ランペイジ・バレット ~ソシャゲみたいな世界に転生した俺が必死で生き抜いていく話~   作:捻れ骨子

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手術前に投稿


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 で、GSの訓練場である。

 衆人環視の中、対峙するのは俺とダイチ氏……。

 

「さあさあどっちが勝つか、分刻みで賭ければさらに倍よぉ!」

「ち、流石に二度もイニシアチブは取らせないか。……隊長。3分で」

「はは、油断したなあ大佐。ネクスティスの兄ちゃんで5分」

「ギンボシ女史は穴狙いか。であればこちらは固くいこう。隊長で5分」

「我も便乗するわけではないがな、普通に隊長殿であろう。8分」

「そりゃおっさんが鉄板だろうが、ここはあえて穴狙わせてもらうぜ。ネクスティスのあんちゃんで10分」

「………………」

「ここは堅実に行くべきか、それとも一発逆転にかけるか、悩みどころだと頭目は申しております。大穴はやめておきましょうね?」

「もちろん僕は隊長君だとも。3分から10分まで分刻みで全部だ」

「隊長サンが優位と皆サン見てるデスネ。個人的にはネクスティスに期待したいところデス」

「たいちょーさんですね。6分でお願いします」

「勝ち負けはどうでもいいから、ダイチさんを解剖させてくれない? 大丈夫ちゃんと戻すから」

 

 ……いつも通りだな、うん。

 

「一体どこから聞きつけてきたのかこの人達」

「疑問に思うだけ無駄だ。こういう話は見逃さねえぞこいつら」

 

 別に機密でも何でもねえしな模擬戦のことなんざ。嗅ぎつけようと思えばいくらでも嗅ぎつけられる。まあいつものことだし一々気にしていられない。

 

「さて、こっちは模擬弾使用以外はいつも通りってことでいいんだな?」

 

 ぱきぱきと体の各部を鳴らしてほぐしながら問えば、ダイチ氏は頷く。

 

「無論。テックジャマーの実用テストも兼ねているのでね。本気でやってもらわなければ意味がない」

 

 彼の姿はボディースーツ(ピチスー)に軍用ジャケットという姿だ。そして足元にはメカニカルなトランク? が置いてある。

 ふむ。

 

「準備しなくて良いのかい?」

「なに、すぐ済みます」

 

 にやりと笑ったダイチ氏は、ジャケットを脱ぎ捨ててトランクを前に置きなおした。そして。

 

「セットアップ」

 

 彼の声に反応し、じゃきりん、と音を立て、トランクが開き大きく前後に展開した。その真ん中に、ダイチ氏は足を踏み入れる。

 さすれば、がしゃがしゃがしゃと彼の足元から、その体を覆うように()()が組みあがっていく。

 おお~っと、ギャラリーから歓声が上がる中、ダイチ氏はその姿を大きく変えた。

 

「うわなにそれカッケーなオイ」

 

 基本的にはいつも使っていた装甲(プロテクト)スーツだ。だが以前のバイクスーツじみたものじゃなく、なんというか、作画カロリーがすごく高そうないかついデザインに変わっている。装着方法といい、いきなり技術上がりすぎてない?

 

「はっはっは見たかね! 携帯性を高め現場での素早い装着を可能としたVer.2だ! もちろん性能も大幅に向上しているぞう!」

 

 高笑いしながら解説するテンドウ女史。まさかどっかの鉄男を参考にしたってわけじゃなかろうな?

 まあそれは置いといて。俺はインフィニティを引き抜いてマガジンを外す。装填されている弾頭は模擬弾。石灰をベースにした、チョークのようなものである。当たれば大した衝撃もなく砕ける低致死性の弾頭だ。もっとも当たり所が悪ければ、万が一のこともありうるが。マガジンを戻し、スライドを引いて装弾。チャンバーチェックしてホルスターに戻す。

 MCXも同様。マガジンを外して弾を確認し、再び戻してからボルトを引いて装填、チャンバーチェック。作動に問題はない。

 

「OK、こっちはいつでもいいぜ」

「こちらも問題なし。博士、モニタリングは?」

 

 ダイチ氏も得物のチェックを行って言う。今回はいつのもコイルガンではなく、大型のサプレッサーをつけたマシンピストルだ。伝導体を電磁加速で打ち出すコイルガンでは模擬弾が使えないのでこうなった。

 

「うむ、こちらの準備もできている。存分にやってくれたまえ!」

 

 いつの間にかモニタリング用の機材が据え付けられた折り畳みデスクの前に陣取り、眼鏡をぎぬらんと怪しく光らせているテンドウ女史の言葉。それを合図に俺たちは動き出した。

 俺は増強を発動させ身体能力を強化。テックジャマーの効果範囲から逃れるため、ダイチ氏から距離を取るように後退する。

 対するダイチ氏はテックジャマーを起動せず、銃を構えて俺を追う。ふん、分かってやがる。テックジャマーの電力消費量は知らないが、常時展開していればそれなりに消耗するだろう。使うのであれば、ここぞという時。()()()()()()()()()()()()()だ。実際のところスーツは数時間の稼働することができるようだが、実戦を意識した使い方を試すつもりらしい。

 走りながらMCXで牽制射撃。ダイチ氏はスーツの機動力を生かしつつ遮蔽物を巧みに使い、銃弾を回避。機動性は普通に上位テック使いと同等か。対人戦闘に慣れてる分、位置取りや移動のタイミングを掴むのが上手い。

 多分ダイチ氏の得手は接近戦。己が真っ先に突っ込んでいく前線指揮官タイプだ。そういう意味では俺と酷似している。クロスレンジではテックジャマーの効果を考えるとこっちが不利か。できれば間合いを詰められる前にけりを付けたいところだが。

 

「そうそう上手いことはいかんだろうな」

 

 駆けながら小さくつぶやく。向こうも俺と同じことを考え、間合いを詰めようと考えるだろう。そしてそのために必要な技量を彼は持っている。

 俺が優位を保とうとすれば、距離を取ったまま追いかけっこするべきなんだろうが。

 

「……試してみるか」

 

 俺とダイチ氏、()()()な。俺は自分の口元が獰猛に歪むのを自覚していた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




これが投稿される頃には手術が終わっているはず。
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