ギフテッドの箱庭   作:OK男爵

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明日も2話投稿出来ればいいなぁ……


0-10 「レナ」

「あんな手紙をよこしてくるなんて、冗談じゃ済まされないわよ……!」

手紙を読み終わると同時に、急いで目的の場所へと向かうレナ。

そうして、平和な日常は音を立てて崩れ始めるのだった──

 

 

~ ~ ~

 

「……ハァ、ハァ。ようやく着いた。私を呼んだのは誰なのか、確かめるのしましょうか……まぁ、十中八九友好的なやつじゃないと思うけど。」

 

山に到着したレナは、その奥へと足を踏み入れていく。

 

しばらくすると、レナはあることに気づく。

(───人の気配!それも、数人とかそういうレベルじゃない!……大体分かった。さしづめ化け物殺しってところね、上等じゃない。)

 

レナは闘志を燃やし、未だ姿を見せない資格に留意する。

すると───

 

 

「──こんにちは、平宮 レナさん。あなたのことをお待ちしておりましたよ。」

黒いスーツを着た男が1人、レナの前に姿を現す。

「……あんたが、ここに私を呼び出した張本人?」

「いかにも。私は、国から貴方の処分を命じられた者でして。非常に残念ですが、その命、頂戴します。」

男はレナに自身の目的を告げる。

 

「あら、そっちからわざわざ出てきてくれるだなんて、親切な事ね。なら………周りにいる有象無象共のことも、ご紹介していただけるかしら?」

「……さすがに気付いていますか。ならば……

総員、目標の駆除を開始せよ!全ては国の為、その命を賭けて見せろ!」

 

「「「了解!!!」」」

 

男の掛け声と共に、今まで姿を見せなかった兵士達が森の至る所から現れ、レナに向けて攻撃を始める。

 

彼らの銃の引き金が引かれたのが、その戦いの合図となった。

 

 

レナは、四方八方から撃たれながらも、高い再生力を駆使して、周囲の兵士を倒していく。

だが、戦場が森であることと、兵士の数の多さにレナは苦戦を強いられていた。

 

(あぁ隠れるな!数が多い!めんどくさい!

……でも、今のところ敵に私への有効打は見えてない。

おかしいわね、相手は国のトップからの刺客。なら、私の能力(ギフト)のことも少なからず把握してるはず……!なのにこんな時間稼ぎみたいな………時間稼ぎ?もしかして、何かあっちの作戦があるのか?だとしたら───丸腰で傍観してるだけの黒スーツ野郎、アイツが怪しい!)

 

レナは、攻撃に参加しない男に目星をつけ、攻撃に向かう。

 

「──!!総員、攻撃中断!援護射撃をメインに、私の守護に回れ!」

すると男は、兵士全員に、自身を守らせ始めた。

 

「……その様子は、ビンゴって感じかしらね!」

「……だが、君とてこの人数をどうにかするのも容易ではないだろう。」

「そうかしら?やってみないと、分からないわ、よ!」

 

そう言うと、レナは兵士に向かって突進していく。

 

 

「「ぐぁぁぁ!」」「……何!なんだあの突進力は!奴の力は体の一部を他の動物へと変貌させる力では無いのか!?」

 

「認識不足、ね。

私の能力(ギフト)は動物の特徴(・・)を体の一部に反映させる!………ゾウって、知ってるわよね?ゾウの突進力って、生物の中でもトップクラスらしいわよ!」

 

凄まじい突進力で兵士を蹴散らしていくレナ。

だが、そんな力を目の当たりにした兵士たちは、怯えながらも逃げようとはしない。

 

「ぐっ……!しかし、ここで退く訳には行かない!貴様のようなバケモノを今の時代に生かしてはおけない!全ては国のため、平和のために!」

「平和だと……?ただ好きな人と、大事な我が子と、一緒に生きてるだけで!ただ日常を過ごしてるだけで、平和を脅かすバケモノなんて言われなきゃいけないの?

──巫山戯んな!私の、私たちの未来は、誰にも奪わせやしない!」

 

そう言ってレナは、残りの兵士をまとめて吹き飛ばす。

 

「「「ぐあぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」」」

 

 

「──命までは取らないわよ。……さて、残りはあんただけね。なんだかやけに疲れたし、何考えてんのか知らないけど、さっさとお家に帰って貰うわよ。さもないと、怪我じゃすまなくなるわよ。」

 

 

 

「……フフっ。フハハハハ!」

 

 

「……何。気でもおかしくなった?」

 

脅しをかけるレナに対して、余裕の表情で応じる男。

男は、レナの問いに答える。

 

「気などおかしくなってはいないさ。ただ、何とか間に合ったな、と思ってね。」

 

 

「………間に合う、だと?」

 

 

「あぁ、まだ気づいていないのか。

 

君は今、全身から血が流れているよ。

もう全身に私の毒が回った証拠だ。」

 

 

 

「……何、だと?……グッ、これ、は……!

 

「ようやく効果が出たところか。後、先程君は、私の兵の命は取らない、と言ったね。

だがそれは無駄なことだ。この毒によって、彼らの命も直に潰える。」

「私も、君のように体に細工を施して貰ってね。所謂『ギフテッド』と言うやつだよ。

私の力は毒、だ。ただの毒ガスなどでは、君に気づかれたり、免疫を得るなんて芸当をされてしまうかもしれない。」

「だが、この私の血液由来の猛毒を、霧のように薄く空気中に撒いておけば、君を殺すことが可能だ。」

 

害虫(ゴキブリ)に、殺虫剤を撒くようにね。…あぁ、もう聞こえていないか。」

 

 

~ ~ ~

 

レナが森に到着する数分前

 

 

「レナ〜、帰ったよ〜!クレイさんに伝えに行ったら、そのついでで今日の夜ご飯の食材も貰っちゃってさ〜、一石二鳥とはこのこと──って、レナ?」

 

 

「……2人は、寝てるか。でもレナは、」

 

 

「……あれ?こんな所に、手紙?」

 

 

「……レナ宛てなのかな?

……読んでみても、いいよね、うん。」

 

 

 

 

 

「………なに、これ。

 

 

~ ~ ~

 

私の人生に、『希望』なんてないと思っていた。

生まれてからすぐに親に見放され、化け物にされて。

なんのために生きているのか、なぜ産まれて来てしまったのか、そんな事ばかり考えていた。

 

ミライに会うまでは。

 

ミライと会ってから、日常が少しづつ変わり始めていった。

ミライといる時間が、ちょっとずつ好きになっていた。

生きてて良かったって、そう思えるようになれていった。

子どもだって産まれた。可愛い可愛いミラナとレイ。

私の人生は、確実に色づいていた。

 

だから、そんな生活を、終わりにしたくない。

まだ、生きていたい。まだ、ミライと一緒にいたい。

あの子たちの成長していく様を、見届けていたい。

 

でも、その願いは叶いそうにない。

私自身の体だ、自分の状態はわかる。

この毒はヤバい。現に、今にでも死んでもおかしくないの感じだ。

 

……結局、一回もミライに『愛してる』って言葉にできなかったな……

──ここまで、頑張った方かな。ごめん、ミライ、クレイさん、ミラナ、レイ……

 

 

 

………でも、ここで私が倒れたら、ミラナやレイ、ミライにも被害が行くかもしれない。それは、それだけは、嫌だ。

こんな化け物の私に残された最後の希望を、失わせない。それだけは絶対に──。

 

 

死ぬぐらい辛いし、痛い。けど、まだ立てる。

 

あの男だけは、止めないと、絶対に。

まだ、私は────!!!

 

 

~ ~ ~

 

「……動かなくなったな。これで任務は完了だ。

………これで私も、総理に認めて──!!!」

 

レナが動かなくなったのを見て、任務の完了を確信する男。

 

安心しきっている男に、レナは、最後の力を振り絞り、突撃する。

 

ガアァァァァァ!!!

 

「………なっ!まだ生きて

 

 

彼の言葉が最後まで紡がれることは無かった。

彼の頭は、レナの渾身の一撃によって吹き飛ばされてしまった。

 

レナは、朦朧とした意識の中で、家族のことを考える。

 

(……………ミライ。

ミラナとレイのこと、頼ん、だ、よ───)

 

 

 

「………レナ?」

 

 

 

 

 

 

 

 




次回、「残された想い」
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