ランペイジ・バレット ~ソシャゲみたいな世界に転生した俺が必死で生き抜いていく話~ 作:捻れ骨子
その後も、似たような展開で。
「1周目では放水による妨害があったエリアですが! なんと水浸しの末に文字通りの泥沼だァ! 足を取られて速度が落ちるのは必至、下手をすれば立ち往生! さあここはどうやって切り抜ける!?」
「面白い仕掛けだ。しかし、道がないのであれば作るのみ!」
「素敵よお客さんっ!」
クラハムのテック技が連続で放たれ、沼地と化した地面が凍り、道となっていく。
なんかマッチョメンが巻き込まれたような気がするが、気のせいだ。
「穴が空いているのであれば塞げばよろしい」
「おくさんこめやです!」
黄色のテック技が、落とし穴を次々と崩し、塞いでいく。
当然のようにマッチョメンの悲鳴(?)が上がったような気がするが気のせいだ。
「障害物を廃すれば、ただのスラロームか。ヒラコ、存分にやれ!」
「御意っ!」
「うるとら、Cィ!」
例に違わずテック技で吹っ飛ばされ、曲がりくねったスラロームコースとなったマルバツクイズ跡を、総統のテック技でバフがかかったヒラコ嬢が、見事なテクニックでクリアしていく。
途中マッチョバニーが轢かれて吹っ飛んでいったような気がするが気のせいだ。
そんなこんなで皆、力業と技術を駆使してコースを突き進んでいく。
俺? 俺は大人しいもんだよ。
「邪魔」ババンッ!
「セクシーダイナマイッ!」
時々現れるマッチョの姿をした
…………………………。
うん、いい加減現実逃避はやめよう。
「なんなのあのマッチョども! ことあるごとにポージング取りながら次から次へと現れたり降ってきたり生えてきたりしやがって! なんか仕掛けよってんなら普通にやれ普通に! つい撃ったり轢いたりしちまうだろうが!」
俺は吠えた。吠えるしかなかった。なんか精神的な疲労がたまった要因だ。
あいつらホント、唐突に予想外の方向からにゅん、って現れやがる。レースに集中するために無視して遠慮無く撃ったり轢いたりしてきたが、流石にツッコミの一つも入れたくなるわ。
「あいつらはそれなりに節度を保った変態だと思ってたのに……っ!」
「滅多にねえイベントだからはしゃいでんじゃねーの? 元々自重なんかあってないような連中なんだしよ」
ぶつくさ言う俺に声をかけてきたのは、ツナギ姿のレフト2。機械に詳しいヤツなので、メカニックを兼任してピット入りさせていた。
「分かってても言いたくなるわい。……で、車はどうよ」
「100年前の設計は分かりやすくていいんだが……よく保ってんなこれ」
現在の機械類は、ダンジョン発生前の物と最新鋭の物が混在している。これは100年前の物がそのまま生き残っているのではなく、過去の設計を元に再生産されたからだ。
一度文明がしっちゃかめっちゃかにされ、再起した次点で、当時最新鋭だった物の生産は困難となった。ゆえにグレードダウンして生産が容易な過去の製品を作って当座を凌ぐ流れがあった。俺がよく見知っている品が流通しているのはそういった事情がある。
ゲーム的なご都合主義ではあるのだが、実際あほみたいに電子化した物を再生産しようとするよりは理にかなっている。俺としても見知った物だから扱いやすいので、あまり気にしないようにしていた。
それはそれとして、俺の車を整備していたレフト2は、肩をすくめて言う。
「一通り見たけどよ、正直いつ動かなくなってもおかしかないぜ。寿命的な意味で」
「そいつは分かってる。普段から荒っぽく使ってるからな。代表に言われなきゃ、うちの装甲車使ってたさ」
わざわざ爆散前提の
つまり
「まあいい、どうせ買い換え前提だ。このレースだけ保ちゃあいい。
何気ない問いに、レフト2は眦を鋭くして答えた。
「こそこそ動いてんのがいくつか。大体はレースに介入して賭けを動かそうって連中だが、
「ネクスティスの技術を探りにでも来たか。あるいは関係者に手出しするつもりなのかもだ」
このイベントの裏で動く者があると、俺たちは、いや
道化にされるのはかなわんが、コラテラルダメージと言うことで己を納得させ……やっぱ逃げてぇ。
「で、怪しい連中を
「お嬢が? なんでまた」
こういった裏方仕事をやる立場じゃないだろう彼女は。
「そこまでは分からねえ。なんか因縁でもあるんじゃねえの?」
「因縁、ねえ」
……意外にある話、なのかも知れんな。
やっぱりなんか裏があった。