ランペイジ・バレット ~ソシャゲみたいな世界に転生した俺が必死で生き抜いていく話~ 作:捻れ骨子
「ここでいきなりのクラハ……もといブィスリャァ錐揉み反転スペシャル!」
「「「「「どわあああああ!?」」」」」
一同が呆けているのを隙とみた自称ぶいすりゃー(これでいいや、もう)が宙を舞い銃をぶっ放す。不意を突かれた襲撃者達は、泡を食って回避。そこで1号(ってことにしておこう)のテレパスが飛ぶ。
『2号さん! 制圧射撃、開始!』
「お任せを」
頷いた2号(この人も何やってんだ)が手を上げれば、包囲のさらに外側、ビルの影やらマンホールやら屋上やらから、メイドがわらわらと姿を現し、各々手に持った得物で襲撃者達に攻撃を加え始めた。全員ご丁寧にコンビニ袋装着済みだ。
なんなのこれ。
「いやあ、どうせ兄ちゃんがなんか面倒持ち込んでくるやろ思て、
キネコさんは、眉を顰めた。
「なんでみんなコンビニの袋被ってんのやろ」
「あそこのチョーシこいてる二人がなんかしたんだろ」
大方自分たちはあくまでコンビニ仮面であり、美少女クランリーダーやさすらいの男装麗人傭兵ではないという言い訳のつもりだろう。つかいつの間に混ざってたんだ
格好はアレだが、曲がりなりにもトップクラスの指揮者が、トップクラスのテック使い&訓練された(色々な意味で)メイド達を指揮しているのだ。しかもほぼ不意打ち。普通なら一方的な展開だろうが。
「このクソアマどもがぁ! ナメんなや!」
「チョーシこくのもここまでやぁ!」
泡を食っていた襲撃者達だが、怒りの声と共にその姿が変わり出した。
ある者は体躯が一回り大きく膨らんで、ばりんと服が破ける。またある者は腕から刃を生じたり、腕そのものが展開、変形して銃器と化す。
享楽都市のテック使いは数少ない。これは政府が管理のためテック使いを封印都市に赴くよう誘導しているからだが、その代わりに享楽都市では、強化処理を受けた者やサイバー化した者が傭兵として幅をきかせている。その分野の法も緩く、封印都市より進んでいてえげつない技術も数多いと聞いている。見ての通り腕に内装武器仕込むというロマンが普通に流通してるようだしな。
まあもっとも、その技術が百戦錬磨のテック使い達に通用するかは別問題だが。
「ブイスリャァ大回転海老反りハイジャンプローリングスペシャルっ!」
調子こいた変人が、宙を飛び回りつつ銃をぶっ放し襲撃者達を蹴散らす。
「反撃に移るのが遅いて。ようそんなんで
お付き――タデ氏が大気を暴風のように操り、周囲の連中を吹っ飛ばしていく。そしてその後ろで小さな旗を振りながら「がんがえ~」とか応援っぽいことをしているキヨシさん。いい性格してんなホント。
そして。
「ふむ、盛り上がって参りましたね。それでは私も一働きと参りましょう」
一部の襲撃者がこっそり逃げ出そうとし、その眼前に
ロングスカートが派手に翻り、その下から姿を現したのは。
「メイドと言えばガトリング。最早使い古されたきらいがありますが……ご堪能くださいませ」
どこの世界の常識だそれは。ってかその
「「「「「なんでじゃああああ!!」」」」」
泡を食って逃げ惑う襲撃者達。四肢のどこかに弾丸を喰らって転倒する者、武器を破壊されて即座に土下座する者。様々だが、死人は出ていない。一応手加減はしているらしい。もっとも強化人間やサイボーグは
「ま、後で色々吐かせるのにゃあ都合いいか」
別に数人生き残ってりゃいよかったが、情報源が多くなったと前向きに考えよう。そう思いつつ、俺はインフィニティを撃つ。狙うは襲撃者達の四肢、その基部。肩や太ももなどだ。機動力と攻撃力。そのどちらか、あるいは両方を奪うためだ。死ににくい連中だが、死なないように無力化するのはそう難しいことでは無い。(←普通に難しい)
「テック使いと比べたら、9㎜弾が通じるだけマシですなあ」
俺と背中合わせになって、同じように銃を撃っているキネコさん。彼女は俺より遙かにえげつない。
何しろ狙っているのが
「その、もう少し手加減という物をだな?」
スライドストップのかかった銃を素早くマグチェンジしつつ、俺はキネコさんに言う。
「酷いなあ。か弱い乙女が身を守る術ですやん」
俺と位置を入れ替わるようにステップをふみ、同じようにマグチェンジするキネコさんは、いけしゃあしゃあと宣った。いや分かるけど、分かるけどね? 男としてはヒュン、ってなるわけよ。ちょっと引きつつ彼女の肩越しに襲いかかってきたヤツの太ももを撃ち抜く。
「……頼むから俺には向けないでくれよ?」
お返しとばかりに、俺の脇腹の横から腕を伸ばして死角から襲いかかろうとしていたヤツの股間を撃ち抜きつつ、キネコさんは応えた。
「
そんな感じで言葉を交わしながら、襲撃者達を返り討ちにしていく。状況によって位置を変え、互いの死角やマグチェンジの隙などをカバーしつつ、淀みなく動いた。
そしたら。
「「ず~る~い~!!」」
2つの声が重なって響いた。いつの間にか間合いを詰めた1号とぶいすりゃーが、胸の前で両手を握りこぶしの状態で、口々に訴える。
「なんでそんなに息ぴったりなのなんでそんなに息ぴったりなの!? いつのまにか阿吽の呼吸とかどんなズルをすればそんなに一足飛びに関係が進むの!? いや私はどこかの美少女クランリーダーじゃなくそこら辺の正義の味方コンビニ仮面1号だから興味本位で聞いてるだけなんですけれど!!」
「これは何かAとかBとかそう言うのを一気に飛び越してXあたりまで到達してしまったと言うことか!! このクラハもといコンビニ仮面ブイスリャァ出し抜かれたことに対し慚愧の念を覚えざるをえない!! 突き放された距離感を挽回するためにもちょっとあっちのラヴなホテルに連れ込んでくれることを所望する何ならそこら辺の路地裏でも可!!」
「落ちつけい」
とりあえず2人に拳骨喰らわせて黙らせる。まったく、なんで
そんなことを言ってみたらば、二人は頭を押さえてぶうぶう文句をたれる。
「気にしてるとかそんなんじゃ無くてぇ……そういう指摘をされるとムカつくんですけどぉ……」
「量より質というか、こう、あそこまで気があってる様子を見せられると胎の奥からあふれ出る何かが脳を灼くようなンンンンンンンンンン」
「ウチもここまで呼吸が合うとは思ってなかったですけど……人から指摘されると照れますなあ」
「「あざといンンンンンンンンン」」
少し視線を逸らしてちょっと顔を赤らめつつ頬をかくキネコさん。それを見て悶えるあほ2人。俺も内心ちょっと可愛いなと思ったのは秘密だ。
「まあそれは良いとして、大体片付いたか? ミケ……2号さんよ」
「お気遣いありがたく。首謀者はこの通りに」
あほ2人が余裕ぶっこいているところで薄々分かっていたが、襲撃者は全員無力化され、リーダー格の御駄はメイド達に囚われている。……何で亀甲縛りなのかは聞かないで置こう。
「な、なんやねんお前ら! 一体なんやねん!」
色々な意味で戦いている御駄が、震えながら声を張り上げる。応える義務は無いんだが、俺はにやりと笑って言ってやった。
「これが封印都市の住人だよ。享楽都市の人間にゃあ、刺激が強かったか?」
封印都市一般人「「「「「異議を申し立てる」」」」」