ランペイジ・バレット ~ソシャゲみたいな世界に転生した俺が必死で生き抜いていく話~   作:捻れ骨子

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「……というわけですんで、休暇をいただきます」

「なかなかとんち効いたこと言いやがるわねこの男。通ると思ってんの?」

 

 休暇を申請した俺を睨め付ける代表。この忙しいときにと思っているのだろう。色恋沙汰(偽)ごときでと、思う気持ちは分かるがね。

 

「単純にマネ女史に恩があるから、というわけでもないんですよ」

「どういうことよ」

「お忘れですか? 彼女一応()()()()()なんですが」

 

 そう、すっかり忘れ去られているが、キネコさんは言動がどことなく胡散臭いので、色々と怪しまれていた。出身が関西圏と言うこともあって、 背後関係の調査に完全な信頼性がなかったというのも疑念が増す要因となった。あからさまに怪しむような真似はしていないが、油断のならない人物として見られている。

 

「その彼女が、()()()()にこんな話を持ち込んできた。加えて身内の来訪です。何かある……と思うのは勘ぐりすぎでしょうかね」

()()()()()()2()()。それが控えてる状況で、か」

 

 まあ実際の所なにも裏はないんだろうがな。付き合いも長いし独自に調べもしたが、怪しいだけでほぼシロと断言できる。ここまで来て何かあったりしたら、よくぞここまで隠し通せたと、逆に感心するくらいだ。このタイミングでってのは、単に間が悪かっただけと見た。それでも念には念を入れて、といったところかな。

 

「ここはあえて乗ってみることで、出方を探ってみるべきかと」

「あんたホントに虎穴に殴り込むの好きねぇ。……まあいいわ、許可します。バックアップはそんなにできないけど」

「トザマを回してくれれば、それで十分かと」

 

 これが原作のイベントがらみであれば情報源にもなるし、それを差し引いてもあいつは優秀だ。戦闘があるわけでも無し、あいつ一人いれば十分だろ。

 とか考えてたら、代表が渋い表情になる。

 

「……あの子いないと、事務仕事の効率がガタ落ちになるんだけど」

「あまり酷使しないでやってください。頼まれたら断らないんですからあいつは」

 

 いくら好きなゲームのキャラ本人に頼まれたからって、軽々しく仕事引き受けるのは玉に瑕、だよなあ。そのあたりどう控えさせれば良いのかね、あのガンギマリ娘は。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 さて、話を通しておかなきゃならんのは、なにもGS(職場)だけじゃない。

 

「……というわけで、2、3日キネコさんの彼氏役をすることになった」

「いきなり連絡を入れてきたと思ったら、NTR(寝取られ)る宣言かい? ちょっと高度なプレイすぎるんだけど」

 

 俺が連絡を入れたのは誰あろう、クラハムだ。

 どう考えても人選ミス? 普通に考えればそうなんだろうが。

 こいつの場合、連絡入れない方がややこしい事になる。

 

「ふりだふり。進んで人間関係ややこしくするつもりはないわい。キネコさんも、多分な。だがよほど面倒な人物らしい、彼女の兄とやらは」 

「……さっきから気になっていたが、店長のことを名前で呼んでいるのか。このクラハム、嫉妬のあまり阿修羅と化してしまいそうだよ」

「名前ならいくらでも呼んでやるか「本当かね嘘ではないね真実であるというならば早速呼んでもらおうじゃないかさあ! ハリーハリーハリーハリーィ!!」

 

 なんで名前呼びで食いつくのかこの女。……しかたねえなあ。このままじゃ話進まないし。

 

「分かった分かった。これからはエイカと呼んでやるから落ちつけ」

「躱しようのない直撃コース!? …………………ぅっ! ……………………………ふぅ」

 

 何をした。今何をしやがった。

 

「ちょっと気をや……もといヘヴンにゴーしそうになったよ。どこまでも心ときめかせてくれるな君は」

「……まあ、落ち着いてくれたんなら良いが。それより……今回のこと、()()()()()()()()()()()()()()。だがくれぐれも直接介入してくれるなよ?」

 

 色々とツッコミ入れたいのを我慢して本題に入る。ほったらかしにしてたらどんなことをやらかすか分からんからなこの女。あえて情報を公開し、釘を刺しておこうというわけだ。

 それに万が一、キネコさんとその兄がなにやら妙な動きをしたとき、こいつなら感付く。下手に動きを封じるより、ある程度は自由にさせておいた方がいざというとき役に立つ。

 それでもやらかす可能性はあるんだが。

 

「お前さんが万が一やらかしても俺はいい。だが……()()()()()()()()()()()()()()()()?」

 

 通話の向こう側で、ビキ、と硬直した気配がする。何しろクラハム――エイカは、武器弾薬のほとんどを、キネコさんの店で調達している。彼女の機嫌を損ねたらどうなるか。

 流石に武器弾薬に凶悪な仕込みをして謀殺を図る、なんてことはしないだろうが、根に持って恨みがましくネチネチと事あるごとに嫌みを言うくらいはする。居心地が悪いどころではすまない。キネコさんの店ほど質の良い商品を扱っているところは滅多にないから、肩身の狭い思いをしながら通う事になる。さしものエイカもそこで堂々としていられるほど神経は太くあるまい。多分。

 

「悪いことは言わん。ほどほどにしとけ」

「ご忠告、感謝しよう」

 

 俺の言葉に素直な返事を返すエイカ。しかしこっそり尾行するなどのことをやめるつもりはないだろう。こいつが尾行してくることを前提として対応を考えておかないとな。

 

「ところで隊長君、一つ良いかな?」

「なんだ?」

 

 話題を変えるつもりか、エイカが語りかけてきた。

 

「その、あれだ。……もう一回名前で呼んでくれないかい?」

 

 おずおずと頼んでくる。これから先いくらでも呼ばれることになるだろうに。なんだこいつも女子学生メンタルか。別に減るもんじゃないから良いが。

 

「お安い御用だ、エイカ」

「アフンッ!(ビクンビクン)」

 

 だからナニをしてんのこいつは。

 

「フー、フー……いかんねこれは下腹に来る。このクラハム腰砕けになるという無様を2度も曝してしまったありがとう録音した家宝にするよ」

 

 たかが名前を呼ばれただけで、なんでこんなんなんのこいつ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




一応根回しはしておく(トラブルが回避できるとは言っていない)
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