勇者一行と宿王リッカ   作:地球の星

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8. 魔法の玉

 いざないの洞くつで起きたトラブルにより、一旦引き返す羽目になったレック、ハッサン、ミレーユ、バーバラ、リッカの5人はまたまたアリアハン(ハッサンとミレーユはレーベ)に戻り、一泊することにした。

 その中で、洞くつでぎっくり腰になってしまったハッサンはミレーユにマッサージをしてもらい、さらに薬を塗ってもらいながら回復につとめた。

 一方、ぎっくり腰の情報を聞いたハッサンの両親は早速コルセットを作ることにした。

 

 翌日。ターニアが元気になり、仕事に復帰したため、この日はルイーダも同行出来ることになった。

 レックはそれを確認すると普段使っているブーメランに加えて、はがねの剣を持っていくことにした。

(今はこの剣を使っても以前のハッサンのように無駄な動きが多くなってしまうけれど、せめて素振りくらいはしておこう。)

 彼はそれを身に付けた後、バーバラ、ルイーダ、リッカ、スラリンを加えた。

 そしてバーバラのルーラでレーベに移動すると、ミレーユと腰にコルセットをつけているハッサンを加えて再び馬車で洞くつの方へと向かっていった。

 泉のほとりではあの時のアルミラージ達に出会ったが今度は戦闘にならず、しかも彼らは自身のラリホーに加えて、魔法使いのメラや(バーバラから教えてもらった)ギラを駆使して「あれ」を退治したことを報告してくれた。

「わあっ!ありがとう!助かったわ!」

「私達、あれが不安で仕方なかったのよ。」

「あれと戦うなんて想像も出来ないわ。」

 リッカ、ミレーユ、バーバラは心の底からほっとした。

「それは僕にも想像出来ます。あの毛嫌いぶりはもの凄かったですから。」

「確かに女性2人が叫びながら猛スピードで通り過ぎていきましたね。」

「まさか叫び声でドップラー効果を経験するなんて思いませんでした。」

 アルミラージA、C、Eがイジるような発言をする中で、リッカ、ミレーユ、バーバラは顔を引きつらせながら話を聞いていた。

 

 気持ちが落ち着いた後、レックは彼らに今度こそ壁を壊して旅の扉の向こうにある大陸にたどり着こうとしていることを話した。

B「でも、そうしたら別大陸のモンスターや人間達が攻めてきそうな気が…。」

D「そうね。聞いた話では彼らによって私達の先祖が乱獲されたって…。」

 アルミラージや一角ウサギも人間と同様、過去のトラウマを引きずっているだけに、彼らは難色を示してなかなか賛成してくれなかった。

「だったら、君達も強くなろうよ。みんなで協力すればきっと乗り越えられるから。」

「ああ。過去を恐れているばかりじゃ明るい未来はやって来ねえぜ。」

 レックやハッサン達は前向きな表情でアルミラージを説得した。

 それを受けて彼らの気持ちにも少しずつ変化がみられていった。

「じゃあ、今から対策を練ることにしましょう。僕はニフラムを覚えましたし、みんなで新しい呪文や攻撃方法を身に付けていきましょう。」

 スラリンがアルミラージ達に提案をすると彼らはそれをすんなりと受け入れてくれた。

 そして彼らは一角ウサギや魔法使い、バブルスライム、ホイミスライム達にも協力を呼び掛けることにした。

「これは面白そうね。私も喜んで協力をさせてもらうわ。」

「私も参加します。覚えている呪文を教えてあげたいから。」

 ルイーダとリッカはそう言うと、スラリン達がモンスターを連れて戻ってくるのを待つことにしたため、レック、ハッサン、ミレーユ、バーバラの4人が洞くつの入口から中に入っていくことになった。

 バーバラがたいまつを持ちながら内部を進んでいくと、その先で壁が立ちはだかっていた。

「これが今まで鎖国の原因になっていた壁ね。本当にこんなことをしていいのか分からないけれど、私達が旅を続けるためにも今からこれを壊すことにするわ。」

 ミレーユは一瞬ちゅうちょしながらも覚悟を決め、袋からあるアイテムを取り出した。

 それは丸いボールのような形をしており、そこから線が伸びていた。

ハッサン「何だ、それは?」

「魔法の玉よ。表向きはそう呼んでいるけれど、私が生まれ育った場所では爆弾とかダイナマイトとも呼ばれていたわね。」

「ダイナマイトってなあに?食べたらおいしいの?」

「バーバラ、これは食べ物じゃないわよ。」

 ミレーユは苦笑いを浮かべた後、これについて詳しく説明した。

「ふうん。つまりそれって武器としても使えそうね。」

「確かにそうね。でも、私は決してそんなことはしないわ。」

「えっ?どうして?」

「理由はいずれ話すわ。とにかく、今から使ってみるわね。」

 ミレーユは壁のところに行くと、魔法の玉をそこに仕掛けた。

「それじゃバーバラ。この導火線の先端に向かってメラを唱えてくれる?」

「へえ、その糸ってそういう名前があるのね。でも、どうして糸に向かってなの?玉に直接呪文を唱えたらダメなの?」

「ダメよ、そんなことをしたら!命に関わる事故になってしまうわ!そして、この線に火が付いたらみんな急いで出口に向かって逃げてね。」

「分かったわ。じゃあ、行くわね。せーの、メラ!」

 バーバラが呪文を唱えるとその火の玉は導火線の先端に命中し、「ジジジジッ…」という音を立てながら火花がゆっくりと進みだした。

レック「これはきれいな光を出しているな。」

ハッサン「何だかじっと見ていたくなるぜ。」

「そんなことを言っている場合じゃないわ!さあ、みんな急いで!」

 ミレーユは大声で叫ぶと、外に避難するように促した。

 それを受けて4人は出口に向かって駆け出していった。

 

 洞くつの外ではリッカとルイーダが洞くつ内部に向かって歩き出そうとしていた。

 すると奥からミレーユの姿が見えてきた。

リッカ「あっ、どうしたんですか?」

ルイーダ「何をそんなに慌てているの?」

「みんな、洞くつから離れて!早く!」

 まだ状況を知らない彼女達に対し、ミレーユは大慌てで声をかけた。

 するとレックとバーバラが手をつなぎながら外に出てきたため、何かあることを察知したリッカやルイーダ達は後ずさりを始めた。

 一方、ミレーユはハッサンがいないことに気が付き、思わずはっとした。

「えっ?まさか、まだ洞くつの中に?」

「大変だ!早く連れ出さないと!」

「待って!もう時間が無いわ!入ってはダメ!」

 再度中に入ろうとしたバーバラとレックを、ミレーユは慌てて制止した。

 すると次の瞬間、中から爆発音が響き、「ぐおおおっ!何だこれは!」という叫び声が響いた。

「あっ、良かった。生きているようね。」

「リッカ!そんなのんきなことを言っている場合ではないわ!」

 ミレーユは心配そうな表情をしながら真っ先に洞くつに入っていった。

 すると階段の途中にハッサンがおり、彼は盾で身を守りながらその場に倒れ込んでいた。

「ハッサン、大丈夫?意識はある?」

「ああ…。だけど、耳がキーンとしたぜ。それに…。」

「それに何?また腰を痛めたの?あと、耳は大丈夫?」

「そっちは大丈夫だ。問題はここだ。逃げている最中に…、階段でこけてすねを打っちまったぜ…。」

 ハッサンが状況を説明していると、レックとバーバラもやってきた。

 そしてレックとミレーユは彼にホイミをかけた後、みんなで協力しながら一段ずつ階段を上がっていった。

 

「すまねえ、みんな…。足を引っ張っちまってよお…。」

 その場に座り込んだハッサンは青く腫れ上がった足を見ながら謝った。

「私こそごめんなさい。もっと導火線を長くしておくべきだったし、私が最後に脱出するべきだったわ。」

 ミレーユは自分も責任を感じていたこともあり、謝りながらハッサンに再度ホイミを唱えた。

 そんな中で、バーバラは本当に壁が壊れたのかを気にしていたため、中に入って確かめたいことを告げた。

「じゃあ、僕も行くよ。」

「本当に?」

「うん。何か出てくるかもしれないから。」

「わあっ、ありがとう。」

 バーバラが喜んでいると、リッカとルイーダも一緒に行くことを申し出たため、最終的に4人で中に入っていくことになり、ミレーユとハッサンはこの場に残ることになった。

 

ルイーダ「見事に壁が壊れているわね。これなら人が通れるわね。」

「じゃあ、私、ミレーユさんにこのことを伝えてきます。」

 リッカは一旦引き返してミレーユに通行可能になったことを伝えることにした。

 そして再び洞くつに戻ってくると、4人で奥へと進んでいった。

「では、階段を降りたら私は忍び足を使うことにするわ。」

「それが良さそうだね。無駄な戦闘は避けたいから。」

「それにあたし達初見だから、道も分からないし。」

 ルイーダの提案をレックとバーバラは素直に受け入れた。

「そう言えば、レミラーマは使わないんですか?」

「確かに私達がゲルダさん達と行動していた時にはよく使ったわね。でも、今はやめておくわ。」

「えっ?どうしてですか?」

「今回は出来るだけ最短距離を進みたいからよ。そのためには宝探しで寄り道してはいられないし、MPもウイングブロウなどの攻撃用に取っておきたいからよ。」

 ルイーダはリッカの提案を断った後、ここからはなるべくしゃべらずに移動するように忠告をした上で洞くつを進んでいった。

 

 一方、ハッサンは壁が壊れたことが未だに信じられず、驚いたままだった。

「ミレーユ。お前の作った魔法の玉、本当にすげえ威力だな。」

「ええ。あなたには怖い思いをさせてしまったけれど、目的を果たせてよかったわ。」

「気にするなって。俺は無事だったからよ。それでよ、バーバラも言っていたけれど、あんなすげえ威力だったら戦闘で役に立つんじゃねえか?」

「それは絶対にさせないわ。それに、今後、魔法の玉ことダイナマイトは2度と作らないし、他の誰にも作れないようにするわ。」

 ハッサンがこのアイテムに期待を寄せる一方、ミレーユの表情はさえなかった。

「えっ?何でだよ!?これさえあれば強敵も一発で倒せるのによ!」

「それが嫌なのよ。下手したら本当に相手の命を奪いかねないわ。」

 彼女はここに来る前に住んでいた場所で戦争が勃発した時に、ダイナマイトを兵器や地雷として使っている人達を見たことを話した。

「それはまだ幼かった私にも悲惨なものだったわ。想像出来る?悪意に満ちた人達が仕掛けた武器によって、何の罪もない一般市民が傷ついたり、犠牲になったり、大切な人々を失って泣き叫ぶ光景を。」

「い、いや、さすがにそれはちょっと…。」

「そう言うわけよ。もし私の作ったアイテムのせいで人を傷つけたり、不幸にさせてしまうようなことがあったら、私は耐えられないわ。きっと一生自責の念を抱え、悲しみながら今後の日々を過ごすことになると思うの。」

「そうか…。」

 ハッサンはミレーユが壮絶な過去を背負っていることを感じ取ったため、ダイナマイトがちょうどいい兵器だと思ってしまったことを後悔した。

 そしてミレーユは今後これに関することを一切口にしないように約束してほしいことを告げた。

「分かった。約束するぜ。だからもうこのことで悩まないでくれ。俺はいつでもお前を支えていくからよ。」

「ありがとう。それを聞いてほっとしたわ。」

 ミレーユはやっと吹っ切れた表情になった。

 そしてハッサンはヨロヨロながらも立ち上がると、レック達が戻ってくるまでここで待機することにした。

 するとここでスラリンがモンスター達を連れてやってきたため、彼らは色々話し合いをすることにした。

 

 一方、時をさかのぼって、壁の向こうでは…。

「さっきの音は、どうやら?」

「ああ。間違いないな。」

「ということは、アリアハンに上陸出来るようになったと。」

「そういうわけだ。じゃあ、お頭達に伝えに行くことにしよう。」

 元々壁の先で過ごしていたキャタピラーとおばけありくいは、不気味な笑みを浮かべながら最短距離で旅の扉の方へと向かっていった。

 それを知る由もないレック達は道に迷った上に落とし穴に落ちてしまい、それが原因でダメージを受けてしまった。

 それが原因でレックはホイミを何度も唱える羽目になってしまい、薬草も数が減ってきたため、結局リレミトを唱えて引き返すことにした。

(※なお、旅の扉の手前で盗賊のカギが必要な扉があることについては突っ込まないでください。)

 




 ここでレックとリッカからお知らせがあります。

レック「この度はこの作品を読んでいただき、誠にありがとうございます。」
リッカ「いざないの洞くつの内容が盛り上がっているところ、申し訳ないのですが、次回からは3話にわたってテリーさん、チャモロさん、ホイミンさんのエピソードについて触れていきたいと思います。」
「えっ?本当に?」
「うん。うp主さん、そう言っていたわよ。」
「じゃあ、その間、僕達はどのような形で出てくるの?」
「一切出てきませーん!」
「何じゃそりゃーっ!」(←ずっこけるレック。)
(※まあ、レックは名前だけ出てきますが…。byうp主)
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