ランペイジ・バレット ~ソシャゲみたいな世界に転生した俺が必死で生き抜いていく話~ 作:捻れ骨子
なぜに、
なぜに、
理由は至極単純なことで。
攻撃を受けた重装強化歩兵たちが怯み、そしてその眼前に降り立つ影がある。
一つは蒼。鋭利な外装を持つヘビーマシンガンを乱射。しかる後にそれは変形して巨大な両刃剣となった。それを構え、敵を威嚇する。
一つは紅。抜き放った太刀から斬撃が飛び、強化歩兵の足下を切り裂く。後退した強化歩兵の前に立ち、太刀の切っ先を突きつけた。
一つは黄。バトンワーリングのように振り回される長大な得物は、10ミリ
一つは――
「ひろこちゃああああああんっ!!」
緑なんだけど、台無しだった。
真っ先にお嬢に飛びついて、抱きしめつつその豊満な胸でもみくちゃにしている。どうでもいいがこいつらの格好、前から思ってたけどなんで胸とか尻とか強調したデザインなんだろう。ゲームだからか。俺は現実逃避気味に考えていた。
「おぅおぅおぅおぅおぅおぅおぅおぅ……」
「大丈夫だった怪我してない?お姉ちゃん心配したんだからね本当に心配したんだからね!?囮なんて無茶するから誘拐されそうになるしそこの男には抱きつかれるしセクハラよね!?いえむしろ痴漢行為おまわりさんこの男逮捕しまったこの男おまわりだったわなんという職権乱用!うらやましいから私が愛でて消毒上書き保存するわ最高!!」
「……言いたいことは色々あるが、とりあえず句読点付けて喋れや」
おうおう呻きながら目を回しているお嬢を抱きしめつつ、こちらをきっ、と睨んでくるショートボブの自称姉を名乗るどあほうは放っておいて、俺は前に向き直った。
「さて、それじゃあ共闘って事で良いんだな?」
「……あの、もしかして
強化歩兵たちを牽制しながらチラリとこちらを見て問う蒼いメカニカルなプロテクターを纏った娘――眼鏡でロングヘアの少女。俺は肩をすくめて応えてやる。
「そこの自称姉が言ってただろうが、
「貴方の姉じゃないわ!」
「俺もこんなエキサイティングな姉ちゃん持った覚えはないわ」
どこに反応してるのかこの姉っぽい生き物。
「大方奴らの実働部隊を一気に殲滅する腹づもりで、罠を仕掛けたんだろう?」
「うわホントにバレてた」
俺の言葉にしかめっ面を見せる、紅いプロテクターの娘――ポニーテールの少女。そう、この娘ら――ホープブリゲイドは、最近お嬢をつけ狙っていた勢力を一網打尽にすべく、あえてお嬢自身を囮にして奴らを引きずり出したのだ。いや多分お嬢が自ら言い出したのだろう。
いやはや、いい度胸してるよ。一歩間違えればどことも知らぬ所へ連れ去られて、酷い目に遭っていた可能性だってあるのに。目を回してあうあう言ってるぽんやり娘をチラ見してから、俺は武器を構え直す。
「話は後だ。お客さんをいつまでも待たせておくわけにはいかんだろう」
「そうですわ! わたくし一人を働かせるおつもり!?」
吠えるように言うのは黄色……というか金色。巻き毛に近い癖のある金髪を背中まで伸ばした女性は、レールガンを敵集団に撃ちまくって押さえ込んでいた。俺達が悠長に話し込んでた理由だ。
「そういうこった。お嬢! いつまでも呆けてないで指揮を頼む!」
『はいっ! 【カナ】さんはそのまま圧力をかけて! 【アオイ】ちゃんと【ユウヒ】ちゃんは攻撃に、たいちょーさんはフォローに回って! 【ミドリ】さ「お姉ちゃん!」お姉ちゃんは控えで私のガード!』
テレパスに切り替えたお嬢の指示が飛ぶ。なんかテレパスなのに介入してきた姉を名乗る未確認生命体がいるような気がするが無視だ無視。
「行きます」
「打ち込む!」
俺と金色の援護を受けて、蒼の子と紅の子が駆ける。蒼の子は自分の得物、【ギミックソード】をヘビーマシンガン形態に変形させ射撃を行い、紅の子は太刀、【電磁ブレード】を抜刀して斬りかかる。
先ずは1体に集中攻撃。高速弾が殺到し、足が止まったところで太刀の斬撃が奔る。
「堅いっ!」
『っ! ユウヒちゃん下がってミドリ、お姉ちゃんとスイッチ! カナさん、たいちょーさん、
ダメージの通りが悪いとみた紅の子が顔をしかめ、何かを察したお嬢が改めて指示を飛ばす。それに従って俺と金色は同じ強化歩兵に集中射撃を行うが。
「やはり大した効果がありませんわね!」
「こっちもか。となるとこいつは……」
ダメージが通っていないわけではなさそうだが、いまいち効果が薄く見える。だったら別のやり方でいってみるかと思案している間に、紅の子と交代した緑の偽姉が戦場を駆ける。
姉もどきが両手に持つ得物は、大口径のハンドキャノンに刺々しいストライクフェイスを付け、銃身下からグリップ下端にかけてナックルダスターじみた刺々しいハンドガードを備えた代物だ。
当然これで射撃するのではなく――
「お姉ちゃん~、ナッコー!」
殴るのである。
殴ると同時に50口径がぶっ放されるという凶悪な代物。どがんどがんと重機のような打撃音が響いた。
普通だったらこれはかなり効く。どころか大概の相手は粉砕されるんだが。
「効いてない!? よしじゃあもっと……」
『殴らなくて良いから一旦下がって!』
どうやらお嬢は確信したようだ。
「お嬢、分かったか」
『うん、
ホープブリゲイドは全員属性が違う。同属性による相乗効果などは望めないが、
だったらやり方を変えるよう、牽制射撃をしつつ具申しようと考えていたら。
『……よし!』
「お嬢?」
何かを決意したお嬢が、厳かとも言える雰囲気で告げた。
『私に良い考えがある』
それは失敗するフラグじゃなかろか。
なんかまた暴走しそうなキャラが出てきた。