GUNSLINGER DOLLS   作:ジョンドウ

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Black マンさん誤字報告ありがとうごさいます


小さな天使アンジェリカ

今日はマルコーさんとグリフィンの人達とお仕事。

共和国派の人達がテロ予告を出したから他のみんなとも警備にするお仕事。

 

私達は国家警察総局の通りを担当するようにジャンさんに言われて、マルコーさんとグリフィンの人達を待った。

 

「あら~久しぶりですね、アンジェリカ」

 

「いつもより数センチ背が高い。成長しましたね」

 

「違うわ、この子シークレットブーツを履いてるのよ」

 

「アンジェリカ、今回の合同作戦よろしく頼む」

 

狼のような、かっこよくてキレイなお姉さん達。

そんな人達が笑顔で私を撫でてくれた。

 

 

 

───────────────────

 

 

 

「初めましてマルコー・トーニ。私達はグリフィンから派遣された小隊、反逆小隊よ。名前は分かるかしら?」

 

「いや、グリフィンから派遣された人員の顔と名前は覚えてる」

 

「それなら良かったわ。いちいち説明するのは手間だもの」

 

反逆小隊隊長のルシアことAK-12はどこか飄々とした空気をまとっているが、マルコーは油断しなかった。

 

今の彼にあるのは反逆小隊のメンバーに対する恐怖感がある。あの日、サイファーと一緒にアンジェリカのお見舞いにきたデストロイヤーの言葉が頭に残っているのだ。

 

(こいつらが未来からタイムスリップしたロボットだって?ハリウッド映画じゃないんだぞ……)

 

不気味の谷現象と言うモノがある。

ある科学者が提唱した、ロボットがその外観や動作において人間らしくなるにつれ、ある時点で突然強い嫌悪感に変わると予想されると言うもの。

 

今まで人間か人を元にした義体と考えていた者が、実はロボットなのだと知ってしまう。

言わば不気味の谷を下っている状態であった。

 

「どうかしたの?」

 

「いや……なぜ目を閉じているのか気になってな」

 

「心配は要らないわ。目を開けていなくてもわたしは問題無いし、そっちの方が余計な事に引っ張られなくて良いもの」

 

AK-12の目は瞼によって閉じられている。

そのはずなのに、まるで全てを見透かされているような視線を感じた。

 

「AK-12、そろそろ移動しよう」

 

「そうねAN-94、行きましょうか」

 

反逆小隊の4人はマルコーとアンジェリカを守るように布陣して移動を開始する。

 

今回の作戦は指揮官からいつも以上に念を入れることを頼まれたのだ。

まるで医療品の無い戦地で手の施しようのない重傷を負い、ただ介錯を求める負傷兵の様に。

AK-12達反逆小隊に深々と頭を垂れて涙さえ堪えること無く頼み込んむサイファーの姿。

 

AK-12達は戦術人形の中でもドライでリアリスティックな思考を持つが、そんな彼女達も指揮官の頼みは断れなかった。

 

あの時の指揮官を思い出す反逆小隊をアンジェリカはじっと見つめる。

 

「……」

 

「どうかしたか、アンジェリカ」

 

「あ、その……なんだか辛そうだったからどうしたのかなって」

 

「心配してくれたのか、ありがとう」

 

あの堅物のAK-15が優しく微笑みアンジェリカを撫でる。

そんな、ある種珍しい光景だがAK-12達は何も言わない。むしろ代わる代わるにアンジェリカを撫で始めた。

 

わっわっ!と可愛らしく慌てるアンジェリカの姿に一時穏やかな空気が流れる。

 

グリフィンの人形達にとって夢中劇から加入したアンジェリカは可愛らしく、そして朗らかな空気を作ってくれる掛け替えのない仲間だった。

 

誰からも愛される可愛らしい小さな天使アンジェリカ。

道行く誰もがその微笑ましい姿に顔をほころばせる中、担当官であるマルコーはただ一人薄暗い感情を抱える。

 

「……アンジェリカを甘やかすな。そう言うのはあんた達の指揮官だけでいい」

 

「人とは限りあるもの。だからこそ後悔の無いようにしなさいと指揮官様はよく言っています。

マルコーもアンジェリカも命ある人間、できることは今の内にですよ?貴方達は人間なんですもの」

 

含みを持ったRPK-16の嘲るような、羨むような言葉が嫌に耳に残る。

 

「指揮官の甘やかしはいつも通りなのね」

 

「サイファーさんはデストロイヤーちゃんを連れてお見舞いに来てくれたり、絵本とかを持ってきてくれたり……最近は夢の中でもサイファーさんが出てきて」

 

「夢の中?」

 

「はい。私が白くて大きな犬と歩いていると、サイファーさんが駆け寄って来る夢なんです。でも、なんだかとっても慌ててるのが少しおかしくて」

 

その話を聞いたAN-94がマルコーを見る。

AN-94の聞きたいことがあるとでも言いたげな視線に、マルコーもまた、言わなくても分かるだろうと諦めと哀しさを視線に込めて返す。

 

義体化の副作用はグリフィン医療班のおかげで押さえられるようになった。

しかし、それでも尚ゆっくりと確実にアンジェリカはその脳を侵され、義体となる前のアンジェリーナの記憶をおぼろげながら夢として見る様になってきているのだ。

 

AK-12はうっすらと瞳を開けてアンジェリカに微笑みかける。

 

「指揮官が慌てん坊なのもいつもの事よ、ね?AN-94」

 

「えぇ、指揮官は私生活だとかなり抜けてます。スティックシュガーと間違えてゼラチンをコーヒーに入れたり、小物をどこに置いたか忘れたり」

 

「うふふ、やっぱり指揮官様は面白いわ」

 

和やかな空気、楽しげな少女達。

ともすれば仕事の事など忘れていそうな雰囲気だが彼女達はグリフィンの誇るエリート戦術人形達。

反逆小隊が接近する車両に注意を向けるのに1秒とかかりはしない。

 

その車両はイタリアの市内ではごくありふれたゴミ回収のパッカー車。

早朝に走っているのなら違和感は少ないだろう、だが今はすでにゴミの回収も終わった時間だ。

そして何よりも違和感を放つのは、そのパッカー車がフルスモークなこと。

 

まるで何かを隠すように全面に張られたスモークフィルムに、睨みつけるAK-15の瞳が反射する。

 

「止まれッ!」

 

AK-15が素早くサイドアームのMP-443を引き抜き警告するも、依然前進を続けるパッカー車に発砲。

9㎜のPBP弾がフロントガラスを打ち砕く。

 

しかし露わになった車内に人は居ない。

つまりは電子制御の無人車両。

 

「深度演算モード、起動」

 

AK-12の美しくも無機質な眼が開かれた。

 

軍用戦術人形すらもハッキング可能な雪狼の眼は、文字通り瞬く間も無くパッカー車の制御システムに取り付き機能を掌握。

強制的に急ハンドルを切らせる事では車両を横転させる。

 

「クソ!何が」

 

「マルコーさんダメ!」

 

しかしこれで終わらない。

無人機を使った攻撃など、古今東西相場が決まっているものだ。

 

マルコーが視界に収めたのは、担当官を守ろうと健気にも身を挺するアンジェリカ。

無意識の内に伸ばした彼の手は襲い来る爆風と熱風に遮られた。

 

 

(クッソ……何が起きた……)

 

吹き飛ばされたマルコーは激しい激痛に声が出ない。パッカー車の荷台いっぱいの爆薬は周囲を全てを消し飛ばし吹き飛ばし、マルコーもまた強烈な爆風でイタリアの石畳に打ち付けられたのだ。

 

飛散した破片で開いた額からは止めど無く血が溢れ彼の視界を奪う。

周辺は火薬と土埃、そして爆発によって飛散した人間の血と脂のえずくような死の臭いで満ちている。

耳もまた、音叉を執拗に突っ込まれたかのように煩く鼓膜を突く。

視覚嗅覚聴覚、五感のほぼ全てが奪われた状況は如何に優秀なマルコーであっても諦めを強く意識させるものだ。

 

(爆風でメガネが……血が……視界が赤い、何も見えねぇ)

 

瓦礫か何かが覆いかぶさり身動きがとれない中マルコーは蠢く物を感じる。

 

「ダメージが規定値を超えました。AN-94、AK-15、反応ロスト」

 

(何だ……何がいる?)

 

「優先目標。アンジェリカ、マルコーの安全確保。捜索開始、システムスキャンモード」

 

金属の軋む歪な音を奏でて近づくAK-12に未曾有の恐怖を感じるマルコー、霞がかった真っ赤な視界に僅かばかり収めた彼女の姿は人からかけ離れていた。

爆発の熱と破片が人工スキンを破損させ、腹部を大きく裂き、腕をズタズタにし。人の骨格を模した金属フレームと配線が露出する身体。

 

しかし、それでも彼女は動いていた。

 

「アンジェリカ、バイタル低下。危険」

 

(何言って、やがる……俺はアンジェリカじゃ……)

 

眼球が抉れてなお発光するAK-12の眼がマルコーに向けられ、金属骨格の腕が伸びてくる。

マルコーはそこでようやく理解する事ができたのだ。

 

自身の上に転がる何か……それが、己の犠牲にすることをいとわず、ただ愛する人を守るため一人押し寄せる爆発に立ち向かった義体。アンジェリカであることに。

 

「アンジェ……おい……起き……」

 

体に覆いかぶさっているはずのアンジェリカはマルコーにとって最も近く、遠い身体。

呼吸すら感じられないその身体に手を伸ばすが変わらず指の一つも動くことは無かった。




友「で、なーんで投稿おくれたのよ」

 「病状が悪化した」

友「……つまり?」

 「適応障害進化!軽度の統合失調症!」

友「デジモンかよ、せめてポケモンにしとけ。誰も分からん」
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