GUNSLINGER DOLLS   作:ジョンドウ

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年末は用事があるので年内の更新はこれが最後です。

それでは見てくださっている皆様、メリークリスマス。そして早いですがよいお年を。


クリスマスイブ

本日は12月24日。

 

そう、世はクリスマスイヴ。街は綺麗に飾り付けられ、雪が積もったイタリアの街に映える。

 

それは我らグリフィンの基地とて例外では無い。

 

「指揮官さま!速く速く!」

 

「そう急かさないでくれカリン」

 

そう、本日は12月24日。

 

それ即ちクリスマスパーティーの日なのである。

 

「総員傾注!指揮官よりお話がある!」

 

いつものように軽快に杖を突き鳴らすジェリコの号令に、全員が一斉に姿勢を正す。

そんな彼女達の手にはドリンクの入ったグラスが握られていた。

 

急かすような視線を一身に感じながら、俺もグラスを持って皆の前に出る。

 

「諸君、楽にしてくれて良い。今日は宴の日だ。かくいう私も皆の作ってくれたご馳走を頂きたくてウズウズしていてな、早めに終わらせようと思う」

 

この数年の中でこの1年は記念すべき年だった。

その事を振り返ると、懐かしい感覚と共に身が引き締まる思いだ。

 

「我々は本格的に介入を開始した。警備だけで無く、様々な事業に手を伸ばし着々と成果を出している。これはひとえに諸君等のおかげである、こんな事では釣り合いはしないだろうが一つ言わせて欲しい。ありがとう」

 

そう言って頭を下げた。

 

彼女達は誇らしげにしたり、恥ずかしそうにしたりと三者三様の反応を見せる。

あのジェリコもいつもより胸を張って頬が緩んでいた。

 

「その成果の中でも最高の物が二人。今諸君等と肩を並べているクラウディオ・ラバロ大尉とエルザ・デ・シーカの両名である。

本来であれば既に二人は亡くなっているはずだ、しかし今彼等は生きている。それは何故か?」

 

「それは諸君!諸君等の力によって二人の悲しき未来を変えたからに他ならない!」

 

あの時、初めて彼女達の前に出た時と同じく熱の籠った視線が向けられる。

それももう慣れたものだ。

 

集団の一画で、右手を掲げようとしている勢力が見えるが気にしてはいけない。

 

「例え神が居ようと!我々は我々の家族を支え、守り、共に戦って定められた運命を覆すことができる!その証がこの二人である!」

 

「だが我々が切り抜けたこの1年は序章に過ぎない!我々の作戦はこれからが正念場だ!さて、私の故郷では勝って兜のなんとやらとあるが、今宵はこの1年を語らい、英気を養う場としたい!それでは諸君……」

 

手にしたグラスを掲げる。周りの皆も俺に続いてグラスを掲げた。

 

始めようパーティーを。

 

「乾杯!」

 

「「「乾杯!」」」

 

 

───────────────────

 

「たいした演説だなサイファー?俺が言ったナチスの亡霊も、間違いでは無いかも知れん」

 

「やめてくださいラバロ大尉。ただ一生懸命なだけですよ」

 

「あれを見てもか?」

 

流暢なドイツ語で何やら興奮している集団から目をそらして酒をあおる。

 

……なまじアルコールに強いこの体が憎らしい。

 

「あれは……不可抗力です」

 

「どんな不可抗力なんだ。まぁいい、それよりも……お前が言っていた序章と言うのは本当か?」

 

「もちろんです。我々の本来の目的はまだ未達成ですからね、義体の子だって引き込んだ子はエルザ一人だけです」

 

「本気で義体になった子供達を救う気なんだな」

 

大尉の言葉に黙って頷く。

彼もそうか、と一言呟いてグラスのワインを飲み干した。

 

俺はラバロ大尉に追加のワインを注ぐ、フルボディの赤がグラスを揺蕩う。

 

「ヘンリエッタ、リコ、トリエラ、クラエス、アンジェリカ、ベアトリーチェ、シルヴィア、キアーラ。全員がターゲットです。これから義体となる子達も当然」

 

「そんなお前に頼みがある、余力があればで良い。担当官も頼む。あいつらは……」

 

「無論引き込みますとも。大尉がクラエスの父であるように、彼等も義体の兄ですから。それに、ジャンには風通しを良くして貰った礼をしなければ」

 

既に古傷となった二つの銃創に手を当てる。もちろん痛みなどはしないが一生物の傷になってしまった。

この礼は返さなければならない。

 

そう思っていた俺の耳に、とぽとぽと何かを注ぐ音が聞こえて顔を上げる。

気持ちの良い笑顔を浮かべるM16と目が合った。

 

「よ、指揮官。せっかくのクリスマスパーティーなのにシケた顔をしてるじゃないか、まぁまぁ飲みな飲みな!」

 

「そいつはありがたいな。で、この酒は?」

 

「ふっふっふ、私が注いでるんだぞ?そりゃぁもちろん」

 

「「ジャックダニエル!」」

 

「「はっはっはっは!」」

 

注がれた琥珀色のウィスキー、ジャックダニエル。

バニラやキャラメルを思わせる甘い香りを目一杯楽しんで、グッと飲み干す。

 

喉を焼くアルコールとジャックダニエルの風味の何と美味き事か。

ビールやウオッカも良いが、個人的にはこれが無いと飲んだ気がしないな。

 

「いい飲みっぷりだ、流石は指揮官だな」

 

「あぁ。やっぱりジャックダニエルは美味い、コイツが無いと始まらないな」

 

「そうだろう?あ、そうだった。ラバロ大尉、指揮官を借りても良いか?妹が一緒に飲みたがってるんだが……シャイでな。私が誘いに来たんだ」

 

「勝手に持って行け」

 

「サンキュー!」

 

M16に腕を引かれて連れて行かれた先は、賑やかなパーティー会場から少し離れたバーカウンター。

普段ならスプリングフィールドがカフェを営んでいるが、今はバー仕様だ。

 

その隅の方にM16の妹であるM4A1が寂しそうにちょこんと座っている。

 

「M4、指揮官を連れてきたぞ」

 

「あ、姉さん。ありがとうございます、隣にどうぞ指揮官」

 

「じゃ、私は他の所に行ってくるからな……妹に変な事するなよ指揮官?」

 

M16に釘を刺され、M4に促されるままに腰を下ろす。

元から少々内気な性格のある彼女も、パーティーの雰囲気に当てられたのか楽しそうだ。

 

そんなM4が可愛らしく微笑み、空になったグラスにジャックダニエルを注いでくれた。

 

「指揮官、乾杯です」

 

「あぁ、乾杯」

 

機関銃の音とはまた違った子気味良い音を立てて乾杯。

また香りを楽しんで流し込む。

 

今日は本当にいい日だ。

 

「美味い」

 

「M16姉さんが注いだお酒と同じですよ」

 

「いや、酒のいい所は飲む相手や雰囲気で味変わるところだ。M4と飲むのはM16と飲むのとはまた違う……よくは分からないけどな」

 

「ふふっ、なんですかそれ」

 

笑ってM4もグラスに口をつける。

こくこくと酒を飲み、ほぅっとアルコール混じりの吐息を吐いた。

 

「でも指揮官の言ってること、何となく分かる気がします。姉さん達と飲むお酒とは違う気がして……なんだか楽しい」

 

「いい物だろう?酒は」

 

「だからと言って、姉さんや指揮官みたいに報告書を後回しにして飲んだりしませんけど」

 

「しっかり者の妹だな。だから俺もM16達も頼りにしてる」

 

事実M4は頼りになる。

タイムスケジュールはきっちり管理してくれるし、報告書の書き方や部隊運用の方法まで教えてくれた。

最近は416が押し気味ではあるが、良く秘書官としても着いてきてくれた。我が社でもトップクラスの実力の持ち主だ。

 

「今年はどうだった?この世界に来てもう数年、慣れてきたか?」

 

「はい、最初はデータでしか見た事ない景色に初めての食べ物。比較的平和な第三次世界大戦以前の世界に驚きっぱなしでしたけど……今はこうして指揮官と居れて幸せです」

 

比較的平和と言う言葉に苦笑いが出てくるが、それでもM4の言葉が嬉しい。

誰かに求められる……例えそれが指揮官と言う役柄だったとしても……

 

「指揮官、私達は貴方と居れて嬉しいんですよ。貴方と言う1人の人間が良いんです。だから自己嫌悪はしないでください」

 

「……まだ何も言ってないんだがな」

 

「指揮官が自分の首を掴むときは、自分の事を否定している時です。皆知ってますよ?」

 

「敵わんなぁ」

 

本当に、敵わない。

 

「指揮官はどうしてそんなに自分を嫌うんですか?指揮官は立派な人です、もっと自信を持っても良いと思うんです」

 

「俺はな……俺は俺が嫌いなんじゃないんだ」

 

不思議そうに首を傾げるM4、その仕草に思わずクスリと笑ってしまう。

彼女は、彼女達だからこそ、俺は愛せたのだろうな。

 

空いたグラスに注いだウィスキーを持て余す。

 

「俺は人間が苦手なんだ」

 

「人間が?TEC-9みたいにですか?」

 

「そう言う生理的な物じゃ無くてな。俺がM4達と出会う前……まだこの世界に来る前の事だ。まぁ下らん話だ、気にするな」

 

そんなに重い話では無いだろうが、楽しくも無い話だ。こんな聖夜に話す事でも無かろうし俺自身あまり思い出したくも無いからな。

わざわざ傷を作って楽しむ様な趣味は俺には無い。

 

「ふふっ。私、こんなにも自分が戦術人形で良かったと思えたのは初めてです」

 

「……別に戦術人形だから皆が好きな訳じゃない。俺は君達が君達だから好きなんだ」

 

「本当に?」

 

「もちろん」

 

これは俺の本心だ、俺はM4達を愛している。彼女達は良い子達だ、そんな彼女達を俺の我儘に付き合わせて……嫌になるな、本当に。

 

持て余したウィスキーを一口含む、なんだかさっきより美味しくない気がする。

いや……ダメだダメだ、今日はクリスマスなんだから。嫌な考えはしたくない。

 

「私、指揮官の事が知りたいです。貴方の事を、もっと深く……教えてくれますか?」

 

どこか熱を帯びた視線で覗いてくる、くりくりとした灰茶の瞳。

いつも世話になっているM4の頼みだ、断る事も無いだろう。それに元から隠す様な話も持ってはいない。

 

仮に心の傷口を抉り返すことになっても、腹を撃たれるよりマシだろう。

 

今もイタリアの何処かで眉間に皺を寄せているであろうジャン・クローチェに感謝しつつ、グラスを煽った。

 

「何が聞きたい?」

 

「え、良いんですか?」

 

「家族の頼みだからな。隠す様な事も無い、好きな事を聞くといい。面白い話は無いぞ?」

 

「は、はい!あ、えーっと……何から聞こうかしら?」

 

まさかOKが帰ってくるとは思わなかったのか、M4はあーでもないこーでもないと小首を傾げて唸っている。

じっくりと考えてくれればいいさ、俺は逃げやしないんだから。

 

ようやっとアルコールで温まってきた体に、追加の燃料を入れようと空のグラスにおかわりを注いだ。

そうしてジャックダニエルをゆっくり飲みながら俺への質問を考える彼女を眺める。

こうして居るだけで心に暖かな物が来るのは人恋しさが強かったからか?

 

人が苦手だと言うのに人を求めるバカらしさに思わず笑みがこぼれた。

 

「好きな銃ってなんですか?」

 

「……その質問は戦争が起こるぞ?」

 

「で、ですね。やめておきましょう……はい」

 

この質問だけは悪いが笑えない。

 

「じゃあ無難に、指揮官の好きな食べ物とかってなんです?」

 

「トマト煮だな、あれは作るのが簡単だった。鍋1杯作れば1週間は食えた」

 

「へぇ、指揮官はお料理をされるんですね」

 

「学生時代によく友人に作ってやったんだ。アイツまっったく自炊が出来なくてな。信じられるか?茹でたパスタに塩をかけて料理だ!って言い張るんだよ」

 

懐かしい、ちょくちょくアイツのアパートで飯作ってたなぁ。

 

アイツは元気だろうか。人付き合いが壊滅的に下手な奴だったが、普通に暮らしいて居るだろうか?

大学を卒業して、就職して、人と付き合って……人らしい、人としての生活を送っているだろうか。

 

「指揮官はそのお友達が大切なんですね。とても優しい目をしてます」

 

「10年以上は一緒だった。アイツが居ないから言えるが、あれは俺の半身みたいなものだ。あぁ……懐かしい」

 

本当に……懐かしい。

もう会えないと言う事実がより懐かしさを感じさせる。

ろくな人生歩めてなかったが、それでも思い出になるものだと感慨深い気持ちにふけった。

 

願わくばヘンリエッタとAlfaが俺達の様になる事の無いように。ただ祈る事しか出来ないが、それを願う。

 

「じゃあ次に……し、指揮官の好みのタイプって」

 

「浮気しない人」

 

「そ、即答ですか」

 

「2度目でパーソナリティ障害が出たんだ。3度目はどうなるか分からん」

 

「え」

 

C群、特に俺は回避性と境界性が強く出た。あんな苦しみはもう味わいたくは無い。

 

面白い話じゃないだろ?そうM4に言おうと思ったがやめといた。彼女の目がいつにもまして座っている。

 

「そいつは……指揮官を裏切った女を、指揮官はどうしたんです」

 

「別にどうもしないさ。いや、どうも出来なかったの方が正しいか……いきなり風俗で働いてるって言われたと思ったら、キノコみたいな頭したホストを連れてきてな?『あなたは優しいけど、この人はスリルがあって良いの』なんて言われてなぁ。

思い出も時間も、なんなら金も盗られて狂っちまったってワケだ」

 

ホント、おかしな話だ。

けど思い出すなぁ、小さい背で俺の横をちょこちょこ歩いて、腕に抱きついて。

 

あの子の瞳。

丸くて柔らかかった頬。

サラサラと手触りの良かった髪。

焼き付いて忘れられないのは姿だけじゃない。

 

大人っぽさを出したいと言う彼女にプレゼントした香水の匂い。

抱きしめた体の柔らかさと温もりが……

 

「指揮官!しっかりしてください!」

 

「んおっと……ちょっと飛んでたか、助かったよM4」

 

いかんいかん、少し引っ張られすぎたか。

クリスマスとは言え少しばかり弛みすぎだな。

俺は彼女達の指揮官なのだ。ただでさえ普段から迷惑をかけているのに、シャンとせねばならん。

 

グラスの酒を飲み干し、次を注ぐのも億劫になった俺はカウンターの酒瓶を引っ掴んでラッパ飲み。

 

上手く飲めずに口の周りにこぼすのは手が震えているからか。

 

「お酒を置いてください!」

 

「あぁ、まだ飲みたいのに……」

 

「ダメです!」

 

俺からひったくったジャックダニエルの酒瓶を渡すまいと抱えるM4。そんな彼女に手を伸ばすが全くもって取り返せる気がしない。

返してもらおうと顔を見たが、彼女の目が本気で怒る手前の顔だったのでやめておく。

 

まだ飲みたいのに……

 

「辛かったん……ですね。ごめんなさい、私がこんな事を聞いたから」

 

「別に、これよりもっと酷い事だって経験してる。まぁ、戦争経験者の君達からすれば甘えた事を言ってるんだろうがな」

 

「そんなこと無いです、指揮官が辛かったのはよく分かりましたから」

 

「そうかい……ありがとう、M4」

 

さて、今の俺の手元にはグラスも酒瓶も無い。

つまりこの場をやり過ごす手段が無いのと同義、互いにどう声をかければいいのか分からず、二人の間にはしばしの沈黙が流れた。

 

M4には悪いことをしてしまった。自分ばかりが話をして彼女を困らせて……

嫌な考えをかき消そうにも手元に酒は無く、せめて一本でも吸えたらと懐のシガーケースに手を伸ばしかけるがここは禁煙。

 

どうにも八方ふさがりのこの状況。

何か無いかと辺りを見れば、同じ事を考えたのかせわしなく視線を動かすM4と目が合った。

 

その不安げに揺れる彼女の瞳。空気を悪くしたのは俺だというのに、なぜM4がそんな目をしているのか。

彼女達のそんな目は見たくないのに、そんな目にさせてしまった事を悔いても遅い。

 

だからせめて、これだけはM4に伝えなければ。

 

「確かに俺の人生辛いことばかりだったさ。裏切られ、捨てられ、貶され……でも、良かった事もあるんだ」

 

「良かったことですか?」

 

「あぁ、君達に会えた事だよ。君達と会えて、言葉を交わして。それが俺は幸せだ」

 

「そんなことで」

 

「愛する君達に愛してもらえる。最高の幸せだ、それ以上に何がある」

 

「今日の指揮官はちょっと変です」

 

「酒と、空気に当てられたとでも思ってくれ。今回だけだ、次からは元に戻すさ」

 

俺は君達に救われた、だからこれを言わなくちゃならないんだ。

 

「M4、ありがとう」

 

彼女達は戦術人形、人では無い。

 

それがどうした?

 

彼女達のおかげで今の俺がいる、人の心の暖かさ失わずにいる。

人の善性を否定し、闇に身を置くこと無く俺がいる。

 

人の形をした人形に、魂をくべればそれは人だろう。

 

だから彼女達は人なんだ、紛れもなく。

 

俺自身、俺が何を言っているのか分かりゃしない、けどM4には何となく伝わったようだ。

M4の瞳からは不安げな色は消え去り、キラキラと輝いている。恥ずかしそうに、でも嬉しそうにはにかむ彼女は可愛らしい。

 

やはり美人には笑顔だ。なによりも、好きな相手には笑っていて欲しいもの。

 

「あの……指揮官、1つお願いがあるんです。聞いてもらえますか?」

 

顔を赤らめながら聞いて来るM4、そんな顔をされれば聞くしかあるまい。

SOPとは別ベクトルで甘え上手というか、男心くすぐる仕草を無意識下でしてくるM4がなんとも可愛らしい。

 

「一つと言わず、何でも言ってくれて良い。叶えられるのなら、全力で叶えよう」

 

「何かが欲しいとか、そう言うのじゃないんです」

 

普段からわがままを言わない大人しいM4のおねだりとは珍しい。

それも服が欲しいとか、高グレードの装備が欲しいとかでも無いのか。

 

「えと……その、私!指揮官のな」

 

瞬間、突如として響き渡る二つの異なる銃声。

 

一つは甲高く弾けるような銃声がまるでドラムロールの様に続いている。

長く続く発砲音から察するに、ドラムマガジンが使える大口径SMG。それもレートの高い奴。

 

もう一つは……なんだ?

重く轟く様な銃声だ、そして連射していない。セミオートじゃ無いな?

恐らくは12ゲージのポンプアクションショットガン。

 

「しっししし指揮官さま、大変です!」

 

「どうしたカリン!敵襲か!」

 

「いえ敵ではありません!敵ではないんですが……その、Novaさんとトンプソンさんが」

 

「あー。分かった、直ぐに向かう」

 

駆け寄ってきたカリンからNovaとトンプソンの名前が出て来て直ぐに理解した。

 

「どーせNovaがトンプソンにケンカ売ったんだろ?シカゴピザは邪道だ!とか言って」

 

「そうなんです。と、とにかく来てください!」

 

「まったく、あのイタリアンピッツァ原理主義者め。すまんM4、お願いはまた後で聞くから!」

 

「はい、分かり……ました。気をつけて、指揮官」

 

寂しそうに目を伏せるM4の妹のSOPの面影を感じて、改めて姉妹なのだなと感じた。

ならSOPと同じ事をすれば良いだろうか?

 

M4の頭に手を置いて優しく撫でると、気持ち良さそうに目を細めている。

やっぱりSOPの姉だと謎の関心をしてしまった。

 

「ちょっとお灸を据えに行ってくる。返って来たらお願い聞かせてな?」

 

名残惜しいがそろそろ行かねばなるまい。

これ以上騒ぎが大きくなる前に、二人を止めるべく急いだ。

 




サイファー「トミー!Nova!何してる!」

Nova「あ、店長!こうなったらどっちが真のピッツァか店長に決めてもらいましょう。そして言ってもらうんです、アメリカンピザは邪道だって!」

トンプソン「おいおいお嬢ちゃん、お嬢ちゃんはボスの事を分かっちゃいない。ボスなら食い応えバツグンのシカゴピザを選ぶはずさ、だろうボス?」

サイファー「え?ピザなら照り焼きチキンが美味いだろ」

トミー・Nova「「はぁ?」」
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