ランペイジ・バレット ~ソシャゲみたいな世界に転生した俺が必死で生き抜いていく話~   作:捻れ骨子

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 躍りかかってくる襲撃者の胴体と頭に1発ずつ弾丸を叩き込む。反対側から襲いかかってきたのに対して沈みこみながら足払い。倒れ込んだところでヘッドショット。そこで弾が尽きる。

 マカロフという銃はマガジンキャッチボタンがグリップの底にある。だから片手でマガジンを排出するのは難しい。襲いかかってくる連中を肘打ちや蹴りなどを駆使して振り払いつつ、空マガジンを捨て新たな物を取りだしグリップに叩き込む。組み付いてきた襲撃者を銃で殴りつけながらスライドをリリースし、よろめいたところを顎の下から1発。振り返って残りの連中に銃口を向け――

 血しぶきが舞った。テックを駆使したグラジアが不意打ちを仕掛けたのだ。

 それで一段落付いた。俺は息を吐いて、セーフティをかけた銃をベルトに差し込む。

 

『良い仕事だ。米国の裏社会で一目置かれただけはある』

『貴方が注意を引いてくれるからよ。私一人だったらこそこそ逃げ回るしかなかったわ』

 

 謙遜ではなく素でそう思っている様子だ。自信のなさはすぐさまどうにかなるもんではない、か。

 にしても、こいつ(グラジア)とは()()()()()。俺が前面で敵を引きつけ、グラジアが奇襲で背後を突く。単純だが彼女のテックの効果も相まって、ハマると一方的な戦果を上げることも可能だ。諸々の都合を考えなけりゃGS(ウチ)にスカウトしたいくらいである。こういった隠形隠密系の技術を持ってる人間がいないからなウチには。

 それはさておき。

 

『移動してなきゃ、そろそろお嬢のテックの効果範囲なんだが音沙汰無し……相変わらず電波妨害も続いているし、これは各個撃破を狙われたか?』

『ねえ、気づいてる? ()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

 グラジアの言葉に頷いた。彼女の言うとおり、先ほどから襲いかかってくる連中は銃器の類いを持たず、精々が鉄パイプなどの適当な得物しか使っていない。

 

『俺が()()に使うんで、方針を変えたか。こっちの動きは見られていると考えた方が良さそうだ』

『そんなことができるのって……』

『ああ、()()()()()()()()()()()()()()使()()()()()()()()な』

 

 お嬢のテック天の眼。これは希少なテックではあるが、唯一無二のものではない。探せば素質を持つ者がいるだろう。あるいはそれを応用してお嬢の邪魔をしている可能性もある。

 転送装置といい、完全に俺たちをハメるための布陣だなこれは。

 

『連中の目的も気になるところだが、早いところ合流して――』

「やっときたか、待ちくたびれたぞ」

 

 突然かけられた声に、ぎょっとして視線を向けると同時に銃を引き抜いて向ける。

 銃口の先、路地の上に張り出した非常階段の踊り場に、()()()はいた。

 

(なん、だあ……こいつは!?)

 

 総毛立ち、背中にいやな汗が流れるのを感じる。

 腕を組んで手すりに軽く寄りかかっているそいつは、長い黒髪を緩く束ねた美女に見える。キャミソールに膝上のカットデニム、サンダルという姿は、ヴィラン組よりも場にそぐわないどころじゃないが、何よりも()()が異常だ。

 テック使いであることは間違いない。だが()()()()()()()()。俺たちのような無属性とは違う、全ての属性を内包しているような、そうでないような、全く今まで感じたことのない気配だった。

 それだけならまだしも、こいつの気配は深く、重い。まるでブラックホールが目の前に現れたかのようだ。とても、()()()()()()()()()()()

 

『……グラジア、先に行け』

 

 俺は銃をヤツに向けたまま、グラジアに言う。

 

『ちょっと、1人で何とかできるとでも……』

『2人いたって同じ事だ。……お嬢と合流できたら撤退しろ。合流できなかったら対策機構かGSの本部に向かえ。急げよ』

 

 きっぱりと告げる俺に何か言いたげなグラジアだったが、意を決したように駆け出す。ヤツは余裕の表情でそれを見送っていた。

 

「……随分とお優しいことで」

「有象無象に用はないからな。ワタシの目的は、お前だけだ」

 

 ゆるりと、蛇が鎌首をもたげるようにヤツは手すりから身を離す。そしてゆっくりと非常階段を降り始めた。

 

「封印都市中の強者が一目置く男。低位のテック使いでありながら、上位を相手取り勝るとも劣らない実績をたたき出してきたと聞いている」

 

 にぃ、とヤツが嗤う。獣が牙を剥きだしたかのように。

 

「一度()ってみたいと思っていた!」

 

 どん、と空気が爆ぜ割れる音と、銃声が同時に響いた。

 階段の途中から飛び出したヤツに向かって俺は躊躇いなく銃をぶっ放したのだが、難無くそれは回避され、一瞬にして極至近距離の間合いに入られる。水蒸気の雲を曳いて放たれた拳を、銃を捨てた俺は受け流す――

 

「っ!!」

 

 はずが、思いっきり吹っ飛ばされた。擦っただけだというのに、拳圧だけでこの威力だと!?

 蹈鞴を踏んで後退する俺に対し、追撃で回し蹴りが跳んでくる。ヤバい、身体が浮いたこの状態では良い的だ。

 

「ぬぐ、おっ!」

 

 強引に身体を捻って倒れ込む。転がりながら距離を取り、片膝をついて起き上がった。

 今の回し蹴りはどこにも当たっていなかったはずだが、壁に亀裂が入っている。冗談じゃねえ、当たってないのに重機のハンマー並じゃねえかよ。 

 

「よく避けた。並の人間なら最初の一撃で沈んでたぞ」

 

 獣の笑みを浮かべたままのヤツが、心底楽しそうに言う。

 ちょっと、これまでにないピンチじゃねえか俺?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




ヤバいのを圧倒しそうなヤバいの出てきた。
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