ランペイジ・バレット ~ソシャゲみたいな世界に転生した俺が必死で生き抜いていく話~ 作:捻れ骨子
こりゃあ、ちとハードに過ぎるな。だがやるしかあるめえ。
提げていた脇差トンファーの鯉口を切り、トンファーのグリップを掴んで引き抜く。そのまま反転させ、右腕に沿わせるように構えた。
「面白い武器だ。どう使ってみせる?」
ヤツは自然体で立っている。何の構えも取っていないが、そこからいきなり最速で攻撃モーションに移れるのは先ほど見たとおりだ。縮地などの技術ではない。ただ単にひたすら速い。
スピードだけなら速度属性に思える。しかしあの圧倒的な膂力はパワー属性のそれ。どちらも上位テック使いを凌ぐ。双方を兼ね備えたハイブリッドだとでも言うのか。
複数の属性を兼ね備える、というのは前例がないでもないが、それは所有者の心身に大きな負担がかかる。どういう理屈なのか、複数の属性を持つと発動させるのに多大な労力と苦痛を伴うようになるらしい。運用できても精々が低位テックの範囲止まり。それが苦痛を伴うとなれば実用性に乏しいことおびただしい。
だというのに、目の前のこいつは使って見せた。いや、あるいは俺のように
しかし、やりようはある。
己より強い相手との戦いは慣れている。何しろ
「征く……ぜっ!」
反応速度を最大限に増強。今度は俺から仕掛ける。ヤツは反応しない……いや。
構えを取らず、自然な体勢から直接拳を突き出す動き。所謂無拍子。それを使いこなせる達人と言うことだ。その上でテックによる効果の上乗せ。今まで戦ってきたどのテック使いよりも、近接戦に長けていた。
音速を超える右の拳を脇差トンファーで受け流しながら左に抜け――ようとしたところで、そのまま右腕が横に振り払われる。普通なら力の入らない動作だが、まるで丸太でぶん殴られたかのような威力だ。その威力に逆らわず、脇差で受けたまま力に乗って後方へ跳ぶ。
そこからさらに追撃。今度は左の拳だ。先ほどと同じく身体が少々浮いているが、反応速度を上げた今なら対処できる。真正面から受けることなどせず、脇差を保持した腕で下から巻き上げるように、ヤツの打撃に
「ふん、逃げ回ってばっかりか? 噂ほどでもないな!」
予想しにくい打撃を連続で繰り出しつつ、嘲笑しながらヤツは煽ってくる。やかましいわメスゴリラが。俺も戦車と正面から殴り合えるほど人間やめてないわ。(←やりかねない)
しかしそれにしてもと、嵐のような攻撃を捌きながら考える。こいつ刃物に対して臆せず殴ってくる。そして実際、傷一つ負っていない。
だったら……。
打撃の嵐から逃れ、思い切り後方に下がって距離を取る。
「へえ……少しは面白いところ、見せてくれるのか?」
あくまでも自分が優位だと信じて疑っていないのだろう。
ふん、これで全てを引き出せるとは思わんがね。
「お代は見てのお帰りさ」
言うが否やダッシュ。ヤツの正面に突っ込む。
当然ながら、ヤツは迎撃のための拳を繰り出す。
そこで己の
余所では知らないが、俺が使う縮地とは、
果たして、俺は暴風のようなヤツの拳の下を掻い潜り、左手で脇差の柄を掴む。
そこから居合いの要領で、打撃の瞬間だけ武器の威力に増強を切り替え抜き打つ。鞘走りがない分、速度と軌道は劣るが、がら空きの隙を突くのであれば十分だ。
一閃。胴抜きの一撃を与えて、俺はヤツの背後に抜けた――
んだが。
(何だ今の感触は!?)
手応えはあった。だがなんかコンクリの塊に斬りつけたような感覚だったぞ!? 悪寒を覚えつつも、振り抜いた姿勢から反転し、残心の構えで切っ先をヤツに向けた。
果たしてヤツは、キャミソールの右脇腹を大きく裂かれ、血を吹き出していた。内臓までは届いていないが、浅い傷でもない。ダメージは通ると証明されたわけだが。
「今のは良いな。一瞬見失った」
ヤツはけろりとしている。痛みに耐えている様子もなく、深手を負っているようには見えない。己の傷口に指を這わせ、流れ出る血をすくい取る。
「傷を負ったのは久しぶりだ。思った以上に、やる」
指先の血を妖艶に舐める。そうしている最中――
「……は!?」
思わず声が出た。おいおいちょっと待て、
あっという間に傷は消え、最早血糊しかその痕跡は残っていない。戦く俺を前にして、ヤツは楽しそうに言う。
「さあ、続きといこうか」
×メスゴリラ
○メス上院議員