悟空「次は、お前らの番だ。」   作:ぐぬぬです

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まだ終われない。

 

 

_________もう、辞めにしようよ。かっちゃん

 

 

 

 

緑谷出久はブルブルと足を震わせながら立ち上がってくる彼に対して、そう呟く。

 

 

圧倒的な力の差。

 

 

それは誰が見ても明白だった

 

モニター越しで見ている生徒達や先生達

 

そして何より『闘っている本人達がそれを一番良く理解している』

 

 

彼の攻撃は緑谷出久には全くと言っていいほど当たらない

 

中距離からの個性での攻撃、近距離での殴り合い

 

更にはビルの一部分を破壊してしまうほどの威力の爆破を使用したとしても

 

『緑谷には掠り傷一つ付けることなく避けられてしまっていた』

 

 

それどころか、ほとんどの攻撃にカウンターを受けている為

 

爆豪の身体の方が既に悲鳴を上げている

 

 

 

 

_______身体中が痛む。

 

 

 

 

_______目も霞んできた。

 

 

 

例え個性を使わなくとも

 

例え手加減をして片手だけで相手していたとしても

 

 

『彼と緑谷の差は絶対に埋まらない』と言い切れるほど差が離れてしまっている。

 

 

 

 

だが。

 

 

 

それでも。

 

 

 

 

「もう終わりかよクソデク‥‥‥‥」

 

 

 

 

 

 

______彼はまだ、諦めていなかった。

 

 

 

 

 

 

 

「まだ、俺は立ってんぞ‥‥ッ

手ェ抜いてねえで『全力で掛かってこいやッ』」

 

 

 

 

 

 

 

それを聞いた緑谷出久はほんの少しだけ口角を上げた後、構え直す。

 

 

彼らは今、互いに何を思っているのだろうか。

 

それは本人達にしかわからない

 

だがこれだけは言える

 

 

 

 

 

 

 

 

勝負はまだ、終わっていない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

僕は朝早くにしてクラスメイト三人と共に校庭を共に走っていた

 

これは相澤先生に課せられた『修業』の一環だ。

 

とりあえず悟空さんからの教えに習って『基礎』を身に着ける為のランニングだ

 

もっとも、これは『普通のランニング』ではない。

 

皆それぞれ計10kgの重りを着けてでのランニングだ。

 

 

「し‥‥‥しんどい‥‥‥死ぬ‥‥」

 

「朝、‥食べたもの、‥‥全部出そう‥‥」

 

「‥‥は‥‥は‥‥‥き、きっつい‥‥‥」

 

 

 

 

とまあ、それぞれ一緒に修業してるクラスメイトは悲鳴を上げていた

 

 

 

「頑張って〜!ラスト一周したら終わりだから!」

 

 

 

 

一方僕の方は50kgの重りをそれぞれ両手足に着けて走ってる

 

最近は慣れてきたから倍にしてみようかなと考えてはいるんだけど

100kgの重りとなるとそもそも中々見つからないんだよね

 

 

 

ランニングをしたあとは各々別の筋トレをしてもらっている。

 

他二人と比べて運動に比較的慣れてる峰田君には少し重めのトレーニングをしてもらっている

 

それを聞いた峰田君は血涙を浮かべてたけど

 

 

ちなみに僕はみんながやってる筋トレの倍以上をこなした

まあ、悟空さんに鍛えてもらってるんだしこのくらい軽くこなせないと

 

 

 

「‥‥緑谷って、マジで、、凄いんだね」

 

「オイラ、‥‥マジで自信、無くなってきた‥‥」

 

「キツいぃぃぃ!」

 

 

 

各々様々な声を上げながらも、なんとか各々が各自のノルマを果たすことができたようだ。

 

やはりみんな雄英に合格出来るだけの技量があるだけあって皆成長が格段と早い

 

このままもう少し鍛えたら『気』の概念について教えるフェイズにも入れるかもしれないな

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「さあ!!始めようか有精卵ども!! 」

 

 

 

オールマイトの呼びかけと共に、続々とその身に戦闘服へ身を包んだ1-A生徒達が、演習用グラウンド・βに入場する。

 

今日の授業はヒーロー基礎学

オールマイト直々に指導してくれる授業だ

皆、それぞれの要望と個性届けにより学校関連の会社が被服控除として、最新の戦闘服が送られる。

 

 

 

「良いじゃないか皆、カッコいいぜ!」

 

 

それぞれの個性に合わせて誂えたコスチュームを纏う面々を見て、オールマイトは白い歯を輝かせた。

 

 

「先生! 今日は市街地演習を行うのでしょうか!」

 

 

 

飯田くんが尋ねると、オールマイトは人差し指を左右に揺らしながらNoと答える

 

「いいや、その先へ一歩踏み込む! 今からするのは屋内での対人訓練さ!」

 

 

それからオールマイトは懐から取り出したカンペを元に、演習のルールと設定について話していく。

 

 

平たく言えば

二人一組での核兵器の奪取、もしくは防衛。

 

制限時間は10分、充分すぎるほどの時間だ。

そして肝心なペア分け方法はくじ引きらしい。

その僕の相方はというと

 

 

「よろしくね!デク君!」

 

 

「うん!こちらこそ!」

 

 

 

入学試験の時に知り合ってそれ以来、ちょくちょく話すようになった麗日さんとペアになった

 

かっちゃんの影響で『デク君』とあだ名で呼んでくれるようになっていた

彼女が言うには『頑張れって感じのデク』のようでいい感じに思えてるらしい

 

その表現で僕もこの呼び名を気に入った

 

 

そんな初々しい気持ちの中挑む対戦相手は

 

 

 爆豪、飯田ペアだ。

 

 

 

 

「デク君は爆豪君と幼馴染なんよね?‥‥めちゃくちゃ強そうやなぁ‥‥」

 

 

 

「うん、凄く強いよ。少し前の僕だったら多分、まだ勝てなかったと思う。

でも」

 

 

 

僕は彼へ抱いている『憧れ』

その想いを飲み込みながら拳を握る

 

 

「勝つよ。絶対に」

 

 

 

そうだ。

僕は『最強にもなるんだ。』

 

その為の第一歩として、まず君をも超えなきゃいけない。

 

 

 

 

________勝たせてもらうよ。かっちゃん。

 

 

 

その言葉と共に、訓練開始のブザーが鳴り響いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「‥‥デクの相手は俺一人でやる。いいな?」

 

 

「いや、しかし‥ここは二人で待ち構えた方が勝率が高いのでは?」

 

 

「いいや、逆だ。

二人で来られた方が確実に負ける。確実にな。」

 

 

「‥‥‥‥」

 

 

「デクが一緒に来ないよう俺が抑える。

お前は麗日が来るところを迎撃しろ。

分断に失敗したら二人で掛かる。」

 

 

 

これ以上無く真面目に作戦を語る爆豪に、飯田は目を丸くさせた

 

 

 

 

「‥‥なんというか、その‥‥意外だな。」

 

 

「‥‥‥は?」

 

 

 

 

真面目に話していた筈の爆豪の顔が、飯田のその一言によって苛立ちに満ちた『クラスで見慣れた顔付きに変貌する』

 

 

 

 

「い、いや‥‥‥その、決して貶しているわけでは無いんだが、君がいつも緑谷君を敵視しているからね‥‥‥もっとこう、別の理由で緑谷君を相手するのかと」

 

 

 

「‥‥‥根本的な理由は変わってねェよ。

だがな‥‥『俺だって勝ちてぇんだよ。』」

 

 

 

彼の目は『本気だった』

その意図を組み取った飯田は、自分も本気で行こうと心に決めた

 

 

 

 

「負けっぱなしで終われねぇ‥‥‥終わってたまるかよ‥‥ッ!!」

 

 

 

 

爆豪もまた拳を強く握る。

 

 

 

 

 

 

 

_____________________________________

 

 

 

 

戦闘開始のブザーが鳴り響くと、緑谷と麗日はビルの入り口から入り、堂々と先へ進んで行く。

 

そしてビル二階、曲がり角へと向かうと

 

 

 

「‥‥‥よぉ。デク」

 

 

 

 

 

そこには爆豪が待ち構えていた

 

『たった一人で。』

 

 

 

 

「‥‥麗日さん、別の方向から先に行ってて。

かっちゃんは『僕が相手するよ』」

 

 

「うん!わかった!」

 

 

 

 

緑谷は、爆豪の意図を理解する。

だからこそ麗日を先に向かわせた。

 

 

 

 

 

「いいの?かっちゃん。麗日さんを追わなくて」

 

 

 

「追ったらテメェがフリーになんだろうが。

テメェにばっか好き勝手やられてたまるかよ」

 

 

 

「嬉しいよ。かっちゃん」

 

 

 

 

 

緑谷は口角を上げながら構える。

それを見た爆豪は改めて気合を入れ直しながら緑谷に向き直る

 

 

 

 

「‥‥デク、今まで楽しかったか?」

 

 

「‥?いきなり何を‥‥」

 

 

「さぞ滑稽だったろうな‥‥俺を見下せる立場になれてよ‥!!!」

 

 

 

 

 

 

そう言いながら爆豪は個性である爆破を使って一気に加速し、先手を狙う。

狙うは顔面爆破での一発K,Oだが

 

 

 

 

「早いね!」

 

 

 

 

口ではそう言ってはいるが、彼の顔付きは至って余裕。

焦る様子すら見せずに片腕で受け流してみせた

 

それどころか

 

 

 

 

「ごふっ!?」

 

 

 

カウンターの蹴りが爆豪の横っ腹に突き刺さる。

爆豪はその勢いのまま壁に叩きつけられてしまった

 

 

 

「かっちゃん、僕は君に対してそんなこと思った事なんてないよ。」

 

 

 

「‥‥ッ‥‥‥‥‥そいつは、どうだかなァッ!!!」

 

 

 

それでも爆豪は止まらない。

攻撃をまともに貰っても尚、怯むことなく緑谷へと向かう。

 

爆豪は何度も緑谷に手を伸ばす。

 

なんとか一発、自身の個性である爆破をぶつけようと試みる

 

 

 

 

だが、『架空は現実になっていた。』

 

 

 

 

手を伸ばしては弾かれ、腹に一発。

 

手を伸ばしては躱されて、反対の腕に一発。

 

手を伸ばしては避けられて、顎に一発。

 

手を伸ばしては受け流され、顔面に一発。

 

 

 

 

___________届かない。

 

 

 

 

 

「クソ‥‥‥なら、右から行ってフェイント‥‥!!」

 

 

 

 

爆豪はブツブツと何かを言いながら戦闘方法を模索する

 

 

しかし、それでも全くと言っていいほど自身の攻撃が当たらない。

 

ここまで来ると軽く笑いがこみ上げてくる。

 

 

 

 

 

 

________いつからこんなにも差が出来てしまったのだろうか。

 

 

 

いつから『こいつは』こんなにも強くなったのだろうか?

 

 

いいや。

 

 

『最初』から俺とこいつはこのくらい差があったのかもしれない。

 

 

 

 

 

 

「クソ‥‥‥こうなったら‥‥‥」

 

 

 

「これくらい‥‥貰っとけよ‥‥ッ!!」

 

 

 

 

この手榴弾の形をしたアームガードには特殊機構が備わってる。

この中に汗を溜め込み、レバーを引けば

溜め込んだ汗を一気に爆破させることが可能

彼は逆転の一手として、中距離での発射を行った。

 

しかし、その攻撃すらも緑谷出久には『届かない。』

 

 

 

 

「はっ!!」

 

 

 

 

威力はビルの一部を吹き飛ばすほどの火力。

流石の緑谷もこれをまともに食らってはタダでは済まないと即座に判断

緑谷はそのアームガードの発射口を逸らすことでその攻撃を避けてみせた

更にそこから流れるような回し蹴りが再び爆豪へと突き刺さる。

 

 

 

 

「ごッ‥‥‥‥がァッ‥‥‥!!」

 

 

 

 

 

地面に膝を付き、全身に巡る痛みに爆豪は必死に耐えながら立ち上がろうとする。

 

 

しかしその姿はあまりにも痛々しく、立ち上がるのがやっとの様子だった。

 

 

‥‥‥誰がどう見ようが『勝敗は明らかだ。』

 

 

 

 

 

「‥‥‥‥もう、辞めにしようよ。かっちゃん。」

 

 

 

 

これ以上続けても無駄だと判断した緑谷は、拳を降ろす。

 

爆豪は見るからにもう『限界だ。』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

だが、それでもまだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「もう終わりかよクソデク‥‥‥‥」

 

 

 

 

 

 

身体がもうボロボロの中、ゆっくりと立ち上がった爆豪は緑谷へ眼光を飛ばす。

 

 

 

 

 

 

「まだ、俺は立ってんぞ‥‥ッ

手ェ抜いてねえで『全力で掛かってこいやッ』」

 

 

 

 

 

 

 

彼がそう言うと共に、『爆豪の気が大きくなっていく』

 

その事態を見た緑谷は大きく目を見開いた。

 

彼自身、『気の概念』を理解してる様子は無い

 

 

それでも、『気を上昇させて行っている』

 

 

爆豪は、まだ諦めていない。

 

まだ、『本気で勝つ気でいる』

 

そうだ、彼は『そういう人間だ。』

 

 

 

 

 

_________そうだ。僕は、そういう君に憧れたんだ。

 

 

 

緑谷は静かに構え直す。

 

爆豪の問に答えるかのように

 

 

 

 

__________行くぞ。デク

 

 

 

 

彼がそう口にした次の瞬間

 

『光が爆ぜた。』

 

 

気が付けば爆豪は既に緑谷の背後に回り込んでいた。

 

それは今の緑谷でさえ反応が遅れるほどの速さだった。

 

 

 

 

「な‥ッ!?」

 

 

 

 

 

反応が遅れながらもなんとか攻撃をしようとするが、『緑谷に嫌な予感が走る』

 

それは『身の危険を感じるようなそんな感覚』

 

今、爆豪が炸裂させようとしてる攻撃が『まともに食らったら不味い』と身体自身がそう訴え掛けている気がする

 

 

その予感は『的中していた。』

 

 

爆破する瞬間、『爆豪の気が信じられないほど膨れ上がった』

 

それは今の緑谷にも匹敵するほどの気の上昇量だった。

 

 

 

 

「うおおおおおおおおおッ!!??」

 

 

 

 

 

なんとか両腕を入れて、爆破のダメージを最小限に収めた緑谷はすぐさま爆豪に向き直る。

 

これ以上続けてたらこっちが危ない。

 

咄嗟に判断した緑谷は気を開放しながらOFAの力も開放する。

 

 

‥‥‥‥‥しかし

 

 

 

 

「‥‥‥‥‥‥かっちゃん‥‥‥‥」

 

 

 

 

 

 

爆豪は既に気を失い、うつ伏せに倒れていた。

 

そう、この闘いはもう決していたのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

しばらくした後、演習は終わった。

 

 

勝利したのはヒーローチーム

 

 

僕と麗日さんペアだ。




何かを掴んだ爆豪君でした。
原作最終場面で見せたクラスターを掌握した覚醒爆豪とは若干の別方向です
現在の爆豪 瞬間戦闘力 約300

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