ボルテクス界に投げ出された人修羅少女が、千晶様と一緒に創世を目指す話 作:XX(旧山川海のすけ)
千晶の表情は強張っていた。
千晶は楽観視していない。
自分に罪があるか、無いか。
それを判断するのは千晶じゃないものね。
ここで平気な顔をして炎の中に飛び込めるような人間じゃないよ。
でも……
「ねぇ、真奈」
青い炎を前にして。
千晶は私に
「何?」
私は親友に目を向ける。
彼女は
「……私がここで焼け死んだら、ヨスガのコトワリを引き継いで欲しい」
……千晶の声は震えていなかったけど。
そこに軽さは一切無かった。
私は……
ヨスガのコトワリ。
私は正直、そこに疑問はある。
千晶のコトワリは、自分で生き抜く力や、力を貸してくれる人が居ない人を見捨てるというコトワリだ。
コトワリで創世すると、それが世界の常識になり、誰も疑問に思わなくなる。
……私は想像した。
皆が忙しく働いて、社会貢献している中。
自分で生き抜く力がなく、手助けする他人もいない人が見捨てられ、行き倒れて道端で死んでいる。
それを誰も疑問に思わず、衛生局に死体の回収を連絡する世界……
いいや……
自暴自棄になって暴れ出すと危ないからと、そういう状態になったと判断されたら、即座に薬殺される。
そういう世界。
それが素晴らしい世界だとは私は思えない。
だけど……
氷川氏が啓いたシジマの世界はもっと嫌なんだ。
そして私はヨスガに代わるものを提示できない以上……
「分かった。任せて」
……こう、答えるしか無いよね。
千晶は
「ありがとう。真奈」
私の答えに微笑んで
「じゃあ、行ってくる」
そして炎の中に、飛び込んだ。
私はキュッと奥歯を噛んでそれを見つめる。
私と千晶。
出会ったのは小学校。
小2のときに同じクラスになって。
学級会のとき。
クラスで「放課後までにクラスのゴミがオーバーフローする」という問題で話し合ってて。
学級委員である私が議長してたんだ。
そのとき
その日の日直がお昼休みにゴミ捨て場に捨てに行けばいい、という意見が出た。
だけど
「それは嫌」
「日直の昼休みが短くなるじゃん」
文句が出て
「学級委員が行けばいいのでは?」
……そんな意見が出た。
そして皆が同調し
私もクラスの全員がそういうのなら、拒否してはいけないのではないかなと思ったんだけど
千晶が
「……面倒ごとは全部赤林さんに押し付けて、自分は遊ぶってわけね。皆はそれが悪いとは考えないの?」
そう、ハッキリ言ったんだよね。
……その瞬間、皆黙ったんだ。
「でも、学級委員はクラスの代表だろ?」
中には、そう言い返す男子がいたけど
「赤林さんはそんな仕事をコミで学級委員を引き受けて無いわね。五味山君は飼育係だったわよね……あなた、例えばクラスで飼育してる金魚の餌を自分の家の冷蔵庫で保管する役をいきなり押し付けられても、笑顔で引き受けられるのね?」
そういうと、男子は自分の言ったことがどういうことなのか理解したらしく。
そのまま引き下がったんだ。
千晶はそんな風に、自分が正しいと思ったことは多数派が相手でもハッキリ言う子だった。
そんな姿をかっこいいという人も居たけど。
嫌ってる人もたくさんいて。
そして彼女はそういう人を全く恐れていなかった。
……生き残って欲しい。
私は祈る。
祈ることしかできない。
千晶を飲み込んだ青い炎は燃え盛り……
……消えたんだ。
消滅した青い炎。
そこに立ち尽くす千晶。
「……気に入ったぞ」
そんな彼女に、ヴィシュヌは
「橘千晶よ。お前は自分の正しさは信じているが、普遍性は信じていないな?」
そんなことを言った。
……言わんとすることは分かるかもしれない。
千晶は自分のコトワリが正しいと信じているけど。
それが誰にでも受け入れてもらえると思って無いし。
受け入れない人が悪であるとも単純には思ってない。
だから、自分が試練に失敗して死んだときに、私にコトワリを引き継いで欲しいなんて言ったんだ。
私の自由意志を理解していたから。
「……この炎で焼け死ぬのは、独善者のみ。そうでないのであれば、我が力を貸してやろう」
そう宣言し。
ヴィシュヌの手の中に、豪奢な装飾が施された立派な斧が出現する。
柄の長さが1メートルほどの、明らかに両手で振るう黄金の斧。
それを千晶に差し出しながら
「我が神器・パラシュラーマだ。持っていくがいい」
……神器の斧、か。
「いただきます」
そして千晶はそれを、神妙な表情で受け取ったんだ。
パラシュラーマとは、ヴィシュヌの化身の名前ですわ。
斧を持った英雄です。
本作を読んでいただき感謝です。
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これまで真1、真3、デビルサバイバー、ペルソナの二次創作を書いてきましたが、他にあると良いメガテン系二次は何ですか?(ちなみに次は真2で書く予定です)
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