ランペイジ・バレット ~ソシャゲみたいな世界に転生した俺が必死で生き抜いていく話~   作:捻れ骨子

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強襲! お兄ちゃん!
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 【another side】

 

 

 マネ・キネコ商店。主に銃器を扱う武器商店であるが、類似の店に比べ、結構高い注目度がある。

 扱っている武器の質が良いということもあるが、最大の注目点は店主がチャイナ服コスプレ美女であり、店員が挙ってメイド服コスプレ美女揃いだという所だろう。良くも悪くも目立ちまくりだった。

 治安の悪いこの街で、よくこんな商売やっていられるなと思うが、店主のキネコ含めて全員が銃器の扱いに長けており、おまけに店員の多くがテック使いだ。その上強盗とかなんやかんやを返り討ちにして、いやでも実戦経験が積み重なっていくので、そこらのクラン顔負けの戦闘力を誇る。

 近隣の反社勢力が「この店ヤベぇ」と敬遠すらしてるマネ・キネコ商店は、今日も通常営業中であった。

 

「ほなら今日も愛想ようやっていこか」

「「「「「かしこまりました、オーナー」」」」」

 

 どう見ても悪役スマイル(本人は普通ににっこり笑ってるつもり)なキネコの言葉に、店員は一斉に頭を下げて答えた。良く教育が行き届いている……というよりは、使用人ロープレが大好きなのだこのメイドども。内心ヒャッハーしながらキネコに仕えているこいつらは、実際の所わりとろくでなしの集団であった。

 まあそれはさておいて、今日もつつがなく華やかに、営業は続く。

 このまま平常通りの時間が過ぎるかと思われたが。

 

「オーナー、お電話です」

 

 店員(メイド)の1人が、アンティークなデザインのダイヤル電話(もちろん中身は最新式)を盆に載せて持ってきた。キネコは受話器を取ると、商売用の声音で話し出す。

 

「お待たせいたしました。店主のマネ・キネコでございます」

 

 そして、しばらく経って。

 

 

「なんやてぇ!!!!」

 

 

 近隣に響き渡る絶叫が、マネ・キネコ商店を揺るがした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 【隊長side】

 

 

 業務と訓練の合間を縫って、俺はダンジョンに潜っていた。

 以前発見された第2階層の区域。中型の来訪者が出没するそのエリアは、鍛錬をするにはもってこいだ。メインの探索ルートから外れ、人の往来も少ない。つまり、あまり邪魔も入らない。そのぶん危険性もあるが、それくらいのリスクを背負わずして、成長するものか。

 とか考えているうちに、【エイプ】の豪腕が迫る。エイプは来訪者にしては珍しい、()()()()である。多くが甲殻類や昆虫に似た姿と構造を持つ来訪者の中でも数少ない例外だった。もっともその構造自体は他の来訪者と変わらないのだが。

 ゴリラに似た体型と、胴体に埋まった頭部。どっちかと言えばゴリラの形に近くなったカニと言った様相だが、その膂力とタフネスさは実物のゴリラを上回る。もちろんそんな物の拳をまともに食らえば、ひとたまりも無い。

 

 ゆらりと、振るわれる拳を外側に躱す。同時に勢いが乗った右腕に、俺の指先を引っかける。

 手に力は込めない。左脚を軸に、エイプの膂力を導いて、逸らす。外から見れば社交ダンスを踊っているようにも見えただろう。自身の力を最小限に、力のベクトルを変えてやれば、エイプは体勢を崩す。

 自身の腕が()()()()()()()()()()()エイプは感じただろう。感情があれば驚愕していたかも知れないが、もちろんこいつらにそんな物はない。ただ条件反射的に体勢を立て直すため力を込めようとした。

 その力を、軸足を入れ替え逆に回転しつつ、エイプの腕と身体を()()()()()()()()。さすればエイプは自身の力で宙に浮き、縦に回転しながら頭から落ちた。

 

 ――天舞流、旋風(つむじ)投げ――

 

 相手の打ち込みの力を利用して投げ落とす技だ。訓練や稽古であれば背中から落とすが、本来は頭から落として頭部を割るなり首を折るなりする。そして今回はその本来の使い方で投げた。

 自身が生んだ勢いと自身の重量。それらを乗せてハンマーのように叩きつけられた頭部。人間なら即死ならずとも、相当のダメージを喰うはずだが。

 

「やっぱり一発では死なんか」

 

 多少動きは鈍くなった物の、即座に藻掻いて立ち直ろうとするエイプ。まあそうなるわ。頑丈さがちがうんだから。

 僅かに距離を置いてから、俺は左手を構えエイプの手足を掻い潜り、震破掌を叩き込む。

 その後、数種の技と3発の震破掌で、やっとエイプは沈んだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「まだ爆散には遠いな」

 

 ダンジョンの出入り口近くにある探索者用の休憩所。そこでシャワーを借りた俺は、汗を流してから帰路につこうとしていた。

 合間を縫って行っている鍛錬の成果は徐々に出てきているが、まだ満足いくレベルには仕上がっていない。いや、()()()()()()()()()()()()()()()()、そういう意識が最近になって芽生えて……()()()()()()()

 かつての……前世の俺が持っていた、『飢えにも似た向上心』。若い頃であれば、できなかったことができるようになっていくのが楽しく、技の冴えを追求して。ある程度の歳を取ってからは、老いてなお実力を維持するために技の効率化と無駄の削ぎ落としを追求していった。今生ではエンジョイ勢として、そう言った面は抑え気味であったが……現状ではそうも言っていられない。生存率を高めるためにも、己のそのような部分を呼び覚ます必要性があると、俺は感じ実行している。

 とは言えすぐさま反映され実力が爆発的に伸びるわけではない。のんびりとはしていられないが、焦ってへまをするわけにもいかないだろう。一歩ずつ確実に、だ。

 そう思いながらそろそろ業務に戻ろうとして、代車の軽トラに乗ろうとすれば。

 

「ん? なんだ?」

 

 スーツの内ポケットに入れたスマートフォンから着信音が響く。

 それが、新たな騒動の狼煙だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




忘れ去れていたかも知れないキネコさん話だ!
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