「えっと‥‥‥かっちゃんの容態は?‥‥」
演習終了後、すぐさまかっちゃんは保健室へと運び込まれた
かっちゃんの気の感じ的に致命傷ってわけじゃないとは思うけど、それでも心配のほうが圧倒的に勝ってしまう
だから僕は恐る恐る保健室に居るリカバリーガールへ尋ねると、呆れた様子で答えてくれた。
「全く、どうしてあーなるまでボコボコにするかね?演習授業なんだろう?あそこまでやらなくたってよかったんじゃないかい?」
「はい‥‥全くもってその通りです‥‥‥で、でも‥‥‥手は抜きたくなくて‥‥」
悟空さんとの組み手感覚でやってたけど、今思い返せば確かにやり過ぎな気はしていた
でも、かっちゃん相手に手を抜いて掛かるなんてこと僕はしたくなかったわけで‥‥‥
「言い訳は私じゃなくて担任にするさね。
全く‥しかしどうしたら『内部の運動器官が爆発したような火傷』が出来るのかね」
「‥‥‥え‥?なんですかそれ?」
「どうせアンタの個性で『火傷』でもさせたんだろう?じゃなきゃこうはならないよ」
「‥‥‥‥?」
少し身に覚えにないような事を言われて僕は状況を飲み込めずにいた
確かに手を抜かないとは言ったけど、僕はさっきまでの演習で『個性を使って闘っていない』
殴った箇所の当たりどころが悪くてとかならまだ分かる。
でも、怪我した要因が『個性による火傷‥‥??』
訳がわからない‥‥‥それとこれとでどうやって結び付くんだ‥‥‥
あの時のかっちゃんの様子は『僕が気の感覚を掴んだ時と似ていた』
そう、『身体の中にあるエネルギーを爆発させるような______』
「‥‥‥個性、、、『爆破』‥‥‥‥ッ!!」
僕はこの時ようやく気が付いた。
かっちゃんが掴んだであろう『何かを』
ぼんやりとした視界に光が差し込んでくる。
その眩しさに少し鬱陶しさを感じながらも、意識を覚醒させる。
そこから見えてきたのは見覚えのない天井だった
「‥‥ッ‥‥‥こ、‥‥こは?」
「あ、目を覚ました。」
意識を取り戻してすぐに聞こえてきたのは嫌になるくらいにイラついてた筈の幼馴染の声だった。
俺はゆっくりとそいつが居るであろう場所に目線を合わせる。
そこにはいつもみたいな笑顔でこちらを見つめている緑谷出久が居やがった
「調子はどう?」
「最悪だな。」
「そっか。ならよかった」
テメェ、俺の話聞いてたのか?と
何処か安心したように呟くこいつにこの疑問を問い直す気力は今の俺には無かった。
その理由なんて、決まってる
_______完膚なきまでに俺はコイツに負けたからだ。
「‥‥‥そっちこそ、気分はどうなんだよ?えぇ?」
「さぞ気分は最高潮だろうな、なんてったって今まで自分の事を虐めて来た野郎に『完全勝利』したんだからな。」
「そんで今は敗北者の顔を拝みに来たってとこだろ?ハッ、そんくらいしねえとそりゃ気は済まねえよな。」
‥‥何故か口が止まらなくなっていた
ここまで言うつもりなんて俺は無かった。
今まで心の中に秘めていた物が溢れ出るような、この時はそんな感覚に襲われていた
「かっちゃん。」
デクの声にビクリと反応した俺は、奴の顔を見る。
そこには真剣な顔付きで俺を見つめている奴が居て、こう言いやがったんだ。
「演習の時も言ったけど、『僕はかっちゃんのことそんなふうに思ったことなんて一度だって無いよ。』」
「そんなわけ____」
「僕にとってのかっちゃんは、『憧れの人だよ。』」
思いも寄らない言葉に、俺は思わず目を見開いて驚く。
「確かに、かっちゃんは何度か行き過ぎた事をすることはあったかもしれない。
でもさかっちゃん。君はいつだって、『強くあろうとしてたじゃないか』
それこそ幼い頃から。」
「かっちゃん、覚えてる?君が幼い時に上級生のいじめっ子にも臆せず突っかかってたのをさ。」
「僕は、『君のそういう強さを追求する姿』その背中に僕は憧れたんだよ。
‥‥‥‥‥だからさ。
そんな顔しないでよ?かっちゃん。」
‥‥‥‥‥コイツは、本当になんなんだ。
散々突き放したのに、散々ボロクソに言ってきたのに
それでも『憧れてる』だと‥?
本当に、、コイツは‥‥‥
「それにさ、僕‥‥今回の試合勝ったつもり無いんだ。その‥‥詳しい事は言えないけど、今僕が持ってるこの個性は、貰い物なんだ。
だから『個性を使わずに勝つつもりだった』 貰いもので勝ったって意味がない‥‥‥そう考えてたんだよ。‥‥‥でも」
「あの時、かっちゃんの攻撃を受けた時
これ以上続けたら『個性を使わないと勝てない』って思っちゃって、咄嗟に使ってたんだ。」
「‥‥‥だから‥‥‥授業での試合では勝ったけど、かっちゃんとの勝負には、負けたと僕は思ってる。」
「_________、、んなもんはどうでもいい」
「‥‥‥‥え?」
コイツが何を言ってるのかも、コイツが何を思って闘ってたのかも、そんなもん、今はもう考えなくて良い。
コイツは俺に勝ったつもりは無いと言いやがるが、そんなもんこっちからすりゃふざけんなって話だ。
こっちは完膚なきまでに負けたつもりでいんだよ。
それに、
「テメェの個性の事情だとか、個性が貰いもんだとか、俺からすりゃそんなもんクソほどどうでもいいっ!
それら全部引っくるめて『今のテメェの力なンだろうがッ!』」
「‥‥‥ッ!」
「______こっからだ。」
「こっから俺は、天辺に辿り着いてやる。
それこそテメェも超えてッ‥‥オールマイトをも超えてッ‥‥‥『この世で一番強くなってやるッ』」
緑谷は改めて思う。
彼が『幼馴染で良かった』と。
共に高め合うライバルであり、仲間であることを。
‥‥‥‥だからこそ
だからこそ僕はこの提案を彼に持ちかけるんだ
「‥‥ならかっちゃん、一度僕の師匠と会ってくれないかな?
きっとかっちゃんならもっともっと強くなれるからさ」
かっちゃんが同じような修行なんかすれば僕なんかすぐに追い越されるかもしれない
でも、それでも
かっちゃんのその可能性に、僕は『ワクワクして仕方なかったんだ』
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ある男は、ある『個性心理学本』を読んでいた
その中には『個性の制御が利かずに親を殺めてしまった事故』や
その個性を持っているが故の『本能』による犯罪事件
それらが多くの事件が記載されていた。
一つの事件内容はこうだ。
『一人の中学女子生徒が卒業式の日に男子生徒を呼び出し、ナイフで身体を切りつけ、傷口にストローを刺して『飲んでいた。』』
他にも似たような事件が並べられている。
そしてもう一つ。
『一人の中学男子生徒が素手で何人をも手に掛けた』と書かれている記事だ。
一度警察に取り押さえられるも、『個性を使ってなのか』警察から何度も逃げれているようだ
そして彼が発言した言葉は
『相手と生きるか死ぬかの闘いをするのが好きだ。』や
『飯の次に戦闘が大好きだ』等
どれも『普通の人間では考えられない思考性だ』
しかし、こう言ったものも『個性による影響』とも考えられる。
だからこそ、これからの我々は『このような個性による影響を受ける者たちにどう接していくべきなのか』
それが肝心だ。というのがこの本で言いたいことらしい。
「_______個性による影響‥‥‥ねえ。」
的外れにもほどある。とこの本を読んだ上で彼はそう吐き捨て先程まで読んでいた本を投げ捨てる。
「『先生』。結局襲撃はいつなんだよ?いつになったら『強い奴と闘えるんだ?』」
『今月には狙えると思うよ‥‥‥もう少しだけ待ちなさい。』
「そう‥‥‥ならそれまでトレーニングだな。」
俺はそう言って自分のトレーニング室へと向かう。
個性の影響でだのなんだのと例の本には書かれていやがったが、『先生が言うには俺は無個性らしい』
ならば俺のこの本能は元々備わっているもの
幼い頃は押さえ込んでいたが、今はもう我慢する必要はない。
この本能に思う存分従わせてもらう。
ちょっとだけ爆豪と緑谷の関係が和らいだのかもしれないですね
最後に登場したのはオリキャラですが、そこまで活躍させる気はありません
あくまで原作キャラ達の引き立て役程度だと思ってくれれば幸いです
本名はどこにでもいるような平凡な名前という設定です
しかしAFOからは『パーツ』と呼ばれています