GUNSLINGER DOLLS   作:ジョンドウ

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ようやくドルフロ2がリリースされましたね。

ゲームをプレイしているとスマホが焦げ臭くて仕方ないですが何とか進めます。
皆さんも楽しんで!


羽化

だんだんと寒さの堪える季節になってきたイタリア、その市内に俺達は集まっている。

俺を除いて5人。その誰もが、思わず見惚れる程のロシアン美女ばかり。

 

「ボスぅ〜この服窮屈だよ。脱いでもいいか?」

 

「47、いつもの格好じゃ町を出歩けないだろ」

 

「別に?ウォッカを飲めば温まるからな!ボスもどうだ?」

 

これから人に会うのに飲酒は出来ない。そう言ってAK-47が渡してくるスキットルを返すと、彼女は少しむくれた顔をしてガブ飲みを始めた。

 

俺は酒に強い方で普段からM16やAKファミリーと飲んではいるが狭い車内でこうもウォッカを飲まれれば、さすがにアルコール臭に疲れてくる。

 

もっとも、AK-47だけでなく護衛の為連れて来た全員は気にしていない様子だが……

 

護衛として来てくれたのは

AK-47 74M Alfa 15達。

 

「それで指揮官。今回の目標はターゲットとの接触、もしヘンリエッタさんや他の義体と戦闘になった際には福祉公社の人間と共に無力化する。ですよね?」

 

「その通りだ74M、もちろん非殺傷で頼むぞ。福祉公社と戦争をするにしてもまだ時期早々だ、済むのなら穏便に事を運びたい」

 

「Понял(了解)」

 

常にクールな絶対零度の女、AK-74M。冷静かつ理性的、距離を感じさせる態度だが仲間思いの可憐な子でもある。

こんな無茶なお願いを聞き入れてくれたのがその証拠だろう。AK-47と俺が組むと心配だからと言って真っ先に志願してくれた。

 

何だかせわしない気配を感じて横を向くと、ソワソワと落ち着かない様子のAK-Alfa。

その理由は分かっている、これからヘンリエッタに会うからだろう。

 

「指揮官……ヘンリエッタは私のことを覚えているでしょうか?」

 

「いや、可能性は低いだろう。前に基地に来た時に反応はしなかったからな」

 

「やっぱりそうですか……SF小説みたいに都合の良いようには行きませんよね」

 

覚悟はしていても辛いものは辛い、AK-Alfa悲しそうに目を伏せた。

 

どうやらAK-Alfaとヘンリエッタはよく一緒に天体観測をしていたようだ。

彼女は持ち前のプライドの高さから、親しい友人はあまり多くは無い。けれどヘンリエッタはその数少ない友人だった。

失った痛みはどれ程のものだろうか。

無二の友を失った痛み……俺にも覚えがある。

 

「大丈夫だAlfa。俺と違ってAlfaもヘンリエッタも生きてて同じ世界に居る、なら忘れてたとしてももう一度思い出を作れば良い。今度はもっと良い思い出をな」

 

そう言って頭を撫でてやると、とても不満な顔をしてくるAlfa。だが撫でる手は止めない、撫でる手を止めれば悲しい顔をされるからだ。

 

そうしてAlfaを撫でているとバンの運転席に座るAK-15が声をかけてくる、どうやらそろそろらしい。

 

「指揮官。ターゲットが来ます、準備をお願いします」

 

「了解した15。さて諸君、向こうが攻撃するまで発砲は禁ずる。もし発砲した場合であっても決して殺すな。では行こうか」

 

イタリアの町並みに歩みを進める。つい先ほど狙撃事件があったというのに市民は別段と慌てること無く平穏であった。

 

もしかしてこの世界のイタリア国民はテロが多すぎて感覚が麻痺しているのだろうか?

あの悪都ロアナプラと肩を並べられるくらいの治安だと思うのはいささかオーバーか。

 

「お、見ろよボス。あいつら面白い顔してるぜ」

 

「あん?」

 

AK-47の声に反応して前を向けば情けない顔をさらしている担当官のジョゼ ラウーロ、そして何故か怯えているヘンリエッタとエルザ。

 

「どうしたね、幽霊でも見た顔をしているが?」

 

「お前はッ!」

 

「まぁ待てラウーロ、俺達はアンタらと話をしに来たんだ。物騒なモンを出そうとするのは止めようや」

 

フリーズから立ち直ったラウーロが腰に手を伸ばすのを先に制して、話がしたい事をアピールする。

俺は殺り合いに来たのでは無い、彼等に会いに来たのだ。

 

それに……

 

「俺はともかくとして、今連れている部下は強いぞ。義体の彼女達もダウンさせられる

……別にラバロ大尉みたいに誘拐しようってんじゃないんだ、そう怖がるな。そんなにビビられちゃ傷つく」

 

「……頭を撃たれても平気な人間がよく言う。お前は確かにヘンリエッタが狙撃したはずだ。なのに何故生きている」

 

「ジョゼ、言ったろ?話がしたいって。すぐそこに部下がオススメしてくれたバールがあるんだ、そこで話そう。着いてきてくれ」

 

流石に四方を囲まれて下手には動けないジョゼ達は、俺について行く形で移動する。

 

1番ヤバそうなジョゼ ヘンリエッタ組にはAK-47と15が監視している。AK-15は言わずもがな、47も力技においては指折りの実力を持っている武闘派人形だ。

逃げ出そうと時折隙を伺ってはいるが無駄だろうな。

 

そして少し歩けば、イタリアではメジャーなバールと呼ばれるカフェを発見した。

 

イタリアはこのバールがとても多いのだ、どこでも好きな時にコーヒーを飲めるのはとても素晴らしい。

また、イタリア人は個人個人が行きつけのバール……ミオ・バールなるものがあるという。

 

「ここだ、ベネリが教えてくれたら店だから信用出来る」

 

普段からこだわりの強いベネリM4が認めたバール、それだけでベテランバリスタのコーヒーだと言うことが分かるというもの。

 

「立ち話は疲れる、座ろうじゃないか。皆も座ってくれていい。俺の奢りだ、好きな物を頼んでくれ」

 

「何がしたいんだお前は。俺達と仲良く茶をしに来たんじゃないだろう、なぜ俺達の事を知っている、目的を言え!」

 

「ラウーロ、俺は言ったぞ?話をしに来たってな。もう一度言う、座れ」

 

苦虫を噛み潰したような顔をして席に座ったジョゼ達、俺はそんな彼等に向き合うようにして同じく席に着く。

 

バールのテラス席にはジョゼ達公社組と俺達とで一触即発の空気が流れるが、俺はこう言うの空気があまり好きではない。

人と話をする時は穏やかな空気の方が進みやすい。

 

無茶なことを思っているのは自覚してるがな。

 

「さて。へンリエッタ、エルザ。好きな物を頼みなさい、さっきも言ったが俺の奢りだ」

 

「あの……えっと……」

 

「…………」

 

「うーむ、ならカフェラテとチョコケーキはどうだろう?ここのオススメらしいんだ」

 

俺がカフェラテとケーキを3つと、各々が注文をした後は沈黙……誰一人として喋らない。それどころかヘンリエッタとエルザは俺と目を合わせようともしてくれない。

 

恐る恐るといった様相で注文の品をを渡してきたウェイターに、少し多めのチップを渡して人払いを頼む。

これは長期戦になるだろうな。

 

そうしているとAlfaが口火を切る。

 

「ヘンリエッタ、わたしはAK-Alfaよ!わたしのこと覚えてる?」

 

「えっと、分からない……です」

 

「そっか……そうだよね」

 

「でも……なんだか、どこかで会った事がある様な気もする。かな?」

 

ヘンリエッタの一言に泣きそうになっていたAlfaの顔がパッと明るくなった。

少なくとも悪い印象は持たれなかったのだ、これからゆっくりと友人になればいい。

 

この子達は、同じ世界を生きているのだから。

 

「僕達は見事にだまされて、ヘンリエッタは替え玉の人間を撃ったのか」

 

「ジョゼ、その質問はNOだ。さっきヘンリエッタが撃ち殺したのはそもそも人間じゃない、外見を本人そっくりに似せたロボットダミーだ」

 

「そんなSFじみた物が……いや、まさか共和国派のネストを襲撃した実行犯は」

 

「ご名答。流石はジョゼだな」

 

既にいくつかの共和国派やマフィアのアジトは鉄血組のガス抜きで惨殺されているからな。

最近はアリを潰しても満足出来ないと苦情も来ているが……

 

「まぁ、俺の本来の目的は君たちと話をすることだ。特にエルザ、君と話がしたかった」

 

「わ、私と……ですか?」

 

怯えて俯くエルザに声をかけて目を合わせる。

スカートをギュッと握り締める姿からは、テロリストを派手にぶち殺すサイボーグの片鱗は感じられない。

 

年相応の女の子、彼女が人並みの人生を送っていたならこんな姿だったのだろう。

 

「そう君だエルザ、エルザ・デ・シーカ。俺は君の事を知りたい、聞かせてくれないかな?」

 

「黙っていろエルザ!何も話すな!」

 

「野暮な真似はよせ。俺は穏便に事を運びたいんだ、意味は分かってくれるな?」

 

エルザの担当官、ラウーロが遮ろうとするが止めさせる、そして追従するように彼女達の殺気を含んだ視線が彼に向けられた。

 

ラウーロとて公社の担当官、荒事はこなしているのだろう。だが彼女達はより多くの、より過酷な戦場をくぐり抜けている。

こなした修羅場の数も質も上の相手に睨まれれば、尻込みするのも仕方が無い。

 

「そうだな……エルザ、何か好きなものはあるかな?」

 

「好きなもの?」

 

「そう、エルザが好きなもの。エルザ自身が愛しているもの。これが無いと生きていけないもの」

 

「わたしは……ラウーロさんが好きです」

 

多少なりとも視線を向けてくれるようになったエルザが話してくれた言葉。

 

それを聞いた俺は大きくうなずき……がっかりした。

 

「違う、違うんだエルザ。聞きたいのは”エルザ・デ・シーカ”が好きなものだ。

例えば、ヘンリエッタに話しかけていたAlfaは天体観測やSF作品が好きだ。

人の金なのを良いことに、酒を飲みまくっている金髪のお姉さんは見ての通りお酒好き。

そんな感じの事を聞きたいんだ、条件付けの設定ではなく」

 

「わたしはラウーロさん以外のことは……別に」

 

「そうか、なら日常の些細なことで良い。例えばここのチョコケーキはどうかな?」

 

「えと、甘いのはあんまり」

 

「大人なエルザにはティラミスの方が良かったか」

 

「い、いえ!いただきます!」

 

俺の言葉に、エルザは慌てた様子でケーキを1口頬張る。

 

やはり彼女も女の子。甘いのはあんまりとは言っていたがケーキを口に入れた時少しだけだが目が輝いて見えた。

そう、これだ。俺が求めていた物だ。

 

それから俺とエルザは色々な話をした。

綺麗だと感じた物は?美味しいと感じる物は?etc.etc……

気がつけばエルザは俺に怯えることも無く、目を合わせて話をしてくれる。大輪の花笑み……とは言えないが可愛らしい微笑みを浮かべている。

 

それを見た俺は大きくうなずき……満足した。

 

「エルサは美人さんだ。表情の無いのも絵にはなるが、今みたいに笑顔の方が可愛らしくて良い。君と話が出来て嬉しいよ」

 

「あ、ありがとう……ございます。私も話を聞いて貰えて、その……嬉しいです」

 

全く喜ばしい限りである。俺の元来の性格か、ウェブリーやP99達ちびっ子と関わったからか子供が幸せを感じていると俺も嬉しくなる。

こと義体の少女で、この後の運命を知っているエルザなら尚更だ。

 

そう、俺はこの子がどうなるかを知っている。

 

では俺はどうすべきか?

俺は決めたのだ。ならばやり通さなければならない。

たとえ外道のさらに下に落ちても。

 

「ラウーロ、もっとエルザを大事にしてやれ。こんなにも良い子じゃないか」

 

「部外者が知った風に言いやがって、義体は道具だ。馴れ合う必要は無い!」

 

「彼女達は1人の人間だ、道具では無い。ちゃんと向き合わなけりゃ……いや、何も言うまい」

 

俺は別にラウーロが嫌いな訳じゃない。

義体の少女一人一人に同情しながら公社で働くなんて常人のできる事じゃない。俺ならばとっくに壊れて自分を終わらせているだろう。

 

そう考えれば義体=道具と考えるのは悪くは無い手の1つだと言うことは理解出来る。

でも俺にはそう言う切り替えができないからな、俺なりのやり方をさせてもらう。

 

この蝶を羽化させるために。

 

「蛹は生命の神秘を感じられて好きだが、やはり蝶を見るなら成虫でなければ美しくない。そうは思わないか?」

 

ポケットから名刺を取り出してテーブルに置く、その名刺にはグリフィンの社名とエンブレムが。

 

そしてゆっくりとエルザに渡し終えた俺は、できるだけ優しげのある笑みを作って言葉を発した。

 

「我々としては君をスカウトしたいんだ。義体のエルザとしてでは無く、少女のエルザとして」

 

「私を……スカウト?」

 

 

───────────────────

 

 

私は与えられた部屋で一人俯き、今日の事を思い出していた。

いつもならラウーロさんを思いながら、ラウーロさんのためにライフルを磨くのに……今はなぜだかそんな気は起きなかったから。

 

私が恐怖し、私がラウーロさんよりも落ち着けると思った人。

結局あの後、ラウーロさんが怒って解散になったってしまったけれど、あの時間は私が公社に来てから一番楽しいお茶会だった。

 

「また……会えるかな?」

 

あの人と話して私は私の事が分からなくなってきた。

 

私はラウーロさんのために生きる。

 

本当に?

 

私はラウーロさんが好き。

 

それは本心から?

 

私には私があるの?私が私だと思っているのは、エルザと言う与えられた役割じゃないの?

 

私は……私を……

 

「今日はもう寝よう。この気持ちはどうせ、調整が忘れさせてくれるから」

 

そう一人つぶやきベッドに横になろうとした。

けど、なれなかった。

 

コンコンと部屋の扉をノックされたから。

 

「誰?ヘンリエッタ?」

 

ベッドから起きた私は声をかけても返事は無かった。

不審に思った私は、そっとドアを開けるも誰もいない。

 

考えすぎの疲れで聞き間違えたのかも。

そう思って部屋に戻ろうと振り返った瞬間、見えない物が私の肩に乗る。

 

「こんばんはエルザ、夜分遅くに失礼するよ」

 

「……え?」

 

また振り返って見てもそこに人の姿は無く、聞き覚えのある声がするだけ……違う、見えないけど確実に誰か居る。

 

うっすらと透明な、人の輪郭が見えたと思ったら、明確に人が出てきた。

私の心をかき乱している、あの人が。

 

「なんで……どうやって公社の宿舎に!」

 

「熱光学迷彩マント。値は張るが良い物だ、警備はもちろん軍用のサーマルまで欺せる」

 

そう言って微笑みかけて来るその人に、私はなぜか安心感と喜びを感じていた。

 

顔は……はっきり言って良くもなければ悪くもない。

雰囲気だって、ジョゼさんやヒルシャーさんのように真面目な感じはしなければ、ジャンさんやマルコーさんのように寡黙で大人な感じでもない。

 

なのになぜか落ち着く、もっと私を見てほしいと思ってしまう。

 

あんなに愛していたラウーロさんよりも、ずっと。

 

「俺がここに来たのはバールでの話の続きがしたかったからだ。それで、我々のスカウトは受けてくれるかな?」

 

スコープ越しに見た、あの時と同じ微笑み。なのに感じるのは恐怖ではなく、この人について行きたいって、そばに居たいって思いが湧いてくる。なら……

 

「はい。私のこと、連れて行ってください。私のこと……ちゃんと見てください」

 

与えられたエルザの気持ちではなく、本当の私の気持ち。

 

そうして私は彼の手をとった。




サイファー「カリン、これ何だ?」

カリーナ「え?あぁ、ロボットダミーですよ。花園ゆりねさんが使ってた物です」

サイファー「あ、あー。あったなぁ……コレ借りていい?」

カリーナ「えぇ、どうぞ。レンタル料は頂きますケド♪」
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