ボルテクス界に投げ出された人修羅少女が、千晶様と一緒に創世を目指す話   作:XX(旧山川海のすけ)

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第87話 魔丞

「それはどういうことですか?」

 

 だけど、千晶は取り乱さなかった。

 

 冷静に、真意を確かめる。

 

 ゴズテンノウは言った。

 

「古来より、神をその身に降ろし、絶大な力を得た人間たちが存在する……」

 

 そういう人間のことを「魔丞(ましょう)」と呼ぶそうだ。

 

 魔丞(ましょう)……

 

 話は続く。

 

「人が神をその身に受け入れ、同一化を成し遂げると、その者は世界の決まりを逸脱する力を得るのだ……」

 

 人の持つ可能性の力と、神……つまり悪魔の持つ原初の純粋な力が合わさると、それは単純な力の足し算にならないらしい。

 

 そして

 

「人修羅も、その一つの在り方……」

 

 その言葉で、私はゴズテンノウの話が真実であると思った。

 私がこの身体で実感して来たことだから……

 

 その、全ての話を千晶は聞き

 数瞬考え……

 

 千晶は、私の親友は……

 

「いいわ」

 

 ……決断した。

 

 だけど、そこに

 

「……ほぼ確実に、合一化に失敗し、悪魔に自身の存在を粉砕されて終わるぞ……?」

 

 鬼神トールが、警告を入れて来た。

 

 このタイミングで、それを言うの……?

 酷いよ!

 

「ちょっと……!」

 

 私は抗議をしようとした。

 けれども

 

 千晶は

 

「……構わないわ」

 

 ……怯まなかった。

 

「良いんだな……?」

 

 ゴズテンノウからの最後の警告。

 千晶は頷いた。

 

「私は創世を目指した……! そして自分のコトワリを得た……!」

 

 その声は少しだけ震えていたけど……

 弱さは無かった。

 

 大きく腕を広げて、続ける。

 

「創世とは、自分の命が危ないから取りやめるとか、そんなことで諦めていいものじゃない! 次の世界を創るんだから……!」

 

 そうだね……

 世界を創るんだものね……

 

 半端な気持ちでやっていいことじゃない。

 それは理解できる……

 

 だけど……

 

「決断したなら、全てを捨てて成し遂げるものよ!」

 

 迷いのない親友の言葉。

 これは千晶が決めたこと。

 私が口を出していいことじゃない。

 

 だけど……

 

 私はあなたに、死んで欲しくない……!

 

 けれども。

 千晶の言葉を聞き届けたゴズテンノウは

 

 満足げで、興奮し、言ったんだ。

 

「良かろう……その覚悟。受け取ったぞ……!」

 

 ……ゴズテンノウが決断した!

 

「我が最後の力、お前に託そう!!」

 

 場が、震え始める。

 これからとてつもないことが、私の目の前で起きてしまう……!

 

「橘千晶よ……我が(しょう)を得よ! 悪魔を導く力……」

 

 お願い……千晶。

 無事でいて……

 

 私は祈った。

 

 そして

 

魔丞(ましょう)たれ!」

 

 ゴズテンノウのその言葉が発せられたとき。

 ゴズテンノウだった像の残骸が、完全に木っ端微塵になり、ただのマガツヒの渦に変わった……!

 

 はじまる……!

 

 ゴズテンノウの最後のマガツヒが空中で渦巻き

 

 千晶に向かって降り注いだ……!

 

 ゴズテンノウのマガツヒを浴び

 

 千晶の身体が変わって行く……!

 

「アアアアアアアッ!」

 

 千晶の叫び。

 同時にその身体が激しく痙攣し、大きく反った。

 

「千晶ッ!」

 

 私が叫ぶ。

 千晶の悲鳴に似た叫びは止まらない。

 

 ……その中で、千晶が変わって行く……

 

 肌が、文字通り真っ白になった。

 色白ってレベルじゃない。

 

 人外の白さ……!

 

 同時に、髪の色も変わる。

 茶色が掛かったロングヘアが、白髪に変わり……

 

「クアアアアアアッ!!」

 

 千晶が、さらに吠えた。

 荒れ狂う力を制御するためか。

 

 その叫びを発した瞬間、千晶がずっと身に着けていた、お気に入りだった長袖ワンピースが吹っ飛んだ。

 

 そして衣服を失い素肌を晒したせいで、その致命的な変異が目で見える。

 

 肩の後ろ……肩甲骨のあたりから、2本の真っ黒い触手が生えている……!

 

 こんなの……もう

 

 人間じゃない……!

 

 

 変異を終え……

 

 

 千晶は、私の親友は……

 

 振り返り……言った。

 

「見て……真奈」

 

 振り返った千晶の姿に、私は息を呑む。

 ……瞳の色が金色に変わっていた。

 

 そして……

 

「私は、合一化に成功した……魔丞(ましょう)になった」

 

 その言葉を口にした唇……

 

 鼻から下の部分が、首まで黒い外骨格のようなもので覆われている……

 

 異形……

 

 なのに……

 

 何故か醜いと思えなかった……

 それは、合一化に成功し、外見が変わっても千晶が千晶のままだからだろうか……?

 

 千晶は高揚した声で言う。

 

「この身体なら……掴める。誰にも負けはしない……!」

 

 裸同然の姿で、自分の手、触手を確かめるように見る。

 

 その手には変わらず握られている神器・パラシュラーマ。

 その黄金の斧を振りかざし

 

 大きく叫んだ。

 

「美しい、私の啓いた、理想の力の世界を創世できるわ!」

 

 千晶……

 異形になったのに……

 私と同じ、人じゃ無いものになったのに……

 

 ゴメン……やっぱり私……

 

 喜べないよ……!

 

 私は悲しくて、泣きそうになった。

 そこに

 

「千晶様!」

 

 どこからともなく、無数の天使たちが舞い降りて来た。

 この本営ビルの隙間から入り込んで来たのか。

 

 様々な天使たち……

 赤い鎧、白銀の鎧だけじゃない……!

 

 天秤を持った見るからに高位の天使。

 燃え上がる輪を携えた、黒い天使。

 水晶で身体が作られた、緑色の天使……。

 

「なんというお美しい姿!」

 

「共にヨスガの世を!」

 

「ささ、これを御召しを!」

 

 天使たちが純白のドレスを差し出して来る。

 

 千晶はそれを受け取り、素肌の上に身に纏う。

 

 ……その、ギリシア神話の女神が纏うようなドレスを。

 

 そして宣言する。

 

「……これより、銀座にあるニヒロ機構の本部に攻め込む!」

 

 その声は自信に満ち溢れ……

 女王、いや帝王の風格があった。

 

「シジマの奴らには決して創世などさせるものか!」




この世界線での千晶は、右腕を失って無いので。
原作で右腕に回した分のエネルギーが、2本の触手に回った感じですなぁ。

ここで第8章は終了。
次から第9章です。

本作を読んでいただき感謝です。
続きが気になる、面白かった。
その場合は評価、お気に入り、コメント等を頂けますと嬉しいです。

これまで真1、真3、デビルサバイバー、ペルソナの二次創作を書いてきましたが、他にあると良いメガテン系二次は何ですか?(ちなみに次は真2で書く予定です)

  • 真・女神転生if
  • 真・女神転生NINE
  • 偽典・女神転生
  • デビルサマナーシリーズ
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