「………なんで、俺の蹴りを止めれたんだ。お前は俺の事を認識出来てなかったはずだ!」
床にたたきつけられた後、拘束された叶は、久遠に疑問をぶつけた。
本来、あの勝負に久遠の勝ち目などないはずだった。だが、久遠は勝って見せた。認識すらできない叶の攻撃を止めたのだ。
「さぁ?俺にもよくわかんねぇ!でもなんかすごい勘?みたいなのが働いたんだよ。
まぁんな事どうでもいいんだよ。あんたが何者なのか、何の目的で襲ってきたのか。全部洗いざらい吐いてもらうぜ。」
「はっ、誰が言うかよそんなの。殴りたきゃ殴れよ。ただ、俺は死んでも口を割らねー。」
情報を出そうとしない叶に、久遠も負けじと迫る。
「はぁ〜。強情なやつだなぁ、お前。そういうのいいから、さっさとおしえ──「君の
誰も気づかなかった。気づいた時にはそこにいた。髪の色と同じ真紅のスーツを身にまとった、妙齢の男が、割れた窓のそばに立っていたのだ。
「……理事長、なんでここに。」
「なぜ、か。叶君、君の見つけた
だがいざ来てみると君を倒すほどの実力者だとは。これは来た甲斐があったというものだ。」
「………あんた、何者だ。俺の勘が、あんたはヤベェって言ってる。叶のとこのボスか?」
「勘……あぁ、さっき叶君を捕らえた時の。異常な身体能力が君の力だと思っていたが、どうやらそれだけではないようだね。火事場の馬鹿力という言葉のとおり、人間は本来の力を制限して生きている生物だが、そういう制限を取り払っているのだろうか、肉体、感覚に関わらず………
おっと、そういえば君の質問に応えなければ。私の名前は
「……箱庭?叶が言ってた………そこがどこだか知らねぇが、とにかく俺はあんたにはついて行かない。家族だって、友達だっているんだ。だからこの生活を離れるのはゴメンだね。それでもって言うんなら……こっちも実力行使でいかせてもらう。」
「──実力行使か。いいだろう、かかってきたまえ。君の
藤照と名乗った男はそう言うと、久遠へと近づき始めた。
(クソッ、退いちゃくれねぇか。さっきからこのおっさんには勝てる気が微塵も湧いてこねぇ………でも、)
「ここで、逃げる訳にはいかねぇ!」
「ふむ、いい気概だ。だが……」
「実力がまるで伴っていないな。」
瞬間、久遠が倒れ込んだ。
呻き声すら、出ることは無かった。久遠は、自分が負けたことにすら気がつかないまま、意識を失っていった。
(───何をしたのか、見えなかった───)
そしてそれは、叶にとっても同じこと。叶ほどの実力者すら一体藤照がどのようにして勝ったのか、理解することすらできなかったのだ。
「さて、叶君。これより私は彼を連れて箱庭に戻ります。今から君に言う人の記憶から久遠君の存在を隠して来なさい。のちのち面倒事になったら困るからね。では、よろしく頼むよ。」
そういうと藤照は、
「……消えちまった。理事長もきっと
「……だが、それよりも今は、与えられた仕事をこなすだけだ。憎んでくれよ?平宮 久遠──」
「………んん──ん?あれ、俺は………って、俺なんで寝てたんだよ!変なおっさんが来て戦おうとして……ってかここは?見た目は………保健室か?」
戦いの後、久遠が目を覚ましたのは、学校の保健室のような、小さい部屋のベッドの上だった。
自体を呑み込めない中、情報を得ようと立ち上がろうとした時、女性の声が聞こえた──
「──お、声がすると思ったら、よーやく起きたのね!元気そうで良かった★」
声と同時に姿を現したのは、久遠と同世代くらいの女の子だった。パーカーの着いた青い服に、長めの白いスカート。そして、黒く光った瞳には、品物を定めるようなものが込められていた。
「…………あんた、誰?」
「あ、ごめんごめん!名乗ってあげなきゃね!何が何だかで混乱してるだろうし。」
「私の名前は
次回、「教えて!癒羽ちゃん教室」