ランペイジ・バレット ~ソシャゲみたいな世界に転生した俺が必死で生き抜いていく話~   作:捻れ骨子

111 / 156
【悪党】

 

 

 

 

 

【another side】

 

 

 多くの人間がレースイベントに熱狂している中、その裏で密やかな戦いが繰り広げられていた。

 

『ラウディさん、そっちに一人追い込むから対処を』

『あいよっ!』

 

 ヒロコからの指示を受けて、路地裏から飛び出してきた男にエレキギターの一撃を食らわそうとするラウディ。

 が、大気が震え、彼女のギターは押しとどめられる。()()()()()()()()。飛び出してきた男――外国人のようだが、テック使いだったようだ。

 

『ビッチが! やられてたまるかよ!』

 

 吠えた男は懐に手を入れ銃を抜き出そうと――

 したところで足首に何かが絡みつき、派手に引き倒される。

 

『がぁっ!』

『足下がお留守だよってな!』

 

 集中が途切れテックが解除された男に対し、容赦なくギターを叩き込むラウディ。頭に直撃を喰らった男は地面にひび割れ作ってめり込み、ピクピクと痙攣する以外の動きを止めた。一応死んではいないようだ。

 

『いいアシストだ【グラジア】。やるようになったじゃないか』

 

 ラウディの声に応え暗がりから現れたスエット引きこもり、もといグラジア。男を引き倒したのは彼女のワイヤードナイフだ。そのグラジアは、長くたらした髪の毛の隙間から、恨みがましい視線を向けた。

 

『……褒めるとか何を企んでるの?』

『いや普通に褒めただけじゃねえか何で企んでるとかになんだよ』

『だってあんたよく『はっ、このアタイに食いついてきた事は褒めてやらあ死ね』とかやってたじゃない』

『仮にも味方に…………いや前科あったわ』

 

 祖国にいた頃は裏切り不意打ちだまし討ちなど当たり前にやっていた。仲間? 友達? 何それ美味しいのってなもんだ。同時に自分が他人から散々やられてきたことでもある。他者を信用しないし、他者からも信用されない。ラウディたちはそうやって生きてきた。

 そうやって四方八方を敵に回した挙げ句、とっ捕まって首輪を付けられこんな所まで連れてこられたわけだが。

 

『ちっ、まあいい。昔みたいにやってたら文字通り首が吹っ飛ぶ。そいつはごめんだって話さ』

『それも、そうか。……忌々しい』

 

 当たり前だが首輪の存在が鬱陶しいのだろう。前髪で隠れてよく分からないのだが、いやそうな顔をしている雰囲気がグラジアから発せられている。

 と、そのとき。

 

『おまた~、こっちは片付いたわよう』

 

 別方向からカティナが現れる。彼女も一仕事終えたようで、手に持つ鋏には血糊がこびりついていた。

 そしてヒロコのテレパスが彼女らに語りかける。

 

『3人ともお疲れ様。これで大体片付いたみたいです。残りはCIAの人たちが追うから、私たちは一度帰還して待機ってことで。帰りも気を付けてくださいね』

 

 気遣う言葉。表面上のものではなく本気で言っているのだと、いい加減理解できた。あの少女はそういう人間だ。自分たちが犯罪者だからクソみたいな性格だからとか、そう言うのを全部飲み込んで相対する。気がつけばいつの間にか懐に潜り込んでくるような、強かさがあった。

 今回だって、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()たちが、対テック技術を狙ってイベントの裏で暗躍しようとしていると聞き、迷うことなく彼女らを対処に赴かせるよう推薦していた。曰く。

 

「積極的に手柄を立てれば、首輪を外す日も近づくでしょ? それにここで逃げ出して首ちょんぱするようなお馬鹿でもないし、因縁のある相手を放っておけるわけもない。それくらいは分かってるつもりですよ」

 

 善意から信頼しているのではない、悪投だからこその計算された信用。だが……()()()()。あの少女は油断のできない人間だ。しかし同時に信を見せ、信を置く。緊張感を保ちながらもある程度背中を任せられる。祖国にいた頃には考えられなかった関係が構築されていた。

 

『……だってよ。CIA(犬ども)に手柄譲ってやんのはしゃくだが、色気出して首吹っ飛ぶのは面白くねえ』

 

 ギターを担いで、意識を失っている男の足首を掴みずるずると引きずりながらその場を後にするラウディ。残りの二人も続く。

 

米国組織(あのバカども)は多分また来るから、そのたびに引っ張り出されるのね。ああ面倒くさい』

『もう全部ちょん切っちゃえば良いのよ。少しは大人しくなるでしょ』

 

 こいつらもなんか変わったなあと、ラウディは思う。祖国にいた頃からの顔見知りだが、決して仲がよかったわけではない。それどころか殺し合いになったことも一度や二度ではなかった。互いに自分以外は敵だと思っていた節がある。

 それが今では、首輪を付けられているとは言え大人しく連んでいる有様だ。まあ約1名盛大に勘違いした芸風のヤツがいるが、いずれにせよ殺し合いに発展するようなことは無くなった。殺し合いをするようなことになれば即座に首輪が爆発するという事情はあったが。

 毒気が抜けたとでも言うのか。基本的なところは変わらないのに、むやみやたらと周囲に当たり散らすことはなくなった。あの少女(ヒロコ)に絆されたのか、あるいは破滅的な生き方をしていても死ぬのが怖かったのか。どのような理由にしろ自分たちは何かが変わってきたのだろうと思う。そしてそのことが、存外悪くないと感じている。

 

『まったく、アタイも焼きが回ったモンさ』

 

 そう言いながら、自分の頬が緩むのをラウディは自覚していた。

 多分、後ろの二人の似たような表情なのだろうと思いながら。

 

『ところでそいつ、ちょん切っとく?』

『いいわね。ついでに呪っと(死ぬほどデバフっと)こうかしら』

『やめて差し上げとけ』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ※キャラ紹介

 【ラウディ】

 

 

 名前の由来は騒音(ラウド)から。本名は不明……と言うか多分本人も知らない。

 

 地獄のパンクロッカーを自称する犯罪者(ヴィラン)。気性が荒く喧嘩っ早い、ギザギザハートの子守歌レベル100くらいの悪党。

 幼い頃からテックの才能に目覚め、見よう見まねの独学でテック技術を習得。裏社会でも一目置かれるほどの存在となった。才能には溢れているが、その能力を我欲のためにしか使わない類い。

 自分と同様の犯罪者やマフィア等の組織を中心に襲撃し金品を強奪していた。なぜなのかは本人曰く『オレツエーでチョーシこいてるクソ野郎の方が、いたぶってて楽しい』とのこと。発想が最悪だが、一部で悪人を退治するダークヒーローだと勘違いされていたりする。

 

 紆余曲折あって当局に捕縛され、ダンジョン対策要員として封印都市に送り込まれたあげく、ホープブリケイドに属することとなる。封印都市でしばらく暮らすうちに丸くなってきた……と本人は思っているが、実は大佐などのとてつもなくヤベー連中の存在を目の当たりにして、本能的に恐怖し大人しくなっているだけだったりする。封印都市コワイ。

 

 ギターを武器として使い、また演奏することによって様々な効果を発揮するテックを用いる。意外とサポート向け。

 

 外観のモデルはアニメ【DOUBLE DECKER!】より【マックス(マキシーン・シルヴァーストーン)】。彼女が無駄にはっちゃけて無駄にエロくなった感じ。

 イメージソングはデトロイドメタルシティで【SATUGAI】。

 

 

 

 

 

 

 

 

 




実はヴィラン組の因縁……という名の伏線かも知れず。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。