ランペイジ・バレット ~ソシャゲみたいな世界に転生した俺が必死で生き抜いていく話~ 作:捻れ骨子
1
晴れ渡る空。
澄んでいた空気。
そして。
全てをぶち壊す、がおんどどどどどばりばりばりふぃぃぃぃぃん、と響くエンジン音とかモーター音。
……お約束だがあえて言わせて貰おう。
「なんでこうなった」
スターティンググリッドに位置したアルトワークスの中で、ハンドルに顎を乗せた俺はげんなりと呟いた。
時間は少々遡る。
突如現れたイケハタ氏が提案したのは、多くの目の前ではっきりとした白黒を付けること。つまり本格的なレースをしてみたらどうかと言うことだった。
「もちろんアタシも打算があるから言ってるの。これを大々的に宣伝してギャンブルにすれば、一攫千金大もうけってわけよ。アンタたちは文句の言いようが無い決着を付けられる。アタシは儲けられる。Win-Winってヤツよねえ?」
たしかにまあ、衆人環視の状況では、結果に文句も言いづらいだろう。そして特に総長は、はっきり白黒付けられると言われれば乗ってくる可能性が高い。
そうでなくても。
「人前で負けるのが恥ずかしいからやめておく、ってんなら勧めないけど?」
「言ってくれんじゃねェかヨ。良いゼ、やってやんヨ」
ほら、挑発されたらこれだ。やることになるじゃん。
そして多分ダイチ氏の方も。
「アンタも乗る? 断るとこの子からすごく恨まれるけど」
「それは御免被るな。受けるとしよう。衆人環視の中、命がけの逢瀬というのも乙な物だろうさ」
やっぱりな。この御仁、愉快犯の気質があるだろ間違いなく。俺と似て非なるタイプの人生エンジョイ勢だ。
ま、それはさておき。
「……予想とは違う展開になっちまったが、荒事は起きそうにないな。帰るぞ」
「良いんですか放っておいて?」
「かまわん。折角平和的な方向で解決しそうなんだ。余計な茶々入れんでもよかろう」
多分レースの内容は
と、イケハタ氏が去ろうとする俺たちに声をかけた。
「あら、もう帰るの?」
「ああ、いても邪魔だし手持ち無沙汰になるしな」
「そ。……じゃあ
「? ああ、伝えておくさ」
そんな言葉を交わして、俺たちは去った。
この時、もう少し気にしておいた方が良かったかも知れない。なんでイケハタ氏が
「あんたも参加しなさい」
「……はい?」
数日後。俺を呼び出した代表は唐突に宣い。俺は困惑の声を上げるしかなかった。
イケハタ氏が提案したレースは、大々的な催しとなり派手に宣伝されていた。封印都市は馬鹿騒ぎこそ数あれど、娯楽的なイベントはほぼ皆無と言って差し支えない。つまりめったにないお祭り的な娯楽がぽんと湧いて出たわけだ。そりゃすさんだ心の住人達は飛びつく。さらに賭け事となれば食いつきは倍。イケハタ氏は笑いが止まらないことだろう。
……これでなんかしょうも無い理由でポシャったりしたら、大ダメージじゃすまないような気はするが他人事だ。生暖かい目で見守ってやろう。……とか思ってた矢先にこれである。
どういうことだと代表を見れば、目が据わっていた。
あ、なんか地雷踏まれてる。
「どういうことだか説明していただけるので?」
断っても無駄な気がしてきたので、原因を探る方向で話を振ってみた。さすれば代表は封の切られた手紙を投げてよこした。見れば招待状と書いてある。
「イベントに彩りを添えるため、ご協力をお願いしたいって事らしいわよ。ぶっちゃけ誰か
促されて中身に目を通して見たらば、確かに言っているとおりの物だ。だがしかし、内容が
要約すると「別に参加しなくても良いわよォ? 負ける勝負なんて誰もしたくないでしょうからね、無理にとは言わないわ。……けどお、勝負から逃げて戦いもしないのに負け犬になるのって、どんな気分かしらね?(意訳)」ってな事が遠回しかつねちっこく書かれている。
あのオネエ、代表がどんな人間かよく分かってやがる。プライドが高く引火点の低い代表は、わりとすぐキレる。重要な場面では自制できるのだが、こういったしょうも無い挑発には結構容易く反応してしまう。オレらの仕事に大きな影響がないとなれば、こういう話には乗るだろう。
問題は矢面に立つのがオレらだと言うことだ。
「……自分以外の人間が参加、というのは?」
「あんたが一番運転上手いから却下。やるからには最大戦力叩き込むに決まってるじゃない。大佐はイベントそのものが無茶苦茶になるから問題外だし」
「ですよね~」
逃げられない。この時点で俺はなんか色々と諦めた。
で、冒頭の場面となるわけである。
やっぱり巻き込まれるチューおじ