勇者一行と宿王リッカ   作:地球の星

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9.海賊の家からロマリアへ

 海賊の頭であるゲルダの船に乗ってアリアハン大陸を後にしたテリー、チャモロ、ホイミンはサマンオサ南の地点に降り立った。

 この時点ですでに日は西に沈み、辺りは暗くなりつつあった。

「どうだい?長旅だったが、みんな疲れてないか?」

「アジトまではそんなに遠くないはずでがすよ。」

 ゲルダとヤンガスが気を使う一方、テリー達は大丈夫であることをアピールした。

(※実際のところ、テリーは寝不足、チャモロとホイミンは2・7・4・1でしたが…。)

「そうか。それは良かったな。フフフッ。」

 カミュは空気が読めないまま、高笑いをしていた。

 そんな中で一行がアジトに向かって歩いているとコングが1匹、アカイライが2匹現れた。

「何だか、すごく強そうな感じですね。」

「それに、本当に殺気立っていますね。」

 ホイミンとチャモロはこれまでのモンスターとは全く違う雰囲気を感じ取っていた。

(なるほど。アリアハンとは違い、ここのモンスターはバラモスの影響を受けて凶暴化しているのか。だが、そっちがその気なら、全力でやってやろうじゃねえか!)

 テリーは一瞬身震いをしたが、勇気を振り絞って立ち向かうことにした。

 真剣勝負の戦闘が始まると素早さの高いゲルダが真っ先にメダパニを唱え、コングを混乱させた。

「残念だったな。お前達の弱点は分かっているんだ。さあ、ヤンガス、カミュ。やっておしまい。」

「了解でげす。やってやるでがす。」

「ああ。お頭の期待に応えてやるぜ。」

 2人はアカイライAを集中攻撃してKOさせた。

(※カミュは武器をやいばのブーメランからパワーナックルに持ち替えました。)

 そして次にコングがアカイライBの方を向いた。

「ちょっ、ちょっと!やめてくださいよ!」

「ガルルルル…。お前を…、倒す…。5・6・3…。」

 コングは混乱していることもあって言うことを聞かず、Bにかなりのダメージを与えた。

 続いてテリーはこれまで一度も使ったことが無いはがねの剣をぶっつけ本番で使用し、Bを倒した。

 残ったコングはゲルダの一撃で正気に戻ったものの、ヤンガスとカミュの攻撃によって退治され、命の木の実を落としていった。

(ほう。いいものを手に入れたな。これは期待のメンバーに与えることにしよう。)

 ゲルダは実をすぐに使おうとはせず、一旦袋にしまった。

 

 次に彼らはシャーマンの集団に遭遇した。

「お前らにはこれだ。くらえ、ラリホー!」

 ゲルダは先制で行動すると、シャーマン達はCを除いてみんな眠ってしまった。

 唯一眠らなかったCはとっさに仲間を呼び、新たにくさったしたいが現れた。

「これは何とかしなければ!」

 ホイミンは即座にニフラムを唱え、くさったしたいを退場させた。

 チャモロは足をもつれさせて転んでしまった一方、テリーは武器をブーメランに持ち替えて全体攻撃を加え、武器を再びやいばのブーメランに持ち替えたカミュとヤンガスも次々と加勢をした。

 すると攻撃を浴びたシャーマン達は目を覚ましてしまったが、次のターンで再びゲルダのラリホーを浴びたため、またほとんどが眠ってしまった。

 その後はみんなの総攻撃で一気に決着をつけ、たくさんの経験値を獲得したテリー、チャモロ、ホイミンはそろってレベルが上がった。

 その直後。一行はじごくのよろい3体に遭遇したが、ゲルダの先制ラリホーで眠らせてしまい、以降はテリーのブーメラン攻撃、ホイミンのラリホー、カミュのパワフルスロー、ヤンガスのしんくうはといったパターンで決着をつけた。

(※チャモロは…。まあ、想像にお任せします…。)

 戦闘後、ゲルダは鉄の鎧を手に入れた。

「私達、勝つには勝ちましたが、敵のオーラがすごかったですね。」

「確かに。相手がモンスターの僕でもお構いなしでしたね。」

「あいつらは俺達を本気で倒す事しか頭になかったようだな。」

 チャモロ、ホイミン、テリーはアリアハンにいた時とは段違いの経験値を獲得した一方、相手の実力や迫力も段違いであることを感じ取っていた。

「まあ、この周辺の危険度は良くて1。場所によっては2だからな。」

「だから十分レベルを上げて、強力な武器や特技、呪文を駆使しないとな。」

「もし今のお前さん達だけでここをうろついたらたちまち餌食でがす。」

 ゲルダ、カミュ、ヤンガスの忠告を聞いてチャモロとホイミンは納得していたが、テリーだけは「フンッ!なめられたもんだな。」と言いたげな顔をしていた。

 

 一行が海賊の家と呼ばれるアジトに入っていった時、辺りはすでに真っ暗になっていた。

 入口にはアモスが立っており、彼は見知らぬ2人と1匹を見て「誰ですか!」とばかりに警戒をした。

「心配はいらんでがす。」

「うおっ!ヤンガスさん、いつの間に!」

 アモスはヤンガスが突然目の前に出てきたため、ポーズを取って驚いた。

 するとゲルダがやってきて、以前航海中に食料も水も底を尽き、極限状態に陥った時にお世話になり、仲間に加えたことを話したため、彼らを通してほしいことを伝えた。

「お頭!かしこまりました!では、今からあなた達を歓迎することにします。ゆっくりしていってください。」

 彼は即座に態度を改め、喜んでテリー達を受け入れてくれた。

「ああ、ありがとうよ。ゆっくりさせてもらうぜ。」

「あの、緊張しますが、よろしくお願いします。」

「ボクは悪いモンスターではありません。信じてください。」

 テリーはキザな表情を浮かべながら、チャモロとホイミンは恐れ多そうな表情をしながらアジトに入っていった。

 そしてヤンガスに宿を案内してもらった彼らは夕食をごちそうになることにした。

 その中で、アモスはすでにまもの使いとしての経験を積んでいたこともあり、同じ職業のテリーにとおぼえを教えることにした。

 

 一方、別室ではカミュが妹のマヤの部屋にやってきた。

「おっ、兄貴!兄貴じゃねえか!久しぶりだな。」

「ああ。久しぶりになっちまったな。」

 カミュはアリアハンに立ち寄った時のことや、そこで侵略のために来た荒くれ達と戦い、お金や戦利品を手に入れたこと。さらにはオルテガの息子をはじめとするアリアハンの人達と仲良くなったことを話した。

「へえ。ずいぶん思い出深い旅だったんだな。」

「ああ、そうだな。」

「それで、何かおみやげはあるのか?」

「そうだな。その時の荒くれ達がこんなものを持っていてな。」

 彼はそう言うと持っていた袋を開け、いくつものアイテムを取り出した。

 その中にはルビーのように真っ赤な色をした宝玉のようなものがあった。

「何だ、それ。宝石っていうには大きいな。」

「まあな。移動中で使っても戦闘中で使っても何も起きなかったし、使い道が分からないままだったからな。」

「じゃあ、売っちまおうぜ。今、トルネコっていう商人のおっさんが来ているから。」

 マヤはお金に関する執着がすごいこともあって、カミュが止めるのも聞かず、アイテムを一通り持って部屋を飛び出していった。

 

「これはもしや、レッドオーブでは?」

「何だそれ。聞いたことねえな。」

「俺も初耳だ。宝物なのか?」

 マヤとカミュが首をかしげる中で、トルネコは世界に散らばる6つのオーブの内の一つであることや、これを集めてどこかのほこらに捧げれば、ある伝説の生き物を復活出来ることを伝えた。

「何だか、すげえ宝物なんだな。でも、どこかってどこなんだ?それに伝説の生き物って?」

 マヤは言っていることが全く理解出来ず、ますます首をかしげてしまった。

「とにかくこれは売らない方がいいってことだろうな。マヤ、大事にしまっておいてくれ。」

「分かったよ。兄貴がそう言うんだったら。じゃあ、誰にも分からない場所に隠しておくぜ。」

 彼女はレッドオーブを持ってその場所を飛び出していった。

 一方、カミュは残りのアイテムをトルネコに鑑定してもらい、売り値の交渉を始めた。

 

 翌日。すっかりHPとMPも回復したテリーとホイミンはカミュやアモスと一緒に修行に励み、経験値を稼いだ。

 その中でテリーはとおぼえをしっかりとマスターし、次にやいば砕きを教えてもらうことになった。

 そしてホイミンはベホイミとマホトーンをマスターした。

「よし。これで俺にも攻撃のレパートリーが増えたぜ。ジャンジャン使ってこっちに有利な状況を作り出してやる。」

「私は回復役としてさらに活躍出来るようになりました。それに相手の呪文も怖くなくなります。」

 彼らは確かな手ごたえを感じたこともあって、これからの活躍を楽しみにしていた。

 一方、チャモロはトルネコから口笛やダジャレなどを教えてもらったため、ますますアレという職業のレパートリーを増やしていく結果になった。

 

 一行はしばらくアジトで英気を養った後で再び航海の旅に出ることになり、大陸を出港していった。

 その後、テリーは回復の特技も身に付け、回復役も担当出来るようになった。

 さらにホイミンは鉄の槍を使いこなせるようになり、通常攻撃でも戦力になる目途が立った。

 なお、チャモロは遊び半分で口笛を吹いてみたらテンタクルスを呼び出してしまい、現場は大混乱になったため、上陸するまで使用禁止になってしまった。

 

 やがて船はジブラルタル海峡にあたる場所を通過し、ロマリアの近海にやってきた。

テリー「ここがアリアハンのいざないの洞くつからやってこられるところか。」

ホイミン「果たして現地の人達は僕達を歓迎してくれるんでしょうか。」

「それに関しては私がアリアハン王の紹介状を持っているので、心配しないでください。」

 チャモロは内心では不安を感じながらも、それを表には出さなかった。

 そして彼は一人で城の中に入っていき、テリーとホイミンはスライムとモンスターじいさんに会い、色々と説明を聞いた後、町をぶらぶらと歩くことにした。

 

 王様のもとに向かう途中、チャモロは城の人々から「アリアハンからやって来た方々ですね。」という声をかけられた。

「えっ?私がアリアハン出身だということ、分かるんですか?」

「はい。紹介状らしきものを持っていますし、すぐに分かりました。」

 チャモロはその後、オルテガの息子ではないかと口々に言われたが、その度に自分の身分やここに来た目的などを話し、王様に会いに行きたいことを話した。

 すると兵士達は親切に案内をしてくれたため、彼は無事に王の間に行くことが出来た。

 

「ようこそ、我がロマリア城へ!旅の者よ、一体何用で…。」

 椅子に座っていた王様はチャモロを見るとすぐに立ち上がり、彼のところに歩み寄ってきた。

「その身なり…。そうか。あのオルテガの息子、レックじゃな?」

「いえ、違います。」

 チャモロは慌てて自分の名前を名乗ると、早速紹介状を差し出した。

 すると王様は早速それを手に取って内容に目を通した。

「そうか。アリアハン王は鎖国を解き、再び我らと交流を持ちたがっているのか。」

「はい、そうです。もう過去のことは振り返りません。お互いの発展のために、未来を向いていきたいそうです。お願い出来ますでしょうか?」

「ふうむ…。そうじゃな…。」

 王様はすぐには答えを出さず、そばにいた大臣や女王様と相談を始めた。

 チャモロはその様子を不安げに見つめていた。

 

 しばらくすると、王様は再びチャモロの方を向き、一つ頼みごとをしてきた。

「頼み事って何でしょうか?」

「お願いじゃ、お願いじゃ!わしの一生のお願いじゃあっ!金の冠、金の冠、カンダタ達から取り返して。」(←その元ネタ、古すぎじゃね?)

 彼はリアクション付きで頼みごとをしてきた。

 その姿は王様としては似つかわしくないものだったため、チャモロは思わずあっけにとられてしまった。

「もし、それを取り戻せたなら、そなたの勇気を認め、アリアハンとの交流を再開するとしよう。」

「はい、よろこんで。でも、私だけではギリギリどころか力不足ですから、仲間に会ってお願いしてきます。」

「そうか。分かった。では、頼んだぞ。」

「はい。」

 チャモロはお辞儀をすると王様達に背を向け、城を後にすることにした。

 

 その頃、ホイミンとテリーは武器と防具の店や道具屋に行き、何が売られているのかを一通りチェックした。

ホイミン「さすがに鉄製のものと比べてしまうと見劣りしますね。」

テリー「まあ、ゲルダ達が持っていたものが強力だからな。」

 彼らがウィンドウショッピングをしていると、そこにチャモロがやってきた。

 そして彼は王様からカンダタを討伐し、金の冠を取り返してほしいという依頼を受けたことを話した。

 最初、彼らは面倒なことに巻き込まれたくないという思いから顔をしかめていたが、それが巡り巡ってアリアハンの発展にもつながるということを考慮し、最終的に受け入れた。

「ありがとうございます、では、準備を整えてシャンパーニの塔に行くことにしましょう。」

 チャモロは手に入れた地図を広げて道のりを示した後、テリーとホイミンと一緒に城の外に出ていった。

 

 彼らが北の方に向かって少し進むと、そこにはさまようよろいが単独で立っていた。

「ほう。こいつがこの辺りに生息している敵か。コテンパンにしてやるぜ。

 テリーが鋭い視線を浴びせる一方、さまようよろいは戦おうとはせず、何か会話をしたがっているようにこちらを見ていた。

「はて?何か話したい理由でもあるんでしょうか?」

 不思議に思ったホイミンはテリーとチャモロを制止した後、さまようよろいと会話をすることにした。

 すると彼の名前はサイモンで、アイラという名前の人を探しているということだった。

(※HD-2D版ではジョーという名前ですが、本作ではサイモンを採用しました。)

「というわけなんです。君達はスカボロー…、いや、シャンパーニの塔に行くつもりですか?」

ホイミン「そこって確かカンダタという盗賊がいると聞きましたから、僕達も行くつもりで考えています。」

「そうですか。それならちょうどいいです。アイラを探すにも私一人では塔までたどり着けるか分かりませんし、どうか力を貸してくださいますでしょうか?」

「うーーん、どうしましょう。」

 ホイミンは自分だけで判断をすることが出来ず、テリーに問いかけてみた。

「まあいいだろう。俺はまもの使いだし、仲間に加えることにしよう。」

「本当ですか?」

「ああ。その代わり、謀反でも起こそうものなら速攻で始末してやるけれどな。」

 テリーは不愛想な言い方をしながらも、仲間にすることに同意をしてくれた。

「私は裏切るようなことはしません。どうかよろしくお願いします。」

 サイモンは喜んで仲間に加わってくれた。

ホイミン「それで、サイモンさんはどのようなアイテムをお持ちですか?」

「ヤリに鎧、盾、かぶと。パセリ、セージ、ローズマリー、そして…。」

「そ、それ以上はもういいです。何だかメタい感じがしますから。」

 チャモロは両手を伸ばしながらサイモンのセリフを途中でさえぎった。

 

 彼らは北に向かって進んでいってカザーブに行き、そこを拠点にしながらシャンパーニの塔を目指すことにした。

 その道中ではロマリアよりも強力な相手と戦うことになったが、ホイミンのラリホー攻めで相手の動きを封じ込め、その上でテリーとサイモンの攻撃でじわじわと追い詰めるというパターンで乗り切っていった。

(※チャモロは攻撃もしてくれたが、火力不足のために防御にまわることも多く、戦闘後のホイミタンクが主な役割になっていた。)

 しかし、ギズモにはラリホーが効かないために発想の転換を余儀なくされた。

 幸い、HPはそこまで高くはないため、テリーのとおぼえやブーメラン攻撃、ホイミンのバギなどで対処出来たが、次に出会ったキラービーの群れには大苦戦を強いられた。

(ぐわっ!これはやっかいですね。こちらが動けなくされたらパーティーは壊滅状態になってしまいます。!)

 このままでは危ないことを察知したホイミンはバギを駆使して対処をした。

 その結果、何とか戦闘には勝利をしたものの、キラービーに刺されたテリーとチャモロは患部が大きく腫れ上がってしまい、とても戦闘に参加出来る状態ではなくなってしまった。

「ここは一度撤退して治療をしましょう。」

 ホイミンの提案を受けて、一行は治療のためにキメラの翼でロマリアへと引き返していった。

 

 翌日。宿屋で休んだ上にまんげつそうの効き目もあって彼らはすっかり元気を取り戻したため、今度こそシャンパーニの塔に乗り込んでいくことになった。

 果たして彼らは初めて経験するボス戦を乗り越えられるのだろうか?

 




 今回登場したさまようよろいの名前をサイモンにしましたが、これは僕が好きな音楽ドゥオ「Simon&Garfunkel(サイモン&ガーファンクル)」に引っ掛けたためです。
 そしてアイラはアート・ガーファンクルのフルネーム「Arther Ira Garfunkel(アーサー・アイラ・ガーファンクル」にちなんでいます。
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