悟空「次は、お前らの番だ。」   作:ぐぬぬです

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開始地点。

───雄英体育祭とは。

 

 最早単なる学校行事のひとつに収まらないビッグイベント。各メディアのカメラが我先にと『良い画』を求めて構え、全国中継すら行われる代物。

 

生徒達にとっては多くのプロヒーローも視聴するであろうこの一大イベントはスカウト候補として如何に目立つ事が出来るかのチャンスでもある。

 

年に一度の、高校生にたった3回だけ与えられた大チャンスだ。

逃すわけがない。

 

 

 

 

 

 

 

 

「というわけで、もう少ししたら雄英体育祭が始まるんですよ。悟空さんも良かったら見に来てくれませんか?」

 

 

その体育祭まで残り二週間となったある日の朝の事、僕は復帰してからこなしてる修業を一緒にしてくれてる悟空さんに何気ない会話として切り出してみた。

 

ちなみに修業内容は身体中の約4ヶ所にそれぞれ20kg以上の重りを着けながら、片手だけで逆立ちをして両手とも交互に変えながら10分耐えるというものだ。

かれこれ10セット以上はしてると思う

 

 

 

 

「おぉ、オールマイトのおっちゃんから聞いてはいるぞ。結構盛り上がるんだってな?」

 

 

「はい。個性が跋扈し始める前に、賑わっていたスポーツの祭典オリンピックの代わり、みたいに出てきたのが、この雄英体育祭ですから。

日本中のみんなが、お祭り騒ぎに、なるらしいですよ」

 

「へぇ〜‥‥そりゃすげぇな。

一対一のタイマンもあるんか?」

 

 

「確か、あったと思います。

種目で勝ち残れば、ですけど」

 

 

 

ついでに付け加えておくと、僕は気のコントロールも同時に行ってる。

このような平常心の状態でもある適度気を高めた状態を維持出来るようにしろ。と悟空さんに言われたからだ

 

このトレーニングをしながらの気のコントロールは流石に難しくて気を抜けば体勢を崩しそうになる

 

 

 

「そりゃあワクワクすんなぁ‥‥強くなった勝己と今の出久が闘うところを想像するだけでもオラ、身体がウズウズしてくっぞ」

 

 

 

「はい。僕も、凄く楽しみです‥‥!!」

 

 

 

そんなこと言ってると、近くに置いておいた僕のスマホがアラームを鳴らした。

それは午前8時を鳴らすアラームだった。

つまりもうすぐ学校が始まる時間だということ

それを確認した僕らは修業を終える事にした

 

 

 

 

「その種目とか、干渉してくるタイプの個性で呆気なく負けちまうんじゃねえぞ?」

 

 

「はい。心得てます!‥‥‥でも、確かに干渉するタイプの個性は対処が難しそうですね‥‥‥例えば身動きを封じる個性とか来たら‥‥いやその前に相手をぶん殴れば解決か‥?」

 

 

汗を拭きながらブツブツと自分の想像する個性の対処方法を脳筋地味た考えで対抗策を編み出していると、悟空さんが笑いながらこう答えてきた

 

 

 

「そんなん簡単さ!相手より強けりゃそんな小細工は通用しねえ。

気合い入れときゃ時止めだったり超能力なんざ屁でもねえぞ?」

 

 

 

相変わらず悟空さんはシンプルかつ力isパワーな回答を僕へ提示してくれる

 

 

 

「あはは‥‥そんなもんですかね?」

 

 

 

 

流石にそれは違くないかな。と内心思いながら返答した僕だったけど、まさか悟空さんの言葉が言葉のまんまの対策方法だとは誰が予想出来ただろうか‥‥‥‥

 

 

 

 

 

 

 

その日の下校時間の事。

 

 

「何ごとだぁ⁉︎」

 

 

麗日さんが普段の口調からは出てこなさそうな言葉に一同がその声のする方へと目を向ける。

その先には教室の出入り口を阻む程の群衆。

あまりの多さに思わずそう口にしてしまったのだろう

 

 

「‥‥なんか、すげえ居るな‥‥窓から出るか?」

 

「峰田ちゃん、流石にそれは危ないと思うわ」

 

 

 

第二の出入り口を見出そうとしていた峰田だが、あっさりと蛙吹に止められてしまう。

それにしても不思議な話だとは思う、気の感知によって大衆がこちらまで来ていることは把握はしていたが、その理由までは分からない。

皆が各々何故なんだと口にしていると

 

 

「敵情視察だろザコ。敵の襲撃を耐え抜いた連中だもんな、体育祭前に見ときてぇもんな」

 

 

そんな理由だろ。と帰ろうとしていた爆豪が群衆に向けてそう吐き捨てる。

 

 

 

「意味ねぇからどけ、モブ共。

こちとらてめぇら如きに見向きすらしてねぇんだわ」

 

 

 

最近の爆豪には全くと言っていいほど余裕が無かった。

クラスの皆もそれを察してはいる、あの襲撃以降爆豪の口調や態度等は分かりやすくイライラしている

 

 

「どんなもんかと見に来たが‥‥随分と偉そうだな?」

 

 

大勢の人の中からそんな声が上がってくる

声を上げた一人は群衆をかき分けて、爆豪の前に現れた。

紫の髪で気怠げに眠たそうな少年だった。

 

 

「ヒーロー科に在籍する奴は皆こんななのかい?こういうの見ちゃうと、ちょっと幻滅するなぁ‥‥?」

 

 

「‥‥‥‥‥‥‥」

 

 

明らかな挑発を含む問いかけだったが、爆豪はただ黙って彼を睨みつけるに収まっている。

しかし恐れも、怯えもせず紫髪の少年は真っ直ぐ爆豪から視線を外さなかった。

 

 

「普通科とか他の科ってヒーロー科落ちたから入った奴、けっこういるんだ……知ってた?」

 

 

当たり前といえば当たり前なのだろう。

現状かなりの人数が普通科にそう言った事情の人間がいる事を爆豪を含め、緑谷達は理解しているつもりだ。

 

 

「体育祭のリザルトによっちゃヒーロー科編入も検討してくれるんだって、その逆もしかりらしいよ?」

 

 

俗に言う『下克上』

これをこの体育祭の結果次第で我々ヒーロー科に使用できるかも知れないということだ。

つまり

 

 

「敵情視察?少なくとも俺は……調子乗ってっと足元ごっそり掬っちゃうぞっつー、宣戦布告しに来たつもり」

 

 

明確な敵意。

彼から感じた熱は『本物だ。』

それを聞いた爆豪には今度は怒りの表情では無く、至って真剣な眼差しでその紫髪の彼を見つめていた。

 

 

 

「________なら、本気で掛かってこい。」

 

 

 

宣戦布告してきた相手に爆豪はまっすぐと、堂々と、それを相手を貶す訳でもなく

ただ、『全力で挑んで来い』

そう言ったのだ。

 

 

「本気で俺に勝とうって言うんなら受けて立ってやる。

座ってる椅子から引きずり下ろそうってんなら返り討ちにしてやるよ。」

 

 

 

「だが、大した努力もせず、手を抜いてるような奴らがそう口にしてるんならタダじゃおかねェ。

そんな奴は俺が『ブチコロス』」

 

 

爆豪のその瞳にもまた『本物の熱が篭っていた』

それを見た大衆は思わず息を飲み込んでしまった。

 

表情を一切変えなかった紫髪でさえ、爆豪の迫力に気圧されてしまった。

 

 

 

「‥‥‥精々『死ぬ気で努力すンだな。』」

 

 

そう言った爆豪は数ある群衆を通り抜け、とっとと帰宅していった。

 

紫髪の少年は、その後ろ姿を何処か引っかかるような様子で眺めていた‥‥‥‥いや、『眺めることしかできなかった』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「‥‥‥‥『死ぬ気で努力しろ』‥‥‥ね」

 

 

 

彼の名は『心操人使』

数十分前、1-A組の面々に対して堂々と宣戦布告をしてきた一人だ。

 

挑発のつもりで言ったのも事実だし、本気で勝ちに行くつもりでいるのも事実でもある。

だが、予想外だったのはその返答についてだ。

 

 

『受けて立つから死ぬ気で努力しろ』

 

 

それは相手を貶すような、慢心してる人間の言うような言葉では決してなかった。

 

 

 

 

 

「‥‥努力‥‥‥ね‥‥‥‥『個性に恵まれた奴が言ってもな』‥‥‥‥」

 

 

だが、俺はそれを認めることが出来なかった。

何処か奴の言葉は余裕から来るものじゃないのかと、個性に恵まれているからこそ出る言葉なんじゃないかと

そんな捻くれた考えしか出てこなかった

 

 

 

そんなことを考えながら帰路についてる時だった

 

 

 

「‥‥‥‥‥‥?‥‥あれは‥‥‥」

 

 

 

帰宅途中、必然的に通る道の近くにある小さな公園にて一人の男子生徒が黙々とこれでもかというほどの汗を垂らしながらトレーニングに励んでいる様子が彼の目に飛び込んできた

 

そのトレーニングをしてる人物は、先程まで自分が対面していた相手『爆豪勝己』だった。

 

 

「121....122‥‥123…‥124」

 

 

 

 

トレーニング内容は片手だけでの腕立て伏せに加え、背中に重りのようなものを乗せながら行っている。

それも尋常ではない速さでカウントを重ねていく

 

 

 

「(‥‥‥今、120って言ったか‥‥?‥‥‥‥‥まさか、とっとと帰宅したのはこのトレーニングをする為‥‥‥あの後‥‥‥ずっと‥‥‥??)」

 

 

 

ハイスピードでトレーニングをする爆豪だったが、ほんの一瞬『バチリ』と音を立てると共に、彼の動くが鈍くなる。

そのまま体勢を崩す形となり、爆豪は横に倒れてしまった。

 

その際、背中に背負っていた重りが地面へと落ちる。

その際に鳴った音もまた『明らかに普通ではなかった』

 

『ズシンッ!!!』とまるでジムにおいてある大きなダンベルが落ちたかのような音を響かせた。

5kgやそこらの重りの音ではないことが遠目で眺めていても分かるだろう

 

 

「クッ‥‥‥‥ソ‥‥‥‥が‥‥‥!!」

 

 

 

ぷるぷると身体を震わせながらも再びトレーニングを再開しようとする彼の姿にいてもたっても居られなくなった心操は急いで爆豪へと近寄る

 

 

 

「バッカなのか!?そのまま続けたら身体壊すに決まってるだろ!?一旦休んどけよ!?」

 

 

 

「テメェは‥‥‥‥あの紫髪‥‥‥」

 

 

 

爆豪の顔色は明らかに良くはなかった。

それを見た心操は急いで自販機から水を買ってきてそれを爆豪へと与えた。

半ば強制的にクールタイムへと入った爆豪は少しずつ体力も回復していった。

 

 

 

 

飲み物を少しずつ口に含みながら肩で息をする自分をなんとか落ち着かせるまでに至った爆豪は再び心操の方へと顔を向ける

 

 

 

 

「‥‥‥‥一応、礼を言っといてやるよ。いくらだ」

 

 

「いや、いいよ。別に‥‥大したことしてねえし‥‥‥‥」

 

 

「120円だな。ほらよ」

 

 

 

 

 

俺は要らないと言ったが、それをガン無視して無理矢理お金を手渡してきた

借りなんざ作りたかねえんだよ。と

出会って1時間も満たないような人だが、良くも悪くもこいつはわかりやすい人間性な事を理解した

口こそは悪いかもだが律儀な所に少し戸惑っていると

爆豪は、よし。と何かを確認すると再びトレーニングに入ろうとする

それを見た俺は困惑してしまった

 

 

 

「え、ちょ‥‥‥続けんの?まだ5分くらいしか経ってなくないか‥‥!?まだ休んだ方が‥‥」

 

 

 

「うるせぇよ。テメェには少なからず感謝はしてるが、こうしてるのにとやかく言われる筋合いはねえ。」

 

 

 

そう言って爆豪は今度は重りだと思われるもの両腕両脚に装着した後、腕立て伏せを開始し始めた。

更に付け加えるなら、遠目ではよく分からなかったが小さくパチパチパチッと何かが爆破してるかのような音が聞こえるのがわかる

 

 

「これは‥‥お前、個性使いながらトレーニングしてんのか‥?しかも重りを着けながら‥‥合計何kgなんだよ‥」

 

 

「‥‥‥約‥‥40kg‥‥だッ‥‥‥‥」

 

 

「40kg!!!??」

 

 

 

あまりの重さに思わず声を大にして驚いてしまった。

つまりそれぞれ10kgの重りを着けながらこうして筋トレをしてる。

ハッキリ言って何もしたことのない俺からすれば馬鹿げたトレーニング方法だと思う。

こんなことやっていたら先に身体がイカれてしまう

‥‥‥でも、こいつの言う通り俺がトレーニングを止める義理はどこにも無いわけで‥

 

だから俺は止めることはせず、ただ疑問に思ったことを爆豪に投げかけた。

 

 

 

「‥‥‥‥なんで、そこまでやるんだ‥‥?」

 

 

「‥‥‥あァ‥‥??」

 

 

「多分、アンタの個性は『爆破』関係の力なんだろ?‥‥トレーニングしながら使ってるのも個性を自在に操れるようになるためとか‥‥そんなとこだろ?」

 

 

 

「‥‥‥‥‥‥だとしたらなんだ」

 

 

 

「‥‥‥充分、恵まれてるじゃねえか。

個性の練習だけで充分じゃねえのか‥?なんでだ?‥‥なんで‥‥‥なんでそこまでやるんだ?‥‥‥」

 

 

 

俺が問いかけると、爆豪は腕立て伏せを一旦辞めるとゆっくりと立ち上がり俺に再び向き合った

 

 

「‥‥俺の個性は掌の汗腺からニトロのみてえな汗を出す事ができ、それを爆発させることが出来る。これを使って空中を飛び回ったり、閃光弾みてえに使ったり、純粋に相手を爆破させる事もできる。」

 

 

「‥‥やっぱり、充分強えじゃねえか‥‥‥だったらなんでそんな‥‥」

 

 

充分に恵まれてる。

充分に個性に恵まれてる。

なのに、個性の特訓はついでのようなトレーニングを彼は行っている。

それが気掛かりで仕方なかった。

異常な程のトレーニング方法‥‥‥だが見方を変えれば『誰でも出来てしまうような』トレーニング方法

 

何故、一体何故、『個性』という才能に恵まれていながら

 

『ヒーローらしく生きれる個性』でありながら

 

 

一体‥‥何故‥‥?

 

 

 

 

「‥‥個性だけじゃ勝てねえからだ。」

 

 

 

「‥‥‥は?」

 

 

 

予想外な言葉に思わずそんな声が出てしまう

個性を持ち味にしてるであろう『この世の中』において

『個性だけじゃ勝てない』とそう言い出してきた

今の俺には到底理解出来ない言葉だ。

 

 

 

 

「‥‥‥今年入学試験を一位で通過した野郎は、個性を使わなくても俺よりも『圧倒的に強え。』

個性を使っちまえばあいつは『オールマイトとも肩を並べられちまう。』」

 

 

 

「‥は、‥あ?‥‥え、まさか‥‥‥USJの時、オールマイト級のヴィランをぶっ飛ばしたって噂‥‥‥本当‥‥だったのか?」

 

 

「‥‥‥‥あァ。‥‥それも、たった一人でな。」

 

 

 

 

それを聞いた俺は絶句した。

既に同学年にてあのオールマイトと同じレベルの生徒が居るという事実に、現実に

 

‥‥‥しかも、その人物は個性を使わずとも学年トップレベルという話にも

 

 

 

「‥‥‥あいつは元々、『無個性だった』」

 

 

「‥‥‥‥‥『無個性‥‥だった‥‥?』」

 

 

「‥‥‥中学2年ン時はただのクソナードだった。どうしようもなく、無力で‥‥非力で‥‥‥俺の足元にも及ばない‥‥そう思えちまう程『弱かったはずだった』」

 

 

 

______だが、あいつは変わった。

 

 

 

「アイツは、無個性でもヒーローになろうとしやがった。

それも『最強で最高のヒーローになる』ってな」

 

 

「夢物語だと思った。

何を馬鹿げた夢を語ってんだコイツは。と罵ってやろうとも思ってた。

だが、そんな俺にアイツはこう言い返して来たんだよ」

 

 

 

_______ 凡人でも

一生懸命努力すれば天才を超えれることだってあるかもしれないじゃないか!

 

 

 

 

「‥‥‥‥‥凡人‥‥でも‥‥‥」

 

 

 

「そんで、今の有様だ。

‥‥‥夢物語は現実になった。

現実になっちまった。」

 

 

爆豪はそう語り終えると、再びトレーニングに戻ろうとする

 

 

「だ、から俺は、あいつがやってきたこと、全部こなしてやるって、決めたんだ。

凡人が努力して天才を超えるンなら‥‥‥天才が死ぬほど努力すりゃ、それこそ『無敵』って奴だろうが‥‥!!」

 

 

 

‥‥‥‥だから、だからこいつはあの時

 

 

 

______精々、死ぬ気で努力するんだな。

 

 

 

俺にそう言ってきた本当の意味が、今分かった。

彼は知っているんだ。『なんの才能を持たない者でも、天才に勝てるかもしれない可能性に』

だからこそ俺にそう言ってきたことを。

 

 

その本当の意味を知った今、俺の中で何かが震え上がるのをこの身で感じ取った。

 

それはきっと、俺がずっと前から思い抱いていたもの。

 

周りから、周囲から、自分の思い描くものとは真逆とも言えるような存在だと連想され続けたものへの想い。

 

 

 

「‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥俺も‥‥‥そんなヒーローに‥‥‥なりたい」

 

 

 

 

雄英高校に来た理由もその想いから来ていた。

でも、心の何処かで諦めてたのかもしれない。

だって、皆が言う。

周囲が、世間が、そして入学試験でさえも、そう語り掛けてきたように思えた。

 

 

「ヴィランみたいな個性だな」

 

            「悪いことし放題じゃん」

 

「犯罪者向きな個性」

 

            「ヒーロー向きじゃないね」

「私達に使わないでよ〜?」

 

 

 

 

________わかってる

 

 

_________わかってるよ。

 

 

________俺の個性が、オールマイトのような

 

 

_______俺の個性が、エンデヴァーみたいな

 

 

________カッコよくて、勇ましくて、何かの象徴になりえるような

 

 

そんな個性じゃないのはわかってる。

ヴィラン向けの個性なことくらいわかってる

 

 

 

でも、

 

 

_____でも、

 

 

 

_______でもさ。

 

 

 

 

憧れちまったんだよ。そんなヒーローに。

 

 

 

俺の個性じゃそんなヒーローにはなれないという『現実』に目を背けて

 

 

憧れたから。というそんな曖昧な理由で、中途半端に夢を抱き続けて、俺はヒーロー科に落ちた後は普通科に通い始めた。

 

心の底から妬んでた。ヒーロー科の奴らを

憎しみすらもあった。

どうせ奴らは恵まれた才能に頼ってばかりの人間達ばかりだと

馬鹿にすらしていた。

 

でも、こうして話してみたりしたらどうだ?

 

ヒーロー科の奴らは個性に恵まれたからと言って、そんな椅子で胡座をかくわけでもなく、それどころか死ぬほど努力しようとしてやがる

 

そんな光景を見ちまったら‥‥‥‥俺は‥‥‥

 

 

 

 

 

___________なりゃいいだろ。強く

 

 

 

 

 

「‥‥‥‥‥‥‥‥え?」

 

 

 

俺の小さな呟きを、目の前の少年は聞き逃さなかったようで、俺の言葉にそう言い返してきたようだった。

その内容はあまりにもシンプルで、脳筋な解答で、そして恐らくきっと、‥いや多分それは『最適解な答えでもあった。』

 

 

 

「無個性から学園最強にまで登り詰めた野郎が居やがんだ。

普通科からヒーロー科に編入することと比べたら簡単に思えるだろ。」

 

 

「‥‥‥‥‥そう、かもな‥‥いや、そうだな。」

 

 

 

確かにその通りだ。

こうなれば俺もこんな所でくよくよしていられない。

そんなことを考えているとだ、爆豪は再び俺の方へと向くとこんなことを言い出した

 

 

「‥‥お前、組手相手になれ」

 

 

「‥‥‥え?‥‥組手‥‥?俺と‥?」

 

 

「テメェ以外に誰が居ンだよ。

‥‥‥スパーリング相手が居なくて丁度困ってたとこだしな。テメェも一人でトレーニングするよか効率も良いだろ」

 

 

それを聞いた心操は、爆豪勝己という人間がどういった性格をしているのかがよーく分かった気がする。

それに気がついた彼は先程までの暗かった表情がすっかり無くなっており

今では満面の笑みを浮かべていた。

 

 

 

「なっ‥‥テメェ‥‥何笑ってやがンだァッ!?爆破すンぞッ!!!!」

 

 

「いや、ごめんごめん‥‥‥あぁ、分かったよ。こちらからもよろしく頼むよ。」

 

 

 

 

こうして心操は夢への『開始地点』から大きな一歩を踏み出した。

 

その先の、更に向こうへと思いを馳せながら。




心操と仲良くなりつつ一緒に修業する相手を見つけた爆豪君でした
原作ではあまり絡みが無かったのでここで絡ませてみたいなと思って組み合わせました
次回からは本格的に体育祭編へと入ります
たった二週間ですので心操君の戦闘力に大した変化ありませんが‥‥
心構えが変わったのでまた違った変化見られるかもしれません
それでは、また次回。
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