この恩は忘れません!」

 レックは深々とお辞儀をし、扉の向こうの世界に期待を寄せた。

「その調子よ。海の向こうから観光客が来たら、私はその人達を温かく迎えるつもりよ。そしてアリアハンの発展に一役買うつもりだからね。」

「母さん、その時はよろしくお願いします!」

「分かったわ。じゃあ、今日はここでゆっくりと過ごしなさい。私が腕によりをかけておいしい夕飯を用意してあげるからね。」

「はい。!分かりました。」

 レックは喜んで同意をすると、台所に向かっていく母親の姿を見つめていた。

(父さんが向かっていった場所。テリーやチャモロ、ホイミンが向かっていった場所。そして、魔王の影響が強く及んでいる場所…。新しい場所は一体どんなところなんだろう。治安は大丈夫かな?危険度はどれくらいなのかな?人々は親切なのかな?どんなモンスターが待ち構えているのかな?)

 彼は期待に胸をはずませながらも、やがて不安も感じるようになっていった。

 

 翌日。マドリガルの「起きなさい。」という声とともに目を覚ましたレックはパジャマ姿から着替え、朝食を済ませた後、家を後にしていった。

 そして真っ先にバーバラを加えると今度は宿屋に向かっていき、リッカに会った。

「そう。いよいよこれからその洞くつに行くのね。」

レック「うん。君も来てくれるかな?」

「そうねえ。誰かが宿屋の仕事を引き継いでくれると嬉しいんだけれど…。」

「じゃあ、僕が母さんに声をかけてみるよ。いいかな?」

「えっ?いいんですか?」

「うん。今から行ってくる。」

 レックはリッカから了解を得ると、早速自宅へと駆け出していった。

 

 10分後。マドリガルが同意した上で宿屋にやって来たため、リッカは彼女に仕事の内容を教えた。

 そして引継ぎが済むと、リッカも仲間に加わってくれた。

 しかし、ルイーダは食材や飲料の搬入や接客のために不参加となったため、レック達は3人でレーベに向かっていった。

 途中ではスラリンが一時的に同行してくれてモンスター達との仲介役をつとめてくれたため、誰も痛い目にあわずに経験値を獲得した。

「どうもありがとう、スラリン。」

「どういたしまして。これからも仲良くしましょう。」

 レックとスラリンは笑顔でハイタッチ(?)をかわした後、村の手前で別れた。

 

 現地に到着すると彼らは即座にハッサンを仲間に加え、次にミレーユの家に向かっていった。

 彼女は研究室にこもって薬草を作っていたが、レックが部屋の前で声をかけると、作業を中断して出てきてくれた。

「そう。もうその洞くつに行くのね。」

「うん。人数は多い方がいいと思うし、どんなことが待っているかも分からないから。」

 レックは仕事のじゃまをしてしまったことを謝りながらも、仲間に加わってくれないか説得をした。

 その結果、薬草を作り上げた後であればという条件で同行をしてくれることになった。

「ミレーユ、どうもありがとーっ!」

「回復役がいれば心強いぜ。」

「では私達はしばらく待機します。」

 バーバラ、ハッサン、リッカも彼女の提案を快く受け入れた。

 

 20分後。薬草が完成したため、ミレーユはすぐに道具屋に行って納品をした。

 そして彼女は他の4人と一緒にレーベを後にしていった。

 洞くつに向かう道中ではモンスター達がレック達を侵入者と認識して通せんぼをしてきたため、レック達は何度か勝負を挑むことになった。

(※アリアハンのモンスターはバラモスの影響を受けていないため、あくまでも侵入者から自分達の縄張りを守るためという理由で勝負をしています。)

「私の先制バギを受けなさい!」

「くらえーっ!ムチ攻撃ーーっ!」

「私はヒャドでやってやるわ!」

「僕の初めてのブーメラン攻撃だ!」

「アトーーーッ!アチョーーッ!」

 ミレーユ、バーバラ、リッカ、レック、ハッサンは各自が使える能力をフルに発揮しながら相手を次々と降参させた後、事情を説明してここを通してもらえることになった。

 しかし、途中でバブルスライムが集団で毒攻撃をしてきたため、毒消し草を使い切ってしまい、以降はミレーユのキアリーが頼りになった。

 5人が前進を続けるとほこらを見つけたため、みんなはそこで一旦休憩を取ることにした。

「ここ、全員が横になれるだけの広さがあるわね。もしかしたら、宿屋として使えそうね。」

 リッカはこの場所に興味津々で、宿王としての血が騒いでいる状況だった。

 

 しばらく休憩を取ったおかげですっかりリフレッシュできた彼らは、泉の方に向かって歩き出した。

 するとそこには一角ウサギの色違いのキャラが5匹いた。

A「むむっ!君達はここに何をしに来たんですか?」

「あたし達、この先の洞くつに進みたいの。あたしバーバラ。よろしくっ!」

 彼女は自分のスカートをヒラヒラさせて、見えそうで見えない演出をした。

B「私はメスです。そんなものに私は引っかかりません!」

C「とにかく、こちらも名乗りましょう。我らこそはアルミラージと申す!」

D「もしこの先に進みたいのなら、私達に勝っていきなさい。」

E「この場で引き返してくれれば、攻撃は加えません。」

 アルミラージ達(BとDはメス)は引き返すように警告をしてきたが、レック達はそれを拒否したため、勝負をすることになった。

「こちらこそ、全力で行くぜ。痛い目にあっても後悔しないでくれよ!」

 ハッサンが意気込む中、アルミラージ達はミレーユのバギの後、一斉にラリホー攻撃をしてきた。

「ちょっと!まずいってこれは!」

「みんな頼むから起きてくれ!」

 眠らなかったレックとハッサンの顔は途端に青ざめ、とっさに仲間達を起こすことにした。

「じゃあ、俺はミレーユを担当するから、お前は他の2人を頼んだぜ。」

「分かった。」

 2人はアルミラージの攻撃を受けながらも、手分けして体制を当て直すことにした。

 しかし、ハッサンがミレーユにペシッとはり手をしようとした時、彼女が寝返りをしたため、狙いとは違うところにヒットしてしまった。

 さらにレックがバーバラを起こすために至近距離に来て顔を近づようとしたが、この時点で彼女はMajiで目覚める5秒前だった。

「きゃああっ!ハッサン、私のどこに攻撃をするの!」

「どさくさに紛れて何考えてんのよ!ドえっちいっ!」

 すっかり頭に血がのぼったミレーユとバーバラはそれぞれ強烈なキックとビンタをお見舞いした。

 そのドタバタの影響もあって(?)、リッカも目を覚ました。

「あの、大丈夫ですか?」

「仲間割れですか?」

「そんなに痛かったの?」

 アルミラージ達は武士の情けを見せたのか一旦勝負を中断し、心配そうに問いかけた。

「痛いんだよ!人間の男じゃなきゃ分からんだろうけれどな!」

「何でこういう時に限ってバカ力を発揮するんだよおっ!」

 やばいところに一撃を浴びたハッサンは両手でその部分を押さえており、レックも両手でヒリヒリするほっぺたを押さえながらその場にうずくまっていた。

 一方のミレーユとバーバラはすっかりすねてしまい、リッカはハッサンの腰をトントンと叩いていた。

 

 しばらくするとレック達は何とか気持ちを立て直したため、両者はHPを回復した上で勝負を再開した。

 しかし、アルミラージ達は「あなたは段々眠くな~る。」、「ね~むれ~、ね~むれ~。」、「さあ、眠りなさい。」、「Are you sleeping? Are you sleeping?」、「Now it’s time to say good night.」とばかりに再び眠り攻撃をしてきたため、今度はリッカ以外の4人が眠ってしまった。

(こっ、このままでは本当に危ないわね。もう勝負どころではないわ。何とかこの場を切り抜けなければ!)

 パーティーが危機的状況にあることを察知したリッカは袋の口を開けた。

 そして聖水、スタミナの種、複数の薬草といったアイテムを片っ端から出した後、ようやくキメラの翼を取り出して、すぐさま使用した。

 すると5人の体は宙に舞い上がり、緊急脱出というという形でその場を脱出していった。

 その際、銅の剣や皮の帽子といった装備品もいくつか落としてしまったが、それらはもはやあきらめるしかなかった。

(無念だわ。やっぱりそう簡単には洞くつまで行かせてくれないのね。)

 リッカは未だに眠っている4人を見つめながら、アリアハンに向かって飛び続けた。

 

 一方、レック達に勝利を収めたアルミラージは…。

「わーい!僕達、人間の連中に勝てたぞ!」

「本当に圧勝でしたね!私もビックリです!」

「それにアイテムがこんなに手に入ったぞ!」

「しかも経験値がかなり獲得出来ましたね!」

「レベルも上がったし、さらに強くなれそうだ。」

 彼ら5匹は円陣を組みながら喜びを分かち合っていた。

 その姿は人間にかなわずに降参してしまった他のモンスター達にとって、とてもまぶしいものだった。

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