ギフテッドの箱庭   作:OK男爵

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セーフ!


0-12 「未来へ」

 

 

「それにしても、なんで父さんの体って弱ってるんだろう?クレイさんに聞いてもあれは病気じゃないし治せないもんだ、って言われたし」

「父さんは兵士だったし、病気じゃないとしたら……考えられるのは、何か外的要因を加えられたから、とかか?」

「ん〜……まぁ、わかんないことなんて考えるだけ無駄!父さんは父さん、私たちにとって唯一の肉親!これだけ分かってたらいいんだよ!」

「お前から聞いてきたんだろ!ったく、もっと考えてから喋れよ………」

 

話しながら家に帰る様子の2人。

肩まで伸びた白い髪を揺らしながら元気に歩くのは、

平宮 美蘭菜(ミラナ)。ミラナは、自分の父の体が弱いことについて、疑問を持っていた。ミラナは父から、父は昔兵士で、10年以上前に起きた大戦争でも闘っていたと聞いている。だからこそ、病気でもないのに体が弱い父のことが気になった。

 

一方、そんなミラナの快活さに振り回されている黒髪の男は、平宮 (レイ)。レイは、あまり他の物事に関心を持たない人間だが、自分の父のことは気になるらしく、ミラナの話にも耳を傾けていた。

 

 

~ ~ ~

 

もうすぐ家に着くというところで、ミラナはあるものを見る。

 

「ん?あれ、なんだろ?」

「あれってなんだよ、あれって。」

「ほら、あの高い木の上にいる……」

「……あぁ、あれは、雀か?見る感じ怪我してるっぽいな。………おいミラナ、助けないぞ。」

 

「そんな、可哀想だよ!それに、私の力があれば…!」

 

「やめろ!父さんも力は使うな、っていつも言ってるだろ!万が一他の人に見られたらどうするんだ!」

「で、でも!……それに大丈夫!コッソリ、コッソリだから……!」

 

「………俺は知らないからな!」

「うん!任せてよ!私の蔦さばき(・・・・)!」

 

 

そう言うとミラナは、自分の体から蔦を伸ばし始めた(・・・・・・・・・・・・・・)

その蔦は、10m以上ある木の頂上近くまで伸びていき、枝に止まっている雀を絡め取り始めた。

 

 

「お前、また蔦の使い方上手くなってないか?

……いつ練習してるんだ?」

「え?れ、練習なんてしてないよ!私の才能ってやつ?こ、困っちゃうなぁ〜!」

「……父さんに言っとくからな。」

「な!ご無体な!」

 

蔦は雀を地上まで降ろし、ゆっくりと解けていく。

 

「よし、これで安心だよ!怪我は……レイ、治せる?」

「……しょうがないな、今回だけだぞ。」

 

レイは言い終わると同時に、怪我をした雀に向けて両手をかざし始めた。

 

すると、雀の怪我が、みるみるうちに治っていく。

「うわ〜、やっぱりすごいねぇレイの能力。

人やものの状態を前の状態に戻せる力だっけ?」

「あぁ、あんま使いたい力じゃないんだけどな。

明らかにヤバい力って自覚してるし。

……っと、治ったか。じゃ、頑張れよ。」

 

雀は感謝するかのように小さく鳴いて、空へと飛びだって行った。

 

 

 

~ ~ ~

 

 

「ただいま父さん。まだ生きてる?」

家に帰ったミラナとレイは、ベッドに横たわっている男に声をかける。

 

「おかえり、ミラナ、レイ。………あぁ、まだ生きているよ。何とか、だけどね。」

男の名は、平宮 ミライ。彼らの父であり、現在、10年前に受けた毒の影響で体がかなり衰弱してしまっている。

 

「父さん!今日の夜ご飯はカレーの予定だから楽しみにしといてね!」

「お、今夜はカレーか。ミラナのカレーは美味しいから、楽しみだなぁ。

そういや、今日はクレイさんに会ってきたんだろう?

どうだった、元気にしてた?」

「うん!また父さんにも会いに行くってさ!」

 

「……そうか。ほんと、クレイさんにはレナの時からお世話になり続けてるな。頭が上がらないや。」

 

「……レナって、俺たちの母さん?

母さんの話は父さんからもあんま聞いたことないな。」

 

「………レナはね、ボクの生きる希望になってくれた人なんだ。また、機会があったら話してあげるよ。」

 

 

 

 

~ ~ ~

 

何気ない日常と言うのは、唐突に崩れるものである。

 

 

「父さん、しっかりしろ父さん!」

「父さん!まだ死んじゃダメだよ!」

ある日の夜、ミライは突然苦しみ出した。

ミラナとレイは、急いでクレイさんと街の医師を呼び、父の状態を診てもらった。

 

「……体の中の至る所がボロボロになっています。むしろここまで良くなった方です。」

「おいミライふざけんな!ガキ残して1人で死のうとしてんじゃねぇよ!」

 

「……ごめんなさい、クレイさん。2人のこと、あなたに頼まないといけない。

……ボクは、父として振る舞えてましたかね……ゴホッゴホッ!!!」

 

「もう喋んな!……あぁ、お前はよくやったよ。クソ、後のことは俺に、任せとけ……!」

 

 

「……ミラナ、レイ、聴いてくれ。

 

ありがとう。ボクの、ボクらの元に産まれてきてくれて。元気に今まで成長してくれて。」

「……これで、心残りはなくなったかな……。

 

 

───レナ。ようやく、君の元へ………」

 

 

 

 

 

「……父さん?」

「くっ、父さん!……死んで、る………!」

 

 

父さん!父さん!死なないでよ!目ぇ覚ましてよ!嫌だよ父さん!!!

父さん…………!!!

 

 

「……あぁクソ、馬鹿野郎

 

幸せそうな顔で、死にやがって………!

 

 

 

~ ~ ~

 

 

「………あれ?ここは?

周りは……真っ白。もしかして、死後の世界的な?」

 

 

「………こんな所で一人ぼっちにするとは、神様も意地悪だね……」

 

 

「……どこに行けばいいのかすらわかんないや。

こっからどうしよう───」

 

 

 

「あら、こんな所に1人でどうしたのかしら?」

 

 

 

「──────レナ?

 

嘘、でしょ?本当に?……幻覚、とか……」

 

「失礼ね、正真正銘平宮 レナよ。

……久しぶりね、ミライ。」

 

 

……レナぁ!レナぁぁぁぁぁぁ!

ずっと、ずっと会いたかったぁぁぁぁぁぁぁぁ!

 

「ふふっ、相変わらず元気なのね、ミライ。

……ミライ。私ね、ずっとあなたに言いたかったことがあったの。」

「グスッ、?言いたかったこと?」

 

 

「あのね、ミライ。1回しか言わないから、よく聞いてね……

 

 

私、貴方のこと

愛してた、ずっと。

 

 

 

「………え?それだけ?」

 

「……はぁ!?それだけとは何よ!い、今だって結構勇気振り絞って言ったのに……!」

 

「──あのね、レナ。確かにレナから直接愛してる〜、とかそういうことは言われてなかったよ。レナはそういうの恥ずかしがるタイプだもんね。

……でもね、自惚れかもしれないけど、君の想いはボクに、しっかり届いてたよ。レナがボクに向き合ってくれてるって。」

 

 

「………そう。そうだったの………。

 

──ちゃんと、伝わってたのね………!」

 

「それでも、ミライ。貴方にはちゃんと言葉にしたい。

何度だって、聞き飽きるぐらいに……!

 

ミライ、ずっっっと愛してる!大好き!

 

 

「──ボクも、大好きだよ。愛してる。ま、散々言ってきたと思うけどね。」

 

 

 

 

 

 

「──ところで、レナ。ここどこ?ここからどこに行けばいいの?」

「……さぁ?」

「へ?レナも知らないの?」

「私も気付いたらここにいた感じだし……

まぁこの後行くとしたら、セオリーなら天国か地獄ってとこね。

──まぁ、重要なのはどこへ行くかより、誰と行くかだけどね。……もちろん、一緒に来てくれるわよね?」

 

 

「愚問だね。

じゃあ、行こっかレナ!」

 

「─えぇ、ミライ。久しぶりのデートね。」

 

 

 

2人は、歩んでいく。

彼らの、彼らだけの未来へと─────

 

 

 

 

 

 

~ ~ ~

 

 

 

「───なんか、変な夢見たな。」

ある部屋で、一人の男が目を覚ます。部屋の机にあるカレンダーには、『2024年 4月 6日』と書いてある。

 

「………あれ?泣いてる?なんでだろ?

……ま、いいか!とにかく今は2度寝──」

 

久遠〜!起きなさ〜い!今日は入学式でしょ〜?

 

 

「……はーい。今行くよ〜。……チッ、せっかくの2度寝チャンスを。

 

 

 

 

時代は変われば、人も変わっていく。

 

 

新しい物語が、幕を開けようとしていた。

 

 

 




ようやく0章完結!ここまで見てくれた方はありがとうございます!ガチで感謝!
それと、1章はある程度の見立てができるまで待って頂きたい!投稿頻度に関しては、あんま期待せんといてくだせぇ………
では、また!
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