ランペイジ・バレット ~ソシャゲみたいな世界に転生した俺が必死で生き抜いていく話~ 作:捻れ骨子
天高く舞ったクラハムは、悠々と鉄球の上に到達した。自身の身体能力を増強したか。だが何をする気だ?
「絶好調の所、失礼する!」
腰のホルスターから引き抜いたモデロ6を連射。それは狙い違わず鉄球の上でラインダンスを踊っていたマッチョどもを直撃。その肉体を凍り付かせた。
だが。
「駆け込み乗車はご遠慮くださァい!」
ぱきぃん、と音を立ててマッチョの一人が己の凍結を砕いた。テックの効果を
しかしクラハムは動じずに。
「失礼すると言った!」
落下の勢いに乗せて復帰したマッチョの顔面を踏みつける。そこから再び跳躍するクラハム。「あふぅん!」とか悲鳴をあげっつつ凍結した仲間と共に転げ落ちるマッチョ。クラハムが跳躍したのは鉄球の後方、セイヤセイヤ叫びながら鉄球を押しまくるマッチョどもの真上。
「新技の披露といこうか!」
もう片方のホルスターに収まっていたM500を引き抜き、2挺拳銃で連射。弾丸に乗せて放たれたテックの力は、マッチョどもやその周囲を区別無く凍り付かせていく。
素直に凍り付いて良い笑顔のまま倒れる者。打ち消しを行って復帰したが、凍った地面で足を滑らせて転ける者。倒れた仲間に蹴躓いてあらぬ方向にすっ飛んでいく者。一気に総崩れである。
そんな状況で鉄球を押し続けることができるはずもなく、巨大な球体は見る間に速度を落としていった。それを尻目に銃の反動で再び宙を舞ったクラハムが、走り続けていた己のバイクの上に、格好良く着地し両手の銃をガンスピンしてからホルスターに収める。
「人呼んでクラハムスペシャル!」
誰が呼んだんだ誰が。しかしネーミングセンスはともかく、虚空における身体制御。不安定な体勢から正確に目標を射貫く技量。銃の反動を利用し自在に宙を舞う技術。元から高い能力と技術を持つ彼女だが、さらに磨きがかかっているようだ。
「ふふ、どうだい。惚れ直したかな?」
再び併走してきたクラハムが、ウインクしながら問うてきた。俺は片眉を上げて答えてやる。
「惚れ直しはしなかったが、見惚れはしたな」
実際見事な技術だった。サーカスにでも転職したら間違いなく天下取れるわ。そんな内心の言葉を隠した俺の回答に、クラハムは一瞬目を丸くして。
「鍛え上げた甲斐があったという物!」
感極まって吠えた。ホントチョロいな。なんかおぢさん心配になってきたぞ。
「おおっと大技炸裂ゥ! 後半戦に突入した参加者達、まだまだ切り札を隠しているのか! これは後半戦も波乱の様相を見せてきたァ!」
「盛り上がってきたんだか上げて下げてるんだか微妙なところねぇ。……けど、うちの子たちが
知ってた。
実況を聞いてそんなこったろうと思ったと、諦観が浮かぶ。あのマッチョども、戦闘力はそれほどでは無いが、耐久力は上位テック使いにも匹敵する。全力で殺す気でもなけりゃ、すぐさま復活してくる。
そもあいつら何人いるかすらも分かってないからなあ。こんなことになるとは思っていなかったんで気にすることは無かったが、敵対するといろんな意味で面倒だと言うことが分かったので、今度探りを入れてみるか。
「それもこれも無事レースが終わったらの話だがな!」
「簡単にはすまなそうだね。……どうやら早速次の出し物のようだ」
急にシリアスな表情となったクラハム。彼女の視線の先を追えば。
どごん、と何かがコース脇に次々と生えてくる。それはでっかいボウガン……なのかあれは? 矢の代わりに装填されているのは、
俺たちが戸惑っているうちに。
「ハッスルマッソー!」」
「「「「「ハッスルマッソー!」」」」」
マッチョメンどもが次々と打ち出された。
つまりマッチョメンが俺たちに向かって降り注いでくるんだが。
「撃ち落とせと!?」
「そうするしかなさそうだ!」
爆弾が投下されるような風切り音と共に、笑顔のマッチョメンどもが迫り来る。
……字面的にも実情も酷いなこれ!!
まっするりべんじゃー(違)