1-1 なんともありふれたプロローグ
2024年 ニホン
とある町で、一人の青年が今日も変わらない朝を迎える
「……ふわぁ〜。
ん〜、なんか変な夢見てたような……なんだったんだろ?まぁいいけど。 ってヤバっ!学校遅刻する!」
これは、そんな人とは
平宮 久遠
私立王智玄高校に通う高校1年生。彼には1つ、人には言えない秘密があった。
「おはよー壮馬。お前今日は学校休みか。」
「あれ、兄ちゃん。今起きたの?父ちゃんも母ちゃんも仕事行ったし、兄ちゃんも学校遅れるよ!」
「あーい、わーってるよ。いってきまーす!」
「………兄ちゃん、なんでいつもあんな余裕なんだろ?学校始まるまであと5分だけど、家から学校って15分くらいかかるのに…………」
弟に見送られて家を出た久遠は、寝坊をしたというのに、焦りを微塵も見せない。
「………よし、いつもの
そういうと久遠は、
とてつもない速度で走り出した。
超速で学校へと向かった久遠は、いつの間にか学校のすぐ近くへとたどり着いていた。
「いや〜、ちょうど通勤とかで車めっちゃ通る時間帯じゃないの助かるわ〜。
遅くまで寝てても遅刻しないし、こんな力使えるようになった俺ってばラッキーボーイ♪」
そう言いながら久遠は、何事も無かったかのように校門をくぐるのだった。
「…………あの人間離れした速度。まさか………
「……なんにせよ、このまま見過ごせねえな。」
俺が物心ついた頃から、俺の中には変な力が宿ってた。
めちゃくちゃ力持ちになったり、めちゃくちゃ足速くなれたり、めちゃくちゃ高く跳べるようになったり。
使い方もなんでか分かる。使いたい!って思えば、それに応えるみたいに、体の制限が外れるみたいな感じになる。
そんなすげぇ力が使えるようになったんだ。調子に乗らねぇ方がおかしい。実際、小学校の頃は無双しまくった。女子にもすっげぇモテた。
あの時は、ある種の全能感ってゆーのか?
そういうもんに全身が包まれてる感覚だった。
でも、中2あたりくらいから少しづつ社会っていうのを知っていって、この力がなんでも出来るものじゃないって気づいていった。超人的な動きが出来るからって、仕事で役に立つ訳では無い。
じゃあアスリートにでもなればいいって?
俺だって1回はそう思った。でもそこで、今俺が悩んでいる壁にぶつかることになった。
「そーいや、今日って昔にあった大戦争の終戦記念日らしいね〜」
「あ〜それ知ってる!ニホンが相手ボコボコにしたーってやつだろ?」
「でも戦争って怖いよね〜。人がいっぱい死ぬんでしょ?今じゃ考えられないよね〜。っね、久遠もそう思うでしょ?」
「………ん、あぁ。それな〜。」
「ぷっ!久遠なんも聞いてないじゃーん!」
「これが平宮の名物、ボッーとタイムってやつ〜?」
「……悪い悪い。なーんか眠いんだよ、最近。」
「おいおい、そんなんじゃ社会に出てから苦労するぞ〜?」
「そーいや、久遠君の将来の夢って聞いたことないや。
なんかなりたい職業でもあるの?」
うわ、でた。俺の現在の悩みの種。
「将来の夢ねぇ。何かにはなってるんじゃね?」
「なにそれ曖昧〜!」
俺には、未来で俺が何してるか、想像できない。
………ってゆーか、夢がない。何がしたいとか、思い浮かばねぇ。
俺はただ、今、友達とこうして他愛ない話で喋って。
家族と仲良く話してるだけでいいのに。
俺と、俺に関わる人が幸せでいるだけでいいのに。
このままであるわけないのも、未来がどんどん近づいてるっていうのもわかってて。
「………はぁ〜!まじでどうすんだよぉー!」
まじで、何とかならないもんかねぇ。
午前の授業も終わり、昼休み。
久遠は、飲み物を買いに、体育館近くの自販機に来ていた。
「今日は〜、コラ・コーラの気分!
にしても、この辺りって、こんな人いなかったか?周りゼロじゃねえか。ま、混まないならいいけど。」
周囲の状況に疑問を感じつつも、飲み物を買おうとする久遠。
「おい。」
「!!!」
(……は!?周りに人の気配なんてなかったぞ!一体どこから!?)
どこからか現れた1人の青年が久遠に、話しかけた。
「………これは忠告だ。
お前の
これは、俺なりの優しさだぜ?アホカス。」
「……開口一番何言ってんだ?ぎふと?
足速くしたり出来るやつのことか?……てかアホカスって言い過ぎだろ!てかてかお前は誰だよ!!」
「うるせぇ、お前のその力はそんなポンポン使っていいもんじゃねーんだよ。
ま、俺が言いたいのはそれだけだ。もし次使ったなら………俺も、手を出さなきゃならなくなるからな。んじゃ、そういうことだ。せいぜい気をつけろよ。」
「はぁ?まだ話し終わってねえよ!だからお前は誰………って、あれ?あいつ、どこいった………?」
「ねぇねぇ、あの人、ずっとひとりで誰かと喋ってるよ?」
「精神大丈夫かよ………てか、いつまで自販機の前にいるんだ?はやくどけよ…。」
(……は?急に周りに人が現れた?
………あいつ、もしかして、俺と同じ…………)
言いたいことだけ言って姿を消した謎の青年。
久遠は、そのことに何か胸騒ぎを感じていた。
次回 「襲撃」