「それにしても、なんで父さんの体って弱ってるんだろう?クレイさんに聞いてもあれは病気じゃないし治せないもんだ、って言われたし」
「父さんは兵士だったし、病気じゃないとしたら……考えられるのは、何か外的要因を加えられたから、とかか?」
「ん〜……まぁ、わかんないことなんて考えるだけ無駄!父さんは父さん、私たちにとって唯一の肉親!これだけ分かってたらいいんだよ!」
「お前から聞いてきたんだろ!ったく、もっと考えてから喋れよ………」
話しながら家に帰る様子の2人。
肩まで伸びた白い髪を揺らしながら元気に歩くのは、
平宮
一方、そんなミラナの快活さに振り回されている黒髪の男は、平宮
もうすぐ家に着くというところで、ミラナはあるものを見る。
「ん?あれ、なんだろ?」
「あれってなんだよ、あれって。」
「ほら、あの高い木の上にいる……」
「……あぁ、あれは、雀か?見る感じ怪我してるっぽいな。………おいミラナ、助けないぞ。」
「そんな、可哀想だよ!それに、私の力があれば…!」
「やめろ!父さんも力は使うな、っていつも言ってるだろ!万が一他の人に見られたらどうするんだ!」
「で、でも!……それに大丈夫!コッソリ、コッソリだから……!」
「………俺は知らないからな!」
「うん!任せてよ!私の
そう言うとミラナは、
その蔦は、10m以上ある木の頂上近くまで伸びていき、枝に止まっている雀を絡め取り始めた。
「お前、また蔦の使い方上手くなってないか?
……いつ練習してるんだ?」
「え?れ、練習なんてしてないよ!私の才能ってやつ?こ、困っちゃうなぁ〜!」
「……父さんに言っとくからな。」
「な!ご無体な!」
蔦は雀を地上まで降ろし、ゆっくりと解けていく。
「よし、これで安心だよ!怪我は……レイ、治せる?」
「……しょうがないな、今回だけだぞ。」
レイは言い終わると同時に、怪我をした雀に向けて両手をかざし始めた。
すると、雀の怪我が、みるみるうちに治っていく。
「うわ〜、やっぱりすごいねぇレイの能力。
人やものの状態を前の状態に戻せる力だっけ?」
「あぁ、あんま使いたい力じゃないんだけどな。
明らかにヤバい力って自覚してるし。
……っと、治ったか。じゃ、頑張れよ。」
雀は感謝するかのように小さく鳴いて、空へと飛びだって行った。
「ただいま父さん。まだ生きてる?」
家に帰ったミラナとレイは、ベッドに横たわっている男に声をかける。
「おかえり、ミラナ、レイ。………あぁ、まだ生きているよ。何とか、だけどね。」
男の名は、平宮 ミライ。彼らの父であり、現在、10年前に受けた毒の影響で体がかなり衰弱してしまっている。
「父さん!今日の夜ご飯はカレーの予定だから楽しみにしといてね!」
「お、今夜はカレーか。ミラナのカレーは美味しいから、楽しみだなぁ。
そういや、今日はクレイさんに会ってきたんだろう?
どうだった、元気にしてた?」
「うん!また父さんにも会いに行くってさ!」
「……そうか。ほんと、クレイさんにはレナの時からお世話になり続けてるな。頭が上がらないや。」
「……レナって、俺たちの母さん?
母さんの話は父さんからもあんま聞いたことないな。」
「………レナはね、ボクの生きる希望になってくれた人なんだ。また、機会があったら話してあげるよ。」
何気ない日常と言うのは、唐突に崩れるものである。
「父さん、しっかりしろ父さん!」
「父さん!まだ死んじゃダメだよ!」
ある日の夜、ミライは突然苦しみ出した。
ミラナとレイは、急いでクレイさんと街の医師を呼び、父の状態を診てもらった。
「……体の中の至る所がボロボロになっています。むしろここまで良くなった方です。」
「おいミライふざけんな!ガキ残して1人で死のうとしてんじゃねぇよ!」
「……ごめんなさい、クレイさん。2人のこと、あなたに頼まないといけない。
……ボクは、父として振る舞えてましたかね……ゴホッゴホッ!!!」
「もう喋んな!……あぁ、お前はよくやったよ。クソ、後のことは俺に、任せとけ……!」
「……ミラナ、レイ、聴いてくれ。
ありがとう。ボクの、ボクらの元に産まれてきてくれて。元気に今まで成長してくれて。」
「……これで、心残りはなくなったかな……。
───レナ。ようやく、君の元へ………」
「……父さん?」
「くっ、父さん!……死んで、る………!」
「父さん!父さん!死なないでよ!目ぇ覚ましてよ!嫌だよ父さん!!!」
「父さん…………!!!」
「……あぁクソ、馬鹿野郎
幸せそうな顔で、死にやがって………!」
「………あれ?ここは?
周りは……真っ白。もしかして、死後の世界的な?」
「………こんな所で一人ぼっちにするとは、神様も意地悪だね……」
「……どこに行けばいいのかすらわかんないや。
こっからどうしよう───」
「あら、こんな所に1人でどうしたのかしら?」
「──────レナ?
嘘、でしょ?本当に?……幻覚、とか……」
「失礼ね、正真正銘平宮 レナよ。
……久しぶりね、ミライ。」
「……レナぁ!レナぁぁぁぁぁぁ!
ずっと、ずっと会いたかったぁぁぁぁぁぁぁぁ!」
「ふふっ、相変わらず元気なのね、ミライ。
……ミライ。私ね、ずっとあなたに言いたかったことがあったの。」
「グスッ、?言いたかったこと?」
「あのね、ミライ。1回しか言わないから、よく聞いてね……
私、貴方のこと
愛してた、ずっと。」
「………え?それだけ?」
「……はぁ!?それだけとは何よ!い、今だって結構勇気振り絞って言ったのに……!」
「──あのね、レナ。確かにレナから直接愛してる〜、とかそういうことは言われてなかったよ。レナはそういうの恥ずかしがるタイプだもんね。
……でもね、自惚れかもしれないけど、君の想いはボクに、しっかり届いてたよ。レナがボクに向き合ってくれてるって。」
「………そう。そうだったの………。
──ちゃんと、伝わってたのね………!」
「それでも、ミライ。貴方にはちゃんと言葉にしたい。
何度だって、聞き飽きるぐらいに……!
ミライ、ずっっっと愛してる!大好き!」
「──ボクも、大好きだよ。愛してる。ま、散々言ってきたと思うけどね。」
「──ところで、レナ。ここどこ?ここからどこに行けばいいの?」
「……さぁ?」
「へ?レナも知らないの?」
「私も気付いたらここにいた感じだし……
まぁこの後行くとしたら、セオリーなら天国か地獄ってとこね。
──まぁ、重要なのはどこへ行くかより、誰と行くかだけどね。……もちろん、一緒に来てくれるわよね?」
「愚問だね。
じゃあ、行こっかレナ!」
「─えぇ、ミライ。久しぶりのデートね。」
2人は、歩んでいく。
彼らの、彼らだけの未来へと─────
「───なんか、変な夢見たな。」
ある部屋で、一人の男が目を覚ます。部屋の机にあるカレンダーには、『2024年 4月 6日』と書いてある。
「………あれ?泣いてる?なんでだろ?
……ま、いいか!とにかく今は2度寝──」
「久遠〜!起きなさ〜い!今日は入学式でしょ〜?」
「……はーい。今行くよ〜。……チッ、せっかくの2度寝チャンスを。」
時代は変われば、人も変わっていく。
新しい物語が、幕を開けようとしていた。
ようやく0章完結!ここまで見てくれた方はありがとうございます!ガチで感謝!
それと、1章はある程度の見立てができるまで待って頂きたい!投稿頻度に関しては、あんま期待せんといてくだせぇ………
では、また!