GUNSLINGER DOLLS   作:ジョンドウ

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すみません、すっごい長くなりました


あの弾頭を止めろ

『ルイス隊は突撃せよ』

 

シルヴィアとキアーラ、そして戦術人形達が鐘楼へと続くたった一つの道を駆け抜ける。

 

「例の公社と警備会社共だ!真正面から来るぞ!」

 

「バカな連中だ、ロケットランチャーを喰らわせてやる!」

 

押し寄せる彼女達にRPGを構え、そのトリガーに指をかけた男は照準越しに女の子達を見た。

 

あの子達の様な年端もいかぬ子を少年兵として、まるで捨て駒のように扱うイタリア政府への嫌悪感が男の中でますます強まる。

 

「すまない……だが俺達も国のため、今ここでは死ねんのだ」

 

この国の腐敗を正し、二度と殺戮マシーンにされる子供が生まれないように男は覚悟を決め。

そしてその覚悟を抱いたまま一発の銃弾に倒れた。

 

その姿に周りの共和国派も浮き足立つ。

たった一発の銃弾で頭を失った男の亡骸は、明らかに狙撃によって殺されたものだから。

しかし今彼らが占拠している鐘楼は、サンマルコ広場どころかヴェネツィアでも屈指の高さを誇る塔であり、狙撃は困難であると予想していた。

 

そんな考えを嘲笑うかのように一人また一人と死ぬ。

 

「ルキノ!?どこからの攻げッ!」

 

「そ、狙撃!狙撃だ!」

 

「この鐘楼より高い建物なんて無いのにどこからだよ!」

 

次々に狙撃を受けた共和国派達が隠れるまでに、7人もの仲間が頭を失った。

音も無くただ静かに命を摘み取られる死の恐怖、いままで打倒イタリア政府への思いで火照った体が急速に凍える。

 

彼らはやっと自覚したのだ。

自分達は既にサイレントキラーに狙われているのだと。

 

「クソ!どこに居やがる卑怯者!」

 

「まてアメリゴ!窓から離れないと」

 

「向こうが狙えるなら俺達だって見えるってモンだろう!」

 

血気盛んな彼は双眼鏡を手にヴェネツィアを見回す。歴史的な町並み、雄大な山々、そして青々と澄み渡った空。

 

「映画ならスコープが光ったりして見つけられるだろうが……」

 

無論それが強がりなのは当の本人が一番よく分かっている。しかしそうでもしないと恐怖に飲まれそうになる体を抑えられないのだ。

 

そしてアメリゴは微かな違和感を見つけた。

青く、どこまでも青い空の中で違和感を放つ黒い点。

 

双眼鏡の倍率を最大まで上げたアメリゴの、その狭い視界の中。

軍用ヘリの中から銃を構える小柄でグレーの髪をした少年の様な少女。

 

「ヘリコプターから狙撃!?」

 

そしてその体には不釣り合いの大型狙撃から放たれた

408Chey-Tac弾が双眼鏡のレンズごとアメリゴの目を穿った。

 

「双眼鏡を使うならレンズが光を反射しないようにしないと。まぁ今更後悔したって、もう遅いですけど」

 

揺れるブラックホークの腹の中、ハイエンド戦術人形であるM200は自身の使用する狙撃銃のボルトを引いた。

煤に汚れながらも鈍く光る専用弾薬の薬莢が薬室を飛び出し機内に転がる。

 

揺れる機内からの超長距離狙撃と言う困難極まるシチュエーションであっても、的確に頭を撃ち抜くその腕前は流石の一言。

それは高精度な狙撃銃とABC弾道計算モジュール、そして何よりも彼女自身が持つ長年の経験と培った技術が可能にした、正に神業である。

 

「こちらM200、狙撃ポイントを変えて登はん部隊を支援します」

 

恐ろしきサイレントキラーは次の獲物を求める。

 

 

 

「全員窓から離れて銃を構えろ、そろそろ奴らが来るぞ!ルイージ、例の物は?」

 

「あるだけ仕掛けた。例のサイボーク共もこれで死ぬだろうさ」

 

「よし……総員構え!爆発と同時に一斉射撃、いいな!」

 

上層階で狙撃を受けている共和国派達と違い、下層に詰める共和国派達は反政府勢力特有の、あの嫌な熱気と狂気を保ったままであった。

 

それぞれがバラバラに武器を構えじっとその時を待つ。

そしてその時は来た。

 

固く閉じたはずの鐘楼の扉を蹴破って何かが飛び込んで来た。

 

「やれ」

 

起爆装置を握るルイージは、溢れる笑みを隠そうともせずスイッチを握る。

多くの同胞を屠り、我々の崇高なる意思を邪魔せんと暗躍する政府の悪魔。それを殺す事を考えただけで思わず体が震え、スイッチを押す指に必要以上の力が入った。

 

そして彼が侵入予想経路である正面玄関に設置した指向性対人地雷が起爆。

本体に内蔵されたC4の爆発を推力とし、地雷一つにつきおよそ700の鉄球がキルゾーンに入った者に襲いかかる。

 

「撃て!」

 

ダメ押しとばかりに一斉射撃を浴びせ込んだ。

 

既に地雷によってズタズタにされているであろう子供にただただ銃弾を撃ち放つ彼らには、トリガーハッピーと革命への陶酔。

そして無抵抗な少女達を嬲りものにしているという快感が麻薬のように一気にコンバットハイまで持って行く。

 

「撃ち方止め!よぉし、悪魔の最後を拝んでやるぞ!」

 

「もう顔も分かりゃしねぇだろうよ」

 

「へっ、ザマァ見やがれ公社の悪魔共め!」

 

歓声に沸く彼らは高揚した気分もそのままに、中には持っている銃を掲げるものまでいる。

 

見たか政府よと、これが我々の意地であると。

声高らかに叫ぶ彼らの前で、地雷の爆発と銃撃で発生した煙がゆっくり晴れた。

 

「まったく野蛮な連中だな!」

 

「あなた達の思い通りにはさせません!」

 

「さぁ!これからがショーの始まりだね!」

 

しかし姿を表したのは無残な姿の少女では無い。

 

分厚い装甲に幾多も刻まれた鉄球の跳弾後と、凹みすら作れずへばり付く様に潰れた銃弾がその堅牢さを物語るシールド。

それはAA-12 M1014 SPAS-12の3人の壁。

 

共和国派達は恐怖を越え理解が出来なかった。

誰一人としてまともに声すら出せず、ただ何が起こっているのかを脳が拒むだけ。

それが致命的な物だとも気がつかずに。

 

「おーし!全員ぶっ飛ばしてやる!」

 

「本気で行くから、覚悟してね!」

 

AA-12達に守られるようにしていたMG3とルイスがお返しとばかりに掃射を開始、襲い来る無数の銃弾に為す術も無くバタバタと人が射殺された。

 

先程まで鐘楼内に響いていた歓喜は悲鳴となり、満ちていた熱気は恐怖と混乱の渦へと沈む。

立てる者はAA-12とMG3にすり潰され、逃げる者はルイスになぎ払われ、地に伏す者はSPAS-12とM1014により地に帰る。

 

福祉公社に捨て駒の突入要員として投入され、その光景を後ろから眺めていた義体一期生のシルヴィアとキアーラは後に担当官にこう語った。

 

「あれは戦闘じゃ無いです、ただの虐殺です」

 

「一方的過ぎてなんだか……共和国派が可哀想でした」

 

 

鐘楼の上層と下層で地獄ができている時、別動隊のトリエラとベアトリーチェはグリフィンから来たトンプソン、MP5、G36Cと一緒に鐘楼から余り離れていない建物に陣取りクライミングの準備を進めていた。

 

「ヒルシャーさん、準備完了しました。突入部隊はどうなって居るんです?大きな爆発音がありましたけど」

 

『大丈夫だ、突入部隊に損害は無い。シルヴィアとキアーラも無事なようだ。ただ……」

 

「ただ?」

 

『グリフィンの部隊が強すぎだ。共和国派の注意を引きつけるどころか次々と進撃して鐘楼を登っている。これじゃ陽動にならない』

 

「良いじゃ無いですか、なら突入部隊と私達の登はん部隊で競争ですね。負けませんから」

 

トリエラはとても気分良くヒルシャーとの通信を楽しむ。

 

あの日、ヴェネツィアでこの人と必死に生きて、そして死のうと心に決めてからなんだかおかしくなった気がする。

体じゃなくて心が、私の本心がヒルシャーと居たいと、不器用で無鉄砲でどこまでも優しい彼を愛していると気がついたから。

 

「トリエラ、会瀬なら作戦の後にしな、人気の無いところでな」

 

「すみませんトンプソンさん。それじゃヒルシャーさん、行ってきます」

 

『トリエラ……絶対に帰って来るんだ』

 

「もちろん、私は貴方の義体ですから」

 

通信を終えたトリエラはどこか足が軽い。

 

きっと装備のショットガンのストックを切り落とした以外の理由が大きいのだろうと、登はん部隊の全員が思った。

 

「作戦は頭に入っているな?アタシ達はこの建物から鐘楼にロープを打ち込んで登はんする。目的は頂上に仕掛けられていると思われるミサイル弾頭の捜索と起爆装置の無効化だ。

クライミングが楽しくても遅れるな!」

 

「作戦の目的は首謀者の排除じゃないんですか?」

 

「そっちは福祉公社の目的だ。私達には私達の目的がある」

 

部隊を率いるトンプソンの声にトリエラとベアトリーチェが頷く。

 

彼女達はグリフィンから仕入れた防弾装備に身を包み、それぞれソードオフ仕様のM1887とマイクロウージーをスリングで下げ、グレネードランチャーのようなロープ発射銃を手に取った。

 

「本当に使えるんですか、これ」

 

「安心してください。スウェーデン製ですから」

 

ニコニコと言ってきたG36Cに、口数の少ないベアトリーチェはただスウェーデン製とだけ思って疑問を捨てて索発射銃構え発射。

 

空圧式の軽い反動を受け止め、飛んでいったロープが引っかかって居ることを確認して窓枠に足をかけて飛ぶ。

歴史有る建物を踏みしめる事に何か心に来る物を感じつつ鐘楼を登る。

 

「指揮官、MP5です。登はん部隊は鐘楼に取り付きました!援護願います!」

 

『了解、上だけ見て他は任せてくれ。そしてあの弾頭を止めろ、頼んだぞ』

 

「はい!」

 

「トリエラ、ベアトリーチェ聞いたな?敵はボス達に任せておけば良い。もし撃たれてもアタシ達が盾になるからな」

 

大型のサブマシンガンを担ぎ、マフィアのような出で立ちのトンプソンの何と頼もしい事か。

姉貴分とはこう言う人のことを指すのだろうと謎の関心を抱いてトリエラ達登はん部隊はクライミングを開始した。

 

駆け上がる様にはいかないが、それでもトリエラ達は素早く登る。

たまに顔を覗かせる共和国派にはサイファー達の援護が浴びせられ、妨害も無い。

鐘楼内部から響くけたたましい銃声と悲鳴を聞きながら歩みを進める。

 

「こ、こんなの、こんな事聞いていないぞ!下の奴らはどうなった!?」

 

「ダメだみんな殺された!ここにも悪魔共が来るぞ!」

 

「まだ負けた訳じゃ無い、迎撃態勢を整えろ!ここを乗り越えれば国中の同志達が立ち上がるんだ……それまで持たせるぞ!」

 

「いざとなりゃ頭上のコイツで道連れだ!」

 

侵入ポイントである展望台フロアに近づくと共和国派達の声。

どうやら突入部隊もすぐ下層まで来ていると踏んだトンプソンは静かに外壁を登り、背を向ける共和国派の首を掴んだ。

 

「ルカ後ろだ!」

 

「なッ!?や、やめ」

 

「1名様をフリーフォールにご案内だ、せいぜい楽しみな!」

 

共和国派のテロリストと言えどただの人間。

当然ハイエンド戦術人形の出力には敵わずおよそ90メートルの高さから引きずり墜とされた。

 

「彼らに難問を突きつけてあげましょう」

 

「みんな今です!」

 

G36CとMP5が展望台フロアへ一気に突撃、トリエラとベアトリーチェも続く形でテロリストを殲滅して行く。

 

トリエラはソードオフショットガンを巧みに扱いOOバックを叩き込み、銃剣で刺し斬り伏せ。

ベアトリーチェはアクロバティックに回避しながら鐘楼の鐘に飛び移り、マイクロウージーの連射を片手で制御し敵を屠る。

 

ものの数秒か、それほどまでの早業でフロアは制圧されたのだ。

 

「こちらトンプソン、ボス聞こえるかい?」

 

『聞こえるぞ、ミサイル弾頭は見つかったか』

 

「あぁバッチリだ。なんせ私達の真上にぶら下がってんだ、一体どうやってここまで運んだんだ?」

 

彼女達は一様に釣り鐘の代わりに吊された弾頭を眺めた。

それは紛れもなく巡行ミサイルクラスの物で、もし爆発を許すような事があれば鐘楼は崩壊。

彼女達も良くて肉片と手足の一部が見つかれば御の字の被害となるだろう。

もしそうなったらを想像してトリエラはゾッとした。

 

そんな中ベアトリーチェは視界の隅でモゾモゾと動く人影を捉えた。

まだ息のあるその男を仰向けに蹴って見れば、その手には起爆装置が握られてる。

 

「この人起爆装置を持ってる」

 

「でかしたぞベアトリーチェ。さぁそれは頂いていくぜ」

 

「わ、わかった!渡す、渡すから撃たないでくれ!」

 

「ほぉ、物わかりが良い男は嫌いじゃ無い」

 

既に戦意喪失した学生らしき男は持っていた起爆装置を震える手でトンプソンに渡すと、頭を抱え震えだした。

 

しかし無理もない。

突入部隊に追い立てられながら這う這うの体で階段を駆け上り、やっとの思いでたどり着いた先でまた一方的な殺戮を味わえばこうもなる。

 

G36Cが爆弾の解体を行っている間、トリエラはヒルシャーに通信を行う。

グリフィンの彼女達を信じていない訳では無いが、自らの頭上で存在感を放つ弾頭を前に恐怖を感じたから。

 

死の恐怖ではなく、ヒルシャーの元に帰れなくなる恐怖を。

 

「ヒルシャーさん聞こえ」

 

『トリエラ!早く離脱するんだッ!』

 

「ちょ、ちょっとヒルシャーさん!何かあったんですか!」

 

『何かあったのは君の方だろう!サイファーから聞いたぞ、君達が弾頭の下に居ると!

グリフィンからの情報ではその弾頭は巡行ミサイルクラスの物だ。そんな物が爆発すれば無事ではすまない!任務を放棄してもいい、すぐに離脱を!』

 

無線から聞こえてくるヒルシャーのあまりの剣幕に何かあったのかと身構えたトリエラであったが、それが自身を心配しての事だと分かると安堵と嬉しさが胸にこみ上げてくる。

 

あぁ、自分はこんなにも大切にされているのかと考えれば自然と優しい笑みが浮かびそれが声に出た。

それは無線越しに彼にも伝わったようで、笑っている場合じゃない!グズグズするな!と急かす声が聞こえる。

 

「ねぇヒルシャーさん、私嬉しいです。あなたにこんなにも心配してもらえて。大切にしてもらえて」

 

『何を言うんだ!そんな事は当たり前だろう!』

 

「だから離脱は出来ないですよ。私もあなたが大切だから、だからこそ、お仕事はこなさないと。私はジャコモを探しに鐘楼内に向かいます」

 

『いや、鐘楼内は既にグリフィンの部隊によって制圧された。どこにもヤツの姿は無い』

 

「そうなんですか?でもジャンさんは探せって言ってるんですよね」

 

『そうだが……なぜ分かるんだ』

 

トリエラは苦笑いを浮かべ、困り顔のMP5を見た。

 

「グリフィンの無線機からずーっとサイファーとジャンさんの言い争いが聞こえてるんです。ジャコモ・ダンテが居る居ないって」

 

『そうか……実を言うとこっちもなんだ』

 

ヒルシャーの言葉に耳を澄ませば、確かにそっちでも同じわめき声が聞こえる。

 

「弾頭はグリフィンの人達が無力化してますから大丈夫ですよ、起爆装置も既に確保しています」

 

『だが退避した方が良い。これは僕だけの判断じゃない、ベルナルドもベアトリーチェを退避させるつもりだ』

 

彼に花を持たせるのも悪くは無いかと考えたトリエラ。

彼女が分かりましたと口を開こうとした時に突入部隊が展望台フロアの扉をぶち破って入ってきた。

 

どうやら突入部隊も鐘楼を登り切った様で、傷ついたシールドと赤熱化したMG3のバレルが戦闘の激しさを物語っている。

 

「ちぇ、競争はあたい達の負けかー」

 

「うっ!眩しい……あーもう日の光って本当ヤダ。飴どこしまったっけ」

 

「M1014大丈夫?」

 

「だ、大丈夫じゃ無いです!覚悟はしてたけどこんなにも高いところだなんて!」

 

焼き付いたバレルを無造作に投げ捨てるMG3に、眩しそうに目を細めてキャンディを舐めるAA-12。

翼のような大きなシールドで器用に目を隠す高所恐怖症のM1014と、そんな彼女を心配しつつもマグポーチからおやつを取り出して頬張るSPAS-12。

 

こんなマイペースな人達が鐘楼から響く虐殺を奏でて居たとは到底信じられない。

しかし所々に付着している返り血と、続いて展望台フロアに出てきたシルヴィアとキアーラの信じられない物を見る目をしているので納得した。

 

「ひぃ!悪魔だ!助けて殺さないで!」

 

「あのこの人は一体?」

 

「気にすんなルイス。テロリスト共の生き残りだ、後で福祉公社に引き渡す」

 

トンプソンのその言葉が震える男を突き動かした。

 

人は恐怖が理性を上回った際、一気に攻撃的になる場合がある。

闘争の興奮から死の恐怖に突き落とされ、激しい銃声と悲鳴に追い立てられた男にとって、悪と断じる政府の秘密組織に捕まる事など恐怖以外の何物でも無い。

だからこそこの男は動いたのだ。

 

情けなく涙を流し鼻水を垂らし、近くに居たベアトリーチェを突き飛ばして、震える脚で駆け出した。

みっともない姿だ、向けられる多くの銃口すら無視して逃げる。

 

もう革命家ごっこなんてしない。真面目に復学して、真面目に働いて、慎ましく両親と暮らすんだと。

 

そんな想いを抱いたまま、彼の胴体は弾け飛び。ベアトリーチェもまた激しく吹き飛ぶ

 

「ベアトリーチェ!?誰が撃った、M200か!」

 

『僕じゃありません。おそらく大口径の狙撃銃による超長距離狙撃です』

 

「全員後ろに隠れて!」

 

AA-12やM1014達がシールドを展開。MP5がメディカルキットを取り出してベアトリーチェの容態を確認する中で、ピーッと機械音が響いた。

 

皆が恐る恐る視線を上げる。

 

吊り下げられた弾頭についている如何にもな装置が、緑のランプを灯していた。

 

『トリエラ!何が』

 

「狙撃です!それに遠隔で起爆装置を起動されました、ヒルシャーさんは退避を!」

 

『君を置いて行けるものかッ!』

 

「私はもう間に合わない!あなただけでも!」

 

次々と飛来する大口径弾が堅牢なシールドに弾かれる轟音、ベアトリーチェに呼びかけるMP5とG36Cの叫び。

 

死ぬには騒がしすぎるこの場が私の死に場所かと、半ば諦めのついた様な心でトリエラはハンドガンを取り出した。

ヒルシャーから貰ったSIG P230、想いの籠もったそれを手にただ無念を抱く。

 

(どうせ死ぬのならヒルシャーさんのそばで、見守られて死にたかったなぁ)

 

きっとそれは暖かいのだろう。

優しい彼の事だから私のために泣いて、ぎゅっと抱きしめてくれるのだろう。

きっとそれは、死の瞬間だというのに私の人生で一番幸せなのだろう。

 

『サブリナ、ルイス』

 

そんな想像を凍らせる様な。冷たく、重い言葉が無線機から聞こえた。

ヒルシャーの物では無い。

 

それはサイファーの声。

 

『二人は弾頭の下で構えろ』

 

SPAS-12とルイスはその指揮官の声に異議を唱える事も無く動いた。

 

『AA-12、べネリ、弾頭が下げられたフックを撃て。弾種スラッグ』

 

「サイファー!?何をするつもり」

 

『撃て』

 

12ゲージスラッグ弾がミサイル弾頭を吊すフックを破壊、炸薬だけでも500キロを越える弾頭が落下。

そしてSPAS-12とルイスがそれを受け止めた。

 

戦術人形として最高クラスの馬力を誇る二人にとってはその程度の重量は何という物ではないのだ。

彼女達は狙撃されることも厭わす歩みを進める。

 

目指す先は展望台フロアの外。

 

『指揮官。敵狙撃地点の特定完了』

 

『黙らせろM200』

 

『了解』

 

M200のカウンタースナイプが命中したのか狙撃が止んだ。

 

『投げろ』

 

SPAS-12とルイスが駆動部を最大稼働させてミサイル弾頭を投げ飛ばす。

 

激しい爆音と熱風が鐘楼を揺らし、弾頭の破片が辺り一面を蹂躙した。




 「投稿を始めてから無意識にポイントの上下とか、他作品と比べたりでハーメルンを楽しめなくなった気がする……」

友「知らんがな。それより麻雀やろうや」

 「やったぁ」
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