大学受験舐めてんのか   作:オカルトって面白いよね・蠱毒とか

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“観察するには、仮説が必要である
仮説がなければ、何も観察できない”

川口敏




第2話 疑問が常に探求を生む

 教室に入ってきた1人の男性、教師らしきその人物は、教卓からぐるりと教室を見渡すと生徒に向かって話し始める。

 

「おはよう、新入生諸君。そしてはじめまして。私がこのクラスの担任を務める真嶋智也だ。教科は英語を担当している。この学校には学年ごとのクラス替えが存在しないため、基本的には私が3年間君たちの担任を務めることになる。以後、よろしく頼む」

 

 早速真嶋の説明でいくつか気になる部分があった司だが、それをあえて表に出すようなことはしないし、メモを取ることもない。

 少なくともメモを取る必要がない程度には、今生の司の頭の出来は良い。

 代わりに、普通に学生がメモを取る程度の内容についてはメモを取ることで、真面目ではあるが頭脳的に突出した部分が無いように振る舞うことにする。

 

「さて、早速で悪いがこの学校に関する説明をさせてもらう。1時間後には体育館で入学式が始まるが、その前に済ませないといけないのでな」

 

 そう告げた担任教師である真嶋から、この学校に関する説明が始まる。

 教卓内にそれぞれ事前に配られているスマホ型の端末の使用方法についてや、事前に説明されている通り近しい親族が死亡した際などごく一部の例外を除いて学園敷地からの外出は認められないことなどが簡単に説明される。

 

 そして最後に、この学校独自で使用されている特殊なポイントシステムについての説明が始まった。

 

「最後に、この学校で使用されているSシステムについて説明する。これから君たちに学生証を配るが、この学生証は身分証であると同時に学内施設を使用するために必要となるものだ。決してなくすことが無いように。

 また、学生証には身分の証明の他にポイントが蓄積される。学内では外で使用されている日本円や外国通貨、その他企業の提供するポイントなどが使用できない代わりに、このSシステムのポイントが金銭の代わりとして使用することが出来る。クレジットカード、正確にはデビットカードのようなものだが、そう考えればわかりやすいだろう。

 この学校の敷地内に存在するものならば何でもポイントで購入することが出来るので、覚えておくと良い」

 

(い、色々と胡散臭え~。絶対何かある……。特殊なもの、外出なんかの権利の購入、ポイントを用いた評価や賭け事あたりか。あとはその情報を最初から教えるつもりはない……まあ自分で思考し気づかせるためだろうな)

 

 何でも購入できる。

 その言い回しに司は注目する。

 

 また同時に、学内で特殊なポイントシステム、もっと言えば通貨を使用していることから、それが学外での通貨とは異なる使い方をされるものであることが推測できた。

 

 例えばだが、パチンコなどで使われるパチンコ玉。

 あれはいくらあたり何玉出てくる、と直接的に価値が計算できるものだが、しかし通貨ではない。

 だからパチンコ玉を使ってギャンブルをしても金銭の賭けには該当しない。

 更にパチンコ玉から直接通貨に交換するのではなく、これまた価値の定められた景品を介して交換することで違法性をなくしている。

 

 このように、通貨ではないが価値が定められたものを使うことで、本来は法的に許されないやり取りでも合法的に行うことが可能になる例というのはいくつもある。

 このポイントシステムでも、流石に国立の教育機関として違法な行為は行わないだろうが、ある程度グレーな行為、例えばテストの点数に対して点数によって異なる報酬が与えられるようなことがあるのだろう。

 ちなみに教育機関が生徒の評価で金銭を与えるのは、法的には縛る法があるのか司には判断出来ないが、普通に考えて色々とアウトだ。

 おそらくはそんな何かしらの特殊な部分を、ポイントという言い訳で合法化しているのだろうと推測が出来る。

 

 そしてまた、そのことを明らかにしない言い回しをあえてしていることから、この学校の生徒に対するスタンスというのがある程度見えてきた。

 思考させる、気づかせるためにあえて情報を絞る。

 おそらく少ししたら改めて説明があると同時に、生徒にそうした思考を促してくるのだろう。

 

「ポイントには1ポイントにつき1円の価値があり、また毎月1日に支給される。そして新入生諸君には、10万円分のポイントが一律に支給されている。後ほど学生証を端末と同期して確認してくれ。方法については各自学習机の中の資料を参考にするように」

 

 その真嶋の言葉に、教室にざわめきが生まれる。

 流石は進学校というべきか、大きな声で話すものはいないが、それでも隣や前後でひそひそと話す声が起こる。

 

(10万、寮費光熱費は無償だったはずだが、だとすると多いな。生活の準備費みたいなものか。円だったら普通に給料の線もあったが、換金は出来ないようだしな)

 

「10万円という額に驚いたかもしれないが、この学校は実力で生徒をはかる。このポイントは、君たち新入生にそれだけの価値と可能性があると評価された結果だ。自由に使ってくれ。念の為伝えておくが、このポイントは卒業時に全て回収される。現金化することは出来ないので、あくまでこの学校内でのみ使用できるものだと理解しておくように」

 

 10万という金額にどよめいていた生徒達だが、その評価に明るい感情を見せ始める。

 一般的に見れば非常に多い金額だが、文字通り国家の要となる人材を育成するとすればけして多いものではない。

 むしろその程度で超優秀な人材を大量に排出できるとすれば、むしろ安いくらいである。

 

 ()()()()()()()()()()()()()()()()()()()の話だが。

 

 ちなみに防衛大学校の学生の給料、まあ学生なので給料という名目ではないが、それはおよそ10万円。

 陸上自衛隊高等工科学校の生徒、つまり高校生でも同じぐらいの手当がある。

 そこから食費などが天引きされるので満額ではないが、しかしこういった国立かつ直接的に国益に寄与する人材を育成するという観点からすれば1か月あたり10万円相当というのは特に多いものではない。

 

「ポイントの使い方は自由だ。貯めるも貸し借りするも、あるいは誰かに譲渡するのも好きにすると良い。だが当然ながらカツアゲのような行為は禁止されている。いじめ等の行為は厳しく取り締まれているので心するように。

 説明は以上で終わりだ。何か質問はあるか?」

 

 その質問に、既に10万円という金額に浮かれた司のクラスメイト達の大半は特に手を挙げない。

 あるいは一部冷静な者たちもいるが、この場で口を開くことは無かった。

 

 そんなクラスメイトの様子を見て、質問をしようと考えていた司も控えることにする。

 喜ぶクラスメイト達に、『10万のうちいくらが生活準備金で、毎月の本支給はいくらですか』なんて水を差して余計な注目を集めるのはごめんだった。

 更に言えば、他にも色々と尋ねたいことがあったので後で個人的にまとめて尋ねようと考えたのである。

 

「質問はないようだな。では朝礼はこれで終わりとする。特に号令などはかけないので、入学式には遅刻しないように」

 

 そう告げると真嶋は教室の出口へと向かう。

 司もそれを追うように席を立った。

 一気にクラスメイトからの視線を集めてしまうが、同じように司の方を見る橋本に『トイレ行ってくる』とあえて周囲に聞こえるように言い残すことでその注目を散らせて、そのまま教室から出た。

 

「先生」

「君は……」

 

 教室から少し離れたところで声をかけた司に、真嶋は足を止めて振り返る。

 ちなみに補足しておくが、この学校ではなんらかの意図があってか、クラスごとの教室は離れて設置されている。

 そのため他のクラスの教師と鉢合うようなことはなかった。

 

「土門だったな。何かね」

「いくつか質問があるのですが今お時間大丈夫ですか?」

「構わない」

 

 真嶋がひとまず答える様子を見せたので、司は躊躇うことなく質問をする。

 

「では、現在支給されている10万ポイントの内訳はどうなってますか?」

「……というと? もう少し具体的に質問をしてくれなければ答えようがない」

「……そうですね、ごめんなさい」

 

(無制限に情報を流すことはしてくれない、か。穴がないように質問をしないと、『嘘はついていない、嘘はな』とやられるやつだなこれは)

 

「10万という金額は、学生の俺、失礼、僕達には多いと思ったんです。これが日本円なら給料なのかなと思ったんですが、学内でしか使用できないポイントだから溜めても卒業後に意味はないし、それもないなと思いました。だったら、10万の内訳が5万が初月の準備金とかで、実際の毎月の支給は5万、とかそんな感じでわかれてるのかな、と思ったので」

 

 司のこの若干まだ理論的に話すことに卓越していない、あるいは子供らしい部分のある口調は当然ながら作ったものである。

 家の関係上政治家なんかを歓待することもあった司はもっと堅い言葉も当然ながら使えるが、それは1学生には相応しくないので封印しているのだ。

 

「……特に内訳はない。10万ポイント全てが本来の支給だ」

「……なるほど」

 

(10万円全てが? 生活準備金ではないとしたら、最低限の生活費4万と残りは今後の学校評価次第の変動制なのかと思ったが……)

 

「では、この10万ポイントは来月も支給されますか?」

「ポイントは毎月1日に支給されると説明した通りだ」

 

 司の質問を予想していたように、いや、事前から用意していたように間隙なく答えた真嶋に、司は重ねて自分の考えを述べる。

 

「数値の話です。やっぱり毎月10万って多すぎると思うんですよ。

 食費だって3万もあれば十分だろうし、衣服とかだって持ち込めてます。勉強道具とかを買う必要があるとしても多いですよね。

 だから最低限の生活費4万に、残り6万が学校の評価で変動するのかと思ってたんですが、全額変動制ですか? 最悪一文無しもありえますか?」

 

 司のその質問に、淀みなく答えたはずの真嶋は今度こそ固まる。

 早すぎる、あまりにも。

 まだ入学式すら終えていないこの時間で、このシステムの核心にすら踏み込んでくるのは。

 

「……その質問については答えられない」

「まじかぁ……」

 

 答えないということはそういうことである。

 

(10万全変動制? 飢えるやつ出てこないか? ああそれとも学食は無料だったりするのか、それとも何かしらポイントではなく直接食事や物品なら支給してくれるのか)

 

 取り敢えず予想外の方向に転がったが情報は回収できた。

 司はそのことに納得し、一瞬思考する。

 

 一方で焦ったのは真嶋である。

 まだ評価基準には気づいていないようだが、現段階で司はSシステムの生徒評価の側面に気づいてしまっている。

 

 そのこと自体は悪いことではないし、例年気付いた生徒がクラスに共有することはある。

 しかしながら、まだ早すぎる。

 司がそれを広めてしまえば、他の生徒の思考力を見ることが出来ず、更に学校側もその評価すら出来なくなってしまう。

 

「土門、その件については後ほど時間のある場所で話す必要がある。それまでは他言しないように」

「……わかりました。多分、結構学校の秘密的なことなんですかね? 取り敢えずまた、入学式が終わって1年生が帰った後にでも聞きに行きます」

「承知した」

 

 幸いにも、特に学校を荒らすつもりのない司は真嶋の言葉に大人しく頷いた。

 このあたり観察力には優れるもののまだまだ子供だと真嶋安堵する。

 これが例えば現2年生を実質的に支配している生徒なら、学校側からポイントを巻き上げるぐらいのことは普通にするし、その上で出所のわからないように情報を流すぐらいのことはやる。

 

 だが、司の質問はそれで終わりではなかった。

 

「それじゃあ、次の質問なんですけど」

「まだあるのか?」

「え? はい、いくつかあるので……駄目でしたか?」

「いや、構わない」

 

 既に真嶋は司の観察眼の鋭さには驚いていたが、しかしSシステムの漏洩以上に重要な情報は今の段階で気づく要素が無い。

 だからこそ、後は些細な疑問だと安堵の息を吐いた。

 

「じゃあ、ポイントって、例えば卒業するための成績、っていうか何か卒業するために必要な資格を買ったり出来ますか? 他には学校敷地から外出する権利とか」

 

 それが間違いとも知らずに。 

 

「なぜ、そう思った?」

「……一応明確に質問はしたつもりなんですけど……どのあたりが不明確ですかね?」

 

 真嶋からすれば、驚きを隠すための時間稼ぎの質問であったが、司からすれば面白くない。

 更に言えば、司はまだ教師という存在が生徒にとって善意の存在であると思っている。

 そのため、不明確なものを明確にするようにとヒントを授けることはあっても、そもそも生徒に親切ではない可能性など考慮していないのだ。

 

 だから、真嶋が答え方の明確な質問に対してもごまかすような質問返しをしたことに、わずかに不快感を抱いたのである。

 とはいえ司も、あえて曖昧かつ範囲の広い言葉を使って相手に情報を漏らさせようとしているので人のことは言えないが。

 

 しかし教師と生徒で騙し合いをさせるとはなかなか大した学校である。

 もちろん褒めていない。

 

「すまない。驚いてとっさに質問で返してしまった。そして質問についてだが、少なくとも学校から外出する権利については買うことは出来ない。学校から出ることは特例を除きできないことがこの学校の基本だからだ」

「では、卒業する資格については?」

「……先になぜそれを疑問に思ったか聞かせてくれ」

 

 その質問に、司はずるい言い回しをするものだと内心ため息をつく。

 

 今司の質問に対して真嶋は、答えるならばYesかNoで答える以外の選択肢を持っていない。

 しかし司の質問の理由を聞くことで、その理由に答えるような形に変えて、話す必要のない隠したい情報を隠すための機会を得ることが出来る。

 

 つまり、司にできる限り情報を隠すために、真嶋はあえて司に話させようとしているのである。

 

 例えばYesと答えれば、卒業要件となりうるもの、卒業権であるとか、あるいは単位や成績を買えると暴露することになる。

 しかしここで司が、『卒業するためにポイントをためて、なんらかの資格を買わないといけないのかと思って』とでも言ってしまえば真嶋は出す情報を制限することが出来る。

 『卒業するためにそう言ったものをポイントで購入する必要はない』と言ってしまえば、司が気づかない限り成績や単位、出席点などを買えるとは気づかれることはない。

 

「先生、それはずるいと思うんですが……。何か隠したいことでもあるんですか?」

「この学校が他の学校と違って特殊な部分が多い。その分話せないことというのは確かに存在している。そこについては納得してもらうしかない」

 

(なるほどね。つまり買える、それも必須というよりは可能って方向か。とすると単位とか出席点、場合によっては賄賂で点数の改竄とかも出来るのか? なるほどポイントか。これなら賄賂にはならないと。無茶苦茶かよ)

 

 ただ、司はそう甘くはない。

 

「じゃあ質問を変えますけど、単位とか、テストの点数を買ったり賄賂で改竄してもらうとか、出席点を買ったりは出来ますか?」

 

 真嶋が隠そうとした内容まで的確に踏み込んでいく。

 

「……可能だ」

「それぞれについてはいくらほどで?」

「単位については正確な数値は出せない。テストの点数は1点あたり10万ポイント。賄賂ではないが点数そのものの改竄については100万ポイントだ。出席扱いについては、1時限あたり3000ポイントで買うことが出来る」

「ああ、そうですね。単位といっても可か不可かだけじゃなくて評価が出ますから。そもそも高校じゃあ落単なんてほぼ無いですし。取り敢えず5段階評価の2と5についてそれぞれいくらほどですか?」

 

 司が更に詰めようとしたところで、真嶋が時間を気にする素振りを見せる。

 といっても実際に時間を気にしたわけではなく、それは時間稼ぎをするための振る舞いであった。

 

「悪いがこの後用事がある。続きは入学式の後、職員室へ聞きに来てくれ」

「……わかりました」

 

 実際のところ、真嶋の言葉は嘘だ。

 入学式での役目も大して無いためまだ時間はある。

 しかし、司にここまで詰められているのは、大きな権限は持っていない真嶋としては対応に窮する場面ではある。

 一度時間を稼いで、その間に上に伺いを立てて答えられる内容を整理してから迎え撃ちたいのだ。

 

 そして、その真嶋の言葉が本当なのか嘘なのか判断できない以上、司は頷くしかない。

 

「わかりました。それじゃあ、また放課後に伺います」

「ああ。では、放課後に」

 

 そう言って真嶋は去っていく。

 その背中を見つめながら、司は予想以上の高育の特殊さに思考を巡らせていた。

 

 

 

******

 

 

 

「長かったな」

 

 教室に帰った司を待っていたのは、クラスメイトからの何故か注目するような視線と橋本の言葉だった。

 

「なんでこんなに見られてんの?」

 

 その視線に居心地の悪さを想像した司は、隣の席の橋本に小声で尋ねる。

 なお橋本は、また懲りずに神室に絡んでいた。

 というよりはその隣の小柄な女子生徒を含めて3人で話していたのか。

 

「さっきまで全員で自己紹介してたんだよ。で、土門だけいなかったからな」

「それはすまんかった」

 

(なるほど自己紹介を求められてるわけか。そりゃ注目を集めるはずだ)

 

 そう察した司だが、ここで自分から自己紹介するほどの積極性は演じていない。

 橋本を煽って自己紹介するように催促させようかと考えていると、禿頭の生徒が立ち上がって司の方にやってきた。

 

「土門だな。俺は葛城康平だ。よろしく頼む」

「土門司です。よろしくおねがいします」

 

 自ら名乗った葛城は、続けて司に話しかけてきた理由を説明する。

 

「先ほどまで自己紹介を全員でしていた。良ければお前もしてくれないか」

「うん、わかった。ありがとう」

 

 司がそう答えると、葛城が教卓の位置まで行って注目を集め、クラスを静かにさせる。

 

「彼に自己紹介をしてもらうから、皆聞いてくれ」

 

 そう振られた司は改めて立ち上がり、自己紹介をする。

 

「土門司です。自己紹介の前に教室を出てしまってごめんなさい。趣味は読書、特にファンタジー系を好んで読んでいます。このエリートの学校にどれほどついていけるかわからないけど、頑張るのでよろしくお願いします」

 

 その自己紹介に皆が拍手を返し、更に口々によろしく、と返してくれる。

 クラスの空気は初日にしてはかなり良いらしい。

 

「ありがとう。他の全員分のクラスメイトの自己紹介については一応紙に書いてもらっている。見ておいてくれ」

「ありがとう、助かるわ」

 

 どう他のクラスメイトについて知っていくべきかと思っていたところに、葛城からそう助け舟が出された。

 ありがたかったので例を言いつつ、司は隣の橋本から差し出された紙を受け取る。

 

「これは……?」

「俺も一応まとめておいたんだよ。全員分の自己紹介。ホントは1000円ぐらいで売ろうと思ったけど、いらなそうだからやるよ」

「ありがとう」

「まあでも役立つとは思うぜ? 葛城のは神室ちゃんなんて名字しか書いてないしな。その点俺のは全員分を聞きながらまとめてるからもうちょっと情報がある」

「ちょっと」

「ありがとう。神室さんも、わざわざありがとう」

 

 神室の橋本への口撃を感謝の言葉で抑え込みつつ、司は紙に目を通す。

 そこには確かに個々人の名前と、自己紹介らしき一言が添えられていた。

 おそらく橋本が聞きながら全て記録したのだろう。

 

 優しさもあるだろうが、改めて抜け目の無い人物である。

 教師からポイントの譲渡や貸し借りについて話があってすぐに、普通ならやらないような金のやり取りの話を友人候補と出来るというのは、それだけ判断能力と状況への適応能力が高いことを示している。

 

 そしておそらく、いずれ橋本のようなこのポイントのやり取りは、この学校での日常に変わっていくだろう

 そのための円ではなくポイントなのだ。

 

 現実的に考えれば友人間の金銭のやり取りなんて普通はしない。

 だが、例えばこれが1地域の政治の話となったとき。

 根回しなんかで金が動くことは常態化している。

 そんなことが、いずれこの学校でも起こっていくだろう。

 

 おそらくは特殊なカリキュラムの一部として実施されるであろう特殊な科目やイベントにおいて、ポイントのやり取りを活用するような理由を作ってくるはずだ。

 だからこその、ポイント制。

 これならなんと批判されることもない。

 少なくとも字面の上では。

 

 それを先取りしている橋本は、やはり聡い人物だと言えた。

他のキャラクター視点(一人称の地の文という意味ではなく、司がいない場面で、ということ)での描写を読みたいですか? 例えば松下が中間試験への対策に奔走する姿を松下視点で書くのか、あるいはいつも通り司が後から聞いたという形で書くのか。司という異物への、司が居ない場面での反応(例えば神室と松下が2人で話してる場面等)も含めて、視点を統一するべきか色んなキャラの目線を書くべきか悩んでいます。

  • 司中心で、司が見聞きした情報で良い
  • 他のキャラクター視点の情報もみたい。
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