ランペイジ・バレット ~ソシャゲみたいな世界に転生した俺が必死で生き抜いていく話~   作:捻れ骨子

104 / 156
4

 

 

 

 

 

「ぬうっ!」

 

 降り注ぐ弾雨を危なげなく回避するダイチ氏。加えて。

 

「なるほど、距離さえ取りゃあテックは使えるってわけだ!」

 

 距離を取り下がった総長が、左手に持った木刀を肩に担ぐ。大技をつかう気のようだ。

 

「逝っちまいなァ! 【惨死鬼緋焔】っ!」

 

 総長のテック技。高熱のごんぶとビームがぶっ放された。不安定なバイクの上、しかも利き手ではない方で放ったおかげで狙いは大雑把。だがそれを補うだけの威力と範囲がある。

 

「なんとっ!」

 

 ごんぶとビームを、ほとんど横倒しになるようなスライドで回避するダイチ氏。こういった大技に対抗するための手段は()()無いようだ。

 

「……もしかして自分は大ピンチなのではなかろうか」

 

 こうなるとダイチ氏は打つ手に乏しくなる。ある程度近づかなければテックジャマーは効果を発揮しないようだし、近づくまでに銃器や大技で狙われる。そして総長以外は銃器使い。たとえテックジャマーの効果範囲内に入ったとしても、()()()()()()()()()()()()()。身体能力など幾分か低下するであろうが、銃はその範疇に入っていないので性能の低下などはないからだ。

 それに俺たちが散々警告したせいで、連中()()()()()()()()()()()()()()()()()()()。そんな状態をどう切り抜けるか。試行錯誤し想定し、鍛練も積んでいたことだろう。

 

 ……ふん、なるほど。イケハタ氏ちゃんと考えているようだ。今回呼ばれたゲストメンバーは、()()()()()()。テックが使えない状況下である程度の戦力を保てる銃器使いを集めたのはそれが狙いだ。ダイチ氏――対テック戦闘を想定したネクスティスがどれほどのものか。それを見極めるつもりらしい。

 この場で全ての札を切る事は無いだろうが、ある程度の実力を引き出すことができれば、いざというときの参考になる。そう言った思惑がある。

 

「おおっと! これは情け容赦ない集中攻撃だぁ! ここぞとばかりの猛攻がダイチ氏に襲い来る! これは大ピンチですねイケハタさん!」

「おほほほほ、鳴り物入りで現れたんだからこれくらいは切り抜けられるでしょ? 簡単に潰れないでもっと盛り上げて欲しいわね」

 

 ……思惑が、あるはずだ。多分。

 

「このままではじり貧か。……やむを得んな」

 

 今回のルールでは空を飛ぶことは禁止されている。大きくコースを外れることもだ。つまりダイチ氏は謎バイクの機能を駆使しトリッキーな手段を取ることができない。このままでは逃げ切れないのは確実だろう。

 しかし、()()()()()()()()()()だと、俺は睨んでいた。テックジャマーと生体強化に合わせた装備。それだけではまだ、この街で生き抜くには足らない。であれば。

 

「では一つ、見せようか!」

 

 走行中の謎バイクが、がきんと音を立てて変形を開始した。飛行形態ではない。何か別のものに姿を変えようとしている。

 前後の車輪が位置を変え下に伸び、車体がダイチ氏の身体を包み込むように可動。大型のサイドコンテナが展開して、人間より一回り大きい肩と腕を形成する。

 現れたのは、両足が車輪となった半露出型(ハーフカウル)のパワードスーツだった。

 

 ………………。

 確かにこの程度では無いはずだと俺は睨んでいた。

 ちがうそうじゃない。

 

「さて、こいつがどこまで通じるか。最高速は落ちるが、その分戦闘力は上がっているぞ!」

 

 ぎゃりりとホイルを軋ませ、黒いパワードスーツが駆ける。その右腕が展開し、ガトリングガンの銃身が顔を出した。

 

「ちっ、やらせねェ!」

「ヒラコ、回避だ! ヤツから距離を取る!」

「御意であります!」

「当たらなければどうと言うことは無い!」

「轢き潰す!」 

「投げつけますわ!」

『やめてええええええ!!』

 

 縦横無尽に駆け回るパワードスーツ。応戦するテック使い達。

 スケート選手のように駆けながらガトリングガンを放ち、間合いを詰めようとするダイチ氏。衝撃波や7.62㎜弾や454カスール弾がそれを妨げんと撃ち込まれ、戦闘指揮車が体当たりを敢行しようとし、ヒーロー女が空を飛ぶ。

 それを俺は後方からのんびり走りつつ高みの見物だ。

 

「そうじゃないとおもったが、存外やるもんだなあ」

 

 色物かと思ったバイクパワードスーツだが、これがなかなか互角の勝負を見せていた。通常の物より機動力が高く、高速での戦闘に適しているのだ。切り札とまでは行かないが十分にテック使いと渡り合えていた。

 

「激戦です! 約一名以外双方一歩も引きません! ですがこのままだと膠着状態、レースの進行としては滞っています! さてどうした物でしょうか!?」

「そうねえ。……でもそろそろ、()()()()()()()()()()()()?」

 

 また実況席から不穏な台詞が出てきた。とか思ってたら。

 ごごん、となんか背後から重々しい音が響く。

 超いやな予感がする。そう思って俺はそろ~っと後ろを振り返った。

 ごん、ごごん、と言う音は徐々に大きくなり。やがて。

 

 ()()()()()()()()1()0()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

「「「「「ゑ?」」」」」

 

 それを確認した参加者達が一斉に動きを止める。

そして鉄球はゆっくりと()()()()()()()()()()()()()()

 

 …………………………。

 

「逃げろおおおおおおお!!」

 

 俺は吠えて、アクセルペダルを目一杯踏み込んだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




はいご期待通りの可変パワードスーツ。
そしてレースにてこいれ(物理)。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。