ここだけ救護騎士団の子育て奮闘記(本編/子育て日記)   作:救護騎士団記の記録係

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元スレ:ここだけ救護騎士団の子育て奮闘記
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子育て日記:20日目 鷲見セリナ

子育て日記:20日目 鷲見セリナ

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子供の成長と言うのは、恐ろしく早いものがあります。

 

ここに来たときは寝返りすらもままならなかったこの子が

寝返りができるようになり

最初はミルクしか飲めなかったのに

今ではバナナも潰さなくても食べられます。

 

ここ数日で寝返りもマスターしたようで

仰向けにしてもすぐに寝返りを打ってしまう

そして、仰向けに戻すと落ち着いているかと思えば

もぞもぞと居心地悪そうにぐずり出してしまいます。

――――――――――

 

「あれ?」

 

トリニティの大浴場。

ティーパーティーのはからいで、私達にはたっぷりの貸し切り時間が与えられていた。

私達は代わる代わる髪と体を洗いながら

とはいえ自分のそれは大忙ぎで終え、私はスズランちゃんの体を洗う。

 

背中をスポンジで撫でていると違和感に気付いた。

腰のあたり、といっても、どこが腰かもおぼつかないその体に

大きなしこりが2つできていつのに気付く。

 

左右対称にできたしこり。

ただ、しこりと言うには少し尖ったそれを

私がよくよく観察していると

隣で泡を流し終えたミネ団長が私の隣でスズランちゃんの背中を覗き込む

 

「どうしました?セリナ」

 

「ミネ団長、ここ…」

 

スズランを抱えなおし、団長に背中を見せると

団長の目は驚いたようにぱっちり大きく見開かれる。

その瞳は、浴場の灯りすべてを吸い込んだかのようにキラキラと輝き始め

わくわくとしたような声色でハナエちゃんを呼んだ。

 

「ハナエ、こちらに!」

 

浴槽でとろけていたハナエちゃんが

ん?とこちらを見て、ゆったりと湯舟から上がってきて

ミネ団長の隣に並んでスズランちゃんの背中を覗き込む。

 

「はーい、どうしました?」

 

ミネ団長は私が抱えたスズランの背中をつんつんと突きながら

それはそれは嬉しそうに語る。

 

「見てください、これを。」

 

ハナエちゃんが団長の隣から覗き込み

私はスズランを抱えなおして背中を覗き込むと

ミネ団長は嬉しそうに、その正体を教えてくれた。

 

「翼です。スズランに翼が生え始めているんです!」

 

まだ羽毛すらないそれを断定するのは、経験だろうか。

 

「ああ、あぁ…」と何度も何度も呟いては、

それを何度も何度も指でなぞって確認するミネ団長

その頬は緩みきっていて、お湯に濡れた自分の翼をパタパタと

小さな水しぶきを散らしながら喜んでいた。

 

「この子の耳は丸い耳でしたから、きっと翼がないものだと思っていました。」

 

別に翼と耳の形というのは、あまり関係が認められたものではないはずだが

ミネ団長の耳先は、つんととがった形をしている

そんな自分とは違うその形に、てっきりそうではないと思い込んでいたのだろう。

 

「ふふ、団長うれしそうですねぇ」

 

「そうですね、なんだか妬いちゃいますね」

 

それは、きっと今まで、ミネ団長がスズランの耳を見ては感じていたことなのかもしれない。

だからこそ、こんなにも嬉しそうにしているのだろう。

 

「ああ、この子の羽は何色なのでしょうか。

 髪の毛の色は、どうやらかなり明るい色のようですが、まだ分かりませんね。

 私のように、髪と同じ色になるのでしょうか。それとも白い翼?黒い翼?」

 

「気が早いですよ、ミネ団長」

 

「ええ、そうですね。何色でも構いません。

 この子の翼は、この子だけの翼ですから」

 

舞い上がってしまっているのか、会話の嚙み合わない団長に

私とハナエちゃんは顔を見合わせて苦笑い。

そんな私たちを、団長は気にする余裕もないようだ・

 

「すぐに寝返りを打ってしまうのは、気持ち悪かったからなんですね」

 

「ええ、私も翼にはたまに悩まされますから。

 いまだに寝返りのときには、巻き込んでしまったり仰向けだと痛かったり、案外大変なのですよ」

 

「団長の翼はおおきくてカッコいいですからね~」

 

団長の翼に目を向ける。

よくよく見たことはなかったが、その付け根はふわふわとした羽毛に覆われていた。

 

この子の翼は、どのように育つのだろう。

大きな翼?小さな翼?団長のように力強い翼だろうか。

 

翼のない私たちには、それがどう育つものなのか

どうやって動いているのかは想像もできないが

まだ見ぬ翼に思いをはせて、私たちは仲良く湯冷めしていくのでした。

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