ランペイジ・バレット ~ソシャゲみたいな世界に転生した俺が必死で生き抜いていく話~   作:捻れ骨子

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 トザマから聞き出した情報を簡単に纏めるとこうなる。

 

 ・ヤツはボスキャラの一人。

 ・ストーリーで時々顔を出すが、負けイベント扱いで倒せない。

 ・無手だが全距離対応。そして特殊属性。(多分全ての属性を兼ね備えた物)

 ・HPゲージが複数。なおかつ毎ターンごとにHPが1ゲージ分回復。

 ・しばらく表に出てきて直接戦闘を行うのはヤツのみ。

 ・ヤツが属する勢力は最低でも4、5人。その全員が厄介な能力を持っている。

 ・なんで奴らの目的とかその辺の詳細な情報は思い出せないんですかねふぁっきん。

 

 ……ということらしい。

 

「いかにもボスらしいボスってことか」

「それくらいしか分からないってのがまた、いやらしい知識の与え方だと思いませんか?」

「0よかマシだと思うしかないな。……だがこれで、ある程度の目処はついた」

「ほへ!? もう何か対策を思いついたんですか!?」

 

 目を丸くするトザマ。まあそう大したモンじゃないんだが。

 

「簡単に倒せないと分かってるんなら、()()()()()()ってことさ。それにヤツは俺にご執心だ。顔を出せば食いついてくるだろうよ」

 

 こっちにもまだ思いつく札はある。それを気兼ね無しにぶち込めるということだ。何しろ相手はやたら頑丈な上、不死身に近い再生能力を持つ。それに探索者やってもいない、ほぼ確実に犯罪者。容赦の必要などまるで無い。

 そして、俺はヤツに目を付けられている。ヤツを擁する組織との関係性は不明だが、無理矢理従わせているようには見えない。となれば組織の意向より自分の欲を満たすのを優先するタイプであるヤツは、まず俺を優先的に狙う。どこかに出没したところで俺が現れれば、あっさりと標的を変えるだろう。ある程度の誘導が可能ということだ。

 

 とどのつまり、ヤツが出没したらほぼ俺の担当になることが確定したわけで。

 

「最高に最低で面白いほどクソムカつくが、やらんといかんだろうよ」

「エンジョイ勢としてはやりがいがあるけれど、一社会人としては発狂するほど面倒くさいんですね分かります」

 

 理解度が高くて結構。余所に被害が行くよりはマシだと考えるしかない。

 

「当たると決まれば後はどうダメージを通すかだ。負けイベントだと決めつけて諦めてちゃ話にならん」

「そのあたりをどうするかは……自分は聞かない方が良さそうですね」

 

 少し沈んだ様子でトザマが言った。自分を通して情報が漏洩する事を危惧しているのだろう。自分自身も信用できないというのは難儀だが、用心に越したことはないのは確かだしな。

 

「いずれ分かることだ。楽しみにしておけ。……それはともかく、一つ気になることがある」

「何です?」

「ヤツの再生能力。あれがどうにも引っかかる。ゲーム的にはどういう理屈の物だった?」

 

 問われたトザマは、う~むと考え込んだ。

 

「その辺の情報もあんまり無いというか、元々どういう設定かはっきりしていなかったような気が……あれこれ推測はされてましたけど、断言されるような物はなかった……かなあ?」

 

 設定資料載ってたムック買うべきだったかなあと、うんうん唸ってるトザマ。まあそんなところだろうと思ったわ。

 しかし、何で俺はヤツの再生能力に引っかかりを覚えた……と言うか()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()んだ? ああいう再生能力を持っている人間に、心当たりはないはずだがなあ。

 ってな事をトザマに話してみれば。

 

「……前世で何かあったとか?」

「前世じゃプラナリアでもあんな再生能力持ってなかったわ。最低でも今生のことだと思うんだが……あんな理不尽な再生ができる治療系テックなんてなかったはず」

「あんな再生するんならヤエ先生でも倒れますよ。データバンクのどこかで見かけたとか。……あ、来訪者とかは?」

「来訪者はそも再生する方が珍しいからなあ。あんな理不尽な能力持つ種類や個体が存在するんなら、印象に残って覚えてそうなもんだが」

 

 ボスキャラクラスの来訪者でも、あそこまで強力な再生能力を持つ物はいない。だが来訪者関係やテック使い以外で、当てはまりそうなのはとんと思いつかない。はて一体どこの何に共通点を見出したんだか。

 

「気にはなる……が、そればかりに拘っているわけにもいかんな。頭の隅に置いておくとするさ」

 

 もしかしたらヤツを攻略する手がかりになるかも知れんが、確実性のないものだ。水面に浮かんだ月のごとく、おぼろげな物に頼る気はない。

 できる事から一つずつ、だ。

 

「まずは……トザマ、組み手の相手をしてくれ。一つ確かめにゃならんことがある」

「構いませんが、何を? 自分はまだ隊長の要望に応えられる技量を持っているとは言いがたいと思うんですけれど」

 

 言いながらも立ち、身体を解すトザマ。なんだかんだ言いながらも、こっちの期待と要望には応えようとする自称推し豚の有様に苦笑しながら、俺は彼女から距離を取った。

 

「なに、お前さんに無茶は言わんよ。……確かめるのは、俺自身の事だ」

 

 俺の中にあった物。かつての人生で持ち続けていた()()は、未だ俺の中にあるのか。まだ残っているのであれば……。

 

 構えを取る。

 微かに風の音が聞こえた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




このおっさんレイドボスを一人で倒そうとしてる。
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