ボルテクス界に投げ出された人修羅少女が、千晶様と一緒に創世を目指す話   作:XX(旧山川海のすけ)

99 / 115
第99話 百花<ヒャッカ>

「死ぬかと思ったよー!」

 

 氷川氏の禁止行為をしたせいで、瀕死に追い込まれていたピクシーに。

 千晶が魔法の傷薬を振りかけて回復させた。

 

 回復したピクシーはパタパタ羽ばたいて飛び回り、自分がどれだけ酷い目に遭ったのか手を振りまくって主張しまくる。

 

「この戦いに参戦しないと、あなたたち2人に同行した意味が無いと思ったんだー」

 

「まぁ、そのお陰で助かったわ。禁止行為をすると何が起きるのかを身をもって示してくれたんだもの」

 

 千晶はピクシーを労っていた。

 実際その通りだしね。

 

 私はピクシーが死ななかったことに安堵しながら……

 

 傍に転がっている氷川氏の亡骸を見た。

 

 ……悪魔をここに至るまで、何体も殺して来たから。

 正直今の私は、人を殺したことのショックは無かった。

 

 人間に近い姿を持つ悪魔でも、襲ってきたら倒して……殺して来たんだから。

 

 人を殺したのは、これがはじめてのはずだったんだけどね。

 

 氷川氏……

 新宿衛生病院で初めて出会った人。

 

 死の間際に呟いていたけど……

 

 あのときにもし私たちが殺されていたら。

 次の世界はおそらくシジマになっていたんだと思う。

 

 ……シジマは……

 

 私は嫌だけど、主張していることに大きな間違いがあるとは思わなかった。

 確かに

 

 もっと欲しい! もっと欲しい!

 

 だとか

 

 何が何でも夢を叶える。誰を敵に回しても!

 

 ……こんな考え方は平和を乱す。

 

 夢や目標を、世界の調和を乱す形で実現を目指して追うのは悪だと思う。

 そういうことは、他の人の世界を壊し、世界を破壊してでも追うべきものじゃない。

 

 そこは同感だったんだ……

 

 千晶のヨスガと氷川氏のシジマ。

 2つとも共存する世界が、どうして存在できないの?

 

 別に良いじゃない。

 

 ……正しいことが複数あっても!

 

 そう、強く思ったとき。

 

 

『そうだ……許すのだ。受け入れずとも』

 

 私の中で、声が聞こえた。

 

『お前その想いこそ……和而不同(わじふどう)。お前は親友の言葉であっても、安易に同調はしない。そして敵の言葉でも、同意できることは同意する……。その心こそ、次の世界の柱になりし思想……』

 

 それは女性の声で

 

『それは複数の正義を許容するコトワリ……他者の主張を自己と一致しないという理由で否定しない……それは百の花を認め、等しく価値を見出す真の多様性……』

 

 声には次元の高さを感じる響きがあり

 

『我がコトワリの名は……百花(ヒャッカ)……』

 

 同時に、その存在の大きさをイメージできる、人影が感じられた。

 その人影は

 

『我はその守護……異神アラディア……啓け。真の多様性の世界を……!』

 

 そう、最後に私に命じ。

 語ることを止めた……

 

 我に返る。

 

 ……え?

 

 何……?

 今の言葉……?

 

 これって……。

 

 私血の気が引いていく……

 

 私は……私は……!

 

 身体が震える……

 言いたくない。

 

 言えば運命が決定される。

 

 でも……

 

 コトワリを啓くということ。

 実際に声が降って来たとき。

 

 分かったんだ。

 

 これは投げ出してはいけないものだって。

 

 だから千晶は躊躇わず、人間を辞めて魔丞になった。

 

 だから私も……

 

「千晶」

 

 私は言った。

 親友に。

 

 振り返って私を見る親友。

 彼女は私の様子に何か感じたらしい。

 

 私は……

 

 意を決して……

 

「私、ヒャッカのコトワリを啓いた」

 

 伝えた。

 

 ……訣別の言葉を。




ヒャッカの守護はだいぶ悩んだんですよね。
そして最終的に、原作ゲームで高尾先生に憑依していた神・アラディアにしました。
多分高尾先生が納得する世界って、こういう形だと思うんですよね。

本作を読んでいただき感謝です。
続きが気になる、面白かった。
その場合は評価、お気に入り、コメント等を頂けますと嬉しいです。

これまで真1、真3、デビルサバイバー、ペルソナの二次創作を書いてきましたが、他にあると良いメガテン系二次は何ですか?(ちなみに次は真2で書く予定です)

  • 真・女神転生if
  • 真・女神転生NINE
  • 偽典・女神転生
  • デビルサマナーシリーズ
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。