ここだけ救護騎士団の子育て奮闘記(本編/子育て日記)   作:救護騎士団記の記録係

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元スレ:ここだけ救護騎士団の子育て奮闘記
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子育て日記:7日目 朝顔ハナエ

子育子育て日記:7日目 朝顔ハナエ

ミネ団長も、先輩も少し心配症が過ぎると思います。

私だってスズランちゃんのお母さんの一人で、救護騎士団の一人なので

立派にスズランちゃんのお世話くらいできます。

 

今日は、ミネ団長も先輩も地域のお手伝いということで

私一人でスズランちゃんの子守りです。

 

私だって立派にお母さんできるということを

証明して見せたいと思います

―――――――――――――――――――――

「では、ハナエ。くれぐれも頼みますね」

 

「ハナエちゃん、必ず何かするときはメモを確認してくださいね」

 

二人が出がけに私に渡したメモという名の紙束は

軽く文庫本のような厚みになっていた

 

私は胸の前にだっこ紐でスズランちゃんを抱え

両手にはミネ団長と先輩からそれぞれ渡されたその紙束を持って見送る

 

「心配いりません、私だって救護騎士団のひとりなんですよ!

 

そうやって見送ってから数時間

おやつの時間にさしかかり

「そろそろかな?」なんて、私はミルクを作っていた

 

ポットからお湯を注いで、適量の粉ミルクを入れてシャカシャカと振る。

哺乳瓶の周りが少し熱くてなんだか心地よい。

 

念を押されたので、テーブルに置いたメモに目を通すと

「ミルクは、粉ミルク以外のものを入れない事」と太い文字で書かれている。

この字はセリナ先輩のものだろう。

 

粉ミルクを振って混ぜる私の反対側の手には、フルーツ牛乳のもと

なんだか図星をつかれたような気持ちではあるけれど

私だってもちろん分かっている。

これはミルクには入れない。自分の今日のおやつのお供だ

 

「あー!あー!」

 

私が持っているミルクの瓶にスズランちゃんが手を伸ばす

この子は本当に賢いと思う。

お腹が空いても泣くのではなく、哺乳瓶に手を伸ばすのだ。

 

泣く事よりも、そうした方が伝わることが分かっているかのように

お腹が空けば抱っこをする私達をペシペシと叩き

おむつが汚れたら、そのおむつをペシペシと叩く。

 

「あらら、ちょっとまってね、スゥちゃん。まだ熱いからね」

 

「あーぃ」

 

私の言葉に返事をするように、声を上げるスズランちゃん。

本当に返事をしているのではないかすらと思う。

 

ただ、相変わらず哺乳瓶には手を伸ばしているので

意味を理解しているかはわからないけど

 

お腹が空いた様子のスズランちゃんに応えるため、私は哺乳瓶を水で冷やす

かといって、すぐに冷えるものでもないので

その間にちょっとおやつでもと

椅子に座って、お手伝いのときお土産にもらったブドウを一粒口に放り込む。

 

「うん、甘くておいしい~、種がなくて食べやすいし…」

 

「あーぃ!」

 

私の胸の中で私の声にこたえるように

きゃっきゃと笑うスズランちゃんに目を落とすと

その口元は、藍くブドウの皮の色に染まっていた

 

「わっわぁっ!食べちゃったんですか!?

 どうしましょう!ぺーしてください、ほらぺーって!」

 

私は慌ててスズランちゃんの手から

ブドウの粒を取り上げようとするものの

 

その手にしっかり握られてぐっちゃりと潰れたぶどうの果実を

スズランちゃんは手放してくれない。

 

それどころか、ニコニコとおいしそうに口元に運んでいる様子に

私はちょっとパニックになりながらメモへと目を向ける。

 

ミネ団長と先輩に貰ったメモの1ページ目

「何か困ったらすぐ連絡」のページがはやくも役に立つのであった

―――

 

モモトークを送ってから数分後

救護騎士団のドアはかつてないほど勢いよく開かれた。

 

それこそ、古ぼけたドアがはじけ飛ぶんじゃないかというほどに、勢いよく

その音にびっくりしたスズランちゃんがぐずり始めたのだが

ミネ団長はそれも構わず部室の中へと駆け込んでくる。

 

「ハナエ!スズランがぶどうを食べたというのは本当ですか!?」

 

「はい、油断した隙に口に運んでしまって…すみません…」

 

私の横に並んで、スズランちゃんの顔を覗き込むミネ団長の汗には

よほど急いできたのか汗がつたう。

 

そんな慌てるミネ団長と私の気も知らずきゃっきゃと楽しそうなスズランちゃんは

顔をよく見ようと覗き込む団長の顔にスズランちゃんの平手が叩き込んだ。

 

「あいた!こらスズラン、よく見せてください!」

 

「ミネ団長、ぶどうは早期から食べさせていいフルーツのようです

 これは種がないものですし、おそらくですが大丈夫だと、思います」

 

音もなく、気配もなく私の後ろに立っていたセリナ先輩。

その手には育児書があり、ミネ団長と同じように急いで帰って来たのだろう

頬には少し汗が浮かんでいた

 

「そう、ですか…よかった…

 しかし、自分から手を伸ばして食べるなんて、この子は本当に…」

 

この子の賢さは、みんなが知っていた。

 

ただの親ばかなのかもしれないが

この子は私達がしていることを理解しているかのように振舞う。

 

ミルクがごはんであること、私達がたべているものが食べ物であることを理解している。

つい数日前までは泣く事しかできなかったその子が、だ。

 

赤ちゃんにしては、異様とも思えるような理解の速さとその成長に

少し私達の方が置いていかれるような気分だった

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