戦闘訓練の授業をしてからしばらくの時間が経った
やはりと言うべきだろうか、高校に上がってからはいつにも増して多忙に感じる
先生やクラスメイトから学級委員長をやってくれないかと提案されたけれど‥‥
丁重にお断りすることにした
僕はそう言った誰かを導くような器にはまだ成っていないと考えているから
代役と言ったらちょっと変だけど、飯田君が委員長に相応しいと推薦したりもした
クラスメイトとも上手く交流出来てると思う
上鳴君や峰田君とマックに行って男子高校生らしい会話をしたり
「緑谷はさ‥‥何フェチ?」
「‥‥え?は?ふぇ‥‥‥ふぇち?」
「やっぱ脚か?それとも太ももか!?はたまたやっぱりおっぱいか!??」
「えーっと‥‥‥強いて言うなら‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥太もも‥?」
「「うおおおおおおっっ!!!やっぱお前は最高だぜ!!!」」
そのメンバーに切島君や砂藤君を加えてカラオケに行ったり
「________!!!」
「上手いな〜‥‥‥上鳴君‥‥‥」
「だよな〜。俺もあんなふうに歌えればなあ〜」
格闘技経験のある尾白君とも手合わせをしてみたり
「はぁ‥‥‥はぁ‥‥‥はぁっ‥‥‥参ったな‥‥‥俺はこんなに息切れしてるのに‥‥‥呼吸の乱れすら感じさせないな‥‥緑谷はなんの格闘技を?」
「え?‥‥‥うーん‥‥‥なんのと聞かれるとなあ‥‥‥総合格闘技‥‥なのかな?」
「流派とかないのか?」
「‥‥‥‥どうだろう?そこら辺よくわからないや」
そしてかっちゃんの‥‥えーっと‥‥『爆殺神モード』の練習に付き合ったり
「どォだッ!!!こんだけコントロール出来るようになったぞクソデクッ!!」
「凄いよかっちゃん!!あとはそれを維持出来る時間を増やすだけだね!今はどれくらい維持できるの?」
「ザッと3分くれェだ!!!」
「カップラーメン作れる時間だね!?」
傍から見ても充実してる高校生活を送れていると僕は思う
そんな僕は今、ヒーロー基礎訓練のレスキュー訓練の為にバスでの移動である場所に来ていた
ヒーローとして基礎中の基礎、命を救うという仕事についての訓練
『ウソの災害や事故のルーム』、通称USJへと足を運んでいた。
そして肝心のオールマイトは欠席‥‥きっと人を助けていたら制限時間が来てしまったんだと思う。
オールマイトはそういう人だ。
バスを降りてエントランスホールに入ると、1人のヒーローが1-Aを迎えた。
それはスペースヒーロー13号。災害救助で有名な紳士的なヒーローだ。
「わー! 私好きなの13号! あとでサインとかもらえへんかな!」
「えー、授業を始める前にお小言を幾つか………僕の個性は“ブラックホール”。この力はその名の通りその場にブラックホールを出現させること。
人命救助に最適だと、世間ではよく言われておりますが、使い方によっては簡単に人を殺せてしまう能力です」
13号先生は語る。
個性の在り方を使い方を
「超人社会は一見すると平和に見えますが、その実態は非常に脆い。
僕たちが持つ簡単に人を殺せる個性が辺りを見渡せばそこら中にあって、それら全てが個人のモラルに委ねられている。
人は状況が変われば、魔が差せば、簡単に罪を犯してしまうのにです」
「ですので! 今日はその力を人命の為にどう活用するかを学んでもらいます! 覚えて貰うことは一つだけ。
君たちの力は他者を傷つける為でなく、助ける為にあるのだと
‥‥‥‥‥そう心得て帰ってくださいな」
僕達生徒から拍手が舞い上がった、13号先生は丁寧にお辞儀をして挨拶を終える。
__________その時だった。
「_______ッ!?」
僕は何か、『明確な殺意を持った邪悪な気を感じ取る』
しかもそれは一つだけじゃない
____少なくとも、百人。
それに気がついたのは僕に加えて、ペナルティ組の三人だった
「な、なあ緑谷‥‥お、オイラの気のせいじゃなければさ‥‥‥」
「‥‥‥うん、そうだね。‥‥‥どうやら、授業どころじゃなさそうだ。」
「ッ!一塊になって動くな!!」
その言葉と共に『悪意達が顕となる』
ドームの天井付近に黒い靄が生じ、そこから100人以上の武装した人間が投下された。
「なんだありゃ!?また入学ん時みたいなもう始まってんぞパターン?」
「違うよ切島君。アレは多分『本物の敵だよ』」
呑気にそんなことを言い出す切島君に、僕は答える
「相澤先生、行かせてくれませんか?」
「緑谷‥‥それは流石に‥‥」
「お願いします。」
至って真剣な眼差しで相澤にお願いする
ここで僕が闘わないと、恐らく『みんな殺されてしまうかもしれない』からだ
相澤先生も、ヒーローとしてのカンからだろうか
それを感じ取ったのだろう。僕の願いを二つ返事で承諾する
「‥‥分かった。だが、無茶だけはするなよ」
「ありがとうございます。」
何故僕がここまでして前に出ようとしたのか
その理由はたった一つ。
『大量の悪意の中に強大な気を持つ者が一人居たからだ』
その気の大きさは『今の僕に匹敵するほどだ』
‥‥‥いや、気の総量だけで言うならば今の僕よりも遥かにあるのかもしれない
僕が近付くとほほ同時、明らかに他100人とは別格のオーラを身に纏うヴィラン二人が暗闇から姿を現れた
「おい、黒霧。
オールマイトがいないじゃないか。せっかくこんな大衆引き連れてきたのにさ………子供を殺せば来るのかな?」
「オールマイトが居ないなら俺帰っていいか?
クソつまんねえじゃねえか」
「ダメに決まってるだろパーツ。殺されたいのか」
僕が勢い良く向かっていくと、近くに居たヴィラン達が反応し一斉に掛かってきた
「ヒーロー気取りのガキが来たぞ!!ブチ殺せ!!」
軽く10人程度の人たちが一斉に掛かってきた‥‥‥けど。
『もちろん、この程度なら話にすらならない』
「はあッ!!!」
向かってきたヴィラン達を蹴散らして、一気に大将らしきヴィランの前まで近付く
その瞬間だった。
鋭い拳が僕の顔面へと襲い掛かる。
僕はその拳を右手で受け止めるが‥‥予想を遥かに超える衝撃が僕の身体を響かせた
『まるで、悟空さんからの正拳を食らっているかのような感覚だった。』
「ぐぅ‥‥!?」
「‥‥前言撤回だ弔。
こいつは俺が殺る。」
そう言った彼は先程まで心底退屈そうにしていたが‥‥今は違う。
僕が拳を受け止めた事でその表情が『満面の笑みへと変貌していた』
僕は確信する。
『コイツは別格だと』
「オーケーだ。なら俺達はコイツらを殺る。
頑張ろうな、脳無」
脳無と呼ばれた男は死柄木の言葉に答えなかったものの、その代わりに凄まじい速度で相澤先生との距離を詰め、剛腕を振るう。
僕やかっちゃんに比べれば少し劣りはするものの、普通では考えられない速度に先生は目を剥き、咄嗟に後方へと回避する
空を切った拳は、地面へと叩きつけられた
その二人からある程度距離があるにも関わらず、地面へと叩きつけられたことによって生じた風圧は僕らの方にも届き、その衝撃はUSJ全体にも響かせた
「何‥‥!!?」
相澤先生は自身の力で個性を封じたはず‥‥‥にも関わらずこの衝撃‥‥ということは『素の力だけでここまでの力を見せつけてきたんだ』
そのことに驚愕していると、目の前に居るヴィランの拳が力んだことが分かる。
「他所見してんじゃねえよッ!オマエの相手はオレだろうがァッ!」
目前に立つヴィランが凄まじい速さで回し蹴りを繰り出してくるが、それを瞬時に左腕で対応。
次に右ストレートが顔面に飛んでくるが、それも顔を逸らすことで空を切らせた
なんとか攻撃を防げているが、流石に焦りが芽生え始める
これらの一連の動きがあまりにも速すぎる
『どう考えても普通じゃない』
「フルカウル 50%ッ!!」
こちらも攻撃に転じる為にフルカウルの%を普段使用してる10%から50%まで一気に引き上げる
「おォッ!?一気に動きが良くなったなァッ!?」
フルカウル50%でやっとこっちの攻撃が当たるようになってきた
互いに拳や蹴りを受け止めながらの闘いだ
このまま長期戦に持ち込めば何処かで僕の100%をブチ当てることが出来るだろう
だが、今はそんなこと言ってる場合じゃない
相澤先生は個性無しであそこまでの馬力を出せるヴィランと闘ってる
闘いが長引けば先生もタダでは済まなくなってくる‥‥
_______なら、一気に勝負を決めるべき‥‥!!
そう思いフルカウルをもっと上げようとした瞬間だった。
「黒霧、さっさと本隊を出して残りのガキを散らせ」
「御意」
そう言った同時に再び相澤先生の周りに大量のヴィランが投下された後、黒霧と呼ばれた男は自身の作り出した霧を潜って入場ゲートまで移動した。
「なっ‥‥まさか!?」
先程のヴィランの言葉が蘇る。
『子供を殺せば来るかな?』
僕の意識は完全にクラスメイトの方へ行ってしまうその一瞬で、相手が付け入る隙を作ってしまった。
「なぁにボケっとしてんだァ!?」
その一瞬で相手は僕の懐にまで接近していた
咄嗟に後方へと下がろうとするけど、相手はそれをも読んで僕の顔面を両腕で掴んできた。
そして、全体重の乗った頭突きを僕の顔面に浴びせてきたんだ。
「かハッッ」
頭が派手に弾けた。
額からは血が流れ、鼻から血が垂れ落ちるのを感じる
ヴィランは好機だと言わんばかりに一気にギアを上げてくる
「くっ‥‥‥‥そ‥‥‥!!」
闘い方がとても野性的だ‥‥!
ある程度の武術は心得てるみたいだけど、全体的な闘い方が『まるで本能のまま動いてるようだ』
「おいおいおい!!もっと真面目にやってくれよォッ!!」
視界がグラつく中、奴は再び一気に接近する
動きを先読みしカウンターを狙う作戦で行こうとしたが、先程の一撃がまだ効いているのか
身体がほんの少しだけ鈍ってしまっていた
ほんの一瞬、反応が遅れてしまったが為にそのカウンターですら見切られてしまい
今度は片手で顔面を掴まれる。
「寝ぼけてんならよォ‥‥‥目覚まさせてやるよッ!!」
その勢いのまま、僕は後頭部から地面へと叩きつけられる。
それは先程の『脳無』と呼ばれた男が見せた衝撃よりも強い一撃だった。
意識を刈り取らんとするその一撃はあまりにも無慈悲なものだった
「___________」
___やばい
意識が飛びそうになるのを必死に耐えながら、個性を使って後方へと回避する。
「なるほど、増強型の個性か‥‥素のフィジカルに加えてその個性‥イイねぇ‥‥そういうの大好きだぜ?俺は」
なんとか脚にワンフォーオールの力を使ってキックによる風圧で追撃を回避することができたけど、本当にこりゃあ不味い。
クラスメイトもみんな、バラバラの位置に気を感じる
そして各自各々の場所に邪悪な気を感じ取れる
想像し得る最悪な状況が今ここに誕生してしまった。
「_______君は、闘うのが本当に好きなんだね。
闘ってる時の君は本当に良い表情をしてる」
「あぁもちろん!!強い奴と闘って、殺して!強くなり!そんでまた強い奴と闘って殺す!!!これ以上に無いくらいの娯楽だ。
その為に俺は生きてる。『戦闘民族なんだよ俺はァッ!』」
「‥‥‥そっ、か。殺す為に強くなる‥‥‥僕とは真逆だ。
僕は、『守る為に強くなるんだ。誰よりも』
そうじゃないと『最強で最高のヒーローにはなれないから』」
「最強になるぅ?なら尚更屍を積まなきゃ『最も強いと言い張れねぇだろ?』」
「違うな。『屍じゃなく、守れた命の数が強さの証明になる』
なんせ、守ることは壊すことより難しいんだからね。」
「ハッ!!なら守ってみろよ!?この俺達から有象無象の雑魚ヒーロー共をよォ!!?」
そう言って目の前のヴィランが接近してくる。
________緑谷少年、今の君は強い。
下手すれば今の私より‥‥‥いや全盛期の私よりも強いかもしれない。
‥‥‥‥‥‥しかしだ
君より強いヴィランが現れる時が来るかもしれない
その時こそ、きっと君は問われることになるだろう
『この理不尽をどう乗り越えるのか』と_____
緑谷はオールマイトからの言葉を、この場でこの瞬間で思い出していた。
彼自身、この学校内で既にトップレベルの実力をもっているのは自覚している
そんじょそこらのヴィラン程度どうとでもなると考えるのも無理もない
だが、その考えは目の前に立つ男で改める事となる
『ワン・フォー・オール フルカウル 100%』
緑谷出久は『今出せる力を振り絞る』
フルカウル100%は間違いなく現時点で緑谷出久の出せる『全て』
「____ッ!?」
緑谷は先程とは比べ物にならない程に速さで拳をヴィランにねじ込む
まさかの一撃を食らったヴィランは後方へと吹き飛ばされながらもすぐに体勢を立て直し向かい合う
「_____マジかよ。お前」
緑谷からプラズマのようなエネルギー、そしてUSJ全体を震わせる一般人にも分かるような凄まじい気を放つ。
気の概念をなんとなくでしか把握していない目前のヴィランですらその強大さを把握する。
ヴィランは思う
『ヤツのこの形態は、長くは持たないはず。
最初からこの形態で闘えばボロボロになる必要性だって無かったんだから。
つまりこの短期決戦としてこの力を使ってきたんだろう』と。
この考えは当たっている
フルカウル100%は3分程闘えれば長持ちしてる方なのだ
この短い時間の中勝ち切れなければいけない
_____逆に言えばだ。
『このまま奴が事切れるまで耐えれば必然的に勝てる。』
常人ならば、普通の人間ならば、その発想に至るだろう
だが、『戦闘民族であるこのヴィランは違う』
『「最高のコンディションのテメェを時間内に殺す」』
そうでなくては『つまらないからだ。』
そうでなくては『俺が最強だと証明出来ないからだ。』
ヴィランのボルテージも最高潮にまで上げてくる。
奴は気の概念を知らぬまま、自身の気を最大限引き出していた
元々出来ていたのか、はたまた無意識の内に緑谷に影響を受けていたのか
それは誰にも分からない。
「来いッ!『英雄ッ!!』」
「デトロイトォッ‥‥‥スマッシュッッ!!!」
二つの大きな気が衝突することによって
『第二ラウンドの火蓋が落とされた』
決着の時は近い。
オリキャラ パーツ
AFOが行ってきた実験の中に『血液による実験』にて産まれた副産物
戦闘民族を自称する男である。
個性はAFOから『可逆性しかない力を明け渡した』と明言されている。
先生が言うには『今後きっと役に立つ』とのこと。
推定 戦闘力
パーツ 約400〜600以上
本作品の緑谷 フルカウル100% 約1000以上
本作品の現時点でのオールマイト(マッスルフォーム) 約850
全盛期 約1000以上
今後の展開で使う予定の重要ワードは『個性特異点』です
マイペースですがちゃんと書いていきたいと思ってます
楽しんでいただけたら幸いです