ランペイジ・バレット ~ソシャゲみたいな世界に転生した俺が必死で生き抜いていく話~   作:捻れ骨子

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今回BGM、T-SQUARE で【Truth】。


2

 

 

 

 

 

 封印都市の一角。瓦礫の山と荒れた道しか無かったそこは……それなりに整備され、ラリーのコースとして使えるんじゃないかなあ、くらいには見られるようになっていた。

 流石にサーキットとまでは行かないし、レースしようと思ったらできるくらいのレベルでしかなかったが、短期間でここまで仕上げられたのなら大した物だ。

 ……あのバニーボーイども、ただのマッチョじゃないとは思っていたが、こんな芸があったとはな。ゲイ(本人達自己申請)だけにってか。

 まあそれはそれとして。

 

「さあいよいよ開幕の時が迫って参りました! ご覧くださいこの大盛り上がり! 嫌が応にも期待は高まっています! 本日実況を担当するのはダンジョン探索配信でおなじみ、クラン【ストレンジャーアイ】リーダーことわたくし、【ホウドウ・コトノハ】。解説はこのイベントの主催者、ピエトロ・イケハタ氏にお越しいただいております。いや~、どうですかイケハタさん」

「そうねえ。誰が勝ってもいいけれど、大幅に皆の予想を外してアタシを儲けさせてくれたら良いわねえ」

 

 仮設の観客席には客が満杯。その中ほどにある実況席から響くのは、あまり俺たちと関わらないダンジョンの探索配信を主に行っているクランリーダーとイケハタ氏の声。確認するまでもなく絶好調なようだ。

 そして、このレースに参加する車両は6台。2台は言わずと知れた総長のZⅡと、黒いのことダイチ氏の謎バイク。次いで俺のアルトワークス。残りは……。

 

「うむ、良きレース日和であるな」

「はっ! その通りであります総統!」

 

 古いドイツ製のサイドカー、BMW・R75(多分レプリカ)を持ち出してきたのは、渦巻く十字団。MG42を備えたサイドカーに座するマウザ嬢――総統と、幹部にして運転手を務めるメガネっ娘、【ヒラコ】嬢だ。どうやら彼女らも招待(生け贄に)されたらしい。

 その次が。

 

「さて、久々だけど腕は鈍っていないと思いたいところだね」

 

 英国バイクであるロイヤルエンフィールド・ショットガン650(レプリカ)を駆るのは、クラハム。いつもの男装ではなく、身体のラインがはっきり分かるライダースーツにガンベルトをぶら下げていた。胸を強調するようにジッパーを開けているのは、分かってやっているのだろう。

 で、最後。

 

「そりゃ免許持ってるのあたしだけだし、頼まれたら嫌とは言えないけどさあ」

「ぶつくさ言ってないでしっかり運転してくださいまし」

『なんで私は縛り上げられて転がされてるのかな? ねえ聞いてる?』

 

 戦闘指揮車のハンドルを握るタカミ(オペ子)と、上部ハッチを陣取りレールガンを据え付けている黄色こと【イワモト・カナエ】嬢。ついでと言うか指揮車の荷室から某頭おかしい系ヒーローもどきの声が響いているようだが、気にしたら負けだ、多分。

 以上の面子が参加者(さらし者)である。大体が殺意高い装備を持ってきているが、当然()()()()()()()()。グレネードなどの爆発物や広範囲でレースを阻害するような物以外の武器使用自由という、潰しあいさせる気満々な一文があったりする。そして俺含めてどいつもこいつも躊躇するような性格はしていない。波乱は必至だった。

 

「一般的なデスレースに比べたら、大人しいとは思いますけれど」

「一般的なデスレースとは」

 

 俺と言葉を交わしているのは、レースクイーン姿のトザマである。チューブトップにミニスカ、丈の短いジャケットといかにもな格好だが、これがなかなか似合っていた。

 なんでもじゃんけんで負けてこの役目を引き受ける羽目になったと言うことだが。

 

「個人的に推し豚ごときがこのような格好は恐れ多いと言う思いと、これはこれで美味しいという思いが鬩ぎ合っているわけですが」

「まあ似合ってて良いんじゃねえか? お前さんわりとスタイル良いから映えるし」

「こういうのは身長(タッパ)があるほうが格好付くんですよ。ああいうのとか」

 

 トザマが指し示す先には。

 

「はっはっはっは! どうかねマシンは絶好調かね!?」

「いいから博士は大人しく突っ立って視姦されといてください」

「視姦されるのは一向に構わんが、この格好を見て喜ぶ者はいるのかね?」

 

 技術者達が集っているダイチ氏のマシンの側で威風堂々と立つのは、テンドウ女史。その格好は競泳水着の上から白衣というものであった。

 ……レースクイーンと言うよりフェチ系のAV(アダルトビデオ)みたいな格好だが、確かに女性としては背が高く、なおかつスタイルに恵まれた彼女には、おっそろしいほど似合っていた。まあ元が良いから大概の服は着こなせるのだろうが。

 

「誰かが適当に言いくるめて着せたらしいな。まあ、確かに映えちゃいるが。別の意味で」

「高性能ポンコツ枠ですからね博士は。見た目もエロい美人だから人気ですし」

 

 否定できる要素はないんだが、なんだろうこの、残念感というかがっかり感というか、何かが致命的に足りてない感は。

 ……うんまあその、とりあえずそれは置いておこう。

 

「それで、()()()()()()()()()()?」

「はい、滞りなく。代表やスペシャルズもモニターしていますよね?」

「それはこっちでも確かめた。よほどの電子欺瞞じゃ無い限り、ごまかせないはずだ。……が、油断はできんな」

 

 代表に命じられた後、今回の騒動が原作ゲーム内ではコメディ系のイベントだったと、トザマから聞いている。だがイコールそのまま無事に終わるではない。だから色々と仕込ませて貰った。最悪イベント自体がおじゃんになる可能性もあるが、平穏のための貴い犠牲だ問題は無い。(強弁)

 

「無事これ名馬となればいいが、そうそう思い通りに行かないのが世の中だ。特にこんな大騒動になるとな」

「賭け事としては盛り上がるか大炎上ですけどね。……実際自分の記憶なんか当てにできません。ご武運を」

「応さ。死なない程度に頑張るとするよ」

 

 こんな様相を見せつつ、レースの時間は迫る。

 はてさて、どう転びますやら。   

 

 

 

 

 

 

 

 

 




ちょとだけ色気要素
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