ランペイジ・バレット ~ソシャゲみたいな世界に転生した俺が必死で生き抜いていく話~ 作:捻れ骨子
「本レースのコースは全長10キロの周回。これを10周してトップでゴールした方が優勝となります! 当然ながら制限された範囲であれば武器の使用は自由! 何人たりとも俺の前を走らせねえという強き意志と力を持った者が勝者となる! 果たして勝利の栄冠を手にするのは誰か!」
「ぶっちゃけるとただただ走っているだけじゃ盛り上がりに欠けると思うのよねえ。やっぱりスパイスは効かせてなんぼじゃない?」
実況席から前説が流れているが、そこはかとなく不穏な気配がする。
まあただではすまないと言うのは分かっていたことだ。切り抜けるしかあるまいよ。それに――
正直、
「さて、ピットクルーも下がり準備が整ったようです。スタートまで秒読み段階に入りました。弩のごとく引き絞られた緊張感。猛々しき獣たちが今まさに解き放たれようとしています」
誰も言葉を発しない。エンジン音とモーターの唸りだけが響く中、いよいよシグナルが灯った。
赤いランプが一つずつ消えていき、最後の一つが消え、そして。
ポーンと言う音と共に、蒼のスタートランプが点灯する。
咆哮を上げ各車がスタートを切り――
「カナ! 頼むわよ!」
「どっせええええいですのぉ!!」
『なぜ持ち上げるのそしてなんで投げるのおおおおおお!?』
なぜか黄色がヒーロー女を引きずり出して、コース前方に向かって高々と放り投げた。
ヒーロー女は放物線を描いて飛翔。そして彼方の地面に落下し――
ずどん。
……まあ、こんなことになるだろうなとは思ってた。
「おおっと! スタート直後にいきなり地雷原だぁ! こんな容赦ない悪辣なコース設計見たことがないぞ! どうなってるんですかイケハタさん!」
「え? これくらい普通でしょ? 祝砲代わりのご挨拶よご挨拶。それにあの人らが、これくらいでどうにかなるわけないじゃない」
いやな信用だった。とは言えなんかやるだろうと疑っていた俺や、なんかあるだろうと容赦なくヒーロー女投げつけたタカミ黄色組も大概だが。ちなみに投げたヒーロー女はアフロになって吹っ飛ばされ、それを上手いこと黄色がキャッチしていた。再利用する気らしい。
まあそれはそれとして。
「は、上等じゃねェかヨ!」
「地雷原と分かっているならばな!」
「対処のしようもあるというものさ」
「ヒラコ、構わず飛ばせ! 我が道を開く!」
「御意であります総統!」
参加者達は誰一人臆することなく、それぞれの得物を構えて遠慮無くぶっ放し始めた。
「オルァ! 弾けろやァ!」
木刀を振るって散弾のような衝撃波を放つ総長。
「進路上の地雷だけ排除できればいい」
左手でコイルガンを抜き、小刻みに連射するダイチ氏。
「開幕から派手にやってくれる!」
クラハムは最小限の射撃で的確に地雷を処理する。
「この電動ノコギリ、当たれば砕くぞ!」
ここぞとばかりにMG42をぶっ放しまくる総統。
「
ぶつくさ言いつつ黄色はレールガンを放つ。
様々な攻撃がコース上に撃ち込まれ、派手な爆発が次々と起こる。その中を次々と駆け抜けていく参加者。
……の後を俺は付いていく。当然銃は抜いてない。
「おおっと参加者達、力業で地雷原を突破していくぅ! ……の後を地味に追いかけるGS隊長! 随分大人しいですが何かトラブルでしょうか!?」
「う~ん、クレバーねえ。この先何かあると見抜いてる感じだわ」
「と言うことはまだまだ何か仕掛けがあると言うことですね!?」
「うふふ、それは見てのお楽しみよ」
そう言うことである。初っぱなからこれでこの後何もないなんて事は絶対に無い。弾も技術も無駄遣いできるわけがなかった。
ま、後ろに付いてるのは
「抜けたァ! このまま頭取らせてもらうゼ!」
地雷原を抜けたところでトップを取ったのは総長。バイクに乗っての荒事なら、彼女は他の誰よりも慣れている。そして
もっともそう上手くは行かないのがセオリーなんだが。
「生憎、それは通さんよ」
総長のすぐ後を追うダイチ氏。そのスーツの装甲と、バイクのパーツの一部ががしゃりと展開した。
おん、と何かが放たれた……いや
「なっ、これはっ!」
その感覚がした途端、総長のZⅡは覿面に速度を落とした。なるほど、あれがテックを阻害するジャマーか。それを起動させたまま、ダイチ氏はトップに躍り出る。
「これを展開している以上、抜こうとすれば影響を免れない。さあどうす……」
ちゅいん、とダイチ氏のバイクを弾丸が掠めた。
「「「撃つに決まってるだろう」じゃないか」でしょう」
総統とクラハムと黄色は容赦なく銃の狙いを付けていた。
鉛玉の嵐が、ダイチ氏を襲う。
そらそう(なる)よ。