ランペイジ・バレット ~ソシャゲみたいな世界に転生した俺が必死で生き抜いていく話~   作:捻れ骨子

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※話中の公安関係に関しては架空の設定です


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 と言うわけで、電話してみた。

 

「あ~、俺俺。俺だ」

「オレオレ詐欺なら間に合っている」

 

 通話の向こう側は、淡々とした反応だ。俺は苦笑し話を続ける。

 

「冗談だよ【委員長】。久しぶりだな」

「君からの連絡か。……厄介ごとの予感しかしないな」

 

 通話の相手は、特専時代の同級生。現在は公安で辣腕を振るっている。クラス委員長を押しつけられていたので、委員長がそのままあだ名となった男だ。

 

「察するに、神到 瑪芽の事だね?」

「相変わらず話が早い。そっちから情報が回ってきたと言うことは、ある程度の事情は知れていると思うが」

「ああ、話は聞いている。……まさか君を圧倒するほどだったとはな」

「その分だとあんたのセクションじゃ担当してなかったのか」

「あれは【捜査8課】の担当だ。場合によっては【強制執行班】の投入も考えられていた」

 

 公安警察捜査8課。公安が抱えるテック使いを含む選りすぐりの腕っこきが集められた部署である。ぶっちゃけ公安版エリーターズと言って良い。その中でも強制執行班は、テロなどの国家級の重犯罪を引き起こした上位テック使いを()()するために結成される、言わば公安版スペシャルズだ。GSと比べてもその実力は同等以上。それの投入が検討されていたと言うことは、ヤツがどれだけ脅威と見られていたか分かろうという物だ。

 

「あんたなら8課でもやってけそうだがな」

「私など、上位テックを相手にすれば鎧袖一触とされるだろうさ。第一8課であれば、容易く連絡などできんよ」

 

 本人はそんな感じで嘯いているが、この委員長、わりと()()()()()。テック使いとしての実力はともかく、相手を追い込むとか陥れるとかの手管に関しては一流だろう。オレらみたいなのの頭張ってたのは伊達じゃない。

 

「その辺のご謙遜は良いとして、もうちっと情報が欲しい。バーターとして封印都市(こっち)を根城にしてる()()()()()()()()()()海外勢力の動向を流す」

「いいだろう。君が欲しいのは彼女が学んだ武術の詳細と、能力調査のデータと言ったところか。個体の戦闘力としては最大級。少しでも情報は欲しいんだろう?」

「その上で最大の問題は、ヤツが()()()()()()()()()ってことだ」

 

 つまりヤツを擁する勢力があると言うこと。そして()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()ということだ。

 

「ある程度の情報はこっちでもつかんだが、見事に出し抜かれちまった。詳細はまだ分からん」

「その集団は取り逃がしたと聞いているが」

「ああ、()()()()()()()()()()()()もんでな」

 

 お嬢達が操られたチンピラ集団を何とか凌いだ後確認したらば、現場の廃病院は基礎を残してごっそりと消え失せていた。さらに調べてみると、元の場所から1㎞ほど離れた地点に、廃病院の()()が生じていた。瓦礫をひっくり返して調べた結果、備えられていたであろう転送装置は影も形も見当たらない。かろうじて各所に何かが取り付けられていた痕跡があっただけだ。

 転送装置そのものを再度転送させたのか、それともわざわざ瓦礫を掘り返して回収したのか。いずれにせよ今回の装置は使い捨てに出来るようなものではなかったらしい。であれば完成したのかそれに近い状態だと思われる。だとすれば、今後()()()()()()()()()()()()と推測できた。

 そのことを説明すれば、電話向こうの委員長は唸る。

 

「それが封印都市の外で使えると言うのであれば、厄介どころではないな。……その転送装置についても随時最新の情報が欲しい。頼めるか?」

「ああ、ヤツを含めた連中の情報も一緒に送る。そっちでも調べてくれればありがたい」

「心得た。……お互い面倒ごとが相手の仕事だ。持ちつ持たれつといこう」

 

 持つべき物は友……というか腐れ縁だな。最低でもお互い利があれば、協力し合える関係の人間がいるのは助かる。

 情報源を一つ得た。当然それだけでは何もかもが足りない。

 ……ちょっと気が進まないんだけどな。聞き出すしかないか。電話を切った俺は、ため息を吐いてから席を立つ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 どんよりと重い空気 。

 昼間の仕事が終わり、人気が少なくなった訓練場に呼び出したトザマは、酷く落ち込んでいた。

 

「やはり今のうちに私を始末しておいた方が良いと思うんですよ。リモコンを預けておきますから私がメス勇次郎に組み付いたところでポチッと」

「だからなんでお前さんそんなガンギマリなの。つーか服にプラスチック爆弾仕込むのやめろください」

 

 澱んだ目でリモコンを差し出してくるトザマを宥める。こいつ例の件が終わってからこっち、ずっとこんな様子だ。また『原作』ストーリーに関することを断片的に思い出したようだが、そのタイミングが作為的すぎたので、やはり何者かが自分に介入していると思い詰めているようだ。

 正直否定できないんだが、かと言ってヤケになって貰っても困る。トザマからもたらされる情報は、多少の差異はあれど外れがない。それが後でどんでん返しに繋がる可能性もあるが……今のところはそれを理由にトザマを()()するつもりはなかった。それを決めるのはこいつが明確に敵対関係になった時だけだ。

 

「こっちが手出しできないような位置にある介入者を気にしても仕方が無い。有用ならばその知識を使ってやるくらいに開き直った方が良い。そうやって苦悩してるところを嗤ってみているかも知れんのだから」

「それはそうなんですが……」

「逆にこう言ってる俺も、いざって時に()()()可能性もある。そんときゃお前さんに介錯を頼むかもだ。落ち込んでる場合じゃないぞ」

「むしろ隊長のその言葉に追い込まれてる感があるんですけど!?」

 

 ガビビンっ、とツッコミを入れてきた。よし、少しは調子が出てきたな。

 

「お前さんはそうやって世界にツッコミ入れてるくらいで良い。何も解決しやせんが、落ち込んでるよかマシだ」

「うう、誤魔化されてると分かってるのに、推しから励まされると言うシチュでチョロくトゥンクしてる自分がいる……」

「その調子で俺にいいように使われろ。で、早速だが」

 

 俺はにやりと笑ってみせる。

 

「あのメス地上最強生物に関して分かっていること、洗いざらい吐いてもらおうか」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




実は友達()がいたチューおじ
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