ランペイジ・バレット ~ソシャゲみたいな世界に転生した俺が必死で生き抜いていく話~ 作:捻れ骨子
「ぬうっ!」
降り注ぐ弾雨を危なげなく回避するダイチ氏。加えて。
「なるほど、距離さえ取りゃあテックは使えるってわけだ!」
距離を取り下がった総長が、左手に持った木刀を肩に担ぐ。大技をつかう気のようだ。
「逝っちまいなァ! 【惨死鬼緋焔】っ!」
総長のテック技。高熱のごんぶとビームがぶっ放された。不安定なバイクの上、しかも利き手ではない方で放ったおかげで狙いは大雑把。だがそれを補うだけの威力と範囲がある。
「なんとっ!」
ごんぶとビームを、ほとんど横倒しになるようなスライドで回避するダイチ氏。こういった大技に対抗するための手段は
「……もしかして自分は大ピンチなのではなかろうか」
こうなるとダイチ氏は打つ手に乏しくなる。ある程度近づかなければテックジャマーは効果を発揮しないようだし、近づくまでに銃器や大技で狙われる。そして総長以外は銃器使い。たとえテックジャマーの効果範囲内に入ったとしても、
それに俺たちが散々警告したせいで、連中
……ふん、なるほど。イケハタ氏ちゃんと考えているようだ。今回呼ばれたゲストメンバーは、
この場で全ての札を切る事は無いだろうが、ある程度の実力を引き出すことができれば、いざというときの参考になる。そう言った思惑がある。
「おおっと! これは情け容赦ない集中攻撃だぁ! ここぞとばかりの猛攻がダイチ氏に襲い来る! これは大ピンチですねイケハタさん!」
「おほほほほ、鳴り物入りで現れたんだからこれくらいは切り抜けられるでしょ? 簡単に潰れないでもっと盛り上げて欲しいわね」
……思惑が、あるはずだ。多分。
「このままではじり貧か。……やむを得んな」
今回のルールでは空を飛ぶことは禁止されている。大きくコースを外れることもだ。つまりダイチ氏は謎バイクの機能を駆使しトリッキーな手段を取ることができない。このままでは逃げ切れないのは確実だろう。
しかし、
「では一つ、見せようか!」
走行中の謎バイクが、がきんと音を立てて変形を開始した。飛行形態ではない。何か別のものに姿を変えようとしている。
前後の車輪が位置を変え下に伸び、車体がダイチ氏の身体を包み込むように可動。大型のサイドコンテナが展開して、人間より一回り大きい肩と腕を形成する。
現れたのは、両足が車輪となった
………………。
確かにこの程度では無いはずだと俺は睨んでいた。
ちがうそうじゃない。
「さて、こいつがどこまで通じるか。最高速は落ちるが、その分戦闘力は上がっているぞ!」
ぎゃりりとホイルを軋ませ、黒いパワードスーツが駆ける。その右腕が展開し、ガトリングガンの銃身が顔を出した。
「ちっ、やらせねェ!」
「ヒラコ、回避だ! ヤツから距離を取る!」
「御意であります!」
「当たらなければどうと言うことは無い!」
「轢き潰す!」
「投げつけますわ!」
『やめてええええええ!!』
縦横無尽に駆け回るパワードスーツ。応戦するテック使い達。
スケート選手のように駆けながらガトリングガンを放ち、間合いを詰めようとするダイチ氏。衝撃波や7.62㎜弾や454カスール弾がそれを妨げんと撃ち込まれ、戦闘指揮車が体当たりを敢行しようとし、ヒーロー女が空を飛ぶ。
それを俺は後方からのんびり走りつつ高みの見物だ。
「そうじゃないとおもったが、存外やるもんだなあ」
色物かと思ったバイクパワードスーツだが、これがなかなか互角の勝負を見せていた。通常の物より機動力が高く、高速での戦闘に適しているのだ。切り札とまでは行かないが十分にテック使いと渡り合えていた。
「激戦です! 約一名以外双方一歩も引きません! ですがこのままだと膠着状態、レースの進行としては滞っています! さてどうした物でしょうか!?」
「そうねえ。……でもそろそろ、
また実況席から不穏な台詞が出てきた。とか思ってたら。
ごごん、となんか背後から重々しい音が響く。
超いやな予感がする。そう思って俺はそろ~っと後ろを振り返った。
ごん、ごごん、と言う音は徐々に大きくなり。やがて。
「「「「「ゑ?」」」」」
それを確認した参加者達が一斉に動きを止める。
そして鉄球はゆっくりと
…………………………。
「逃げろおおおおおおお!!」
俺は吠えて、アクセルペダルを目一杯踏み込んだ。
はいご期待通りの可変パワードスーツ。
そしてレースにてこいれ(物理)。