ランペイジ・バレット ~ソシャゲみたいな世界に転生した俺が必死で生き抜いていく話~   作:捻れ骨子

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「おおっと! 突然巨大な鉄球が現れたァ! これは一体何事だぁ!?」

「うちの子たちのテックを使って、ジャンクの山をちょちょいっとね。誰かさんみたいに三味線弾い(手抜きし)てたりしたらダレちゃうじゃない。テコ入れよテコ入れ」

 

 あんのやろぉ! なんつー仕掛けを用意してやがる! くっそ、今回はマジでやるつもりなんて欠片もなかったってのに、余計なことしやがって。

 ……いっそこのまま逃げ出してボイコットしたろかい。そんな考えが頭をよぎる。すると、サングラスのインカムから呼び出し音が響いた。こっちが反応する前に勝手に接続。そして。

 

「逃げたら3ヶ月給料無し」

 

 一言だけで切れる。相手が誰だったかは言うまでも無い。

 …………………。

 

「どちくしょおおおおおお!!」

 

 泣くぞホントに! あのオネエ、代表になんか吹き込みやがったな!? 意地でも逃がす気はないらしい。

 あるいは代表も俺に一点賭けとかしてるんじゃなかろうか。今回は様子見だって言ってたんだがなあ。

 なんてのんびり考えている場合じゃない。でかい鉄球はわりとしゃれにならない速度で俺たちを追ってくる。こいつは――

 

「マジでやんないといかんヤツ!」

 

 ごこっ、とシフトを上げる。使い捨て前提のアルトワークスは、本格的なチューニングを施していない。

 だがそれゆえに、無茶ができる。

 全開の俺。そして戦っている場合ではないと判断した参加者全員が、全速で鉄球から逃れようとする。

 

「自分は考古学者の冒険野郎ではないのだがな!」

 

 バイクを元通りに変形させたダイチ氏が、テックジャマーをキャンセルして走りに集中する。あれは空力的にも無駄が多いし、エネルギーもそれなりに消費するのだろう。

 他の参加者にとってはチャンスだが、それどころじゃない。皆逃げるのに必死だった。

 

「流石に吹っ飛ばせねェぞあんなデカ物!」

 

 総長も木刀を収め、スロットルを開ける。参加者の中でも1、2を争う火力を誇る彼女だが、質量が違いすぎた。最低でも走りながらどうにか出来る物じゃない。

 

手榴弾(ポテトマッシャー)程度ではどうにもならんな。パンツァーファウストでもあれば、進路を変えるくらいは……できんか」

「そも禁止武器でありますから、没収されていたのではと愚考いたします!」

 

 サイドカーの中で腕組みし、うむむと唸る総統。現在彼女が持つ火力では、デカ鉄球をどうにもできない。となると途端に手持ち無沙汰になる。ぶつくさ言いながらも、ヒラコ嬢に運命を委ねるしかなかった。

 

「随分と面白いことになってきたが、さて、どうやって切り抜けるクラハム・エイカ!」

 

 今回なんか異様に大人しいクラハム。ダイチ氏を見定めることに集中しているのか、あまりこっちに絡んでこない。

 ……とか油断していると何かやらかすからなあ、この女。 虎視眈々と何かを狙ってる可能性がある。意識の端っこだけでも注意しておくか 。

 

「カナ! あれ壊せる!?」

「無茶言わないで……これぶつけたら行けるかしら?」

『死んじゃう! わたし死んじゃう!!』

 

 オペ子黄色組はなんかぐだぐだしてる。危なげなく運転しているところを見ると、余裕はありそうだ。

 全員が鉄球から逃げることに集中し、やり合っている余裕はない。この分だと潰し合いに集中していたら、ケツをひっぱたかれるような仕掛けが発動するようだ。確かにレースを進行させようと思ったらそれぐらいはせにゃならん連中ばっかだが。

 それにしても良く考えている。生半可なトラップじゃ俺たちは動じないと分かってる上で、()()()()()()()()()()()()を使いやがった。あれだけでかいとぶち砕くにしても相当な火力が必要となる。大佐とかなら破壊でも軌道をそらすでもできたんだろうが、今集ってる面子にそこまでの火力は無い。

 

「突然の鉄球攻撃に、皆矢も楯もたまらず逃亡一直線だぁ! 情け容赦ないテコ入れが参加者を襲い来る!」

「バトルはバトルで華だけど、ちゃんとレースもして貰わなくちゃねえ」

「納得いくような無情すぎるようなご意見ありがとうございます! ……ところで、誰かへまして止まったり転けたりしたらあっさり潰されちゃうような気がするんですが、そこの所の対処はどのように?」

 

 ぴた、と実況席の空気が止まった。

 なに。その間はなに。

 

「…………大丈夫よ多分あの子ら潰されたくらいじゃ死なないから」

「「「「「死ぬよ!?」」」」」

 

 参加者全員が一斉にツッコんだ。あのオネエ、安全性とか全然考えてないだろう。

 ……重火器使用可って時点で安全性もクソもないってのは分かっちゃいるがな。

 

「ともあれ、これも永遠に続くってわけじゃない。勝負はそこからか」

 

 今のところ直線だが、周回コースである以上必ずカーブという物がある。例えテックを使ってコントロールしていたとしても、あの大重量の軌道を容易く制御できるわけでもなかろう。

 だが同時に、距離を取ろうとして加速しすぎたらカーブを曲がりきれない、なんて間抜けを曝すことにもなりかねない。そこで転けてさらに鉄球に潰されるとかしたら最悪だ。さじ加減が難しいなこれは。

 現在参加者は固まっており、ほとんど横並び。直線での加速性能は大差ないようだ。であれば、ブレーキングからカーブの対処で差が出てくる。鉄球から逃れさえすれば良い俺とは違い、勝つつもりのヤツならば僅かでも先にクリアしようとするだろう。或いは無茶をする者も出てくるかも知れない。巻き込まれるのだけは勘弁して欲しいところだ。

 

「! やっと来たか!」

 

 雑に整備された道が、ほぼ直角にカーブを描いている。これで鉄球から逃れられるはず……なんだが。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




某ジョーンズさんところのパターンだと……。
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