大学受験舐めてんのか   作:オカルトって面白いよね・蠱毒とか

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“人間の持つ性情のうちで最も強いものは、他人に認められることを渇望する気持ちである”

 ウィリアム・ジェームズ




第6話 人は人が思っているほど自由ではない

 4月も最後の週に突入した頃。

 司は休み時間に他のクラスの教室の観察に赴いていた。

 

 この時期になってからわざわざ他のクラスの見学に赴いたことの理由はいくつかある。

 

 まずこの学校について観察している司がこれまで他のクラスの見学に行かなかった理由だが、1つは入学式の日の朝に、真嶋の口から『3年間クラスが変わることはない』という説明がされたからだ。

 この真嶋の説明を解釈すると、『クラス替えをする必要が無いようにバランスよくクラス分けをしている』、あるいは『クラス以外の集団が形成されて評価されるので、クラスの意義が薄い』ということだと司は判断した。

 

 そのためAクラスをよく観察していれば、個人個人の個性は別として全体の傾向としては大差はないだろうと考えていたのだ。

 わざわざ他のクラスを覗きにいこう、とは思わなかったのである。

 

 少なくとも他に色々と見ておきたかったこの段階ではそんな時間は無かった。

 真嶋にメールで大学・企業研究や各種資格試験の支援体制、進路指導室の様子や大学企業訪問などについて尋ねていたのである。

 初日にあんなことになったので、真嶋に対する遠慮は既に司にはないのだ。

 なおこれらのメール、というよりは口頭も含めた真嶋とのやり取りについては、他の教師も含めて秘匿することを大金が転がり込んだ段階で契約している。

 

 それに人材を発掘するという目的の面でも、まだ活動を始めるのは時期尚早だった。

 特殊なカリキュラムも出てこず学習の進度も遅い現状では、初見の人物の判断が出来ないからだ。

 

 そのため他のクラスについては後回しにしていたのである。

 どうせ見に行っても授業をサボらないように坂柳に釘を刺された以上、休み時間か放課後しか見ることが出来ないのだ。

 

 強いて言うならDクラスにいる長年の友人に久しぶりに会いたいとは思ったが、それもいずれ縁があれば巡り会うだろうという考えもあった。

 

 

 では何故急に他のクラスを見学しにいったかと言えば、いくつか気になることを見つけたからだ。

 

 1つが学校を見て回っているときに見かけた上級生の教室。

 そのうちのいくつかで、クラス内の机の数が定員である40人よりも明らかに少なかった。

 

 厳しいカリキュラムが課せられるとはいえ、退学者がいるというのは少々気になる。

 司の考えとしては、高等教育の教育機関である高育は、最初に人数を区切って採用している以上はその人数分は出来ない人間を切り捨てるのではなく全員を使えるように育てるべきだ。

 採用試験ではなく教育機関なのである。

 

 だが上級生には退学者が、通常の学校と比べて明らかに多い。

 あるいは何らかの理由で特別クラスなどに移動するか飛び級で卒業しているかとも考えたが、どちらにしろ人数の変動が大きすぎるので気になったのである。

 そこで今年もそういうことが起きうるのか、状況を把握できるように学年全体を観察しておこうと他クラスの観察に赴いたのである。

 

 2つ目は真嶋からつい先日受け取った連絡の内容だ。

 内容は、『以前司と交わした契約に期限を追加で設定したい。期限の詳細についてはその時に連絡をする。ポイントの返還は要求しない』というものだった。

 

 司と真嶋、学校側が交わした契約は、毎月給付されるポイントが増減し、またクラス単位での評価も有り得るという事実を他の生徒に流布しない代わりにポイントを与えるというものだった。

 その契約のうち、司が守るべきものがなくなる。

 

 つまり、その情報が公表されるということだ。

 それもわざわざ司との契約を取り消すとまで連絡してきたということは、むしろその情報が今後の学校生活の重要な部分に躍り出るために生徒間の話題に上がりやすくなるということを示している。

 

 どうでもいい情報ならば契約してまで口止めはしないだろうし、わざわざ司が話しやすいように契約の期限を切ってくることもない。

 場合によっては4月中は入学してすぐなため学校生活に慣れるための期間で、5月からがそのポイントを用いた競争などが激化していくのかもしれない。

 

 そう考えると、余裕が出来た今のうちに他のクラスも見ておきたいと思ったのである。

 

 

 結果、昼休みを利用して司は他のクラスの教室へと赴いていた。

 何故かついてきた神室と共に。

 

「神室さんもBクラスに用?」

「は?」

「いや、こっちに向かうならそうなのかなって」

 

 なおこの学校では、普通の高校などと違って同じ学年でもクラスごとに教室の場所が離れている。

 そのため他のクラスを見に行くのは、ちょっと隣の教室へ、という軽いノリではすまない。

 

(今考えればこれもクラス毎に分断してあからさまにクラス間の競争を煽ってるのか。そこまでは気づかなかったな)

 

「……あんたの監視」

「はい?」

「坂柳にあんたの監視しろって言われたの。なんで私が……」

 

 何やら神室は、坂柳から司の監視を言いつけられているらしい。

 そこまで先日の会話で警戒されていたとは司も思っていなかった。

 普通に論理的に話しただけなので、特に気にされるようなことも無いと考えていたのだ。

 

 実際には、その論理的な冷静さが坂柳には怪しいと判断された。

 普通の高校生がサボりを疑われ、あるいは万引きや脅迫など犯罪関連の話などをされれば動揺するのが普通である。

 司が無能を演じるならば、もっと大げさに動揺してみせた方が良かったのだ。

 

 司は今生において、国子塾で厳しく鍛えられて、社交界で表に出てないために一定以上のレベルの人としか面識が無い。

 そのため、純粋な一般人の真似という意味では、まだ能力が足りない部分があるのである。

 せいぜいが出来て、少しは出来る人間レベルまでしかレベルを下げることが出来ないのだ。

 

「ええと、頑張ってください?」

「は?」

「ごめんて」

 

 なんと言えばいいかわからず取り敢えず応援しておいたのだが、睨みつけられてしまった。

 

「で、何やったの? 坂柳に目をつけられるなんて」

「目をつけられた人は言うことが違うなあ」

「……ちっ」

 

 意趣返しというわけではないが、少し意地悪く返したら舌打ちをされてしまった。

 神室は対人コミュニケーション能力が高いわけではなく、一度線を切ってしまうとそのまま繋がらない可能性があるので、今後はからかうのはやめておくことにする。

 

「神室さんを脅したら許さないぞ、って脅されただけだよ」

「……え?」

「自分がやったからって人がやると思ってるの、いかにも選ばれた人間みたいだよねあの子」

 

 司の言葉に神室は答えることなく言葉を飲み込む。

 坂柳が自分のためにそういう行動をしてくれたことに驚きを感じると同時に真意が気になるし、それに対して目の前の男がどんな返事をしたのかは気になる。

 

 だが司はそんな複雑な感情に包まれる神室を気にすることなく話を進める。

 

「それで、神室さんはどう? まだやりそう?」

「何が?」

「手癖だよ。坂柳さんに捕まったってことは、またやったんでしょ?」

「……それが何」

 

 神室は以前の話を持ち出してくる司に、やはりこいつも坂柳のように自分を脅すのかと警戒の表情をする。

 

 だが司の続く言葉は、神室の予想とは全く異なるものだった。

 

「クレプトマニアって知ってる?」

「……知らない」

「そっか。まあ神室さんの事情だから詳しく聞いたりはしないけど、ちょっと調べてみてよ。

 神室さんは知っておいた方が良いと思うから」

 

 クレプトマニア。

 精神疾患の一種であり、窃盗という行為に依存してしまって、物品への欲求とは関係なく窃盗を繰り返してしまう状態に陥る病。

 原因としては、ストレスや不安、寂しさなどの精神的な不安定さが挙げられる。

 

 それについて言及することは神室の内面、精神的な問題に踏み込むことになる。

 そう考えた司は遠慮した。

 

「は? なんかあるなら言いなさいよ」

 

 しかし、神室にはそこまで司の考えを汲み取ることは出来なかった。

 

 その厳しい目線に、司は足を止めて壁際に寄る。

 怪訝そうな顔をしながらも神室もそれに従った。

 

「今から話すのは、神室さんの感情とか過去とか、場合によっては家庭環境とかに踏み込むことになるんだけど、それでも良いの?」

「……意味わかんない。前置きは良いから早く言って」

 

 司としては、カウンセラーや心療内科医としてならともかくあまり同じ学生の立場としてやるのは気が進まないが、神室が言うならば仕方ない。

 

「クレプトマニア。日本語だと窃盗症とか病的窃盗とか。

 まあ精神疾患の一種だよ。つまり心の病気だね。

 物が欲しいとかお金が無いとかじゃなくて、ただ窃盗をするという行為に依存してしまって手が出るんだ。

 ちなみに神室さんはノンアルコールビールを知らなかったみたいだけど、盗ったお酒は飲んだ?」

 

 司の言葉に神室は押し黙る。

 自分の知らない知識に面食らったと同時に、自分でも止められないそれを言い当てられて動揺したのだ。

 

「……飲んでない」

「ああ、やっぱり。まあとにかくそういうのがあるんだよ。

 詳しくは心療内科の医者とかにちゃんと話して、対処法を考えた方が良い。

 この学校でどうするのかは知らないけど。

 見て回ったけど流石に病院自体は敷地内にはおいてなかったね。

 治療をちゃんと受けるなら外に出るしか無い。

 ここから通院できるかは相談しないとわからないけど、まあ厳しそうだよね」

 

 仮にクレプトマニアが事実だとすれば、神室に必要なのは一刻も早いここからの離脱と通院である。

 

 司は前世で鬱状態に陥ったことがある。

 鬱病というほどでは無かったが、それでも精神が及ぼす影響の大きさは身をもって実感している。

 だからこそ今生では、自己のメンタルトレーニングを徹底して行うと同時に、様々な学問の中でも精神疾患系統については重点的に学んでいる。

 

 だからこそ、それが放置して良いようなものではないと知っていた。

 特に犯罪行為につながる場合は尚更である。

 

「病気?」

「その可能性が割とあると思う。その場合はちゃんと治療をしないといけない。

 体以上に心のことなんて自分じゃあどうしようも無いこともあるし。

 神室さんの今後のためにも、どこかで解決しておいた方が良いと思う。

 そのためには医者にかかるしかない」

 

 神室にとってこの行動は、スリルを感じたいというのもあり、また家族との関係から来る寂しさの裏返しでもあり、はっきりと言えば自分でも正体のわからない衝動によるものだった。

 

 それが司の言葉によれば、病気の一種であるという。

 神室にとってはまさに目から鱗が落ちるような気持ちだった。

 

 だが。

 

「退学してどうするの。高校をやめて行く場所なんてない」

「……ご家族に相談したりは出来ない?」

「出来るわけないでしょ。大体親は私に興味ないし」

 

(機能不全家族か。また面倒な)

 

「まあ、そうだよなあ。高校をやめるなんて普通じゃないし。

 ここじゃなければ通学しながら通院とかも出来たんだけど」

「精神の病気なら、心の持ちようとかでどうにかなるんじゃないの?」

 

 司に対しては坂柳に対するのと同じぐらい警戒していた神室だが、病気という思わぬ指摘に、その答えを司に求めてしまう。

 もともと人付き合いが好きではないが、コミュニケーション能力はそこまで低い少女ではないのだ。

 

「もちろんそういうものもある。

 でも例えば鬱病とかは薬で治してく必要がある。

 そのあたりを含めて、ちゃんと医者に診断を下してもらった方が良いんだよ。

 原因はなんなのか、どういう形で原因に対処していくのか。

 薬は使うのか使わないのか」

「……その、クレストなんたらの原因は何なの?」

「クレプトマニア。一般的に言われるのはストレスと不安。

 後はまあ、神室さんのさっきの言葉を聞くなら機能不全家族かな。

 ご両親との関係って子供にとっては特に影響が大きいから」

 

 オブラートに包んだ司の言葉に神室は黙り込む。

 それはまさしく心当たりのあることだった。

 

 普段は凛として強気な視線を周囲に向けている神室だが、その本質はまだ15歳の少女でしかない。

 家族との関係から1人で生きていくと強がってはいるが、まだまだ支えられて生きていく年頃なのだ。

 むしろ司のように前世を持っていて多くの経験と異常な想像力から精神が成熟している方がおかしいのである。

 

「……もし学校から出る決心がついたら教えてくれ。

 うちの家族の連絡先渡すから。うちの家はそういう方向のことやってるから、色々とサポート出来ると思う」

 

 正確に言えばそういう方向のこと『も』やっているだし、何なら司の自由で動かせる人間だけで様々な専門分野の人間が相当にいる。

 神室1人ぐらいならば簡単に面倒を見ることが出来るし、場合によっては家族関係に手を加えて養子に、なんて手段を取ることも出来る。

 

 だが、それはまだ出来たばかりの友人に言うべきことではない。

 せいぜいが、できる限り応援する、ぐらいが妥当だ。

 

「……考えとく」

 

 神室は、結論を保留することに決めた。

 それはそうだ。

 普通の高校生にとって学校を辞めることなんていうのは一大事どころか、そもそも選択肢にすら上がらない。

 司から気になる指摘をされたが、今のところ神室は自分の衝動を制御できているつもりでいる。

 

 それは坂柳に使われているからその時間がないという状況でもあるし、新しい環境によってこれまで感じてきたストレスや寂しさが薄れているという結果でもある。

 

 結局何もなければ、神室は司の言葉なんて忘れて坂柳の従者として3年間を普通に過ごすのだろう。

 

 何も起こらなければ。

 

 

 

******

 

 

 

 

 一度足を止めた2人は、改めて他のクラスの見学へと足を向けた。

 

「なんで他のクラスなんて見ようと思ったわけ?」

「他のクラスはどんな感じなのか気になってさ。ほら、うちのクラスって真面目そうだけど、平凡だろ?」

「は?」

 

 ちょっとした会話で互いに心の障壁が下がったからか、神室と司の会話は以前よりは滑らかに、そして司の側からも遠慮なく進む。

 坂柳と神室の関係が純粋な友人関係ではなく神室の側に含むものがあるのもわかったし、神室にとって司が坂柳との対立軸になった、という打算もあって、全部をバラされることは無いだろうと多少は遠慮がなくなっていた。

 それに場合によっては将来的にも関わるので、素を見ておきたいと考えたのもある。

 

「平凡って、あんたも変わらないでしょ」

「そりゃ俺は平凡だよ。この学校に合格するはずないと思ってたぐらいだし。

 日本一の学校で未来を担うエリートを育てるって言ったら、もっと頭がおかしいレベルで凄い人がゴロゴロいると思ってたんだよね。

 将棋の藤木聡君とかわかる?」

 

 司基準では、真面目で優秀であることは平均点、平凡そのものなのである。

 ここはそういう学校であるはずだ。

 そこでなお優秀、あるいは天才と称されるならば、相応のバケモノ性を持っていなければ。

 

「誰?」

「将棋の最年少でプロになった人だよ。14歳でプロの世界に突っ込んで、そろそろタイトルに手がかかるんじゃないかな」

「……それ凄いの?」

 

 将棋に興味の無い神室にはその凄さが理解できない。

 

「シンプルに化け物。勉強で例えたら中学3年生が東大理三に首席合格してそのまま飛び級で首席卒業するぐらいやばい。

 まあ東大に飛び級は無いけど」

「……ふぅん。東大のレベルはわからないけど、凄いのはわかった」

 

(そう言えば結局過去問とか全然触ってないな。

 この学校の進学実績、『希望の進路に100パーセント!』ばっかりで実際にどの大学に進学してるのか出てこなかったんだよな。

 謎だ、色々と)

 

「まあとにかく、限りなく飛び抜けた人間ってこと。

 流石に藤木君は将棋の歴史のてっぺんに名前を残すような人だからバケモノ中のバケモノだけど、その足元に迫るぐらいの人はいるのかと思っててさ。

 もちろんエリートを育てる学校だから勉強面でね」

「……いないわけ? 坂柳とか葛城とか頭良いでしょ」

 

 司の言葉に神室は訝しげである。

 そもそもAクラスの生徒は今のところ、授業においていかれるような人間は全くいない。

 全ての人間が最高レベルに学校の勉強についていっているのがAクラスなのだ。

 そんな中で頭が良い人間がいないという司の言葉が、神室には理解できなかった。

 

 なお神室は他のクラスがそうではないことを、既に知っている。

 坂柳の指示で他のクラスの偵察をしているからだ。

 それを知らない司を内心で阿呆だと思いながら、監視のためについていっているのである。

 

「そりゃあの2人はクラスでも1つ抜けて頭良さそうじゃない?

 でも今のところ飛び抜けてる感じが無いんだよな。

 そもそもそれを見れるような機会が今のところ無いというかさ。

 だって今の環境じゃあ、俺はともかく神室さんも橋本もさっきの2人と同じぐらい頭が良いってことになるだろ?

 授業に完璧についていけてるんだから」

 

 なお普通に授業を理解できる神室と橋本に、司は色々と勉強について質問をしているため、司の頭はその程度だとクラスメイトは理解している。

 

「その言い方は腹が立つけど……理解の速度とか差はあるでしょ」

「わかりづらいんだよなそういうの。もっと坂柳さんとか葛城でも80点が限度ぐらいのテストやってくれたりしたらわかりやすいんだよ。

 他の人が50点しか取れなかったら2人の飛び抜け具合がわかるし」

「……確かに」

 

 司の言葉を神室は珍しく抵抗なく受け入れることが出来た。

 全員が満点を取れるレベルの学習をしているから、生徒間の差が見えてこない。

 ならばそこが明確になるような厳しいテストであれば、2人の実力もより明らかになるはずである。

 

「まあ、今のところ有り得ないだろうけど」

「え?」

 

 司は神室に納得させておきながら、自分の言葉を自分で否定する。

 その言葉は神室相手に放ったものではなく、あえて神室に聞かせるように呟いた司の独り言だった。

 

 神室が興味を持って自分で思考するならばそれでよし、少しでも友人の視野を広げることが出来る。

 次善として、司に尋ねてきたらそれはそれで司の考えを自然と神室の中に刷り込めるからそれもよし。

 無視されるのは少し困るが、独り言を聞かせる程度なんの労力もない。

 

 司は既にこの学校の特殊性が、無垢な子供である大半の生徒達にとって良いだけのものではないというのを感じ取っていた。

 

 試すように注意をすることなくメモを取り続ける教師。

 生徒に日常から教えないままに課題を課し、その成果で生活の豊かさすら左右する制度。

 明らかにレベルが低い学習内容。

 真嶋から聞き出した、明らかに進路特権以外の道を排除しようとしている支援制度の欠如。

 

 この学校の目論見や方針を見抜くのとは別として、普通に生徒達の成長や将来についても懸念している。

 傍観者の立場を崩すつもりはないが、少しは薬を流しておこうと思ったのだ。

 

 特に神室は、司の友人の中では色々と心配になるし、余計な勘ぐりなく付き合えそうな数少ない友人なのだ。

 橋本は未だに探ってくるような目をしているし坂柳は言わずもがな、葛城は葛城でいつの間にか派閥を作ってしまったので司からは関わりにくかったりするので。

 

「ちょっと、何が有り得ないって言ったの?」

「ん? 何?」

「だから……いや、なんでもない」

 

 結局まだ司を警戒している神室は、司が誘導したこともあってその真意を確かめようとはしなかった。

 ただ、確実に神室の中には司の言葉によって疑問の芽が芽生えた。

 

 今は司にとっては、それだけで十分であった。




お気に入り登録1000人突破、ありがとうございます。
皆さんの応援のおかげです。
今後も面白い内容を書けるように頑張ります。

評価の方も、ぜひぜひ一言つきでいただけると嬉しいです。
感想ほど長くなくていいので、「こういう展開が好き」「ここが嫌い」なんでも良いのでどしどしください。



『内容について』
私は鬱で通院しているのですが、その過程で「心が異常を起こしたときって、本当に精神や行動に不可避の影響を及ぼすんだな」と感じました。
まじで体が動かないんですよね。
動かしたくないとかじゃなくて動かない。

それを実感していたので、原作を見た時に彼女に関してだけは、精神の成長とか正しいことを学ぶことではなく、治療が必要なのではないかと思いました。

それを作内で書きたかったのでこうした話を書いています。
後はシンプルに彼女が女子キャラでトップクラスに好きなのもあります。
ヒロイン候補です。
本作内で恋愛要素があるかはまだわかりませんが、関係のある女子として。



主人公が密かにやっている金儲けなどについては、5月1日のSシステム暴露とその後のあれこれが終わってから番外編だったり振り返る形で書こうと思います。
ストーリーが進んでないのに書くのは「オリジナルでやってろ」感があるかなと思うので。
多分10話ぐらいには5月1日になると思うのでお楽しみに。

他のキャラクター視点(一人称の地の文という意味ではなく、司がいない場面で、ということ)での描写を読みたいですか? 例えば松下が中間試験への対策に奔走する姿を松下視点で書くのか、あるいはいつも通り司が後から聞いたという形で書くのか。司という異物への、司が居ない場面での反応(例えば神室と松下が2人で話してる場面等)も含めて、視点を統一するべきか色んなキャラの目線を書くべきか悩んでいます。

  • 司中心で、司が見聞きした情報で良い
  • 他のキャラクター視点の情報もみたい。
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