ランペイジ・バレット ~ソシャゲみたいな世界に転生した俺が必死で生き抜いていく話~ 作:捻れ骨子
「それでサクッと連れてくるってのはどういう了見よ」
「状況が打開できれば、と」
テンドウ女史と護衛のダイチ氏を引き連れてGS本部に戻ってきた俺を、代表は苦虫を噛み潰したような顔で出迎えた。
「出迎えご苦労! 私が天の道を歩む女、テンドウ・アユミである!」
「こちらの代表がこんなので申し訳ない。ネクスティス副代表兼実働部隊指揮官、ダイチ・キヅクです」
フンスと鼻息を荒くするテンドウ女史の隣で頭を下げるダイチ氏。慣れてるんだろうなあ。
「こう見えて彼女も対テック技術のスペシャリストです。うちの技研では見て取れないことが、見えるかも知れません」
「確かに手詰まりではある、か。……ええい、仕方が無いわね。特別に許可を出しましょう」
「よろしいので?」
ダイチ氏が問うてくるが、代表は苦虫を噛み潰した表情のままだ。
「よろしくはないわよ。現場はともかくあなたたちのスポンサーは、バッチバチにこっちを警戒してるんだから。……まあうちの上層部はあなたたちと繋がりができて喜ぶかもだけど、面倒なことにはなりそうよね」
けれどと、代表は続けた。
「手段をえり好みして手遅れになった、なんて笑い話にもならないのよ。無駄に野垂れ死ぬより面倒事を相手にする方がマシだわ」
「なるほど。その気持ちは理解できます」
代表の言葉に、ダイチ氏は頷いた。
「では我々も盛大にスポンサーから怒られるとしましょう」
「うむ! 怒られるのには慣れてきたからな!」
あんまり褒められるようなものではないことを、胸を張って堂々と宣うテンドウ女史。そんなに怒られているのか。
それはさておき、許可も下りたことだし2人を案内することにした。
先導しながら、俺はダイチ氏に問う。
「本当に良かったのかい? 実際
さすれば彼は、すました顔で応える。
「なに、恩を売ったと考えれば、さほど損をしている話でもない。それに」
そこで彼は、微かに笑った。
「我々も、無駄に野垂れ死にはしたくありませんので」
技研――GS技術研究室は、微妙な空気に包まれていた。
「隊長チャ~ン、大概の無茶振りには応えてきたけどさぁ、商売敵をうちらの仕事場に招き入れるとか……控えめに言って、正気?」
呆れ返った様子で言うのは、癖の強い天パに分厚い眼鏡、ボロボロの白衣が特徴的な男。技術研究室の室長だ。
腕は良いが口が悪く、俺にも遠慮無い態度で接する人間だが、関係性は悪くない……と思う。多分。
「正気で状況が打破できるんならそうするけどな。手段を選んでる余裕はないだろ?」
「いや狂ってるのを認めて欲しかったわけじゃないんだけど。……まあここに連れてきたって事は、代表から許可を得てるってことだよねぇ」
深々とため息を吐いて、室長は諦めた様子でボリボリと頭をかいた。
「立ち会いは、させてもらえるんだよね?」
「当然。解説も頼む」
「美人相手でなきゃ、断固として断ってたとこだ」
不承不承ながらも、テンドウ女史の要望は通ることとなった。
分解された転送装置。ガソリンエンジン式の発電機とバッテリー、そして制御システムと各種配線等いくつかの機器。構造そのものはそれほど複雑ではないが。
「制御システムはCPU、メモリー、全てが焼き切れている。そうでなくとも何の働きをしているか分からない部品ばかりさ。かろうじて」
説明をしている室長が、部品の一つを指し示す。
「このラジエターのようなパーツ。ここは冷却を司る物じゃなくて、何らかのエネルギーを外部から取り入れるものらしい。そこからシステムを介して、地面に繋がっていた出力計の配線に回してる……みたいだって所までは分かった。でもそれが何をどうやって物質の転送、っていうか空間の入れ替えを行っているのかさっぱりだ。正直我々じゃお手上げって所だね」
ふむふむと室長の説明を聞きながら、食い入るように並んだ部品を見るテンドウ女史。
「制御システムは焼き切れているが、バッテリーは無事なのかね?」
「からっけつになってるけどね。古いタイプのバッテリーだから、再充電すれば使える。多分車とかから引っぺがしたんだろう」
「であれば、電気系統の負荷ではなさそうだ。電力は直接使われず、取り込んだエネルギーを活用するために使われている? だとすればそのエネルギーとは……」
「そこだよねえ。既存のフリーエネルギーかとも考えたんだけど、この程度の機材じゃ取り込むことはできそうにないし」
この世界、実は何種類かのフリーエレネルギーを取り出すことに成功している。しかし手間がややこしく機材も大型化しコストがバカみたいにかかると言うことで、実用化のめどは立っていない。当然ながら、目の前の機械の規模ではエネルギーとして運用することは不可能だろう。
「ふむ、フリーエネルギー……ん? 待てよ?」
何かに感付いたのか、テンドウ女史は考え込む。
ややあって。
「……一つ試して見よう。え~っと、室長氏? テックの反応を見られる撮影機器の類いはあるかね?」
「あるけど、どうする気?」
「この機械の原理、それが分かるかも知れない。少し弄らせて貰うが構わんね?」
「元に戻せるのであれば」
訝しげな表情で室長は許可を出した。それを受けてテンドウ女史はいくつかの部品を手に取る。
配線をつなぎ替え手早く組み上げたのは、エネルギーを収集するらしいラジエターのようなパーツと、仲介の回路。そして地面に繋がっていた端子。これだけで何をするつもりなのかと考えているうちに、室長が機器を持ってきた。
デジカメのようなそれは、テックの力の流れをサーモグラフィーのように捉えるもの。それで組み上げた部品を撮影するよう指示を出し、テンドウ女史は
「では隊長氏、この部分に
彼女が指し示したのはエネルギーを収集するパーツ。この場でテックを使えるのは俺だけだから頼むのは分かるんだが、何する気か?
「まあいいが、俺は増強しか使えんぞ?」
「それで十分だ。……くれぐれも、このパーツ
よく分からん。が、何か意味はあるのだろう。俺は言われるまま、収集パーツにテックをかけた。
すると。
「ん? これは……」
「予想通り、か」
眉を寄せた室長とテンドウ女史が、撮影機器背面のモニターを見て呟いていた。何が映っているのかこちらからは見えないが、何やら彼女らの興味を引く物が映っているらしい。
ややあって、難しい顔をしたテンドウ女史は、おもむろにこう言った。
「これは多分、テックを仲介する波動を原動力とする……
……はい?
なんか変な設定が生えてきた。