GUNSLINGER DOLLS   作:ジョンドウ

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実地試験

『指揮官、僕は今でも納得はしてません。指揮官の命令じゃなきゃ……』

 

『そう悲しい顔をしないでくれMG338。君達に迷惑をかけない様にするにはこうするしか無いんだ。君達で言うメンタルアップグレードをするだけだからそう構えるな』

 

『でも……僕は!俺はッ!』

 

『338、頼む』

 

『……分かりました、では始めます』

 

───────────────────

 

「指揮官、404小隊全員到着したわ」

 

「指揮官やっほ!」

 

「よ!指揮官」

 

「ありがとう45、9と40は今日も元気だな」

 

「早くブリーフィングを始めましょう指揮官……あぁ安心して、G11はたたき起こすか、ら!」

 

「いでっ!?」

 

「よし、G11も起きたことだしブリーフィングを始める。今回のターゲットは陸軍情報将校のヴェロッキオ大佐、ヤツは軍の要職でありながら様々なテロリストや過激派団体に武器弾薬を下ろしていた裏切り者だ。コイツを福祉公社と共同で仕留める」

 

「予想される戦力は?」

 

「ヴェロッキオはシンパの高級ホテルを丸々貸し切り、共和国派の戦闘員を在中させているようだ。コレに悟られ無いよう侵入する。今回アサインされているのは404小隊、ヘンリエッタ、最後に実地試験を行う俺だ。では各員準備せよ」

 

───────────────────

 

私は夜のホテル屋上で不安そうにP90を抱えていた。

 

その理由は1つ、サイファーさんだ。

 

「ヘンリエッタ、まだ俺の目が怖いか?」

 

「いえ!サイファーさんには慣れました!慣れました……けど」

 

「けど?」

 

「サイファーさんって戦えるんですか?」

 

ここ最近公社のスポンサーになってからと言うもの、サイファーさんは何かと理由を付けては義体に声をかけに来る。

そこに下心とか邪な心が無いのは私でも理解できた。

ついこの前も、ケーキを差し入れしようとしてジャンさんに怒られていたとリコが話していたのを思い出す。

 

そんなどこかおっちょこちょいで優しい人。1番はジョゼさんだけど、公社の大人の人と同じかそれ以上に私達を心配してくれる不思議な人。

 

そんな人が戦えるのかな?

 

 

「心配してくれてありがとう、ヘンリエッタ。君は優しい子だな」

 

「わっ……その、どういたしまして」

 

サイファーさんが優しく頭を撫でてくれる。

分厚いコンバットグローブ越しに伝わる温かさ、ジョゼさんとは違う温もりなんだか安心するこの感覚。

 

出会った最初は怖かったけど、やっぱり怖い人じゃない、のかな?

 

『ヘンリエッタ。グリフィンの皆さんに迷惑をかけないように気をつけるんだよ』

 

「はい、ジョゼさん」

 

でもやっぱりジョゼさんが1番です。

 

「ヘンリエッタ、装備は大丈夫かしら?」

 

「はい416さん。貸してもらった防弾ベストもバッチリです」

 

「福祉公社の上層部はヘンリエッタにメイド服を着させて単身乗り込ませようとしていた。ふざけた連中だよ」

 

そう言ってサイファーさんが怒ってしまう。

心なしか無線機の向こうに居るジョゼさんもムッとしている様な気がした。

 

それが大切に思われているんだって気がして少し幸せ。

 

「だからグリフィンが今回の作戦を支援するんだ。ウチの装備は最新鋭だぞぉ」

 

装備したアサルトライフルを撫でるサイファーさん。

なんで隣の416さんが身悶えしているのかは分かりませんでした。

 

「サイファーさんが持ってるのは最新型のHKM4ですか?」

 

「はぁ!?」

 

「えっ!?」

 

さっきまで幸せそうな顔をしていた416さんが怖い顔をして詰め寄ってきました。

とても怖い顔をしていて、怒ったジャンさんよりも恐ろしかったです……

 

「いい?私はHK416!HKM4じゃないわ!」

 

「わ、私はサイファーさんのライフルの事を言って」

 

「私の事じゃない!」

 

「落ち着け416。ヘンリエッタに悪気は無いんだから、それにまだこのライフルにはHK416って商品名がついてない」

 

「ッ〜!?いいヘンリエッタ?これはHK416よ。講義でM4と習っても、ジョゼさんがM4と言おうと416よ!分かったわね!」

 

な、なんでこんなに怒ってるんだろう……

 

「ハイハイ要らないお喋りはお終いにして。そろそろ作戦開始時刻よ、皆準備してちょうだい」

 

45さんがそう言って手を叩くと全員が真剣な目に変わる。

さっきまで眠そうにしていたG11さんも、凄い形相の416さんも。

 

ラペリングが始めないと。

私も屋上の手すりにロープをしっかりと括り付け防弾ベストのカラビナに引っ掛ける。

 

トリエラみたいに上手にできるかな?

 

「これより作戦を始める。福祉公社の情報によればターゲットのヴェロッキオは最上階のフロア、そこの1室に引きこもり中だ。用心深いのかバカなのか知らんがそのフロアには少数しか護衛はいない、よし行くぞ」

 

サイファーさんの声で404小隊と一緒に降下する。

少しずつ、焦らず、慎重に。

 

「G11」

 

「ん、りょーかい指揮官」

 

予定通り誰も居ない部屋にたどり着くと、G11さんが窓ガラスに何かし始めたのを見ました。

 

ガラスカッターって言うのかな?

G11さんはスパイ映画みたいに静かに窓ガラスを割って侵入経路を作りだしたんです。

9さんや40さんに続いて私も部屋の中に降り立ってクリアリング。

そして45さんのアイコンタクトとハンドサインに従って部屋を出ました。

 

ホテルの廊下を静かに進んでいると、ポイントマンの45さんがそっと左手をかざします。

 

「止まって……前方に敵影2人、動きそうにないわね」

 

「背を向けている今なら不意討ちできるな。俺が行こう、来い416」

 

「了解」

 

サイファーさんと416さんは音も無く共和国派に接近しました。

サイファーさんは素手、416さんは警棒を持って。

 

そうして2人は共和国派に忍び寄り、一言も喋る隙を与えず首を折ったんです。

 

「お見事」

 

「わたしはCQBだって完璧よ」

 

「死体を隠す時間は無い、先を急ごう」

 

45さんを先頭に、ホテルのフロアを歩きました。

進路を塞ぐ共和国派を避けて進んで、殺して進んで……

高級ホテルの豪華なお部屋の中でも一際豪華そうなスウィートルーム。

ターゲットが潜む部屋。その前まで来ました。

 

どうやってターゲットを殺すんだろう?

スタングレネードを投げて突入するの?

 

けど40さんが取り出したのは細長いワイヤーの様な物。

 

「何ですか、これ?」

 

「スネークカメラさ、まぁあたいに任せなって!こうして少し動かし……っと、見えた見えた」

 

40さんが持つ見たことも無い小さなカメラには、はっきりとターゲットと護衛の2人が写っていました。

 

すると416さん、G11さん、9さんが扉に銃を構えて一発だけ発砲。

 

パスン!とくぐもった銃声。

木製の扉が穿たれる音。

ドサリと人が倒れる音が3人分。

 

「パンクチャー。中に入って確認する」

 

「わ、私も行きます!」

 

このまま何もしないでいたらジョゼさんに怒られる……事は無いと思うけど褒めてはもらえない!

 

サイファーさんに続いて私も部屋に突入、まだ息のあるターゲットにP90を向けます。

 

「ま、待て……俺は……」

 

そしてトリガーを引いてターゲットの頭を撃ちました。

サイファーさんはどこか悲しそうに私を見てきましたけど、その理由は分かりません。

 

「ジョゼ、こちらサイファーだ。ヘンリエッタがターゲットをKIA、これより合流地点に向かう」

 

『こちらジョゼ、了解した』

 

サイファーさんがジョゼさんとお話しています。

 

今日のお仕事、あんまり活躍出来なかったな……

 

「あぁ、あと1つ。ヘンリエッタが帰還したら褒めてやってくれよ?ターゲットを討ったのは彼女だからな」

 

『分かってるさ。ヘンリエッタ、ちゃんと帰ってくるんだぞ』

 

「は、はい!ジョゼさん!」

 

無線機を切って優しい目を向けてくれるサイファーさん。

なんだかプリシッラさんを思い出した。

 

やっぱりサイファーさんは良い人でした!

 

「殺し終わったなら帰ろうよ、眠ぃ……」

 

「帰ろ!帰ろ!わたし見たいテレビがあったんだ〜」

 

G11さんは眠そうに、9さんはテレビを見たがって帰りを急かしました。

2人とも416さんと45さんに怒られてましたけど。

 

「帰還するまでが任務よ。帰りに敵と遭遇するかも分からないんだから気を抜かないで、特にヘンリエッタはね」

 

「え!?」

 

「ジョゼさんに褒めてもらうまで気を抜いちゃダメってこと。アナタ浮かれてるのがバレバレだもの」

 

45さんはクスクス笑って私を見て……あうぅ///

 

「45、あんまりヘンリエッタをからかうなよ?」

 

「あら、ヘンリエッタが可愛いのがいけないわ」

 

私ってそんなに分かりやすいのかな。

 

そして撤退を始める45さんに404小隊の皆さんが続きます、私もサイファーさんに促されて撤退を開始しました。

 

私も最後まで気を抜かないようにP90を握って、足音を殺して脱出を目指します。

一つ一つの動作を的確に正確に。

良い仕事は全て単純な作業の積み重ね、そうジョゼさんに教わったのだから。

 

でも……できませんでした。

 

「誰だ!」

 

「ッ!」

 

皆さんと移動している時、最後尾に居た私は敵に発見されてしまって。

敵にアサルトライフルを向けられる前にP90を発砲しました。

 

パシュシュシュッ!とサプレッサーで発砲音を抑えられた5.7mm弾が敵の胴体に命中、けど殺しきれなくて……

 

血を吐いて倒れ込んだ時にアサルトライフルの引き金が引かれて、フロア内にけたたましく銃声が鳴り響きました。

 

「なんだ!銃声だぞ!」

 

「こっちだ!」

 

ドタドタと聞こえてくる足音、どうしようとサイファーさんを見ました。

 

「サイファーさん!」

 

「プランB!」

 

サイファーさんは腰のポーチに手を回して何かを取り出します。

それは緑色で丸くて……安全ピンが付いていて。

付いている安全ピンを引き抜いたサイファーさんは、それを足音の来る方向に投げました。

 

「プランBは爆破のBだ!」

 

サイファーさんの叫びを掻き消すような爆発がホテルを揺らしました。




友「404にUMP40は居ないだろ」

「俺の404には居るんだよ」

友「ルーカスかオメーは」
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